「見える化」の効果

「ホント、何考えているか分かんない!」

同日に、友人Aと友人BからLINEがきました。友人Aは旦那さまに、友人Bは会社に対してセリフなのですが、ほぼ一言一句違わないセリフだったので、2つのトーク画面を見比べて笑ってしまいました。

とはいえ、このセリフ、日常にあふれていると思うのですが、いかがでしょう?

友人Bのグチはこのようなものでした。

「ウチの会社、社員によって明らかにモチベーションが違うんだよね。部署内もそうだけど、部署間でも明らかにやる気の度合いが違う。で、モチベーション低い人は結果も出してない。なのにマイナス評価はつかない。頑張ってるこっちはちょっとやりきれないよね。会社はこれからどうしたいんだろう…」

どの会社でもよく問題となるこの「モチベーションのばらつき」。個々の人間の有様なのですが、端的に言うと、向かうべき方向(会社の方針)と自分のやるべきこと(仕事)がそれぞれ分かっている人と分かっていない人が存在している、という状態になっているのだと思います。

会社を船、社員を乗組員に例えることが多いのですが、

A:この船は宝島に向かっている。まだ誰も見たことない財宝が山のように眠っているという話だ。そのために自分は「コック」として船員の力の源となるような食事を作るぞ!

B:この船は宝島に向かっているそうだ。皆忙しそうで自分の力をどう生かしていいか分からず戸惑っているが、宝島という響きにワクワクしている

C:この船はどこに向かっているのだろう?とりあえず乗り込んだ船で「右舷の見張り」という役目をもらった。敵船や岩礁がないかしっかり見張ろう。

D:とりあえず船に乗っているがどこに向かっているのか分からない。みんな忙しそうにしているが、何をしていいか分からないので、とりあえず傍観しておくか…

なんてことはない例え話ですが、この4名でも「この船の行先」「自分の役割」にワクワクしている人とそうでない人の違いが表れています。

では、なぜこのようなばらつきが生まれるのか。

さまざま理由はありますが、一つは会社の方針、つまり経営陣の考え方が社員に「見えていない」ことにあります。変化の多い時代にうちの会社はどこに向かおうとしているのだろう?経営陣は将来についてどう考えているのだろう?うちの上司は経営陣の思いを理解しているのだろうか?人間、向かうべき先が見えないと不安になります。どこに向かうのか、何をしたらよいか分からない状態で「モチベーションあげろ!」と言われても、何に対してやる気を出せばいいのか分からないですよね。

モチベーションの高いメンバーは、比較的経営陣との距離が近かったり、経営陣のメッセージが届きやすい場所(部署やプロジェクト)にいたりします。その場合、リアルタイムで経営陣の考えや判断、その理由を知ることができたり、「こんなことがしたいんだ」という自分たちでは思いつかない未来の話を聞いたりすることができます。会社がどこに向かっているのか、そのために今自分に何ができるのかが分かっていると、モチベーションも高くなります。

反対にコミュニケーションが取れない状況にあると、会社の向かうべき方向も自分の仕事の意義も分からないため、「振り回されている」「使われている」という感覚に陥り、ますますモチベーションが下がっていきます。

このような理由から、経営陣が社員と直接コミュニケーションをとることは大切だと言われます。ベンチャー企業などでは、経営陣との全社員個別面談や新卒採用プロジェクトへのアサイン(学生へ会社のビジョンを熱く語る社長を社員が見ることで、その熱い思いを知る)などが一定の効果を生みます。ただ、会社規模が大きくなるにつれ、この対応は限界を迎えることは想像に難くありません。

ではどうするとよいか。それは、経営者の思いを見える化することです。ビジョン、ミッション、バリューなど「このような会社を作るのだ」という決意を明文化し、その強い思いを確実にすべての社員に伝えることが、第一歩となります。

見える化することには次のような効果があります。

それは、会社の向かう方向に「共感できる」グループと「共感できない」グループが見えてくることです。宝島へ向かうことに賛同してくれる人にはその働きに応じて労いを確実にする、賛同できない人には再度思いを伝え、今の期待・してほしい仕事を伝えます。そこで納得してくれればOKですし、どうしても分かり合えない人には船を降りてもらう、というのも一つでしょう。このようにばらついていたメンバーを二つにカテゴライズすることで、打つべき施策が明確になります。

「見える」は伝播します。経営層の思いを「見える化」することで、それが指標となり社員の状況が「見えて」きます。そうすると社員の状況に応じて、何をすれば状況が変化するか施策が「見えて」くるのです。

ちなみに友人Aには、旦那さまに不満に思っていることをメッセージカードに書いて渡してみたら?とアドバイス。

友人A、鼻息も荒くメッセージカードに不満を書き出してみたものの、箇条書きした10個のうち6個は、よくよくみるとどうでもいい内容だったみたいです(ただの八つ当たり)。そのカードを旦那さまと笑いながら音読し共有したことで、3個の不満は解決、残り1個は継続審議となったそうです。

些細なことでも「見える化」して共有してみると、案外簡単に解決策が見つかるかもしれませんね。

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