2019.12.19

コーピングとは何か?ストレスへの対応力を高めて強い組織をつくろう!

コーピングとは何か?ストレスへの対応力を高めて強い組織をつくろう!

ストレス社会とも呼ばれる現代日本では、毎日を健康に過ごすためにストレスとどう向き合っていくかが重要となります。とはいえ、忙しい日々の中でじっくりとストレスへの対処法を考えるのは、なかなか難しいのではないでしょうか。今回は、ストレスを軽減するための対処法のひとつ「コーピング」について詳しく解説していきます。企業で導入できるコーピング例も紹介するので、ぜひ役立ててみてください。

コーピングとは?

コーピングとは、うまく対処するという意味の「cope」に由来とするメンタルヘルス用語であり、一般的には「ストレスコーピング」と呼ばれることが多いです。ストレス解消法の一種だと解釈されがちですが、実はそうではありません。ストレスそのものをなくすというよりは、ストレスがあることを前提に「どのようにうまく向き合っていくか」というマネジメントに焦点を当てる手法です。このようにコーピングが注目を集めるようになった理由には、現代日本においてストレスに悩まされる社会人が増えてきているという現状が影響しています。

2018年に行われた厚生労働省の調査によると、仕事で強いストレスを感じた経験があると回答した人の割合は、全体の58%に上りました。半分以上もの人が該当していることになり、いかにストレス対策の必要性が高いかがわかるでしょう。なお、ストレスの内訳については、1位が「仕事の質や量」で59.4%、2位が「仕事の失敗や責任」で34.0%、3位が「職場の人間関係」で31.3%という結果です。これらは仕事をするうえで切っても切り離せない要素であり、ストレスの原因自体をなくすのは難しいかもしれません。このため、ストレスをなくすのではなく、うまくマネジメントするというコーピングの考え方は、理にかなった効果的な対応策となる可能性があるのです。

ストレスが発生するメカニズム

コーピングを実践するには、そもそもなぜストレスが発生するのかという「メカニズム」を理解することが欠かせません。メカニズムを知ることで、どのようなマネジメントをすれば効果的にストレスを軽減できるのか、コーピングの道筋が見えやすくなるでしょう。
具体的なストレス発生のメカニズムとしては、第1段階として「ストレッサーの発生」が挙げられます。ストレッサーとは、ストレスの原因となる事柄のことです。たとえば、仕事上のトラブルや人間関係をはじめ、通勤時の満員電車や近所の騒音など、さまざまなものがストレッサーになるため油断できません。

第2段階は、「ストレッサーに対する認知的評価の発生」です。認知的評価とは、特定のストレッサーが「自分にとって有害か無害か」「自力で対処可能か不可能か」という2点を判断することを指します。自分にとって、ストレッサーが「有害かつ対処不可能」と認知すると、第3段階である「ストレス反応の出現」へとつながるので注意しなければなりません。ストレス反応とは、ストレッサーの認知の結果としてストレスが発生した場合、心身に現れるさまざまな症状のことです。たとえば、イライラや食欲不振、睡眠不足など、ちょっとした変化がストレス反応の出現である可能性もあります。

問題焦点型コーピング

コーピングの目的とストレスが発生するメカニズムを理解したところで、次は具体的なコーピングの内容について見ていきましょう。まずは、「問題焦点型コーピング」と呼ばれるものを詳しく解説します。

問題焦点型コーピングの内容と具体例

問題焦点型コーピングとは、ストレスが発生するメカニズムの第1段階である「ストレッサーの発生」時点で行うコーピングのことです。ストレスの根本的な原因に迅速かつ直接働きかけるので、うまくいけばストレスの発生自体を防ぐこともできるでしょう。ただし、何がストレッサーになるかは個人差が大きく、早期発見が難しいため簡単には実行できないという難点もあります。

問題焦点型コーピングの具体例としては、職場の人間関係がうまくいかずにストレスを抱えている場合、思い切って転職をするという方法が挙げられます。また、仕事で悩みがあるときは周囲の同僚や上司に相談し、その場で解決するよう働きかけるなど、「社会的支援探索型コーピング」とも呼ばれるものを試してみると良いでしょう。

情動焦点型コーピング

次は、コーピングのうち「情動焦点型コーピング」と呼ばれるものについて解説します。情動焦点型コーピングとは、ストレス発生のメカニズムの第2段階である「認知的評価」の方向性をコントロールしようというものです。ストレッサーへの「有害か無害か」「対処可能か否か」という自己認識を、できるだけ良い方向へ変えようとします。コントロールに成功すれば、従来とは別のポジティブな考え方ができるようになり、ストレス反応出現の予防や対応力の向上などが期待できるでしょう。

情動焦点型コーピングの具体例には、たとえば自分のネガティブな感情を誰かに聞いてもらい、別の角度からの視点に気付かせてもらったり、精神的な安定を取り戻したりすることが挙げられます。このほか、仕事の責任が重くて辛いと感じているときは「自分が成長できる良い機会だ」と状況を前向きに捉えるなど、「認知的再評価型コーピング」とも呼ばれる方法がおすすめです。

