働きがいを応援するメディア

2023.3.8

承認欲求とは?承認欲求が強い人の特徴や付き合い方

SNSの普及に伴い、「承認欲求」という言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか?あまり良い意味で使われることはありませんが、承認欲求自体には良いも悪いもありません。ただし、承認欲求の強さが職場での人間関係や業務に影響することがあります。

この記事では、承認欲求がどのような欲求なのかを解説します。あわせて承認欲求が強い人の特徴やメリット、付き合い方もお伝えしますので、マネジメントの参考にもしてください。

承認欲求とは

程度の差こそあれ、子どもから大人まで誰もが承認欲求を持ち合わせています。それでは、承認欲求とは人にとってどのレベルの欲求なのでしょうか。同一視されがちな「自己顕示欲」との違いや欲求段階など、もう少し詳しく承認欲求について見ていきしょう。

承認欲求は誰にでもある欲求の一つ

承認欲求とは、簡単にいうと「他人から認められたい」「自分を価値ある存在として認めたい」という欲求のことです。賞賛や理解を得たいだけでなく、他人からの拒否や否定を避けたいという欲求も含まれます。

小さな子どもが「できたよ!」と言って親や先生に褒めてもらいたがるのも、承認欲求の表れです。程度の差はありますが、承認欲求は人間らしい欲求の一つだといえるでしょう。

生き方が多様化した現代では、承認欲求が高まっているといわれています。終身雇用や年功序列が見直され、有名大学の卒業や一流企業への就職は皆が目指すゴールではなくなりました。そうなると、就職や転職といった自分の選択を誰かに認めてもらいたいという欲が出てきます。SNSの普及により個人での情報発信がしやすくなったのも、承認欲求が高まる一因です。

マズローの欲求5段階説

「マズローの欲求5段階説」は、心理学者アブラハム・マズローが提唱した人間の欲求を5段階で表す理論です。自己実現に向かって、下から順に欲求を満たしていくとされています。

【マズローの欲求5段階説】

  1. 生理的欲求
  2. 安全欲求
  3. 社会的欲求
  4. 承認欲求
  5. 自己実現欲求

具体的には上記5つに分かれており、承認欲求は第4段階に位置づけられています。

第1段階の「生理的欲求」は、食欲や睡眠欲などの生きていくために必要な欲求です。生命の維持に関わる本能的な欲求は、最下層ですべての基本となります。

続いての第2段階は、生命の安全を求める「安全欲求」です。現代では、経済的な安定や健康な身体なども安全欲求に含まれます。

第3段階の「社会的欲求」は集団、ひいては社会に属したいという欲求です。友人や家庭といった小さな集団から会社といった大きな集団まで、何らかの集団の一員となることで社会とのつながりを感じられます。

第3段階までは、自分が関わる環境を満たしたいという外的欲求でした。第4段階の「承認欲求」からは、自分の内面を満たしたい内的欲求に変わります。

第5段階の「自己実現欲求」は自分をもっと生かしたいという欲求で、自己実現のために成長し続けることで満たされます。

自己顕示欲と承認欲求の違い

承認欲求と近い言葉として「自己顕示欲」があります。自己顕示欲とは、「自分をアピールしたい」「注目を浴びたい」といった欲求のことです。

自己顕示欲は、他者に注目されることで「自分が」満たされるという自己中心的な考え方を含みます。対して承認欲求は「他者が」自分を認めてくれたら満たされるという欲求です。どちらかといえば他者を中心とした考え方が承認欲求だといえるでしょう。

また、自己顕示欲が強い場合、自ら自分を目立たせるための行動を起こすことがあります。能動的な自己顕示欲に対して、承認欲求は受動的です。その点も、自己顕示欲と承認欲求の違いです。

承認欲求に存在する2つのレベル

承認欲求には2つのレベルが存在します。比較的レベルが低いのは、他者に認められたいという「他者承認」です。レベルが高いのは、自分自身を認めたいという「自己承認」です。

