デザインって余白が大事

4月。新入社員も入るこの時期に、キャリアデザインについて考えてみようと思います。

遡ると小学校に入学した頃から「大きくなったら何になりたい?」「〇〇になりたい!」とどうなるとも知れぬキャリアについて語っていた(語らされていた?)ような気がします(いや、すでに3歳頃には「XXとケッコンするー」と言っていたか…)。

そしてそれは社会人になっても続き、節目の度に「社会人になってどうしていきたい?」「10年後20年後の自分の姿を想像してみて!」と聞かれてきたような気がします。入社後のオリエン、キャリア研修、昇格時、転職時…その時々でそれらしいキャリアを思い描き、まだ見ぬ未来に夢を抱いていましたが、年をとるごとに気になることが1点ありました。それは自分のキャリアデザインがあいまいになっていることです。

子どもの頃の夢を思い出してみてください。とても具体的なことを口にしていた気がしませんか?「プロ野球選手になりたい」「学校の先生になりたい」。その夢に向かって努力し、見事実現された方も多くいらっしゃると思います。私自身、就職活動の時に初めて「社会人」としての自分のキャリアを真剣に考えたような気がしますが、その時もやや具体的な夢を思い描き、語っていたように思います。この仕事でXXを成し遂げたい!という熱い夢を…

しかし今の自分と比較してみてどうでしょう?私と同じように、子どものころ思い描いていたのとまったく違う人生を歩んでいる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

終身雇用が約束されていた一昔前の社会人であれば、「15年後に課長、そのままキャリアコースに乗って25年後には…」など社内でのキャリアもイメージしやすかったかもしれませんが、この不確実な時代、社内キャリアはイメージしづらく、どのようにキャリアデザインすればよいのか分からない、といった声もよく聞きます。

そんなお声に、次のようなお話をしています。

“キャリアデザインは、少しあいまいでも大丈夫です。どうデザインしていいか分からないからと言って、何も考えずただ流されるまま日々を過ごすのではなく、向かいたい方向を大まかでもいいので考えることが重要なんです。プロジェクトのようにがちがちのゴール設定が必要な時期もあれば、必要でない時期もあるので、逆算思考と積み上げ思考を組み合わせながら自分の経験をスキルや能力に変換し、蓄えることが重要なんですよ。”

年をとるごとにキャリアデザインがあいまいになることは、一つは「現実の自分」をきちんと理解した進化の結果だと思います(決して、あきらめの結果、だとは思わないようにしましょう笑)。もう一つは、「ある程度あいまいなほうが、軌道修正をうまくできる」ということを察知できた結果ではないでしょうか。

このあいまいさを私は「人生の余白」と呼んでいます。

余白。どんな可能性でも詰め込める魔法の空間。

私はデザイナーではないので、本格的なデザインのことは全く分からないのですが、それでも余白の取り方が絶妙なデザインのものを見ると、安心感安定感とワクワク感という矛盾する感覚のバランスが保たれていて心地よい感じがするものです。

これ、なんだか年賀状に似ているな、と。先日15年分の年賀状を整理する機会があり、差出人を連想させてくれるデザインの数々を見ていてそう感じました。ある程度キャリアがはっきりして近い未来が何となく明確に見えている結婚時・子育て期は余白なしに幸せいっぱいの写真がバーンと全面に載っています。隅まで埋められていることでこれからの生活への安心感が感じられるのです。一方、自分の人生を謳歌している時期の年賀状には余白がたくさんある気がします。その余白には、今年の決意やちょっとした心の声が書かれていたりいなかったり。充実しているんだろうな、マイペースにやっているのかな、ガマンの時期を乗り越えようと頑張っているのか…その人の今の状態と可能性を表しているかのよう、と感じるのは私だけでしょうか。

このように、はっきりとあいまいを繰り返しながら、その時その時を一生懸命生きるのが結局一番幸せなのかもしれない、と今は思っています。

私自身、就職活動の時に、あるいは3年目の時に思い描いていたのとは違う今を生きていますが、自分を形成するコアな部分はしっかりくっきり大きくなってきている気がしますし、毎日が楽しいです。

新入社員の皆さん、まずは目の前のことを一生懸命楽しんでくださいね。

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