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2019.7.31

無意識の圧迫面接はリスクが大きすぎる!脱却が不可欠な理由とは?

圧迫面接はリスクが大きく、避けられる傾向にあります。しかし、面接官側に圧迫面接の意図はなくても、無意識に行っているケースは数多くあるのです。場合によっては、応募者から訴えられる可能性もあるのです。そこで、どうすれば無意識な圧迫面接を防ぐことができるのかをはじめ、圧迫面接のリスクと脱却が必要な理由を紹介していきます。

圧迫面接とはどういうもの?

圧迫面接とは、面接手法の1つです。発祥の地であるアメリカでは「stress interview」と言われています。圧迫面接では面接官が応募者に対して、わざと困らせる質問や態度をします。そして、応募者がどう対応するかを見ていくのです。圧迫面接の本来の目的は、ストレスがかかりやすい接客や営業の仕事に向いているかどうかを見極めることにあります。
一口に困らせる質問や態度と言っても、主に5つの類型があります。1つ目は応募者の発言に対して、面接官が認めない態度や発言を取ることです。2つ目は面接官が応募者に興味を持っていないという態度を取ることです。3つ目は応募者の発言に対して、面接官が「なぜ」「どうして」という質問のみ繰り返すことで、これによって応募者の精神は疲弊していきます。4つ目は応募者の発言や態度に対して、見下した態度を取ることです。5つ目は応募者に対して威嚇したりおどしつけたりするような態度を取ることです。

圧迫面接は何のためにするの?

圧迫面接の本来の目的はトラブルなどに打たれ強く、顧客や取引先と円滑にコミュニケーションが取れる人材を獲得するためにあります。しかし、応募者がどういう性質の持ち主なのか、履歴書や外見だけでは判断がつきません。人は精神的に追い詰められるときに、本質があらわれるものです。そこで、面接官は応募者に対して批判的な態度や否定的な発言を行います。そして、これらに対して応募者がどのような態度を取るのかで、応募者の性格や資質、人柄などを見抜こうとしているのです。同時に、応募者のストレス耐性がどのぐらいあるのか、臨機応変にトラブルに対処できるかどうかの能力も見極めようとします。

圧迫面接は「諸刃の剣」のようなもの

圧迫面接によって企業は一定の効果を得ることができます。しかし、諸刃の剣でもあることを心得ましょう。その理由としては、まずは圧迫面接を行うのはスキルが必要で、上手に応募者の本質を引き出すのは難しいことが挙げられます。ただ単に応募者に不快な思いを抱かせておしまいということになりかねません。次に、全ての面接官が同じように応募者を圧迫することができないこともあります。面接をするとなると、場合によっては複数の面接官で行うことになるでしょう。しかし、圧迫のかけ方がバラバラでは、公平に応募者をふるいにかけることができません。
また、優秀な応募者を不採用にしてしまうリスクもあります。圧迫面接は難しいものです。上手に行わないと、口先だけで上手に言い繕う応募者、面接官が圧迫していることに気づかない鈍感な応募者を採用することになってしまいます。さらに、圧迫面接をする企業に対して、応募者が反感を抱くおそれもあるのです。場合によっては、応募者から訴訟を起こされてしまうかもしれません。

