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2021.2.3

ボーナス/賞与の平均支給額は?ボーナスの種類と額の決まり方は?

会社から受け取る給与を生活費の柱としている人にとって、年間どれくらいのお金を受け取れるかを把握しておくことは重要です。会社から受け取る給与には固定給のほかにボーナスもありますがボーナスにはさまざまな形態があり、いくらもらえるものなのかを十分に理解できていない人もいることでしょう。そこで、この記事ではボーナスの種類や金額の決まり方、平均の支給額などについて解説します。

「ボーナス」とは?賞与とは違うの?

ボーナスとは、従業員が会社から受け取る給与のひとつです。定期的に固定で支給される定期給与とは別に払い渡される給与を意味し、「賞与」とも呼ばれます。ボーナスは、定期給与とは異なり、必ず従業員に払い渡さなければならないものではありません。そもそも義務ではないため、ボーナスを年に複数回支給する会社もあれば、まったく支給しないところもあるのです。
ボーナスの起源は江戸時代までさかのぼります。当時の日本には、季節に応じた着物や着物の用意にかかる現金を主人が奉公人に与える習慣がありました。この習慣が、現在のボーナス支給につながったとされています。日頃の勤務ぶりに対する褒賞として特別なお金を与えることによって従業員のモチベーションを維持することが目的なのは、今も昔も変わりはありません。
現在のボーナスは物品ではなく、現金の支給が一般的です。支給に関する決まりは会社ごとに定められていて、その詳細は通常、就業規則に記載されています。ただし、支給時期はほとんどの会社で、夏が6~7月、冬は12月です。また、支給回数は年に1~2回が多く、多くても3回までとなっています。これは、社会保険における賞与が年3回以下の支給と決められているからです。年4回以上支給する場合は、「報酬」の扱いになり、社会保険料の計算の際に定期給与に加算されます。

法律上の賞与の定義とは? 

労働基準法第11条で「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定義されています。 
賞与の支給時期や支給要件、計算方法等が就業規則等に定められていれば、労働対償の賃金にあたります。賃金として定められている以上、支給要件を満たした場合の賞与の不支給は違法となるので注意が必要です。 
また、賞与の定義は労働基準法上に明確な定めはなく、同法制定にあたり発行された通達において次のように記されています。 

賞与とは、定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであつて、その支給額が予め確定されてゐないものを云ふこと。定期的に支給され、且その支給額が確定してゐるものは、名称の如何にかゝはらず、これを賞与とはみなさないこと。 

引用元:労働基準法の施行に関する件(昭和22年9月13日) 

よって、支給額が確定していない勤務成績の評価結果等に基づき支払われるものは、労働基準法の「賞与」に該当します。 

公務員のボーナスは法令に定めがある

公務員のボーナスの場合、民間企業とは異なり支給に関して法令で定めがあります。民間企業の「ボーナス」はなく、その代わりに存在するのが「期末手当」と「勤勉手当」の2種類の手当です。期末手当は、定率で支給されるもので、職員としての在職期間に応じて算出された金額が手当となります。一方、勤勉手当は、従業員個々の勤務成績に応じて金額が決められる変動型の手当です。

公務員のボーナス支給日はいつ?

支給回数は夏と冬の年2回で、支給日は毎年同じ日に決まっています。夏は6月30日、冬は12月10日です。この日が土日に重なる場合には、直前の金曜日に支給されます。

国家公務員のボーナス平均

2022年の一般職国家公務員(管理職を除く行政職職員)の平均支給額は約58万4,800円、支給月数は2.12ヶ月相当です。2022年の夏のボーナスの平均支給額は、昨年同期より、約76,300円(約11.5%)減少しています。出典: 令和4年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給 – 内閣官房

地方公務員のボーナス平均

地方公務員のボーナスは国家公務員の支給実態と合わせるところが多いです。公務員(国+地方)の1人当たりのボーナス平均支給額は約65万5,464円、前年比10.6%減となり、昨年よりさらに減少しました。

ボーナスの種類

基本給連動型賞与

民間企業のボーナスの種類は大きく3つあり、日本で最も多く採用されているのが「基本給連動型賞与」です。その名のとおり基本給に連動して支給額が決められる方法で、よく「給与の○カ月分」と表現されるように、通常は「基本給×数カ月分」で算出されます。基本給は各種手当などをすべて除いた基本の賃金をいい、実際に受け取れる支給額を指す手取りとは異なるため要注意です。
ボーナスは毎月の総支給額が高い企業が必ずしも多くもらえるとは限りません。手取りではなく基本給をもとにして算出されるものであり、毎月支給される給与には通常、基本給にたくさんの手当てが付加されているからです。どれほど毎月の支給額が多くても、基本給が低ければボーナスも低くなる可能性があります。

