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2021.11.9

日本企業全体や新卒の離職率の平均は?|離職率を下げるコツも解説

現在の日本では、労働環境の変化により「離職率」が上がっています。離職率が高いこと事態が悪いことではありませんが、企業に悪影響をもたらすこともあるので注意が必要です。本記事では、自社の離職率が高いのかどうかを知るためにも、日本企業全体や新卒の離職率の平均をご紹介します。また、離職率を下げるコツも合わせて解説しますので、ぜひ人事の担当者は参考にしてください。

そもそも離職率とは?

「離職率」は、企業の働きやすさを測るために用いられることが多い指標のひとつです。一般的には一定期間中に離職した人数を、元々の従業員数で割ったものに100をかけて求めることができます。

離職率の定義と計算方法

「離職率」は、従業員数に対して一定期間後に社員が離職する割合を示すものです。厚生労働省では、雇用動向調査に用いる離職率を「自社で働いている人数(分母)退職・解雇した人数(分子)」と定義しています。

離職率の計算方法は大きく2通りあります。ひとつは厚生労働省が年2回実施している雇用動向調査で使用している計算式で、下記の通りです。

・離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100(%)

もうひとつの計算方法は一般的な企業でよく使用されているもので、計算式は下記の通りになります。

・企業が定める一定期間内の離職者数÷起算日の在籍者数×100(%)

どちらの計算式を用いて離職率を算出するかは、自社が設定している指標に合わせて選択するのが良いでしょう。また、離職率が高い企業であることが必ずしも悪いとは限りません。離職率が高い企業を言い換えると、雇用のサイクルが早い企業とも言えますので、自社の状況に合わせた離職率を目指すことが大切です。

離職率が注目される背景

近年、企業から「離職率」の注目度が高まっている背景には、雇用環境の変化などが関係しています。

少子高齢化による労働人口の減少は、日本国内の雇用環境に大きく影響しているファクターです。また、働き方改革などを代表する「働き方の変化」も離職率の注目度が高まる要因の一つです。

従来の国内企業では、従業員の評価を「勤続年数の長さ」で測る傾向がありました。国内の企業は「年功序列」の習慣が強い傾向があり、生涯一つの企業で勤め上げることが、正規従業員の一般的な模範モデルでした。

しかし、働き方の変化が進んできている現代では、生涯一つの企業で勤め上げることが決して当たり前ではなくなっています。「ジョブ型雇用」を進める企業も多く、転職回数が多い「ジョブホッパー」へのイメージも変わってきています。中途入社でも活躍する人材は多く、決して「勤続年数が長い=貢献意欲が高い」とは言えないでしょう。

優秀な人材はより良い条件や職場環境を求め、今より良い企業があればそちらへ流れてしまいます。しかし、もちろん企業にとって優秀な人材の流出は痛手です。労働人口が減少している今、優秀な人材の確保は企業の課題です。新たな人材の獲得はもちろん、今いる社員の離職率を下げるためにさまざまな取り組みを始めています。

離職率の平均

離職率の平均は、自社の離職率が高いのか低いのかを知るひとつの目安となります。そのため、「日本企業の離職率の平均」と「離職率が高いことによる企業への影響」を確認しておきましょう。

日本企業の離職率の平均

日本企業全体における「離職率」の平均は、厚生労働省が年2回調査を実施している「雇用動向調査」から確認することができます。平成30年度の雇用動向調査結果を見ると、平成30年度の1年間の離職率平均は「14.6%」で、前年よりも0.3ポイント減っています。

同調査における離職率の定義

厚生労働省が発表する「雇用動向調査」においての離職率は「離職率=常用労働数に対する離職者の割合」と定義されています。

常用労働者とは、「期間を定めずに雇用されている労働者」、または「1ヶ月以上の雇用期間を定めて雇用されている労働者」が該当します。対して離職者とは、常用労働者のうち「退職した」「解雇された」「他企業への出向・出向復帰者」のことです。また、同一企業内のほかの事業所へ転出した労働者の数は、離職者に含まれないので注意してください。

