2019.11.27

キャリアパスを社員にどう描かせる?人事の立場で大切にすべきことは?

キャリアパスを社員にどう描かせる?人事の立場で大切にすべきことは?

社員のキャリアパスを明確にすることは、社員本人だけでなく企業にとっても重要なことです。しかし、どのようにキャリアパスを社員に描かせればいいか悩む企業も多いのではないでしょうか。この記事では、キャリアパスを人事に活用する場合において、社員にキャリアパスを設定させる方法や、どのような点に注意すれば適正に活用できるかということについて解説します。

キャリアパスとはいったい何?

キャリアパスは英語のCareer pathを意味しており、将来キャリアを積んでいくために通る道筋や順序のことを指します。基本的には、社員が企業の中で人材育成プログラムを受けながら、どのような職務や立場でキャリアを積んでいくかなど、目標となるものを明確にしていきます。ただ、キャリアパスは、社会人生活における最終目標を決めるだけが全てではありません。

最終目標に辿り着くために目標を細かく設定し、その目の前の目標を達成するためには具体的にどのようなスキルや資格を身につけておけば良いかなど、逆算して確認するのに非常に役立ちます。しかし、社員の中には日々業務に追われ、自分のキャリアについてじっくりと考える余裕がない人がいるのも事実です。

ただ、そのまま忙しさに流れてしまうと、目標がないまま毎日が過ぎていくだけの生活になってしまいます。現代は、大企業が終身雇用の維持が難しいと発表するなど、正社員としてひとつの会社で働き続けることが困難な時代になりつつあります。そんな時代の流れも踏まえて、将来の姿を思い描き、キャリアの道筋をしっかり確認することが非常に重要だといえるでしょう。

キャリアパスはなぜ必要?

新卒で入社した社員は、社会生活における基本的な知識を学びながら、まず会社に慣れることがもっとも重要です。そして、先輩のアシストをしながら仕事のやり方を学んでいきます。その仕事が認められれば、責任ある案件も任せてもらえるでしょう。まだまだ経験を積む必要はありますが、一本立ちして仕事ができていると言っていい頃になります。

入社してから仕事を任せてもらえるまで、試行錯誤しながらがむしゃらに仕事をしていたため、あっという間に時間が過ぎたという人も多いでしょう。ただ、入社した自分にとってひとりで仕事をするという強い希望を持って働いていた人は多いのではないでしょうか。それがモチベーションになって、どんなに辛くても大変な仕事も頑張れた人もいるはずです。これがキャリアパスなのです。

毎日仕事に追われることも多いですが、どのような目標に向かって働いているかを明確にすれば、働くモチベーションにもつながります。また、ただただ言われた仕事をやるのではなく、日常の仕事に目標意識を持って取り組めるため、有意義な時間を過ごせるでしょう。同じ時間でも目的意識を持ってやることと、ただやることは全く違うのです。

また、会社の中でも中堅と呼ばれる立ち位置になると、日々の業務にも慣れて目標もなくただただ毎日を過ごすという社員も少なくありません。キャリアパスを行うことにより、将来自分が進むべきキャリアについて考える機会が生まれます。キャリアが設定されれば、それを達成するための道筋を決めて、必要なスキルや資格、水準を明確化するだけです。中堅社員にとっては、自分の将来を考える絶好のチャンスだといえるでしょう。

キャリアパスが企業にもたらすものとは?

キャリアパスを明確にすることは、社員本人だけでなく企業にとっても有効です。なぜなら、社員が目標に向けて社内でどのような力を身につけ、どのくらいの期間でレベルをアップさせていくかを描ければ、本人がキャリアパスを歩んでいけるように企業自体も社内の体制を整えられるからです。そうすることにより、優秀な人材が他社へ流出していくのを防げます。

また、社員と企業の目指す指標が大きくズレていないかも確認できるので、ミスマッチが減り、人材の定着につながるでしょう。多くの企業では新卒社員に向けた新人教育制度を取り入れていますが、中堅社員に向けた教育制度は設けられていないのが現状です。中堅社員がスキルアップを目指すには、資格取得、先輩や実務を通してスキルを磨いていく必要がありました。

ただ、ほとんどの中堅社員は、責任のある業務を任せられることも多くなるため、仕事に追われ毎日を過ごす人が多いでしょう。キャリアパスが明確になれば、どのような人材になっていけば良いかを目標として示せるため、人材育成に非常に役立ちます。目標を成し遂げるために社員本人が努力をすることも欠かせませんが、企業にとっては優秀な人材を育成できるでしょう。

新人社員や中堅社員に限らず、企業は社員1人ひとりにキャリアパスを描かせることが大切です。そうすることにより、いつどのような研修が必要になるか、社員に対してどのような評価をし、昇格や昇給する時期や条件を設定すればよいかなど、企業がしなければいけないことが明確になるでしょう。

個々のキャリアパスをどう描かせるか

キャリアパスを設定する際は、抽象的な目標では意味がありません。明確なイメージを持って具体的な目標を定めさせることが重要なポイントです。たとえば、5年後、10年後にどうなっていたいかなど、期間を区切って数年先の自分の将来を描かせるのも一つの手でしょう。目標を達成する場合、一緒に期間も意識することでキャリアパスに近づける方法が明確になります。

