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2019.7.12

中途採用社員を企業に定着させるためのポイントとは?

企業が中途採用者を迎え入れた場合、スムーズに定着させられるかが鍵となります。企業に合った人材を見抜き、お互いが条件に納得した状態で雇用契約を結ぶことが大切です。教育にかける手間が少なく、即戦力にもなれる中途採用者の強みを引き出すには採用過程から工夫をしましょう。この記事では、中途採用のプロセスや注意点を解説します。

中途採用は企業にとってメリットが多い

そもそも中途採用をする企業側のメリットは「フォローの少なさ」にあります。新入社員に対して企業は研修やOJTなどを通し、教育を施さなくてはいけません。しかし、人手やスケジュールに余裕がない企業は、新人教育が大きな負担となります。社会人経験があり、ある程度のスキルやビジネスマナーが備わっている中途採用者ならフォローに時間をとられずに済みます。即戦力として企業力を高めてくれることも期待できるでしょう。
また、新しい風が吹き込んでくるのも中途採用のメリットです。新卒採用者ばかりの会社だと、似たタイプの社員が多くなってしまい多様性が失われがちです。社員ごとの長所や短所が似てくるので、トラブルへの対応力が低くなる危険も生まれるでしょう。しかし、中途採用者が他社の価値観やノウハウを持ち込んでくれると、会社の柔軟性を育めます。現社員の刺激にもなり、モチベーションアップへとつながります。さらに、他社と比べたときの自社の特徴を客観視するきっかけにもなるでしょう。

中途採用において起こりやすい問題とは

さまざまなメリットがある一方で、中途採用に関する問題が多いのも事実です。たとえば、「なかなか会社になじめない」のはよくあるトラブルです。中途採用者はこれまでの経験、風習がしみついているので新しい職場にすぐ適応できるとは限りません。特に前社でのキャリアが長いと、いきなり違う仕事の進め方に変えるのは至難の業です。また、社風の違いから人間関係を上手く築けず、孤立する恐れがあります。次に、「現社員の意識」も注意するべきポイントです。中途採用を積極的に行ってこなかった会社では、中途採用者への対応に慣れていません。現社員が中途採用者をライバル視したり、接し方に迷ったりして雰囲気が悪くなることもあります。
さらに、「すぐ転職する可能性」も考えておきましょう。中途採用者の中には、キャリアアップ目的で転職してきたケースも少なくありません。それにもかかわらず、期待していた役職や業務内容を得られないと失望を覚えます。そして、会社への思い入れもないために、いい仕事があれば簡単に再び転職してしまうことがあるのです。

気を付けたいポイント

1.求める人材を明確にする

中途採用を行う際には、理想の人材像をはっきりさせてから募集をかけましょう。なぜなら、応募者と考えが一致しなかった場合に採用のトラブルが起こるからです。中途採用者の大半は、自分が築いてきたキャリアを存分に活かせる職場を探しています。そのため、キャリアと無関係な仕事を任せられたり、実力に見合わない責任しか与えられなかったりするケースを嫌います。入社してから扱いに不満を覚えると、ためらいなく離職してしまうでしょう。
もしも中途採用者がすぐ離職してしまうと企業にとって大打撃です。採用過程にかけた時間と費用が無駄になるだけでなく、組織を再編しなおさなくてはいけません。中途採用者に任せるはずだったプロジェクトも考え直さなくてはいけなくなります。企業と中途採用者のアンマッチを防ぐためには、あらかじめ「自分の会社はこんな人材がほしい」と明確化しておくことが大事です。そして応募者の疑問や不安にも丁寧に応じ、適性のある人材だけを採用過程へと進ませるようにしましょう。

2.ポジショニングを明確にする

中途採用では、用意するポジションをはっきりさせましょう。なぜなら、中途採用の応募者は一からキャリアを築いていくことに抵抗を覚えているからです。新入社員と違い、彼らにはキャリアに応じたスキルや経験がそなわっています。相応の役職がないと、高いモチベーションで働きたいとは思わないでしょう。基本的には、前社での役職や実績を踏まえて役職を用意することが理想です。
ただし、中途採用者が高い役職で入社してくると、現社員の不満を招きかねません。長年働いている社員よりも中途採用者が良いポジションに就くことに納得できない人はいるでしょう。こうした不公平感が漂うと、社内の士気にかかわります。また、中途採用者と現社員の間に溝ができて業務にも支障をきたします。人間関係のトラブルがエスカレートすると、中途採用者の離職すらも招くでしょう。中途採用者に高い役職を与えるときは、現社員への説明も不可欠です。どんなスキルや経験を買って役職に就いてもらうのか、しこりを残さないように現社員へと伝えましょう。

中途採用の基本的なフロー

スムーズに中途採用を実現するには、基本的なフローを踏襲しましょう。まずは、経営陣が「採用担当者」を任命します。担当者は中心となって採用計画を立案し、面接や説明会を行う人間です。採用人数が多い場合は、新卒部門と中途採用部門で担当者を別々にするのが効率的でしょう。次に、採用方針や基準を設けます。このとき、大切にしたいポイントは中途採用者の「倫理感」や「思考力の高さ」といった社会人としての能力です。さらに、実績や役職経験など、前社でのキャリアも参考となるでしょう。そのほか、自社が特に重要視しているポイントがあれば明確にしておきます。
理想の人材像が見えてきたら、いよいよ採用計画を練ります。採用計画においては選考スケジュールが鍵を握ります。中途採用は新卒と違い、入社時期が定まってはいません。一方で、職種ごとに応募が増える周期があります。周期を押さえたうえで選考スケジュールや宣伝方法を決めていくと、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。

共感されやすい企業ビジョンで中途採用に成功している事例

中途採用においては、企業のビジョンや理念に共感してもらうことで優秀な人材から注目してもらえます。たとえば、Webサービスを提供している「株式会社SmartHR」は、2017年4月に「株式会社KUFU」から社名を変えました。しかし、旧社名はビジョンの中に「創意工夫」という言葉で残されています。そのことで、会社のイメージを強く打ち出し、世間に印象づけました。
ビジョンの全文は「テクノロジーと創意工夫で社会構造をハックする」というものです。ビジョンは創業メンバーが中心になって考案され、わずかな言い回しすら推敲が重ねられました。技術を売りにしている会社らしくテクノロジーや創意工夫といった言葉を登場させながら、「ハックする」という表現に飽くなき野心が見てとれます。
このインパクトが大きいビジョンは広く知れ渡り、求職者からの支持を得ました。SmartHRの中途採用枠には多数の応募があるほか、社員が人材を紹介するリファラル採用の場でも効果を発揮しています。キャリアアップを求めて転職を決意した人材は新天地でのやりがいを重視しているので、ビジョンは非常に注目されているといえるでしょう。

中途採用の成功は企業にとって成長のカギ

少子化や高齢化社会の影響により、多くの企業が若い戦力の確保に頭を悩ませています。そして、新入社員を採用したのに十分な教育期間を設けられない状況も珍しくありません。即戦力になりえる中途採用者の価値はますます高まってきています。優秀な中途採用者を獲得するには、採用過程での工夫が必須です。企業側が求める人材像をはっきりと打ち出し、ビジョンに共感してもらえるような戦略を考えましょう。さらに、応募者を想定したうえで、適した採用方法を選ぶことも大切です。中途採用を成功させて、企業力の向上を目指しましょう。

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