業績連動型賞与

営業利益や経常利益など企業の業績に連動しながらボーナスの額を変動して支給するのが「業績連動型賞与」です。会社のボーナス支給の形態の説明において、「業績に応じて支給」と表現される場合は、一般的に業績賞与という読み方がされます。
業績連動型賞与は成果型の支給形態です。従業員個人やチームの成績、そこに行きつくまでのプロセスなどに対する評価で従業員個々の支給額を決めていきます。どれほど努力をして成果を出しても勤務年数などによって横一列に額が決まる方法ではないため、働く従業員にとってモチベーションにつながりやすい点が魅力です。また、会社にとっても、ボーナスを支給すると、業績に関わらず必ず固定の費用がかかる状況を避けられるメリットがあります。
ただし、定率による計算で算出するわけではないため、公平性が保たれているかがわかりにくい点がデメリットです。そのため、通常は、賞与額をどのように算出しているかを会社が従業員に開示しています。日本では基本給連動型賞与が主流ですが、海外ではこのような成果を評価して報酬を与える形態が一般的です。
また、業績連動型賞与は、仮に社内でとあるプロジェクトがうまくいっていたとしても、会社全体の経常利益がマイナスになれば、ボーナス減額・支給なしのケースもあり得りえます。 

決算賞与

決算賞与は決算時に支給される賞与をいいます。決算とは、税金の申告や株主への報告などのために、1年間に出た利益や損失を計算し決算書を作って、その年の業績を明らかにする手続きです。決算をして業績がよければ、利益配分として従業員に賞与が支給されます。基本給連動型賞与や業績連動型賞与は、特に経営状態や業績が悪くなければ就業規則などに従って毎年払い渡されることが多いものですが、決算賞与はあくまでも決算に応じた臨時のボーナスです。一般的に決算月は、3月もしくは9月、12月であることが多いでしょう。 
また、決算賞与は支給される従業員にとってもありがたいものですが、法人税の節税対策となるため会社にとってもメリットがあります。条件をクリアしていれば、未払いのものも含めて決算賞与を損金として扱えるからです。損金が増えれば課税対象となる利益を少なくでき、法人税を減らすことができます。

ボーナスの支給に条件がある会社も

ボーナスは毎年の支給が約束されているものではありませんし、さらに、支給された場合でも必ず社内のすべての従業員に支給されるとは限らないものです。同じ会社で働く従業員のなかで、同じ年に支給される人と支給されない人が出る場合もあります。
支給されないケースとは、たとえば、在籍要件が設けられているケースです。ボーナス支給を受けられるかどうかに関わる「支給日在籍要件」は、通常であれば賃金規定や雇用契約書などのなかに明記されているので、きちんと確認しておくようにしましょう。支給日在籍要件とは支給日に会社に在籍する従業員にのみボーナスを払い渡すことを定めているものです。支給日に在籍している人だけが支給対象となっている会社では、たとえ、支給日前に高く評価されるような成果を上げていてもボーナスはもらえません。そのため、支給日を迎える前に退職してしまうことは損です。
また、「賞与の査定期間に勤務実績があること」を要件に含んでいる企業も多く見受けられます。例えば、1月〜6月が賞与の査定期間である場合には、その間の勤務実績がなければ支給対象がとなりますので注意しましょう。

2022年度の夏のボーナスの平均支給額

ボーナスの支給額は公務員か民間の会社員かで異なり、また、支給形態やその年の業績などによっても変わってきます。そもそも、ボーナスは払い渡すことを義務づけられているものではないため、支給されないケースもあるのです。しかし、自分の支給額が多いのか少ないのかなどを判断する一つの目安として、ほかの人はどれくらい賞与を支給されているかは気になることでしょう。
厚生労働省が公開している「毎月勤労統計調査 令和4年9月結果速報等」によると、2022年の夏のボーナスの平均支給額は、38万9,331円です。前年9月のボーナスと比較すると平均2.4ポイント上昇した結果だったようです。 
2023年3月時点での冬季のボーナスの情報は、厚生労働省が公開している「毎月勤労統計調査 令和4年2月結果速報等」「≪特別集計≫令和3年年末賞与(一人平均)」で見ることができます。それによると、38万787円が平均額でした。
月給に換算すると、大手企業では平均月給も高いため、平均賞与額は月給の2ヶ月分~2.5ヶ月分の計算であることが多く、中小企業では約1ヶ月分程度になります。 

20代・30代の年間のボーナス平均

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると20〜24歳の平均は約37万6,100円、25〜29歳の平均は約64万8,100円となっています。また、30〜34歳の平均は約77万8,400円、35〜39歳の平均は約91万200円となっています。
また、新入社員については、職種や学歴などで金額に差を付けているケースが多い傾向です。 

業界や企業規模別の支給額は?