他者承認と自己承認について、その違いを詳しく見てみましょう。

①低いレベルの「他者承認」

他者から認められたい、褒められたいという欲求が他者承認です。他者からの尊敬や称賛、もしくはそれに伴う地位や名声、権威で欲求が満たされます。

ビジネスにおいては、上司や同僚から「できる」と思われたくて頑張るシーンが思い浮かびます。他者からの評価が重視されるため、給与査定や人事考課の結果で満足感を得られることもあるでしょう。

その一方で、他者の目線ばかりを気にしたり評価に振り回されたりする可能性があります。努力の方向性を間違わないよう、人事としての評価基準は明確にしておきたいところです。

②高いレベルの「自己承認」

自分自身のことを認めたいという自己承認は、他者承認よりも高レベルの承認欲求です。新たなスキルを身に付けたり技術を磨いたりして、能力や自己肯定感が高まると欲求を満たせます。

マズローの欲求5段階説の4段階目までは「欠乏欲求」と呼ばれ、満たされていないときに埋めようとする欲求です。5段階目の自己実現欲求は「成長欲求」といい、今よりもっと成長したい、自分を高めたいといったことを求めています。

自己承認は、承認欲求のなかでも自己実現欲求に近い欲求です。自分で自分を認めることが、理想とする自分の実現に向けての一歩だといえるでしょう。

承認欲求が強い人の特徴

承認欲求が強い人にはいくつかの特徴があります。ここからは、4つの特徴について解説します。

【承認欲求が強い人の特徴4つ】

  1. 主張が強い
  2. 自分の話が多く相手の話が聴けない
  3. 周りの目を気にしすぎる
  4. プライドが高い

主張が強い

主張の強さは、承認欲求が強い人の特徴の一つです。

承認欲求を満たそうとして、自己顕示欲が高まることがあります。その場合、認めてもらうためには人よりも目立つ必要があると考え、過度に自分をアピールしてしまいます。

わかりやすいブランドものを身に着けるのも自己主張の一環です。ビジネスの場では、自分の実績を強調したり成果を自慢したりといった言動が見られます。

自分の話が多く相手の話が聴けない

承認欲求が強いと、称賛を得るために自分が優れている点を必要以上にアピールしがちです。加えて自己顕示欲も強い状態だと、今の話題にかぶせて自分の話をしたり、話の腰を折って自慢話を始めたりしてしまいます。

自分のことを話すだけでは会話が成立しません。会話は、相手が知りたいことを話したり相手の話を聴いたりといった双方向のコミュニケーションです。自分のことだけを話す一方通行な会話も、承認欲求が強い人の特徴だといえるでしょう。

周りの目を気にしすぎる

承認欲求には、他者から拒否されたくないという欲求も含まれています。とくに拒否回避欲求が強い人は、周りの目を気にしすぎる傾向があります。「自分がどう思うか」よりも、「他者がどう思うか」「他者に認められるか」が重視されるからです。

また、他者との比較で自分の優位性を認識しようとする人も、基準が自分ではなく他者になってしまうため周りを気にしすぎてしまいます。

プライドが高い

承認欲求が高い人のなかには「自分は特別」という特権意識を持っている人もいます。そのような人は、自分はできると思っているためプライドが高いのが特徴です。

もちろん、プライドが高いことは悪いことではありません。しかし、特権意識があるのに承認欲求が満たされないと、自分より優れている相手を認めることが難しくなってしまいます。なぜなら、他者を認めたり評価を上げたりすることは、相対的に自分の評価が下がることを意味するからです。

承認欲求が強い人のメリット

承認欲求が強いことは決して悪いことではありません。承認欲求が強いことで得られるメリットについて見てみましょう。

【承認欲求が強いことによるメリット】

  • モチベーションを高く維持できる
  • 仕事の成果が出やすい
  • 自尊心や自己肯定感を高く保てる

モチベーションを高く維持できる

誰かに認めてもらいたいという欲求は、努力するための原動力となり得ます。他者に認められるために自分を高めようと思えるなら、承認欲求はそれを後押ししてくれるでしょう。

承認欲求は、足りない部分を補いたいという欠乏欲求です。認められたい気持ちがモチベーションとなり、結果を出すための努力を継続しやすいといえます。努力に対するモチベーションを高く維持できるのは、承認欲求の大きなメリットです。