ストレス発散型コーピング

最後に、「ストレス発散型コーピング」について内容を見ていきましょう。ストレス発散型コーピングとは、心身にストレス反応が現れてしまった後に、そのストレスを外へ逃がし、ストレス反応を和らげるコーピングのことです。いわゆる「ストレス発散」と呼ばれるポピュラーな手法であり、やったことがあるという人も多いのではないでしょうか。何をすればストレスをうまく発散できるかは人それぞれであるため、ストレス発散型コーピングの具体例は多岐にわたります。たとえば、温泉へ旅行に出かけて羽を伸ばしたりしたり、趣味に没頭したりするのも良いでしょう。

また、マッサージやアロマテラピーなど、心身ともにリラックスできる時間を設けるのも効果的です。自分が好きなことを思い切りやるのがベストなので、ストレス発散に集中できるよう、休日や休息の時間をしっかりとることをおすすめします。

コーピングの効果を高めるための3大ポイント

コーピングを実施する場合、効果を高めるために意識したいポイントが3つあります。
1つ目は、ストレスの軽減に向けて、明確な意識を持つという点です。コーピングはストレスをマネジメントする手法であるため、「自分でできる限りのことをやろう」という積極的な気持ちがあると、より高い効果を期待しやすくなります。ストレスを抱えていると、つい自分が精神的に弱いせいだと落ち込んだり、自分を責めたりしてしまうことも珍しくありません。これではストレス反応が悪化しかねないので、ネガティブな意識を持つのは厳禁です。

何かとストレスを感じやすい現代日本では、ストレスに悩まされることは決して珍しくないため、うまくコーピングすれば良いのだと意欲的な気持ちで臨むことをおすすめします。コーピング効果を高めるための2つ目のポイントは、周囲の人の助けを借りるという点です。過度なストレスは正常な判断を鈍らせる場合もあるため、自分一人で何とかしようとすると逆効果にもなりかねません。ストレスに関して周囲の助けを借りるのは決して恥ずかしいことではなく、冷静な判断をするうえで非常に効果的な方法となるでしょう。

3つ目のポイントは、コーピングには複数の方法があると認識しておく点です。ひとつのコーピングに取り組んだとき、期待した結果が得られないからといって落ち込む必要はありません。コーピングにはさまざまな手法があり、どれが効果的かは人によって異なります。うまくいかなければ別の手法を試し、自分に合うものを見極めましょう。

企業で導入しやすいコーピングの例

コーピングを実践できるのは、何も個人に限った話ではありません。企業が社員のストレスを和らげるために、コーピングを行うことも可能なのです。企業で導入しやすいコーピングの例はいくつかありますが、効果的な2つの例を紹介しましょう。

#コーピング例その1.「コーピング研修の実施」

コーピングを本人に任せたものの、なかなか効果が得られないというケースも少なくありません。仕事上のストレスは、仕事内容や職場の人間関係などが影響しているため、本人だけがいくらコーピングに取り組んでも改善しにくいのです。組織全体で同じ方向に向けて取り組む姿勢が重要となるので、周知徹底の意味も込めて研修を行うのが効果的といえます。研修は一度だけではなく定期的に行い、うまくいったコーピング例などを共有する場があると良いでしょう。

#コーピング例その2.「コーピングに関連する制度を整える」

社員のストレスを早期に発見・対処するために、カウンセリング制度やメンター制度などを導入するのも効果的です。カウンセリング制度では、原則人事評価に直結しないカウンセリング機関を利用できるようにしましょう。こうすることで、社員が評価を気にせず相談でき、ストレスを感じたときに早期解決できる可能性が高まります。メンター制度では、所属部署を超えて相談できるメンターを定め、実務レベルでの問題解決ができるよう工夫するというのもおすすめです。

社内コーピングを実施するときの注意点

コーピングはストレスへの対応力を高めるのに効果的な手段ではありますが、組織内での問題すべてがコーピングで解決できるわけではありません。たとえば、人事制度や評価制度のあり方が原因となって発生するストレスが多い場合、いくらコーピングを行っても、根本的な問題が解決しない限りストレスを軽減させるのは難しいでしょう。このケースでは、企業の制度そのものを改革する必要があります。コーピングはあくまでもストレスをマネジメントするための手法であり、根本的な解決策はほかで考えることが大切です。

また、コーピングをする際は根性論や精神論と混同させないように注意し、効果が期待できる具体的な手法にもとづいて行うことも忘れてはいけません。

さまざまなコーピングを試してストレスを軽減させよう!

ストレスは誰にでも起こりうることですが、ストレスを長期間放置すると心身に支障をきたす可能性もあるので楽観視してはいけません。コーピングによって社員のストレスをうまくコントロールできれば、組織内の問題解決や生産性の向上にも大きなプラスとなります。数多くあるコーピングの中から最適なものを選び、社員のストレスに対処して組織の成長へとつなげていきましょう。

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