離職率が高いことによる企業への影響

離職率が高いことは必ずしも悪いことではありませんが、企業にとってマイナスの影響を与えることがあります。マイナスの影響の一つとして例えば、「企業イメージの悪化」へのリスクが挙げられるでしょう。離職率が高い企業だと聞くと、「労働環境が悪い企業」というイメージを持たれてしまうことがあるからです。

一度、労働環境が悪いブラックな企業だと判断されてしまうと、企業イメージの回復は容易ではないでしょう。また、企業イメージの悪化は提供する商品やサービスのブランドイメージを損ねることにもつながり、業績の低下を招くリスクがあるため注意が必要です。

他にも、離職率が高いことにより「人材採用の難易度が上がる」リスクが考えられます。たとえ求職者がキャリアアップのため、数年後には転職したいと考えていたとしても、離職率が高い企業は働きにくいというイメージを持たれ、求人の応募数に響きます。その結果、良い人材が集まらず採用コストばかりが増えてしまいます。

また、せっかく採用した人材に早期に離職されてしまえば、社内の人材育成が進まないこともリスクとして挙げられるでしょう。

少子高齢化など、労働環境の変化によって人手不足が深刻化する現代で、採用の難易度が上がってしまうと企業としての競争力にも大きく影響します。このため、離職率が高い状態である場合は、なるべく早急に改善していくことが大切です。

新入社員の離職率の平均

離職率は、年齢が若いほど高い傾向にあり、特に「3年以内で辞める新入社員」が増えています。なぜ新卒は3年以内の離職率が高いのか、若者の離職率が高い原因を解説します。

新卒は3年以内の離職率が高い?

厚生労働省が年2回調査を実施している「雇用動向調査」によると、新卒の学生が企業に入社する年代「20~24歳」においての離職率は、「男性:26%」「女性:27.7%」となっています。年齢階級別入職率・離職率における19歳以下の離職率「男性:32.5%」「女性:39.2%」に次いで高い離職率です。

さらに年齢階級別入職率・離職率を見ると、離職率は年齢が上がるにつれて男女ともに減少傾向にあります。なかでも女性のほうが男性と比べて25歳以降の離職率が高いのは、結婚や出産などの理由で職場を離れやすいことが影響しているでしょう。

また、特に新入社員は「3年以内に30%が辞める」と言われています。年齢別の調査結果かを見ると分かりますが、若い世代のほうが全体的に離職率が高い傾向があります。この結果には、「若いうちは他にも仕事がある」という環境要因や「もっといい仕事があるはずだ」という若者の思考が影響していると考えられるでしょう。

若者の離職率が高い原因

若い世代の離職率が高い原因は、男女によっても異なります。まず、20歳~24歳の男性に多い離職理由は下記の通りです。

  • 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(14.1%)
  • 給与等収入が少なかった(10.7%)
  • 職場の人間関係が好ましくなかった(10.6%)

一方、20歳~24歳の女性に多い離職理由は下記の通りとなっています。

  • 職場の人間関係が好ましくなかった(15.6%)
  • 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(10.7%)
  • 仕事の内容に興味を持てなかった(8.3%)

調査結果を見ると、より労働条件が良い職場や仕事を求めて「理想のライフスタイルを実現させたい」と転職する若者はもちろん、職場での人間関係に悩んで退職する若者が多いことが分かります。しかし、これらの退職理由はどの年代を見ても上位に上がっています。

若者の離職率が高い原因の本質は、人材マーケットが流動的になり、転職へのハードルが低くなっていることにあると考えられます。特に3年以内は「第2新卒」と捉えられ、キャリアチェンジのチャンスとも考えらえています。

離職率の高い業界・低い業界

離職率は業界によっても異なり、休みが固定ではなく就業形態が不規則な業界は離職率が高く、反対に安定している企業は定着率が高くなる傾向があります。離職率が高い業界と低い業界について見ていきましょう。

離職率が高い業界は、「宿泊」「飲食サービス」

厚生労働省の調査結果(参考:平成30年雇用動向調査結果)によると、「宿泊」「飲食サービス」「生活関連サービス」の離職率が最も高く、なかでも宿泊業・飲食サービス業の離職率は「26.9%」でした。

宿泊業の離職率が高い理由として、年間休日日数が他の業界と比べて少ないことが考えられます。厚生労働省の調査結果(参考:平成30年就労状況総合調査)によると平均年間休日総数は97.1日で、他の業界と比べ一番少なくなっています。