2019年のボーナスの支給額について業界別に見てみると、平均額が最も高いのが電気・ガス業です。前年よりも5.7パーセント上がり、77万9,700円となっています。続けて高かったのが、情報通信業、学術研究等、金融業・保険業の順です。これらに加えて、鉱業・採石業等、製造業、建設業、教育・学習支援業は2019年のボーナスの平均支給額50万円以上だった業界です。反対に最も低かったのが飲食サービス業等の6万2,688円です。ただし、どの業界も前年と比べて上がっているところもあれば下がっているところもあり変動します。
ちなみに、ボーナスは会社規模でみると、規模が大きいほど高く、小さいほど低い傾向にあります。2019年の夏季のボーナスでは、従業員数500人以上の規模の会社の平均賞与額は65万3,688円ですが、5~29人規模になると26万1,268円です。

ボーナスからも保険料や税金が差し引かれる!

ボーナスは支給額すべてを受け取れるわけではありません。毎月受け取る給与と同じように、税金や保険料が差し引かれるため、手取りは支給額より安くなることが通常です。支給額から差し引かれるものは、まず所得税です。社会保険の被保険者である場合には、さらに、厚生年金保険料、雇用保険料、健康保険料なども差し引かれます。
所得税は社会保険料を差し引いた金額をもとに算出し、税制上の扶養親族の数によって計算が変わるものです。厚生年金保険料は支給額に厚生年金保険の掛け率を掛けて算出した額を会社と折半して払います。雇用保険料は支給額に雇用保険料率を掛けて計算し、健康保険料は加入する組合が定める掛け率で計算した金額を会社と折半して負担します。所得税やこれらの保険料は、従業員が個別に納めに行くわけではなく、支給されるボーナスからの天引きです。従業員に支払われるのは天引きされた後の残額となります。

パートでもボーナスはもらえる? 

パートタイム社員の場合、雇用契約書にボーナスや賞与の規定があれば、規定に沿ってボーナス(賞与)は支給されます。 
また、働き方改革関連法が成立し、同一労働同一賃金のルールが整備されたことで、企業は、同じ仕事内容の労働者に対して、同じ賃金を支払う必要が出てきました。同一労働同一賃金は、「同一企業・団体における正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者(契約社員・パートタイム社員・派遣社員など)の不合理な待遇差を解消すること」を目的としています。
ここで指す「賃金」は、夏季・冬季などのボーナスも含まれます。社員の貢献に応じて支給されるボーナスは、同一の貢献に対して同一の支給、違いがあれば違いに応じて支給することが求められています。これまで非正規雇用労働者に対して、ボーナスの支給がなかった企業でも、今後、待遇差是正の観点でボーナスが支給される可能性があります。ただし、あくまで業務内容や責任の範疇で不合理とは言い難い場合には正当な待遇差であると判断される場合もあるので理解しておきましょう。 

ボーナスの使い道は?

通常の給与とは別に、ある程度まとまった金額で支払われるボーナスの用途は、人によってさまざまです。将来に向けてキープしておく人もいれば、通常の給与では不足する支払いに充てる人もいます。また、定期給与ではない特別な収入なので、普段はなかなかできない自分や家族などの楽しみに使う人もいることでしょう。
株式会社GVの調査によると、最も多い使い道が貯金で、続けて多いのが旅行・レジャー費、ローン・奨学金等の返済です。どのような用途に使う場合であっても、ボーナスは毎年必ずもらえるとは限らない大事な収入であることを忘れてはなりません。使い道で後々悔やむことがないように、貯金や自分へのご褒美など、それぞれの用途にいくらずつ使用するかについては前もって計画しておくようにしましょう。

ボーナスについて気になったら就業規則を確認!

ボーナスの支給形態などの規定は会社によってさまざまです。この記事では、主なボーナスの種類について紹介しましたが、会社によっては、また別の規定を作っている場合もあります。ここで紹介した情報がすべてではないため、自分のボーナスについて正確に把握しておきたい場合には、勤務する会社の就業規則を確認することをおすすめします。

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