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2020.12.11

人材活用で自社改革を!コンピテンシー評価の概要から設計例まで解説

「コンピテンシー評価」という言葉を、人事担当者なら聞いたことがあるでしょう。従業員の評価基準として、コンピテンシーを採用している企業は少なくありません。コンピテンシーは人事のみならず、企業力を高めるためにも数々のメリットがあります。この記事では、コンピテンシー評価の概要や設計例などを解説していきます。

コンピテンシーとは

人事管理に活用されている概念

そもそもコンピテンシーは英語の「competency」を語源としています。組織において高い能力を発揮する人の行動特性を表す言葉です。1970年代、ハーバード大学のマクレランド教授が提唱し始め、主に人事の分野で活用されるようになっていきました。職場で中心となって働ける人は、年齢や学歴、もともとの知力などを超えた能力を備えています。コンピテンシーは彼らの共通点を探る際に役立つ概念です。

優秀な従業員には共通点が

たとえば、優秀な従業員はターゲティングを行う際などに独特の工夫を行っています。メールの文面や事務作業の手順にこだわりがある場合が多くなっています。コンピテンシーでは、これらの行動を観察したり、本人にインタビューしたりすることでその行動を分析していきます。アセスメントテストによって行動を指標化することもあります。そうして調査と分析を進めた結果、まとめられたデータこそが行動特性なのです。

コンピテンシー評価とは

ハイパフォーマーとコンピテンシーモデル

職務ごとに行動特性を設定し、それらを基準にして人事評価を下す方式が「コンピテンシー評価」です。コンピテンシー評価では、社内における有能な人材像を明確にしなければなりません。彼らを「ハイパフォーマー」と呼びます。そして、彼らの特性を基に理想像を具体化したものが「コンピテンシーモデル」です。モデルに基づいて評価項目を定め、従業員に目指すべき指標を示します。そして、従業員がどれだけモデルに近づけたかという観点から人事評価を進めていくのです。

コンピテンシー評価の例

たとえば、公益財団法人日本生産性本部はコンピテンシー評価の項目として「成果達成志向」「コミュニケーション」「チームワーク」「マネジメント」といったポイントを挙げています。また、「部下育成」「顧客満足」「自己研鑽」「行動」「時間管理」「論理的な問題解決」「関係構築」なども重要な項目です。これらはあくまで例であり、自社に合った項目を定めるには自社のハイパフォーマーの行動を細かく見つめていくことが重要です。自社のコンピテンシー評価が確立すれば、従業員のスキルや適性を把握しやすくなります。

コンピテンシー評価の歴史

もともとコンピテンシーは、アメリカで広まってきました。人事評価の1つの方法として多くの企業が採用するようになったのです。日本でも1990年代から注目されるようになり、2000年代には大企業を中心として浸透していきました。特に、1990年代後半にソニーやアサヒビール。2000年初頭にユニ・チャームや味の素、JTBなどが積極的に活用し、知名度を高めてきました。コンピテンシー評価の特徴は、企業によって対象となる人物や目的が異なる点です。全従業員を評価することもあれば、管理職だけに向けられているケースも少なくありません。企業ごとに独自の項目を設定するなどして、工夫を施されながら運用されています。

職能資格制度との違い

基準が明確なコンピテンシー評価

コンピテンシー評価と混同されがちな方式が職能資格制度です。まず、コンピテンシー評価は従業員の行動傾向を見守りながら、知識やスキルそのものではなく成果に重きを置いている方式です。評価の過程には「効率的に仕事をしているか」「コミュニケーション能力があるか」「人の話を聞けるか」「チームの団結に貢献したか」などの明確な項目が設けられています。

職能資格制度のデメリット

一方、職能資格制度は、ジェネラリストとしてのスキルを評価される仕組みです。評価項目には「責任感」「確動性」「協調性」「積極性」などがあります。全体的に主観的で、曖昧な項目が多くなっています。そのため、評価者の感覚次第の部分も少なくありません。つまり、どの上司に評価されるかで従業員の今後が左右されかねないのです。そのほか、キャリアが重視されやすく、人件費も高くなる傾向にあります。こうした職能資格制度のさまざまなデメリットは同時代的といえず、コンピテンシー評価に切り替える企業が増えてきました。

