「見る」ことがゴールじゃない

タレントマネジメントの運用コンサルティング(企業内のあらゆるデータを活用し、人の本当の能力を引き出したり伸ばしたりする仕事)に携わっていると、まず最初に相談されるのが「社内の人材を見える化したい」というものです。

企業で「人を活かす」理由は、組織のパワーを最大化するため。そしてそのために必要なことが、その組織を構成しているメンバーのステータスを明らかにすることです。ここでいうステータスとは、例えば、自社内にどんな能力・スキルを持った人がいるのか、どんな経験をしてきた人が今どこに配置されていて、今どんなパフォーマンスを発揮しているのかです。
皆さん、それらは「見えて」いますか?
そして、「意味のある組織編成」はできていますか?

「社内の人材を見える化する」目的は、組織のパワーを最大化する組織編成を考えたり(配置)、社員にパワーアップしてもらうための教育や経験・アサインを考えたり(育成)、組織のパワーを補うために人を強化したり(採用)することにあるはずですが、データやシステムに振り回され、「見えるようにする」ことがゴールになってしまっている企業を多く見かけます。

見えなかったものが見えるようになる。これだけでも素晴らしいことなのですが、見えた結果をどう使うのか、が重要になってきます。見えた結果は、自社の問題解決のためのツール、施策選択の根拠となる材料でしかなく、その先の「解決施策」にこそ注力すべきなのだということを今一度認識していただけたらと思います。

私事ですが、最近筋トレを始めました。
専門家ではないので筋肉のことはよく分からないのですが、トレーナーさんの指示はとても理にかなっているな、と思います。
二の腕の後ろは引き締めたいけど横の筋肉はつけたくない…など希望を伝えると、「じゃあ、●●筋を鍛えましょう。そのためにはこのトレーニングです。」と筋肉の絵を指さしながらトレーナーさん自身が実演してくれます。実演の際に、筋肉の状態がどう変化しているか、筋肉にどう負荷がかかっているか、などを自身の筋肉を触らせながら教えてくれます。こちらがやる際にも、「ここの筋肉意識していますか?」と鍛えたい筋肉に正しく力が入るよう促してくれます。

私は思いました。

まさにタレントマネジメントによる育成の真髄ではないかと!(いや、冗談じゃないです、本気です・・・)

人間の身体にある筋肉は「見える化」されています。その筋肉が育つとどのような身体になるのか、代謝はどのように上がるのか、などの効果も「見える化」されています。

腕の筋肉を鍛えるのに、太ももに負荷をかけるマシンを使っても意味がないことも明白ですし、ジムなどに行かなくても、自分の体重で負荷をかけるだけでできる(自宅でできる)トレーニングで事足りる、ということも分かってきます。
※これが結構キモで、「当たり前」と思っていることの根拠を説明できるのはとても大切です。

トレーニングの後にストレッチをすること、プロテインを摂取すること、など一つ一つに意味がある(と思える根拠で説明してもらえる)ので、素直に受け入れ行動できますし、筋肉も素直に育ってきています。

育成も同じです。企業の求める「あるべき姿」や「期待する役割」を実現するために、「足りないもの」「強化したいもの」を育成していく必要があります。

多くの企業では、「何となく社員に足りなさそうなもの」や「今の時代、持っていたらよさげなスキル」を社員全員・あるいは階層ごとに一律にインプットするような育成をされており、それでは効果ないだろうな、と思うこともしばしばあります。

今、育成を担当されている皆さん、今一度問い直してみてください。
 ―誰のどんな力を育てたいのか、それは何のために?―

そうすると「見える化」することの意義や必要性、効果的な使い方が見えてくるかもしれません・・・

 

Photo by Ivan Bandura on Unsplash

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