仕事の成果が出やすい

承認欲求が強いと仕事にも良い影響があります。仕事におけるわかりやすい成果は、他者に認められるために重要な要素です。成果を出して出世したり評判になったりすることでも承認欲求は満たされます。承認欲求が高い人は、欲求をモチベーションとして努力を続けられるため、仕事の成果を出しやすいでしょう。

成果だけでなく、仕事に対する取り組み方や姿勢も評価すれば、より真面目に仕事に打ち込んでくれます。

自尊心や自己肯定感を高く保てる

他者から認められることは自己承認にもつながります。自己肯定感を高く保てると自分に自信が持てるようになり、さらなる成長に向けての努力ができるでしょう。

自分に自信がない人は承認欲求が高くなる傾向があります。自分が自分を認められないため、他者からの評価で承認欲求を満たそうとするからです。他者からの承認で「自分には価値がある」と感じられれば、自己肯定感や自尊心が高まります。

欲求を満たす4つの承認を知って対処しよう

承認欲求を満たす「承認」は4種類あります。単に褒めるだけでは承認欲求を満たせないこともあるため、承認の種類を知って状況に応じて使い分けましょう。

存在承認

承認欲求を満たすうえでの基本となるのが、存在そのものを承認する「存在承認」です。存在承認は難しいことではありません。簡単にいうと「あなたを気にかけているよ」と伝えるのが存在承認です。

具体的には、以下のような方法があります。

  • 名前を呼ぶ
  • 挨拶をする
  • 目を合わせる
  • 意見を求める

一見何でもないことのように思えますが、どれも相手の存在をしっかり認識していないとできません。そのほか、髪型や服装がいつもと違うことに気づくのも存在承認です。

行動承認

「行動承認」は、結果ではなく行動そのものを承認します。思うような結果にならなかったとしても、まずは行動したことを褒めましょう。

ただし、仕事の場では行動することは当たり前です。そのため「よく動いた」と雑に褒めても承認欲求は満たされません。行動を見たうえで、どう動いたかを褒めることが大切です。誰よりも早く動いた、誰もやっていなかったことに気づいたなど、より具体的に伝えましょう。

成長承認

これまでと比較して成長した部分を認めるのが「成長承認」です。行動承認と同じく、仕事の成果や目標達成を伴うわけではありません。仕事のスピードが速まった、仕事の質が上がったなど、できるようになったことを褒めましょう。

その際に気をつけたいのが、成長の比較とするのは当人の過去のみとすることです。第三者と比較せず、当人がどう成長したのか、これまでの経緯を承認しましょう。

結果承認

「結果承認」では、実際にできたことや達成したことを認めます。結果を褒めるため、対象が分かりやすく取り入れやすい承認だといえるでしょう。

仕事上の成果に対してなら、出世や昇給に結びつけばより承認欲求が満たされます。表彰式のような形で、広く承認の場を設けることも有効です。

ただし、結果承認は「結果を出さないと認められない」というプレッシャーになる可能性があります。行動承認や成長承認を組み合わせ、結果に至る前のプロセスや行動も褒めるようにしましょう。

まとめ

承認欲求が強いことは決して悪いことではありません。承認欲求が仕事への頑張りの原動力となれば、思っている以上の成果に結びつくことが期待できます。

ただし、時に他者から認められたいという欲求ばかりが前に出て、自己主張が激しくなったり周りを気にしすぎたりすることがあります。その場合、存在承認や行動承認で気にかけていることを伝えましょう。認められた経験から自己承認できるようになれば、今よりもっと成長してくれます。

当人が承認欲求とうまく向き合えるように、4つの承認を使い分け、要所で承認欲求を満たしてあげてください。当人の自己肯定感が上がれば、承認欲求に振り回されることなく、仕事に打ち込むモチベーションとできるでしょう。

人材マネジメントにお悩みの方には、サイダス社が提供するタレントマネジメントシステム「CYDAS」がおすすめです。人材情報を一元化し、目標管理や1on1、フィードバック機能など、さまざまな機能を組み合わせてサイクルを回すことで、一人ひとりのワークエンゲージメントを高め、組織を強くします。

参考:HRドクター「承認欲求とは?|特徴や充たし方、マネジメント上の注意点を紹介」

Category

ビジネス用語全般

Keyword

Keywordキーワード