休日数が少ないと心身の健康に影響を与えることはもちろん、慢性的な疲労に繋がります。

また、シフトが不規則であることも離職率が高くなる原因の一つでしょう。宿泊業は年中無休で24時間営業している企業が多く、結果的に従業員のシフトが不規則になります。就業時間も不規則で、日勤や夜勤、早朝勤務など様々です。単身で体力があるうちはよくても、年齢があがったり、家庭をもったりすると、不規則なシフトではなく日勤や定時が決まっている就業形態に魅力を感じ、離職する従業員が増えると考えられます。

いずれも「入職率」も高い業界であるため、他の業界と比べて労働者の数自体が多く、入れ替わりが激しい業界だと言えるでしょう。

離職率が低い業界は、「建設業」「製造業」

同じく厚生労働省の調査結果(参考:平成30年雇用動向調査結果)を見ると、離職率が低い業界は「建設業」「製造業」「複合サービス業」でした。なかでも離職率が一番低いのは建設業の「9.2%」です。続いて、複合サービス事業の「9.3%」、製造業の「9.4%」、学術研究・専門・技術サービス業の「10.1%」が離職率の低い業界となっています。

建設業には、大手ゼネコンが含まれていることが他の業界と比べて離職率が低い要因になっているようです。

中小企業と比べて大手企業では、勤続年数が長くなるほど給与や役職が上がりやすい傾向にあることに加え、働き方に対する制度や仕組みが整備されていることなども、離職率が全体的に低くなっている要因と考えられます。

また、これらの業界は専門的なスキルが求められ、資格を取得していたったり、任される仕事が増えていったりすることで成長が感じやすいことも、離職率の低さにつながるのでしょう。

離職率が高い会社の特徴

離職率が高い会社には、「労働条件が悪い」「人間関係が良くない」「評価が不平等」など、共通してみられる特徴があります。これらを意識しながら改善することによって、離職率を低くすることができるでしょう。

労働条件が悪い

離職理由としてもっとも多く挙げられるのは、「労働条件の悪さ」です。例えば、長時間労働が常態化していたり、休日出勤やサービス残業が当たり前となっている企業がこれに該当します。

行き過ぎた長時間労働は法律に抵触する可能性があります。2019年に施行された「働き方改革関連法」によって、労働基準法に時間外労働の上限が明記されました。

所定労働時間が週40時間を超える場合、事業主は従業員と「36協定」を結ばなければなりません。週40時間以上の労働が許されていても、臨時的かつ特別な事情がない限り、残業時間の上限は「月間45時間」「年間360時間」以内に抑える必要があります。

繁忙期がある業種で、業務量の増加などの特別な事情があって労使が合意したとしても、残業時間は年間で720時間、複数月で平均80時間以内とされており、100時間未満を超える時間外労働は違法になります。

その他にも、残業時間や休日出勤、深夜労働には割増賃金率が決められています。このような法令があるにも関わらず、従業員に過剰な労働をさせ、適切な残業代を支払わない企業は従業員のモチベーションを失うこととなり、結果的に離職率が高くなります。

人間関係がよくない

人間関係の悪さも、離職率に大きく影響します。職場での人間関係でよくある悩みの一つに「パワハラ」「セクハラ」がありますが、立場による力関係を利用して発生するハラスメントは、被害を受けた従業員が周りに相談することができず、問題が表に出ないまま退職してしまうケースが多くあります。

「パワハラ防止法」では、企業は職場でのパワハラやセクハラを阻止するために、できる措置を講じなければならないとされています。具体的な措置の内容としては「被害を受けた従業員が相談できる体制を整備し、相談した従業員が不利益な扱いを受けないようにする」というものです。

その他にも、パワハラ防止のために研修を実施したり、国の講ずる措置に協力するよう企業は対応を行わなければいけません。企業がパワハラやセクハラを阻止するための体制を整備しないまま職場でのハラスメントが横行すると、入社した社員の定着率は上がることなく離職率が高くなるでしょう。

