管理職は環境デザイナー

人事関連の仕事をしていると、たびたび出てくるのが、「環境」という言葉です。

働きやすい立地やオフィスデザインなどハード面の職場はもちろん、上司部下の人間関係やその雰囲気を指して「環境」とも呼びます。

“取り囲んでいる周りの世界。人間や生物の周囲にあって,意識や行動の面でそれらと何らかの相互作用を及ぼし合うもの。また,その外界の状態。自然環境の他に社会的,文化的な環境もある。(三省堂 大辞林)”

このように辞書にもあるので、使い方に間違いはないのですが、この「環境」という言葉に含まれる意味の中で「意識や行動の面でそれらと何らかの相互作用を及ぼし合う」ことが、言葉の意味以上に社会人の成長に大きく関わることを日々痛感しています。

生物が個を形成するにあたり、環境が及ぼす影響ははかり知れません。悪い水や空気に囲まれていると、身体も壊し、生存も危ぶまれます。子どもが悪いことをした時に言われる「親の顔が見たいわ」 も、その子が育った環境がネガティブなものだったと判断した結果、出てくる言葉なのでしょう。

職場においても、同じことがいえます。どのような職場環境か、上司との関係、その関係で変化する自分の受け止め方、などその人の仕事観は大きく左右されてしまうのです。
会話のない職場(相談が気軽にできないのでミス多発)、一方通行の指示(仕事楽しくないから辞めよう)、理念や目的・目標を伝えない(手は動かさないが大きなことをいう評論家の出来上がり)。
これらは私が見てきた職場とそこで発生した社員の例です。()の前が職場環境、()がその結果だと思ってください。
ほんの些細なことの積み重ねが、大きな崩壊を招くのです。

これは自然環境とも似ています。
環境の専門家ではないので難しいことは省きますが、海面上昇、山火事多発といったニュースや猛暑・ゲリラ豪雨といった気象の変化は、我々人間のほんの些細な生活の積み重ねが生んだ結果ともいえます。

そしてその一方で、これ以上環境破壊を進めまいと、さまざまな取り組みがなされています。この感覚をぜひ管理職の皆さんにも取り入れていただきたいのです。
そこで、管理職向け研修として、環境学を取り入れることを提案します。職場環境が部下や仲間や自分、そして会社にどのような影響を及ぼすか、その変化や指標を明確にします。その上で最大効用を生み出すような環境作りをすすめる、というわけです。もちろん定期的に環境評価を行います。さまざまな要因で、目標としていた環境が、最大効用を生まないのであれば、新しい環境作りに切り替えるのです。

「部下との人間関係をよくしましょう」と言っても、何やっていいか分からない、気が合わない人と自分を押さえてまでニコニコ話す必要があるのか、と戸惑われる方もいるので、ぜひ「職場環境デザイナー」として社員が働きやすく成果をあげる環境を作るんだ、とヒトから環境へ視点をシフトしてみてください。ヒトを変えるのは難しいですが、環境なら変えやすいですよ。

管理職向け研修で管理職の心得、部下の育て方などテクニカルなことを教えるのは、空気汚染のすすんだ町で、空気清浄機を抱えて歩くようなものです。一時しのぎで何も変わりません。

目先のことだけでなく、そろそろ大枠で考えることを始めてはどうでしょうか。

Photo by Andy Hutchinson on Unsplash

 

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