デメリットが大きい無意識の圧迫面接

面接官は普通に面接していたつもりでも、実は圧迫面接になっていたというケースもあり得ます。実は、目的があって圧迫面接を行うよりも、意識せずに圧迫面接を行うことのほうがデメリットは大きいため、注意が必要です。まず、無意識に圧迫面接を行ってしまうケースとしては、応募者の態度や発言に対してしつこく批判をしたり、意地悪な質問で返したりすることが挙げられます。批判や意地悪な質問をしなくても、リアクションが少なく、すぐに別の質問に移ることも、応募者によっては威圧的な態度を取られていると感じてしまう場合があるのです。次に、応募者本人や家族、出身校に対して見下すような発言や説教をすることが挙げられます。応募者は面接官から悪意を向けられていると思ってしまうでしょう。
発言だけでなく、態度にも気をつけます。まず応募者の発言や態度に対して、何も反応しないことが挙げられます。たとえ反応したとしても、応募者が何を話しても、同じ反応では見下しているように思われてしまいます。あくびをしたり、頬杖をしたりして応募者の発言を聞いたりすることも同様です。また、面接の最中にスマートフォンやパソコンを触ってばかりいて、応募者を全く見ないことも圧迫面接だと思われかねません。腕や足を組んだまま、応募者に対して対応するのも威圧的な態度だと見なされてしまいます。
応募者にとっては、面接官は企業の代表です。なぜなら、応募者にとっては面接官が企業とのただ1つの関わりとなるからです。企業全体の考え方ではなく、面接官一個人の考え方だとしても、応募者にはそれは分かりません。面接官の発言や態度を見て、どのような企業なのかを判断してしまいます。

圧迫面接する企業に対するイメージとは?

企業側は、圧迫面接をする企業に対して応募者がどのようなイメージを持つのかを意識しなくてはなりません。まず知っておいてほしいのが、応募者は就職活動の際、1社だけでなく多くの企業の面接を受けるということです。つまり、応募者は企業を比較することができるのです。応募者に対して無反応だったり話を上手に引き出せなかったりすると面接が下手、つまりコミュニケーション能力に欠けている企業だと評価されてしまいます。また、応募者に対して侮辱的な発言をしたり、無茶な要求をしたりする面接では、入社しても人間扱いされないのではないかと思われてしまいます。その結果、企業側が採用したいと思っても、応募者から辞退されてしまうかもしれません。
圧迫面接はメリットよりもデメリットのほうが大きいのです。そのため、企業も圧迫面接に関しては見直しを行っています。そんな時代であるにも関わらず、圧迫面接を続けていることは企業イメージを損ねてしまう行為になりかねません。圧迫面接を受けた応募者からは、ハラスメントが日常茶飯事だったり、コンプライアンスを軽視したりしている企業とのイメージを持たれてしまうでしょう。

優秀な人材ほど圧迫面接で逃げてしまう

企業は圧迫面接を行うことで、優秀な人材を採用したいと考えているでしょう。しかし、優秀な人材を得るつもりが、かえって逃げられてしまう可能性があるのです。圧迫面接は企業が思っている以上に応募者に精神的なストレスを与えてしまいます。応募者は就職活動で何社も面接を受けているものです。そして、優秀な人材ほど他の企業でも高く評価を受けています。他の企業から圧迫面接を受けていないのだとしたら、威圧的な態度や見下した発言を行ってストレスをかけてきた企業を選ぶ可能性は非常に低いと言えるでしょう。ストレスを我慢してまでも入社したいと思う応募者がいるのだとしたら、他の企業からはお誘いがかかっていないのかもしれません。
また、優秀な人材は広く情報を集めているものです。そのため、圧迫面接をしなくても、ストレス耐性があるかどうかを見極める手法があることを知っています。さらに、圧迫面接が社会的に問題になっていることも把握しているものです。それにも関わらず、圧迫面接をしてくる企業に関しては、時代遅れの企業であると見なして低い評価を下してしまいます。優秀な人材ほど、圧迫面接を行う企業を避ける傾向にあるのです。逆に圧迫面接をする企業に対して何も感じない応募者は、社会に対してあまりアンテナを張り巡らしていないと言えるでしょう。