その期間に対して、どの階級まで進むか、どのように進むかといった道筋を描かせることが必要です。そして、どの場面でどのような教育や研修を受けなければならないか、いつまでにどんなスキルを身につけておかなければならないかなどを理解させるのです。ただ、ここで注意しなければいけないのが、キャリアパスは本人で決めなければいけないということです。

企業は社員がキャリアパスを考える機会を与えるという感覚で面談などを設けることが大事でしょう。企業が決めたレールの上を歩む人もいますが、それは本人の意思とは異なります。人材不足が懸念される中で、社員が働きやすい環境をつくることが大切です。自ら明確なキャリアパスを考える人は少ないため、企業が後押しするといった感覚がポイントになります。

キャリアパスの策定時に注意すべきこと

キャリアパスは現状の目標ではなく、将来なりたい姿を将来あるべき姿を思い描いて策定するものです。職種によっては、キャリアアップしていく過程で重要な役職がない場合があります。そのような場合は、目標となる階層を確保する必要があるでしょう。最終目標となる重要なポジションに対して、着実にそこに向かっているという中間地点が必ず必要です。

中間地点にたどり着くことで、社員は目標に向かうモチベーションにもつながりますし、着実に進んでいるという指標にもなります。企業が階層を確保する場合は、目標としやすい名前を付けましょう。営業職であれば営業成績でランク分けができますが、数字だけを付けても具体的な目標にはしづらいです。目指したくなるような階層を確保しましょう。

また、設定した階層に対する業務の振り分けをすることも大切です。新たな階層を確保することにより必要な業務が漏れたり、他の階層と中身がダブったりすることが無いように細心の注意を払う必要があります。最悪の場合、外部の人に迷惑をかける可能性もあるため、業務の振り分けは非常に重要だといえるでしょう。

また、階層の役割があやふやな場合、業務の内容が以前と変わらないと感じてしまう社員も出てきてしまいます。そうなると、社員はそのポジションを目指す意味がなくなるので、業務内容を明確にすることが大切です。

キャリアパスを構成する4つの制度

1つ目が、知識や技術、資格などで個人の地位や分担を定めた等級制度です。これは、社員を職能、職務、役割など序列化し、業務を遂行する際の権限や責任を振り分ける制度になります。役割の難易度や達成率が評価基準になるので、合理的に社員を評価することが可能です。
2つ目は、知識や技術、資格などを習得するための支援について定めた研修制度になります。企業は、社員のキャリアパスを参考にして、どのレベルでどのような研修をするかを決めておくことが必要です。
3つ目は、知識や技術、資格などの習得の程度と、職務能力を評価する評価制度になります。この制度は公平な評価が必要になるため、事前に明確な評価基準を設けなければいけません。
4つ目は、評価に基づく処遇について定めた賃金制度です。数字で示すことで社員のやる気にもつなげられるので、どのような評価に対していくら支払うかを、あらかじめはっきりさせておきましょう。"

キャリアパス構築の5ステップ

#1. 細かく等級を設けたうえで職務を階層化する

職種ごとに等級を設けて、少しずつ上を目指していけるように階層化しましょう。入社時から何年経っても同じことを繰り返しているだけというマンネリ化にならないようにすることが大事です。

#2. 階層ごとに求められる能力や資格を設定して目標を数値化する

設定した等級になるためには、どのようなスキルや資格が必要なのかを明確に示すことが重要です。あいまいな表現ではなく、誰が見ても正しく理解できるような形にすることで、社員も目標を定めやすくなります。

#3. 段階ごとの研修制度を設けて整備する

職場での実践(OJT)と研修を組み合わせることで、ステップアップできる仕組みを構築することが必要です。どちらか片方だけでは、社員の成長は見込めません。アウトプットとインプットを繰り返すことが社員を成長させるポイントになります。

#4. 一定期間ごとの成果を評価する仕組みをつくる

半年~1年をめどに評価を行いましょう。理想とする人物像や目標に対して、現在何が十分にできていて何が不足しているのかを自覚できるような自己評価の判断基準を設けることが大切です。忙しくなるとキャリアパスも忘れがちになりますが、社員にとっても気を引き締める機会になるでしょう。

#5. キャリアパスの評価と賃金制度とを連動させる

ステップアップが賃金の上昇に結び付くことが、キャリアパス制度を意味のあるものとして維持するためには不可欠です。社員はキャリアアップのために働いているわけではなく、基本的にはお金を稼ぐことに意味を持ちます。そのため、賃金制度を掛け合わせることで、社員のモチベーションもより高く維持できるでしょう。

理想の人物像をはっきりさせておく

企業は働く社員で成り立っているため、社員を成長させる必要があります。そこで重要なことが、社員本人のキャリアパスを明確にするということです。しかし、キャリアパス制度は、企業にとっての理想の人物像がはっきりしていないと効果的に機能することはありません。キャリアパス制度を進める前に、まずは社員が目標を定めやすいように、企業が理想の人物像を明らかにしておくことが必要不可欠だといえます。

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