リーダーは「ファクト」で「ダイナミック」に選べ

皆さんは、組織デザインをどう考えていますか。

ここでいう「組織デザイン」について、ここでは組織構造だけを指すことにします。一般的な組織デザイン(Organization Design, OD)といった場合、構造だけではなく戦略やオペレーション、人、ITなど多くの要素が含まれます(例:http://bit.ly/1LYld3h)。最近発表されたデロイトのGlobal Human Capital Trends 2016(注1)の中で、調査対象企業が重要度のもっとも高い課題として上げているのも組織デザインです。

構造を考えるとき、特にリーダークラスの人材についてどのように決めるでしょうか。
意外にありがちなのが、なんとなくこの人優秀だし結果を出しているからという人事部や関係者の認識によって決まるケースです。

ここで、この優秀と考える認識にバイアスがかかっていた場合はどうなるでしょう。
やたらに自信がある印象を持ち、声やジェスチャーが大きい人などは周囲からリーダー的存在として支持される可能性が高くなります。これはHarvard Business SchoolのAmy Cuddy博士がTEDでも話していることです(注2)。彼女は、ボディランゲージによって人に影響を与えること、さらに自身の生理学的影響もあることを言っています。

リーダーポジションにつく人は権限、一定のパワーを持ちます。しかし、実際に能力がある人とパワーを持つ人にギャップがあったらどうでしょう。力だけは見せるが、経験も知識もメンバーより劣っている。その組織は悲劇です。組織のパフォーマンスも落ちることは容易に想像できます。

関連した話題で、最近Harvard Business Reviewで大変面白いレポートが出ていました(注3)。著者らによると、そもそもどういう時に階層型構造によってパワーを持たせるときがいいのか、またどういう時にチームのパワーを明確に決めずに自主性に任せるのがいいのか、という問題意識からスタートしています。ベンチャー企業や新しいアイデアを取り入れる企業によっては、後者に近いホラクラシー型組織運営(注4)を進めたりもしています。この研究の結果はなかなか興味深いです。主に以下の2つがその研究によって分かったことです。

  • 能力が突出している人材がいる場合は、階層型組織にして力を集中させることで組織のパフォーマンスが上がる
  • 逆に能力の差があまりない場合はできるだけフラットな階層にして、チーム内のコントロールに任せるほうがよい

つまり、この研究結果だけを見て判断すると、組織構造は人材の能力(competence)差によって決めるべきだということになります。
各自の能力だけではなく、比較をして相対的な能力評価をする必要があるということになります。
また、現代の世の中ではダイナミックに課題や仕事内容が変わるため、そこに発揮できる能力(つまりその能力を持つ人材)も短期間ですぐ変わりえます。
場合によっては1年に1回程度能力の棚卸しをしたりするのでは適切な組織デザインにならないのではないかということを著者らは言っています。

この論文におけるポイントは以下に集約されると思います。
  • 「ファクト(ここではcompetence)」をもとにリーダークラスの人材と組織をデザインする
  • そのために、常に人材の能力やその分布を評価・共有できる仕組みを社内に持つようにする
  • リーダーはプロジェクトや業務内容にあわせ「ダイナミック」に変えられるようにする(短期間でリーダーを入れ替える柔軟性を持つ)

人材能力(コンピテンシー)をその会社の部署ごとにどう考えるか。また、人材ごとのファクトをデータとして蓄積、分析できるプラットフォームをどう持つか。
組織のパフォーマンスを上げるために会社が取り組まなければいけない大きな課題だと認識する必要がありそうです。

弊社のCYDAS.comはこの課題に向き合う企業をサポートする準備ができています。

注1)Global Human Capital Trends 2016 http://bit.ly/1LYllzw
注2)Amy Cuddy - TED Talk 「ボディランゲージが人を作る」http://bit.ly/1LYlB1B
注3)Sarah Cliffe, “Leadership Qualities” vs. Competence: Which Matters More?, Harvard Business Review, Nov 5 2015 http://bit.ly/1LYnmfk
注4)「ホラクラシーとは?」日本の人事部 http://bit.ly/1LYnj30



Photo via Visual Hunt

著者情報

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諸橋峰雄 | Neo Morohashi, Ph.D.
取締役、CYDAS Europe準備室長 | Managing Director, CYDAS Europe Pre-Opening Office

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