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2022.1.17

CHROってどのようなポストなの?具体的な役割からスキルまで徹底解説

人事に関係しているビジネスパーソンであれば、CHROという言葉を聞いたことがあるでしょう。しかし、名称だけは知っていても、実際にCHROとは何かを詳しく理解している人はそれほど多くないかもしれません。そこで、今回の記事ではCHROの全体像について解説します。具体的に、CHROの概要から基本的役割、求められるスキルなどについて見ていきましょう。

CHROってどのようなポストなの?

CHROとは、「Chief Human Resource Officer」の略称で、日本語に訳すと「最高人事責任者」となります。読み方は、「シーエイチアールオー」です。最高人事責任者といっても、人事に関する業務だけを担当するわけではなく、経営に関する権限も有しています。つまり、人事関連業務を統括する最高責任者であると同時に、経営陣の一人としての役割を持っているのがCHROの最大の特徴なのです。
CHROは、従来は別個として扱われていた人事業務と経営業務を一連のものとしてとらえ、マネジメントをする役割を担っています。これは、人事と経営は密接に関連しており、経営側の視点を活かしながら人材管理をすることが企業の成長にとって必要不可欠であるとの考え方に基づきます。

したがって、CHROは人材管理の最高責任者として社員をマネジメントしつつ、経営戦略の立案にも携わることとなるのです。以上のことから、CHROは、人事と経営の両面から企業の発展を支える重要な存在といえるでしょう。なお、「CHO」と呼ばれる役職もありますが、こちらも「CHRO」と同義です。

CHROが必要となる社会的背景とは?

CHROが必要とされる理由はいくつかありますが、主に以下の3つの社会的背景が挙げられます。
第一に、日本は少子高齢化が進んでいるため、労働力人口が年々減っていることです。少子高齢化により、生産年齢(15~64歳)の人口が減少し続ければ、企業が多くの労働力を確保することは難しくなっていきます。そういった社会的背景の中では、優秀な人材ほど各社の取り合いになるでしょう。そうなると、ただやみくもに人材を集めようとしたり、従来型の採用戦略を続けたりしていたのでは、人材確保の点で他社に太刀打ちできなくなります。そこで、人事だけでなく、経営側の視点を持つCHROが必要となってくるわけです。

CHROは、急速に変化する社会情勢にスピーディーに対応しながら、自社にとって必要な人事戦略とは何かを的確に判断していかなければなりません。第二の理由としては、第一に挙げた理由の派生形として、時代の変化に臨機応変に対応できる企業づくりが求められる点が挙げられます。
日本では、従来型の終身雇用制度のみならず、フリーランスやダブルワーク、時短勤務など多様な雇用形態が浸透しつつあります。また、2020年は新型コロナウイルスの影響により、リモートワークや時差出勤を導入する企業も増えました。このような状況に対し、スピーディーに対応できない企業は、急激な業績悪化や倒産の憂き目にあうことになったのです。

このように、社会情勢がある日突然変化しても、的確かつ臨機応変に対応できることが、企業の存続と成長に必要不可欠になっているのです。企業の全従業員にリモートワークや時差出勤を認めるためには、経営層による判断と意思決定を迅速におこなわなければなりません。
さらに、従業員一人一人も、急激な環境の変化に対応し結果を出す人材となるよう教育する必要があるでしょう。そこで、人事のプロであり、経営層に対してもスムーズに人事分野の課題と解決策を提案できるCHROの存在が求められるのです。

第三の理由として、企業によっては海外に拠点を持っていたり、海外進出を計画したりしていることが挙げられます。この場合、現地でいかに優秀なスタッフを集めるか、海外からいかにして多くの労働力を集めるかが課題となります。そうした課題に取り組むためには、人事業務だけでなく、経営視点からどのような人材が必要かを分析できる責任者が求められるわけです。

CHROと人事部長との違いは?

日本企業において多くみられる「人事部長」とCHROは何が違うのでしょうか。両者は全く別物なのではなく、CHROに人事部長の業務が含まれるとイメージするとよいでしょう。時には、CHROが人事部長と同じように扱われることもあります。もっとも、CHROの場合は人事部に加えて企業の取締役の肩書を有していることが多く、取締役会に出席し企業の意思決定に関わります。つまり、人事部門における責任者であると同時に、経営陣としての責任も負うことになるのです。

これに対し、人事部長は、経営陣の意思決定に従い、人事部の責任者として業務を全うする役職です。したがって、CHROとの最も大きな違いは、直接的に経営に関わるかどうかという点になります。なお、CHROと似た呼称としてCHOというものがありますが、この2つは同義であり、CHOも人事部の最高責任者であると同時に経営幹部としての責任を負っています。

CHROの具体的な役割とは?

