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2021.1.25

委嘱とは?委託・嘱託・受嘱との意味の違い・委嘱状テンプレート

委嘱という言葉を聞いたことがあるでしょうか。似たような言葉に委託や嘱託がありますが、これらの違いを明確に説明できる人は少ないかもしれません。しかし、これらは仕事や契約に関わる言葉。よく分からないままにしては、トラブルを起こす可能性もあります。この記事では、委嘱の意味や、委託や嘱託との違いについて説明します。委嘱状についても確認していきましょう。

委嘱とは?意味や使い方を解説

「委嘱」とは、特定の期間、仕事や役割を外部の人に任せることを指します。専門的スキルが必要な依頼に対して、委嘱という言葉が使われます。たとえば、「社外に作曲を委嘱する」といったような使い方をします。委嘱は企業が行うだけではありません。行政から民間に対して行われるケースもあります。たとえば、行政機関に属していない民間人が、政府の審議会や調査会のメンバーに任命されたり、感染症が流行した場合に対策を練る専門家会議に、研究所の所長や大学教授などが招かれることもあるでしょう。専門知識や経験がない行政機関のメンバーだけでは話し合いが難しいと判断されると、委嘱が必要となるのです。

委嘱の使い方と例文

委嘱という言葉の例文としては、以下のようなものが挙げられます。

例文1:民間企業に調査を委嘱する。

例文2:研究を委嘱する。

例文3:講演会の講師を委嘱する。

委嘱と類似する用語との意味の違い

委嘱と似たような言葉に「委託」「受嘱」「解嘱」などさまざまなものがあります。委嘱との意味の違いについて解説します。

委嘱と委託の違い

「委嘱」と似た言葉に「委託」があります。業務委託という形式で仕事を任されたことがある人もいるのではないでしょうか。業務委託は、企業と個人が結ぶもので、「業務を委託する」というような使われ方をします。委嘱を別の言葉で言い換えたい場合、委託を使用することが多いようです。ここで委嘱と委託を比較するために、専門性に注目してみましょう。委託は幅広い仕事に対して使われるのに比べ、委嘱は専門的な仕事を任せるときに使われます。業務委託で任される仕事にはさまざまなものがあり、事務・経理・エンジニアリング・ライティングなどあらゆる職種が該当します。委託の中に委嘱が含まれるので、専門的なスキルがないと務まらないのではという場合でも、委託といって構いません。また、委託という言葉には「法律行為を依頼する」という意図が強く、弁護士に依頼するときによく用いられます。「弁護士に債権回収を委託する」などの表現が挙げられるでしょう。 委託を使用した例文としては、次のようなものが挙げられます。

委託を使用した例文としては、次のようなものが挙げられます。

「セミナーの講師を委託する」
「ホームページ作成を委託する」

委託と受嘱(じゅしょく)の違い

受嘱とは委嘱を受けることを指し、依頼を受ける側が使う言葉です。「企業主催のイベントで講演する仕事を受嘱した」というように使われます。

委嘱と解嘱(かいしょく)の違い

解嘱とは委嘱した仕事の依頼を解くことを意味し、委嘱の反対語にあたります。「専門家会議から解嘱する」「民生委員から解嘱された」などのように使われることが多いでしょう。なお、同じような意味をもつ言葉として「解職」が挙げられますが、解職の場合は一般的な仕事や役割を辞める、辞めさせる際に使われます。加えて「社内規定に違反したために解職した」などとマイナスのイメージをまとう場合もあります。 注意したいのは、解嘱はネガティブな意味は持たないということ。「解職」や「解雇」とは意味合いが異なります。解雇とは、雇っていた人を雇い主の判断で一方的に辞めさせることです。懲戒解雇・整理解雇という言い方でもわかるように、働き手にとっては嬉しくない辞めさせられかたといえるでしょう。誤解がないような使い分けを心がけが必要です。

委嘱と嘱託(しょくたく)の違い

「嘱託」という言葉もあります。これも、委嘱と同じように捉えればよいでしょう。嘱託は働き方を意味するだけでなく「仕事を依頼された人そのもの」を指す場合もあり、「嘱託社員」という呼び名が使われます。嘱託社員は有期契約の非正規雇用です。同じような有期契約の働き方として契約社員や派遣社員も挙げられますが、それぞれ何が違うのでしょうか。まず、雇い主に注目しましょう。嘱託社員と契約社員は、それぞれ働いている企業が雇い主で、いずれも非正規扱いです。一方、派遣社員は派遣会社に雇われ、最長で3年間の有期契約のもと派遣先で働きます。 契約社員と嘱託社員に明確な差はありません。実際に、嘱託社員と契約社員を区別していない企業もあります。しかしながら、一般的に嘱託社員とは、定年後に再雇用されたシニアを指すことが多いようです。嘱託社員は経験やスキルを認められて雇用されるケースがあり、医者や看護師など特別なスキルをもつ人も多く活躍しています。企業に重宝されるスキルを武器に、高収入を得ている人も少なくありません。

委嘱と管掌(かんしょう)の違い

管掌とは、自らが従事している業務に対して責任を持って行うことを意味します。委嘱は、他人に特定の業務を任せることを意味するため、管掌と委嘱は真逆の意味を持ちます。

委嘱と兼務の違い

兼務とは、本業とそれ以外の業務を掛け持ちすることを意味します。委嘱は特定の業務を任せることを意味する一方で、兼務は2つ以上の業務のことを意味することが特徴です。また、兼務そのものには「任せる」という意味合いはありません。

