新卒社員の採用リスクマネジメント

はじめに、熊本を中心に地震で被災された方に改めて心よりお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

さて、就職活動シーズンの真っ只中。採用する側もされる側も大変な時期だと思います。

新卒の学生を採用するときに、企業として考えなければいけないのが採用「前」と「後」の2つの段階。前者は採用する段階、そして後者は採用して入社後の育成段階です。今回は特に採用について書いてみます。

その流れを見ると、企業によって違いはあるとは思いますが大筋以下の流れになるかと思います。

採用計画作成(人数、役職など)> 採用基準作成 > 評価方法作成 > 評価・キャリブレーション > 意志決定 > 内定通知 > 内定者のエンゲージメント

この流れを通して、一体何を意識して気をつける必要がありそうでしょうか。
個人的には「採用される人と会社の意識とのミスマッチ」をどれだけ防げるか、つまり採用リスクマネジメントが全てだと考えます。どういうことか。

企業はどう採用する人を選んでいるのでしょう。アイデムが発表した調査資料によると、選考方法の1位は面接、続いて履歴書となっています。この面接というのがなかなか曲者です。多くの企業が面接で採用の可否を決めていると思いますが、この信頼性がどこまであるのか考えたことがありますか。Googleの人事責任者が書いた書籍「ワーク・ルールズ」(注2)にそのヒントが出ています。この中で、面接時の評価からパフォーマンスをどこまで予測できるかという調査について書いていますが、それによると社員の職務能力のうち14%しか説明できないということです。もちろん面接を構造的にデザインして厳密な面接基準を作り、かつ他の指標(履歴書も含む)も加えればもう少し信頼性が上がることは想像できます。それでもこの数値は驚きです。なんとなく面接をして、なんとなく優秀そうと判断する程度の面接では会社にとっていい人材がとれるとは限らないということです。ちなみに、この書籍によるとワークサンプルテスト(擬似的にその人が行うであろう業務の出来映えを評価する)のが最善の指標としています。サイダスの場合だとパーソナリティテストを使っています。これは「いい」「悪い」ではなく個人のパーソナリティを見ることになるので、人物像をよりイメージしやすくなります。

私にとっての採用リスクマネジメントとは、採用したい人をどう採用するかではなく、「採用すべきでない人を採用してしまうリスク」を避けるということです。

そのためのポイントは2つ。1)会社としてほしい新卒の人材像、能力を明確にしているか、2)評価方法の信頼性をできるだけ上げる方法を考えているか。1)については、新卒が配属されるポジションや環境を理解したうえで、事業戦略・人材戦略に沿った形での人物像をできるだけクリアにすることです。それも文字に落として採用チームで意識を共有しておくこと。まずこれができないとそれぞれの人材にとって相性が合うだけの人材を採用することになってしまいます。また、世代による特徴も押さえておいたほうがよいのかもしれません。今の世代でいえばミレニアル世代。デジタルネイティブと育った新卒の彼らがどうコミュニケーションをとり、どうチームワークを発揮し、どう仕事を考えているのか。その価値観を理解するのは採用するうえで、また採用後の教育にはヒントになるかもしれません。それから2)については、先ほどの面接などの方法を改めて見直してみることです。今行っている方法で人物のプロファイリングができているか、どうすればより精度高くポテンシャルや能力を評価できるか常に考えて改善し続けることだと思います。

"Garbage in, garbage out.” ー ゴミの情報からはゴミしかでてきません。宝の情報を集めて分析できる仕組み、基盤を整えるのは採用にとって大切なのです。採用方法、育成方法に正解はありません。ただ、現状をあるがままに受け入れていては改善できないのも事実です。「考える」人事になりましょう。

注1)2017年度 新卒採用に関する企業調査https://apj.aidem.co.jp/upload/chousa_data_pdf/270/2016_03kigyou.pdf
注2)ワーク・ルールズ!

著者情報

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諸橋峰雄 | Neo Morohashi, Ph.D.
取締役、CYDAS Europe準備室長 | Managing Director, CYDAS Europe Pre-Opening Office

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