ストレス耐性は圧迫面接以外でも測れる

質問内容に工夫をすれば、圧迫面接をしなくてもストレス耐性を測ることが可能です。圧迫面接にならない質問は主に4つあります。
1つ目の質問は「どんなときに眠れなくなるか」です。人はストレスを感じると眠れなくなり、その原因は人それぞれだからです。応募者からの返答が、企業にとって望ましくないものであるならば、採用は見送ったほうがいいでしょう。もし返答が「次の日に楽しいことがあるとき」や「ない」であれば、ストレス耐性がある応募者だと判断できます。
2つ目は「どんなときにストレスを感じるのか」です。ストレスは誰しもあるものです。大切なのは、何に対してストレスを感じるのかを把握して、いかにコントロールするかだと言えます。自分自身のストレスをしっかりと答えることができる応募者は、ストレスがあったとしてもうまく処理できています。つまりストレス耐性があると言えるでしょう。
3つ目は「もっとも大きな挫折を感じたのは何か。そして、どのように乗り越えたか」です。大きな挫折をどう乗り越えたか、それにはどのぐらいの時間がかかったかは、その人のストレス耐性を測る目安になります。また、同じような挫折をしてもボジティブに転換できる人もいれば、ネガティブに捉えたままの人もいます。ポジティブに捉えることができている人はストレスを乗り越えて成長できる人材だと言えるでしょう。
4つ目は「普段は何をして気分転換をするか」です。いつでも手軽にでき、しかも健康的な気分転換を持っているかどうかがポイントです。自分なりの気分転換を持っている人は普段からストレスをためずに済むため、ストレス耐性があると言えます。
また、成長意欲や向上心を見極めるには、次の質問をしてみます。その際、質問の意図がうまく伝わるように注意します。たとえば「前の職場では行えなかったことで、弊社なら役立てることができると感じたことは何か」などと質問するといいでしょう。どんな回答をするかで、企業に期待していること、応募者の意気込みを測ることができます。また、「仕事の他にどんなことに打ち込んでいるか。そして、どんなふうに打ち込んでいるか」を質問するのも有効です。応募者が何に関心を持っているかを知ることができます。そして、粘り強いか、協調性を持って物事に取り組むことができるかも知ることが可能です。
さらに、応募者の本音が知りたいのであれば、次のような質問の仕方を心がけましょう。まずは応募者から具体的な答え方が返ってくる質問をします。そして、なぜそのように答えたのか、応募者から具体的な返答が返ってくるように質問してみましょう。すると、威圧することなく、応募者の本音を聞き出すことができます。

圧迫面接と判断されないようにする方法

応募者から圧迫面接だと受け取られないように面接をするには、ポイントがあります。まず、きちんと応募者を見るようにしましょう。そうすれば、応募者の話をしっかりと聞いている態度を示すことができます。また、見下した態度を取っていると、圧迫面接だと思われがちになります。こうした態度を防ぐには、応募者をクライアントだと思い、接することです。そうすれば、自然と丁重な態度を取ることができるでしょう。しかし、面接の場合、ときには厳しい質問をしなければならない場面もあります。そのときは声と表情に気をつけましょう。優しい声と笑顔で質問すると、威圧的な印象を持たれずに済みます。
このほか、応募者に絶対してはいけない質問を押さえておきましょう。それは「本籍や住所はどこなのか」「家族や親の職業・地位、どのぐらいの収入を得ているのか」「どこの政党を支持しているか。政治に関してどう思うか」「宗教は何か」です。なぜならば、応募者に就職差別を行う質問をしたと捉えられ、訴訟を起こされるケースもあるからです。

訴えられやすい質問内容や態度の特徴

応募者から圧迫面接として訴訟されやすい質問や態度には特徴があります。まず、志望動機や経歴を否定する発言です。たとえば、「うちの会社には合わない」「採用できる経歴を持っていない」などが挙げられます。これらの発言は応募者からやる気を失わせるだけでなく、企業イメージも損ねてしまいます。次に、性別や学歴、出身地を見下す発言です。応募者は企業に対して不信感を持ちます。場合によっては、許せないという怒りの感情を持たせることになりかねません。また、本人が話したくないにも関わらずしつこく質問し続けると、いやがらせだと捉えられることもあります。このほか、上から目線で説教したり、無理な要求を言ったりすることも挙げられます。ハラスメントが横行している企業だと思われるでしょう。

仲間や顧客になり得ることを忘れないことが大事

無意識に圧迫面接をしてしまうことを防ぐには、応募者との関係をその場限りのものだと思わないことです。採用することになれば、その後もずっと一緒に働くことになります。たとえ不採用になったとしても、自社の商品やサービスを利用する顧客として関係が続くかもしれません。応募者を尊重するような態度で接することが重要なのです。

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