委嘱と就任の違い

就任とは、新しい職務や役職に就くことを意味します。委嘱は特定の業務に任命することを意味しますが、就任は委嘱の結果生じる行為であることが特徴です。就任の反対語は、退任や解任です。

委嘱と任命の違い

任命とは、特定の役職や役割に就くことを命じることを意味し、公務員の昇任や転任などの場面で使われたり、公務員以外の人が裁判員などに選出される際に使用されます。委嘱は身分や立場に関係なく、「特定の業務を任せる」という意味で使われる一方で、「任命」は公務員に関係して使用されることが多いことが違いとして挙げられます。

委嘱と指名の違い

指名とは、特定の人物を名前を挙げて指定することを意味します。「委嘱のメンバーを指名する」など、人物を選定する際に使用されることが多いです。また、委嘱は特定の業務を任せることを意味しますが、指名は業務を任せるニュアンスはなく、選任・指定するという意味合いが強いことが特徴です。

委嘱と担当の違い

担当とは、ある業務を受け持つことを意味します。委嘱は、他人に業務を「任せる」という意味合いのため、委嘱の結果「任された」場合には、「担当になった」というように使うことがあるでしょう。

その他の「外部に仕事を依頼する」言い方

ほかにも、業務を外部に依頼する際に使う言葉はさまざまです。契約上の違いがわからないとトラブルになりかねません。契約する前にこれらの違いを理解しておきましょう。外注、いわゆるアウトソーシングには、委託のほかに「請負」という方法もあります。請負とは委託と同じように、報酬や期限を決めたうえで仕事を引き受けることを指します。2つの働き方の違いを理解するには、報酬が支払われる条件に注目しましょう。委託の場合は、業務行為そのものに対して報酬が支払われます。たとえば営業活動を委託した場合には、受注件数が振るわなくても報酬は発生するでしょう。なお、「委任」も委託と同様、業務行為に対して報酬が支払われる働き方です。
一方、請負の場合は、成果がでなければ報酬が支払われません。請負の仕事には、モノを作る仕事もあれば、営業や事務など作業をするもの、データを取り扱うものなどさまざまですが、すべて成果に応じて報酬が支払われます。何に対して報酬が発生するか、というのは大きな問題です。もし、未経験でも大丈夫という文句を信用して請負の仕事を受けても、きちんと仕事をこなせなければ収入を得られないでしょう。契約の前に、請負と委託の違いを理解しておくことが大切です。

委嘱状とはどのようなもの?

「委嘱状」とは委嘱を頼む人に渡す書類です。特定の業務を任せることを記載し、委嘱する相手の氏名・業務内容・契約期間などが書かれています。書類は1枚程度で、詳しい業務内容は書かれていません。委嘱状には厳密な書式はなく、企業のロゴやキャラクターがデザインされているなど、いろいろな委嘱状が発行されています。印鑑がなくても構わないなど、自由度が高い書類といえるでしょう。なお、行政機関で発行する場合は書類名が「辞令書」に変わりますが、内容は委嘱状とほぼ同じです。

委嘱状と委任状の違い

「委嘱状」とは委嘱を頼む人に渡す書類です。特定の業務を任せることを記載し、委嘱する相手の氏名・業務内容・契約期間などが書かれています。書類は1枚程度で、詳しい業務内容は書かれていません。委嘱状には厳密な書式はなく、企業のロゴやキャラクターがデザインされているなど、いろいろな委嘱状が発行されています。印鑑がなくても構わないなど、自由度が高い書類といえるでしょう。

委嘱状と辞令書の違い

辞令書とは、行政機関内部の人物を任命する際に用いられる書式のことです。内容は委嘱状とほぼ同じですが、委嘱状は外部の有識者を特定の業務に就かせるための書式であるのに対して、辞令書は行政機関内部に対して用いられることが大きな違いです。

委嘱状の書き方【テンプレート】

委嘱状のテンプレートを紹介します。法令で定められたフォーマットがあるわけではないので、これらの項目が記載されていれば体裁は異なっていてもかまいません。また、先述の通り、辞令書と委嘱状は対象が異なるのみで、内容はほとんど変わりません。したがって、以下のテンプレートの「委嘱状」を「辞令書」に変更するだけで簡単に作成することができます。


委嘱状
 
○○○○ 殿
 あなたに、下記のとおり、◯◯◯◯【組織名等】の◯◯◯◯【役職等】を委嘱します。
1. 委嘱期間
平成○○年○○月○○日から平成○○年○○月○○日まで

2.委嘱業務
  ・○○○○○○○○
  ・○○○○○○○○
  ・○○○○○○○○
以上 
  ○○年○○月○○日
                      ○○○○ 【組織名等】
                     ○○ ○○【代表者名】押印

似た言葉としっかり区別をしよう

委嘱や委託、委任、嘱託などは、それぞれよく似た言葉のため、一見区別がつきにくいかもしれません。委嘱は委託の一種で専門性が求められる仕事を任されること。また、委嘱と嘱託はほぼ同じ意味合いです。さらに外注には、委託のほかに請負という働き方があります。これらの言葉は契約や報酬に関わります。トラブルに巻き込まれたり損をしたりすることがないように、しっかり理解しておきましょう。

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