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2021.8.6

人材開発とは|人材育成との違いや効果的な方法・企業事例を紹介

人材開発とは、研修やコーチングなどを通じて社員が持つ能力を高め、パフォーマンスの最大化を図る取り組みです。人材開発によって組織全体のパフォーマンスが高まれば、社員を適材適所に配置して経営戦略をスムーズに推進できるでしょう。さらに、社員が能力を発揮できる場が確立されることで、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。

この記事では、人材開発を効果的に進める方法や人材開発に積極的に取り組む企業の事例を紹介します。人材開発と混同されることが多い人材育成の特徴についても確認しておきましょう。

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人材開発とは

人材開発とは、社員一人ひとりの能力や知識を引き出して成長を促す全社的な取り組みです。社員が成長すると、会社は社員の能力に合わせて適材適所の人材配置を行うことができ、業績の向上にも結びつきます。日常業務の中では見えにくい一面が発見できる点も、社員・会社どちらにもメリットとなるでしょう。

人材開発は、OJT(現場研修)だけでなく社内での実習・座学研修や社外の講座受講を通じて計画的に実施されます。社員と人事部・教育担当者との対話を大切にする考え方から、コーチングを通じて社員の気づきを促し、自発的に能力やスキルを高めるよう促す手法をとる会社もみられます。また、e-ラーニングにより、社員が空いている時間に能力開発に取り組めるよう制度化する企業も増加しています。

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人材開発の目的

人材開発では、部署や担当業務・過去の経験にとらわれずに社員一人ひとりの潜在能力を発掘し、仕事の質や生産性を高めることを目的としています。社員個人の成長につながるだけでなく、事業を継続するうえでの課題を解決しながら、企業自体の成長を目指せるのも特徴です。また、刻々と変化する経営環境に対応するために、さまざまな課題に対して柔軟な対応を取ることができる人材も求められています。

社員がスキルを活かせる場が増えれば、仕事への自信が増すだけでなく、昇給・昇進といった企業内の評価アップを通じたエンゲージメントの向上にもつながります。さらには、新たな知見を取り入れながらイノベーションを巻き起こし、会社の価値向上を目指せるかもしれません。そのため、経営戦略の一環として人材開発に力を入れる企業も増えています。

人材育成との違い

人材開発と人材育成は同じ意味として使われていますが、人材育成では社員に新しい能力やスキルを習得させることに主眼が置かれています。業務に必要なスキルを中心に、職種別・役職別に研修を進めていきます。例えば、新入社員向けのビジネスマナー研修や配属先ごとの業務研修などです。人事評価制度の普及に伴い、管理職へ目標管理やコーチングスキルなど評価技術に関する研修を行うケースも増えています。

また、社員を成長させる点では人材育成と人材開発は共通しているものの、パフォーマンス向上の成果が出るスピードには差が生じます。能力向上が個人レベルにとどまるのか、あるいは会社全体の成長につながるのかという差も出てくるでしょう。

人材開発のポイント

現場や社員のニーズを把握しながらプランを立てることが、人材開発の効果を進めていくための第一歩です。人材開発の取り組みが終了した後も、社員のキャリアアップを支援し続ける仕組みがあれば社員のモチベーションも高まるでしょう。人材開発に取り組む上でのポイントを解説します。

経営課題や組織開発に連動させる

人材開発は会社の成長に直結するため、現在抱えている課題や将来的な事業展開を考えて計画を立てることが大切です。社員一人ひとりが最善のパフォーマンスを発揮できる組織開発のあり方についても検討が必要となってきます。会社に必要な人材像を定義した上で、人員体制や人材育成プログラムの再構築が伴うことも考えられます。経営層と密に話し合いながら、経営戦略に人材開発の計画を組み入れていくようにしましょう。

現場のニーズを聞く

人材開発をスムーズに進めていくためには、現場の理解と協力が必要不可欠です。現場の課題・要望と人材開発の計画にズレが生じると、人材開発の効果が薄れてしまいます。計画段階から現場の責任者などが関与することで、課題を解決するために必要な知識・技術レベルが明確となるだけでなく、当事者意識も高まるでしょう。また、研修などで仕事を離れる時間も出るため、人材開発のスケジュールのすり合わせも大切です。

社員の情報を把握しておく

人材開発を通じて社員の能力を最大限に引き出すには、社員の情報を正確かつタイムリーに把握できる仕組みづくりが大切です。

例えば、従業員サーベイを活用し、アンケートを通じて社員の満足度や企業・組織内の課題を洗い出す方法が考えられます。社員のスキルや人事評価の結果を集約し、さまざまな視点から分析できるタレントマネジメントシステムの活用も有効です。社員が直面する課題や今後のキャリアアップの方向性を高頻度で確認する、1on1ミーティングを実践する企業も増えています。

関連記事:「1on1ミーティングの効果を高める方法/注意点とは?質問例も紹介」

社員の自発的行動をサポートする

スキルアップに向けた社員の自発的な行動をサポートすることも、会社が人材開発を推進するうえでは有効です。業務を振り返り、社員の未来像を考えるきっかけを提供する方法も考えられます。

積極的にスキルアップへ取り組めるよう、書籍を購入する費用を補助したり、講習受講や国家試験の受験に特別休暇を付与したりする企業もみられます。資格取得後に給与を上乗せするのも有効な方法です。

長期的視点でキャリア支援をする

社員が成長するには長い時間がかかります。社員の能力やキャリアアップの希望も、仕事内容やライフスタイルに応じて変化するものです。経営戦略も数年先を見据えて作るのが一般的なので、人材開発も同様に長期的な視点に立った支援体制を作っていくと効果が高まります。同時に、社員の成長を支援する企業だと印象付けることができ、モチベーションや帰属意識も向上できるでしょう。