コンピテンシー評価のメリット

コンピテンシー評価のメリット①人材育成への活用

企業力を底上げする

「評価基準が実践的」なのは代表的なメリットです。コンピテンシー評価のモデルになるのは、実際に成果を出している従業員の行動です。すなわち、評価基準を満たしている従業員は「データに基づいて会社に貢献できている」ことを意味します。また、実績を残している従業員のコンピテンシーを細かく分析し、他の従業員にもはっきり伝えていけば企業力の底上げにもなります。

モチベーションアップをサポート

コンピテンシー評価は、「従業員のモチベーションアップ」にも効果的です。コンピテンシー評価によって有能な人材の行動特性は明確になるので、他の同僚も参考にしやすくなります。その結果、成果を出しやすくなることで全従業員のやる気が高まり、スキルアップや業績改善へとつながるのです。

コンピテンシー評価のメリット②評価への納得度

主観が入りにくい

人事評価では、従業員からの不満がつきものです。担当者がどれほど公正に評価したつもりでも「努力を認められない」と考える従業員はいるでしょう。しかし、コンピテンシー評価は基準が明確なので、担当者の主観が入る余地を狭められます。その結果、本質的で平等な評価を実現できるのです。また、被評価者は何をすれば高い評価を得られるか具体的なかたちで知ることができるため、評価内容の理解及び納得がしやすくなります。

成果主義との違い

客観性のある人事評価として、「成果主義」も注目されています。ただ、従業員の成果を見るだけでは、そこに至るまでの努力や成長意欲を評価できません。その結果、個々人を客観的に評価しにくくなってしまいます。しかし、コンピテンシー評価ならば従業員は成果以外にも、努力する過程も評価されることになります。そして、評価に対しても納得しやすく、不満を抱きにくくなるのです。

コンピテンシー評価のメリット③人材マネジメントへの活用

細かい項目によって従業員の行動特性を分析できるため、誰がどのような仕事をしているのか客観的なデータを得られます。それを参考にすれば、従業員の配置転換、プロジェクトチームの選出などを的確に行えます。さらに、従業員の行動特性を踏まえての管理もできるので、潜在能力を発揮しやすい部署に異動させるなどの人事も可能になるのです。適材適所の人事が実現すれば、コストをかけなくても企業力を高めることができます。そのほか、新人採用にもコンピテンシー評価は役立ちます。志望者の適性を調べたり、性格を掘り下げたりして採用後のミスマッチを避けられるでしょう。

コンピテンシー評価のデメリット

コンピテンシー評価のデメリット①導入が難しい

評価基準を作るまでに時間がかかる

他の人事評価と比べ、コンピテンシー評価は準備するものが多くなることは避けられません。たとえば、評価基準のテンプレートがないので、ゼロから自社に合ったコンピテンシーを定義しなければなりません。ハイパフォーマーを分析したうえで評価基準を構築することも大切です。こうした作業が経営陣や人事部の負担になることもあります。しかも、基準は部署や職種、等級などによって詳しく示さなくてはなりません。これらの作業を終わらせるまでには時間と労力がかなり必要となります。

他社のコンピテンシーで人事評価はできるか

他社のコンピテンシーを参考にして人事評価を行う方法も不可能ではありません。しかし、業務内容が違う他社のコンピテンシーをそのまま流用しても、自社に適合した効果的な評価基準にはなりきません。また、従業員に納得してもらえる評価基準にもなりがたいのです。やはり、自社独自の評価基準を模索することが重要であり、そのための手間は覚悟するべきでしょう。

コンピテンシー評価のデメリット②従業員の納得が必要

単なる人事評価の制度ではない

新しくコンピテンシー評価を導入する場合、従来の人事評価との違いを従業員に理解してもらわなければなりません。目的や具体的な評価基準を従業員が理解してくれない状態では、誤解や不満を生み出しかねないからです。また、コンピテンシー評価に協力的な環境を整えることも必須です。こうした準備を怠ってしまうと、従業員はコンピテンシー評価を単なる人事の問題だと理解してしまいます。そして、本来の目的である企業力の向上にまでたどり着かず、不要な反感を招くことさえありえるのです。

