スターウォーズとリーダーシップ

12月17日に公開された新作スターウォーズ。公開初日だけで北米の興行収入が5700万ドル(日本円でおよそ70億円)にのぼり、初日としては「ハリーポッターと死の秘宝Part2」(4350万ドル)を30%以上も上回る歴代記録更新です。ANAの機体がR2-D2になったり、六本木ヒルズでは展覧会をやるなど、大規模なプロモーションも功を奏した結果なのかと思います。今回初めてジョージルーカスの手を離れて新たな監督と配給会社のもとでの船出、まずは成功と言っていいでしょう。

私も昔からの大ファンであり、これまで何度観たことかというぐらい見返しています。チュニジアやグアテマラでは実際に撮影に使われた場所も観ることができ、これまた感慨ひとしおです。
さて、スターウォーズといえば忘れてはならないのが「ジェダイ」の存在です。ジェダイは、フォースを操る銀河系の正義の守護者として描かれています。ジェダイをリーダーと捉えると、このジェダイの存在にリーダーシップマネジメントのヒントが隠されていると思います。

1. Be Mindful
まず、ジェダイになるためにはフォースが操れることが前提になり、これには資質と鍛錬が必要です。映画の中で、トレーニングをしているときに師匠であるオビワンケノービが「Be mindful」という言葉をよく発しています。意識を集中して、ということになるかと思いますが、特に気が散っている状態のときに本領を発揮できない様子が出ています(ライトセーバーを使ったトレーニングの最中など)。Mindfulはフローの状態にあるといってもいいかもしれません。リーダーも同じです。Mindfulな状態にあってこそ最高のパフォーマンスができる。逆に落ち着いて行動すべき時にスマホなどで気が散った状態では考えもまとまらずいい結果が出せないのです。

2. メンター・コーチの役割
師匠としての典型的な違いが見られるのがオビワンケノービとヨーダです。二人とルーク(主人公)のジェダイとしてのトレーニングを行うのですが、このやり方が大きく違う。まず、オビワンケノービはかなりハンズオンで細かく指導しているのに対し、ヨーダは相手を突っぱねて最初はまともに指導しません。これはジェダイとしての成長ステージによる違いとみてもいいかもしれません。初期は全く知識もスキルもないのである程度面倒を手取り足取り見る必要があるのに対し、それなりに成長してきたら今度は自分で考えさせる。師匠としての役割はその傍について少し背中を押すだけ。これこそメンターやコーチとしての役割のあるべき姿のように思えます。

3. ホールネスの理解
ジェダイといえばダークサイドの存在を忘れてはいけません。ジェダイといっても善と悪のような対立があります。この悪に相当するのがダークサイド。ダークサイドに墜ちたジェダイはネガティブな性格面が強調された存在としてダークジェダイとなり、ジェダイ達と対立することになります。ただ、これは単純に善と悪の違いというわけではなく、一人の中にこの葛藤と変化が入り交じっている状況が描かれています(たとえばダースベイダー)。誰にもこの2つの要素が入っているということを示唆しており、これは心のポジティブ思考、ネガティブ思考と考えると理解しやすいと思います。ポジティブ心理学といった分野が最近はやっていますが、これについて、今年出版された初期で面白い議論をしているものがあります(注)。これによると、人間はポジティブな感情だけが続くことはありえず、無理矢理ネガティブを押さえ込むのではなくネガティブな感情にどう向き合うかが重要である、ということを説いています。つまりポジティブ+ネガティブ=人間の心が持つホールネスという捉え方をしているわけです。両者は心の中の表裏一体の関係であり、ネガティブなものから目を背けるのではなく、対峙の仕方がむしろ効用をすらもたらすとしています。

スターウォーズはエンタテインメントとしての面白さはもちろんですが、実はその裏に隠れている哲学的背景を読み解くともっとその面白さが見えてくるかもしれません。

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Photo credit:  Visual hunt 

著者情報

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諸橋峰雄 | Neo Morohashi, Ph.D.
執行役員 コーポレート戦略部 部長 | Head of Corporate Strategy, CYDAS Inc.

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