タレントのリスクマネジメント

タレントマネジメントを考える際、「リスク」という視点を持つことは重要です。

まず、個人レベルとしてのタレントリスクマネジメントがあります。
これは、個人が部下などの関係者や組織に及ぼすリスクをモニタし、コントロールできるかということです。

前職でのケースですが、あるクライアントから依頼され、Hogan Assessmentというリーダーシップパーソナリティテストを提供しました。

これは、リーダーの中でも特にトップ・シニアマネジメント層を対象にしたテストで、各種パーソナリティを診断するものです。特に大きな特徴は2つあります。

1)他者から見えうるパーソナリティを診断する
2)リスクになりうるパーソナリティを診断する
この2つめが重要なポイントです。

このクライアントは企業に投資しかつプロ経営者を企業に送り込み企業価値を向上させるビジネスをしていました。ただ、経営者が送り込まれた中で失敗するケースも多かったというのです。それは、修羅場に置かれたときに、その経営者の態度や行動が急変してしまい結果的にマネジメントに失敗したというのです。これは、面接や履歴書だけでは見えてこないものであり、まさにタレントリスクと言えます。今回Hoganを事前に受検し、リスクになりうるポイントをあらかじめ把握しておくことで、このクライアントが気をつけておくべき点や必要な施策を打っておくことができるというわけです。

ストレスが極大化した時に、自分がどういう行動をとりうるか、それは実際にその場になってみないと分からないということもありますが、こういう診断を使って事前にリスクを把握しておくことはできるのです。かつ、それを関係者で共有しておき来たるべき状況に備えておくことです。

それから、組織レベルでのタレントリスクマネジメントがあります。
これは組織としてのリスクマネジメント(戦略リスク、コンプライアンスリスク、財務リスクなど)にも影響しますが、あくまでもタレントに紐付くものと考えると少し見方が変わってきます。

たとえば、オペレーションリスク。タレントが急病などで不在になる、または能力不足によって業務に支障が出る可能性がある場合、それは十分にタレントリスクになります。「タレント」という切り口で見ることで様々なリスクが見えてきます。そのリスクがどの程度のインパクトなのか、それによってどういう回避策や緩和策をとりうるのか、そういった議論と次へのアクションにつながっていくわけです。

組織やタレントのよい面だけをとらえるのではなく、裏の面にも顔を向けること。このことが長期的に組織に継続性を持たせ、かつ環境の変化への柔軟性を持たせるのだと思います。 

著者情報

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諸橋峰雄 | Neo Morohashi, Ph.D.
執行役員 コーポレート戦略部 部長 | Head of Corporate Strategy, CYDAS Inc.

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