「一隅を照らす」タレントマネジメント

先日、役員合宿で比叡山延暦寺に行く機会がありました。
ここでタレントマネジメントの世界に共通する考え方を知ることができ感動したので共有しておきたいと思います。

延暦寺は、京都と滋賀にまたがる比叡山全域を境内とする寺院で、天台宗の総本山です。平安時代に最澄が開き、法然(浄土宗開祖)、栄西(臨済宗開祖)、道元(曹洞宗開祖)、親鸞(浄土真宗開祖)、日蓮(日蓮宗開祖)など蒼々たる名僧を輩出しており、文字通り日本の仏教のオリジンといってもいいのではないかと思います。

この最澄が中国の故事をもとに残した言葉で「一隅を照らす」というものがあります。正確には「照千一隅 此則国宝」とあり、一隅(いちぐう)を照らす、これ則(すなわ)ち国の宝なり、と読めます。

この解釈が仏教界では一時議論になっていたようです。よくある解釈は「一隅(自分の今いる場所)を照らす、つまり自分のいる場所で一生懸命やるべきことをやることが最終的には世界を照らすことにつながる」というものです。一人一人の心がけと行動が組織や国、世界を変えるという言葉に理解できます。偉くならなくてもいいから今いる場所で最善を尽くせ、という解釈は日本人にはきわめてなじみやすい概念であり、昔であればこれを教えとして日本人を鼓舞していたのではないかと考えます。


ところが、実際のところどうも違うようです。それは「一隅にありながら千里を照らす人こそ国の宝である」というのが正しい解釈だというのが通説になりつつあるように思えます。

上記のように解釈は異なっていても、この言葉はタレントマネジメントの重要な概念を伝えていると思います。


前者の解釈については、日本の社会でいう「適材適所」。適材を適所に配置することで組織全体としては機能するようになるという考えは日本ではなじみのある考え方であり、これはまさに組織人がそれぞれ一隅(自分のいる場所)を照らすことで会社を輝かせられるのだということができます。

一方、後者の解釈については、「人材発掘・育成」や「サクセッションプラン」の考え方といえます。一隅にあるなかで組織や社会にとって影響力を持ちうる人を見つけて登用し育成する。最澄の考えとして、為政者は才能のある人を見出し、抜擢せよといったことを言おうとしていたのかもしれません。

個人的には、この両方の解釈はタレントマネジメントにとってきわめて大事な考え方であり、どちらが欠けていても組織はまわらないと考えます。一隅を照らす人、千里を照らす人、それぞれに役割があるわけですからそれを理解したうえで組織をどう作っていくのかが経営者が考えるべきことです。CYDAS.comはどちらのお手伝いもできます。

この言葉を知り、サイダスの社内でもぜひ広めていきたい言葉だと思いました。 

著者情報

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諸橋峰雄 | Neo Morohashi, Ph.D.
取締役、CYDAS Europe準備室長 | Managing Director, CYDAS Europe Pre-Opening Office

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