経営側の視点と人事の現場の視点の両方を持ち合わせるCHROが、具体的にどのような働きをし、役割を負っているのかを押さえておくことも重要です。そこで、CHROの具体的な役割について紹介していきます。

社員の育成

企業の成長および生産性向上を達成するためには、社員一人一人が経営戦略に合った働き方をしていくことが必要です。CHROには、そういった社員を育成する役割を担っています。企業がいくら理想的な経営戦略を練ったとしても、社員がそれについていくことができなければ、目標を達成することはできません。
また、個々の社員の能力は高くても、所属企業の経営戦略に関係のない方向で能力を発揮していたのでは、企業の成長は望めないでしょう。社員の育成を適切に行うことは、企業の成長に大きく影響するのです。そこで、経営視点と人事部視点の両方を持ったCHROが必要となります。

CHROは、経営会議などで分析された経営課題と、人事の現場で生じている課題とを照らし合わせ、社員の育成計画を練ります。こうすることで、企業の成長にとって最適な育成計画を実現しやすくなるわけです。また、経営戦略に沿った人材育成プログラムを社員に施せば、社員一人一人が同じ方向を向いて業務に取り組むようになります。そうなることで、社員間に生じる教育の格差をなくすことができるのです。さらに、CHROには、人事関連部署だけでなく他のさまざまな部署とも連携することで、企業の目標達成に最適な人材育成計画を練ることも求められます。

人事施策の策定・進捗管理

経営視点から企業にとって必要な人事施策を策定し、適切な進捗管理をすることもCHROの重要な役割です。CHROは、企業の生産性向上及び成長の観点から、いかなる人事戦略をすべきかを洗い出し、人事施策を策定します。具体的には、従業員が生産性向上へ向かってモチベーションを維持しながら働ける仕組みづくりや研修制度、人事評価制度などの施策を策定します。したがって、人事分野のさまざまな場面において多くの責任を負うことになるのです。

また、自らが参画して決定された人事施策が、企業の生産性向上につながっているかを随時チェックし、進捗管理をしていかなければなりません。
育成プログラムやスキルアップ研修を受けた従業員が職場で能力を発揮できているか、人員の配置が適材適所であるかなどについてマネジメントをします。そして、そのような人事に関する現場の実態を経営陣に報告する役割も担うのです。企業が設定した目標達成のため、必要が生じれば、求人活動やヘッドハンティングも行います。反対に、自社の優秀なスタッフが他社に流出することを防ぐため、職場環境を改善したり、人事評価基準の見直しをしたりすることもCHROの重要な役目です。

経営参画

CHROは、人事部の最高責任者であることから、人事に関する専門家として経営会議において意見を述べ、経営戦略に参画するという役割も担っています。具体的には、企業の成長のために今いる人材の配置をどのようにすべきかについて進言することが必要です。たとえば、単に「現場には人が足りていないから」という理由だけで特定の部署に人を増やそうとすることは、CHROとして適切ではありません。その現場に人を増やすとして、どのような人材を何名配置すればベストなパフォーマンスを発揮できるのかを多角的な視点から分析することが求められます。常に、経営戦略とその達成を念頭におきながら、最適な人事施策についての考えを述べる必要があるのです。

つまり、CHROは、人事部の最高責任者であるとともに経営陣の一人であるという自覚を持ち、自社の生産性向上と健全な運営を第一に考えながら職務を執行することが大切なのです。

CHROに求められる資質・スキルとは?

CHROは、何よりもまず、経営陣および人事関連業務についての幅広い知識とスキルを有していることが求められます。CHROは、経営陣の一人として、常に最前線の情報にアンテナをはりながら、自社にとって必要な経営戦略は何かを分析できなければなりません。また、現状だけではなく、中長期的なビジョンで経営を考えられる先見性も有していなければならないでしょう。

一方、人事分野についても高い専門性を有していることが求められます。CHROは、人事関連の事務的・定型的な業務についても難なくこなすスキルがなければなりません。経営陣の一人だからといって、事務業務に関する知識はなくてもよいということにはならないのです。さらに、CHROには専門的知識やスキルだけではなく、コミュニケーション能力も求められます。

CHROは、人事の現場の実情を把握し、それを経営陣に伝える役割を担う一方、経営陣としての考え方を人事業務や社員育成の中で伝える役割もあります。つまり、CHROは経営陣と人事現場との橋渡し的な役割を果たさなければならないのです。そのためには、人事の現場に足を運び社員の声に耳を傾け、そこで集めた現場の検討課題を経営陣に的確に伝える能力が求められます。また、経営陣が策定した経営計画が実現できるよう、社員に対して教育を施す能力も求められるでしょう。このことから、CHROには相応のコミュニケーション能力が必要となるのです。

CHROは経営視点から人事戦略を立てられる存在

CHROという言葉は少し聞きなじみのない言葉かもしれません。CHROを理解する上で重要なのは、人事部の責任者というだけではなく、経営という視点から人事戦略を構築する役割を持つということです。
CHROは経営にも直接参画できるため、現場と経営陣双方の現状を理解し、2つをつなぐパイプとして活躍することが求められます。多様な働き方が生まれている中で、CHROの重要性はますます高くなり、そのポストも増加していくでしょう。

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