人材開発の方法

人材開発と人材育成の方法は共通していますが、人材開発では社員に「気付き」の機会を与えて潜在能力を引き出すことに重点が置かれます。人材開発で用いられる方法を紹介します。

OJT

OJT(On the Job Training)は、実務を通じて業務に必要な知識や技術を習得させる方法です。知識・技術の習得度合いに応じてカリキュラムを柔軟に変更できるため、確実な業務知識の習得を目指せます。OJTの効果を高めるために、期限と目標を設定するようにしましょう。

OJTでは配属先の先輩や上司がトレーナーを務めるため、指導を受ける側が気軽に質問したり不明点を確認したりできるのが特徴です。トレーナーとの対話がきっかけで潜在能力の発掘につながるケースも少なくありません。また、トレーナーを務める人にとっても社員の能力を引き出す方法を習得するきっかけになるでしょう。

関連記事:「即戦力を生み出す能力開発!効果的なOJTを行う方法とは?」

Off-JT

Off-JT(Off the Job Training)は、実務から離れて座学や実習を受けて業務に必要な知識・能力を高める方法です。外部から講師を呼んで社内で研修を実施する場合と、社外の研修を受講させる場合があります。ビデオ会議システムの普及に伴い、自分の席や自宅などでe-ラーニングを受講させる場面も増加傾向です。

知識や経験が豊かな講師が研修を行うため、実務では得られなかった情報を入手できます。また、研修の受講が新たなチャレンジのきっかけとなるケースも少なくありません。他の受講者と交流する機会も生まれ、情報交換などで刺激を受けながら業務に創意工夫を凝らして仕事のパフォーマンスが高まるケースも多いです。

自己啓発

自己啓発(Self Development=SD)では、会社の研修プログラムにとらわれずに自分が選んだ課題や目標に関する知識・能力を高める、自主的な取り組みです。OJTやOff-JTで得た知識を深掘りしたり、会社や上司・先輩から示された目標を達成するために自主トレーニングを行ったりする場面も少なくありません。

会社としては、社員の自主性を尊重しながら自己啓発に関する情報提供や動機付けを行うと効果的です。自己啓発のテーマや目標について話し合う機会を設定して、業務に直結する自己啓発に誘導する方法も考えられます。

コーチング

コーチングは、コーチする人とされる人との対話を通じて自身の行動に気づくきっかけを提供し、自分の考えによって成長や目標達成へ導く手法です。OJTやOff-JTとは異なり、コーチする人は積極的にアドバイスしたり行動の変革を促したりすることはありません。質問から傾聴・承認・提案するコミュニケーションを重ねる中で、行動や考え方の選択肢を増やしながら目標達成をサポートします。

コーチングを受けることで、自分自身では気づくことができなかった思考性や能力がわかり、仕事へのモチベーションが高まる可能性を秘めています。そして、企業の生産性向上にもつながるわけです。

関連記事:コーチングの価値とは?具体的な手法・ポイントや学び方を徹底解説!

人材開発に取り組む企業事例

人材開発といっても、企業の風土や人事戦略によって取り組み方はさまざまです。人材開発を実践している企業の事例を紹介します。

キヤノン株式会社

【社内講師制度で講師・受講者双方のスキルアップに】

キヤノンでは社内研修を重要な経営戦略として位置づけており、社内講師の育成に力を入れています。社員向けに実施する研修の8割が内製化されており、社内事例を共有しながら実践的な知識を得られるメリットも生まれています。低コストかつ高頻度で社内研修を実施でき、カリキュラムも社員が参加しやすい形にアレンジするなど研修参加のチャンスを増やす工夫が凝らされているのも特徴です。

社員同士ということもあり講師と研修受講者との関係性も深く、研修終了後もアドバイスを受けられるなど相互に成長しやすい風土も定着しています。また、社内講師は専用の支援サイトや図書室を利用できるなどサポート体制も充実しています。社内講師を目標として位置づけて、自身のスキルアップを実現する手段としても確立しているのです。

GEジャパン株式会社

【研修プログラムごとにトレーナーを育成。デジタルラーニングも活用】

GEでは企業内ビジネススクール「クロトンビル」を拠点に、各部門から選抜された社員を対象に徹底したリーダーシップ教育が実践されています。その流れを受け、日本法人のGEジャパンでも研修プログラムごとにトレーナーを育成する「TCP(Trainer Certification Program)」を実施。会社が主体となって研修の品質を確保しているのが特徴です。

トレーナーには「New Trainer Workshop」を提供し、効果的な伝え方や受講者のモチベーションを向上させる技術を習得できる仕組みも整備されています。2015年からはデジタルラーニングの取り組みもスタートし、研修運営の課題を乗り越えながら多くの社員が研修を受講する機会を得られるよう工夫されています。

タレントマネジメントツールを活用して人材開発を

人材開発は、社員の潜在能力を引き出して社員のパフォーマンスを高めるだけでなく、会社の生産性向上を目指す全社あげての取り組みです。変わりゆく経営環境に順応するために、人材開発を経営戦略に組み入れる企業も少なくありません。

社員のやる気を引き出して人材開発を戦略的に進めるためには、タレントマネジメントツールの活用が効果を発揮します。サイダスのタレントマネジメントシステム「CYDAS」では、企業のニーズや風土に合わせて人材情報の管理機能や目標管理に活用できる機能を柔軟にカスタマイズできます。人材育成プランを作成する機能(ファンダメンタルCDP)も搭載しており、組織や経営課題の見える化を促進できるのもメリットです。また「1on1 Talk」では上司と部下の対話による相互理解をサポート、コーチングの実践にも活用できます。

会社や組織の課題、目的に合わせたカスタマイズも可能です。詳しい資料は以下からダウンロードください。

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