組織全体のためだと理解してもらおう

コンピテンシー評価を無事に浸透させるには、従業員に組織全体のためになる目標を指し示すように努力をすることが重要です。こうした取り組みを実践することで、コンピテンシーが企業のパフォーマンスに役立つ概念なのだと受け入れてもらえれば、従業員の賛同を得やすくなります。そして、コンピテンシーを活用できる状況が生まれていくでしょう。

コンピテンシー評価のデメリット③環境の変化に弱い

企業の業務内容は変わるもの

柔軟性に乏しいのはコンピテンシー評価の弱点です。なぜなら評価基準を細かく設定してしまうため、その企業の事業内容が変わってしまうと最初から作り直さなくてはならないからです。環境の変化に対応しにくく、人事担当者の作業を増やしてしまうこともあるでしょう。そもそも企業は成長に伴い事業や業務内容を変えていくのが自然な流れです。そのたびに、理想とされる従業員の行動特性も変わっていきます。その結果、求められる行動が変わってしまうので、それまでのコンピテンシーの基準をあてはめることは不可能になります。

評価基準が何度も変わるのは望ましくない

コンピテンシーの基準を修正するのであれば、従業員へのアンケートやテストなどを再び実施しなくてはなりません。労力はもちろん、多くの時間やコストがかかることもあります。そのうえ、評価基準が頻繁に変わると従業員が目標を見失いやすくなります。

コンピテンシーモデルの設計例

コンピテンシーモデルの設計例①理想型モデル

企業の理想形を評価基準に

本格的にコンピテンシーモデルを設定するとき、多くの企業で採用されている方式です。企業が「求める人物像」として求人広告に出すような、理想のペルソナをコンピテンシーモデルにあてはめていきます。理想型モデルでは、必ずしも実在の従業員がいるわけではありません。あくまで、企業にとって望ましい特性を集合させて「必要な人物像」を作り上げていきます。

ハードルを上げすぎない

理想型モデルの注意点は、スペックを過剰に高く設定しないことです。現実の従業員には欠点や苦手分野があって当然です。にもかかわらず、評価基準のハードルが上がってしまうと達成できない部分が多くなりモチベーション低下を招きかねません。理想型とはいいつつも、達成可能なレベルを念頭に置いて設定していきましょう。

コンピテンシーモデルの設計例②実在型モデル

実践的な評価を下せる

理想型とは違い、実在のハイパフォーマーをモデルにしているケースです。これまで企業内において目立った実績を示してきた従業員をコンピテンシーモデルとして、その同僚を評価する基準にします。実在型モデルのメリットは、設定が比較的簡単なことです。現実の従業員をイメージすればよいので、的外れな評価項目を減らせます。また、過去に達成できた項目を基準にしていくので、実践的な評価を下せます。

目標をイメージしやすい

その他、実在型モデルは従業員にとってイメージを持ちやすい目標です。理想を押し付ける事態になりにくく、従業員の自然なやる気を引き出します。人事評価に対しても、納得できる従業員が多くなるでしょう。

コンピテンシーモデルの設計例③ハイブリッド型モデル

2つのモデルを融合

理想型モデルと実在型モデルを融合したコンピテンシーです。まず、実在型モデルでコンピテンシーを設定してしまいます。そして、経営陣が「もっと伸ばしてほしい部分」「将来的に必要となるスキル」などを考えながら、理想像を付け加えていきます。ハイブリッド型モデルは理想をしっかり反映しながらも地に足の着いた目標を従業員に示せるのがメリットです。そのため、経営陣の一方的な押しつけにならず、高い目標へと従業員を導けます。

経営者自らチェックを

注意したいのは、経営ビジョンとかけ離れたモデルにならないことです。特に、分かりやすい行動特性ばかりモデルに盛り込んでしまうと、非現実的な目標になりかねません。ハイパフォーマーたちが明確な成果を上げているとき、そこに至るまでのプロセスこそが重要である場合もあります。ハイブリッド型モデルを設定するときは経営者自ら内容をチェックをし、理想と現実のバランスが適切に取られているかを見極めましょう。

コンピテンシー評価で人事改革を

企業がコンピテンシー評価を取り入れるメリット・デメリットや事例まで見てきました。従業員への人事評価は今後のやる気、業績に大きな影響を与えます。コンピテンシー評価なら従業員の不満を招かず、優秀な人材教育にもつなげられます。本気で人事評価制度を変革したいのであれば、コンピテンシー評価を前向きに検討してみましょう。

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