評価が不平等

評価が平等ではなかったり、不当と感じられたりすれば、より良い評価をしてくれる企業へ転職したくなり、離職率は上がるでしょう。給与の低さ自体の問題もありますが「評価が給与に反映されていない」と感じてしまうことも、給与に対する不満の一つです。

評価制度が不透明でわかりづらいことや、上司が自分の何を評価してくれたのかわからない、与えられた営業目標が非現実的なもので不平等など、評価に対する不満が企業への不満に変わり、離職へとつながり離職率が高くなってしまいます。

企業は従業員に対して適切な目標を設定し、定期的な面談を実施するなど、従業員一人ひとりを適切に評価することができる、公平かつ平等な仕組みづくりに取り組むことが重要です。

離職率を下げ、定着率を上げるコツ

離職率を下げながら定着率を上げるにはコツがあります。ここでは、「評価を見直す」「休みを十分に取らせる」「人事異動を行う」ことの大切さについて解説します。

評価を見直す

まずは、不満がたまりやすい評価制度の見直しを行いましょう。評価基準を明確に示したうえで個々の目標設定とそれに対する振り返りを定期的に実施するなど、すべての従業員が正しく公平な評価を受けられる評価制度を整備することが重要です。

多くの従業員が「自身の仕事や成果に対して適正な評価をしてほしい」という思いを持っているものです。従業員それぞれの目標を設定するにあたっては、上司と部下が1on1で話し合いを行い、それぞれ納得がいく目標を設定したうえで達成に向けて取組みましょう。

また、給与や昇級に直結した評価制度を整備するだけでなく、普段から同僚や周りの人から感謝される仕組みを作るなど、多方面からも評価される環境を整備することもポイントです。

従業員それぞれが「何にやりがいを感じるのか」「何に喜びを感じるのか」という点には、もちろん個人差があります。給与などの金銭的な報酬だけではなく、非金銭的な報酬が得られる環境も同時に整えて運用しましょう。

休みを十分に取らせる

日々の労働時間は長くなっていないか、有休は消化されているかなどを確認し、社員に十分な休養をとらせましょう。だらだらと働かれるより、短時間で高いパフォーマンスを出してもらったほうが生産性が上がり、企業にとってもよいでしょう。

また、出産や育児、介護だけでなく、趣味や勉強、副業など、仕事と家庭やプライベートを両立したいと考えている人の数も年々増加傾向にあります。

従業員一人ひとり、それぞれが思い描くワーク・ライフ・バランスがあり企業は多様なニーズへの対応を求めらています。

このような多様性に応じるため、「フレックスタイム制」「週休3日制」「リフレッシュ休暇」「テレワーク」を導入するなど、新しいワークスタイルを取り入れる企業もよく見かけるようになりました。また、休職者が復帰しやすい職場環境の整備に力を入れている企業も増えています。

人事異動を行う

従業員一人ひとりと1on1でコミュニケーションを取る機会を作るなどの環境を整備し、従業員一人ひとりのチャレンジしたいことやキャリアビジョンをヒアリングしたうえで、個人の意向に沿った人材配置を考えましょう。

また、人事異動を積極的に行う理由としては、業務に対するマンネリ化を防止する意図もあります。「なんとなく飽きてしまった」「成長が感じられない」「なにか新しいことに挑戦したい」といった理由での離職防止に効果的です。

離職率を下げるにはタレントマネジメントシステムを活用

多くの企業が優秀な人材を確保しようと、離職率の低下(定着率の向上)に努めています。離職率を下げるためには、評価基準の整備や勤怠管理、多様な働き方への対応、適材適所な人事異動などが有効的です。

しかし、従業員一人ひとりの業務を適切に評価したり、スキル・経歴を管理したり、意思を確認したりすることは複雑で大変な業務です。そこで活用できるのが、「タレントマネジメントシステム」です。

タレントマネジメントシステムは、単なる人材管理システムではありません。個々の能力を最大限に引き出し、活躍してもらうために利用できるツールです。例えば「CYDAS PEOPLE」は、人事や管理者層だけでなく、従業員全員が使える仕組みになっており、積極的に使用することにより企業へのエンゲージメントを高める効果もあります。

離職率改善に取り組む際は、ぜひタレントマネジメントシステムの活用を検討してみてください。

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