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2021.5.13

ファブレス経営とは?有名企業が取り入れているビジネスモデルについて紹介

製造業は、商品企画から製造、販売までを一貫して行うのが主流です。しかし現代においては、必ずしもそうとは限っていません。製造は外注に出すなど、複数の企業が協力をし合う「ファブレス経営」もビジネスモデルの一つとして取り入れられています。
この記事ではファブレス、そしてファブレス経営とは具体的にどのようなものか、メリットやデメリットなどを説明し、実際に採用している企業を紹介していきます。

ファブレスとは?

ファブレスとは、「fabrication facility less」を略した言葉で、「工場を持たない」という意味です。通常、製造業であれば自社工場を所有するのが主流ですが、ファブレスは製品を製造するための工場を持たない業態のことを指します。製品の企画や開発は自社で行うものの、その先の製造は外部の工場に依頼するのが一般的です。このような企業のことを「ファブレス企業」といいます。そして、ファブレス企業から委託されて製造を請け負う企業のことを「ファンドリ」と呼びます。

ファブレス経営とは?

ファブレス経営とは、自社の製造工場を所有しない経営方式のことです。工場を持たないため、製品の企画や開発をしても、その後の製造を社内で行うことはありません。通常なら自社工場で製造するという過程を、他社の製造工場に丸ごと委託するのです。例えば、A社が製品の企画と開発を行い、その後の製造はB社が所有する工場で請け負うという流れになります。ただし製造をB社で請負っても販売元が変わることはなく、A社のブランドとして販売されます。
そもそもファブレス経営とは、アメリカのシリコンバレーで1980年代に誕生した業務形態です。自社で製造工場を用意すると、相応の資金がかかります。当時のアメリカは工場の設備費が高騰しており、資金をかけずに製品の製造を実現する方法が必要でした。そこで、製造を外部に委託するという経営手法が導入されたことが、ファブレス経営のはじまりです。自社に工場を持つには資金だけでなく広大な土地も用意しなければなりません。しかし工場を用意する必要がない分、初期費用を抑えることができますし、工場建設にかかる期間の短縮にもつながります。
ファブレス経営を導入している業界は食品やおもちゃ、電子機器、衣類など多岐にわたっています。

ファブレスのメリット・デメリット

では、フェブレスにはどのようなメリットとデメリットがあるのか、それぞれ説明していきます。

メリット

まず、ファブレスでもっともメリットが得られるのは、初期投資が少ないという点でしょう。工場を所有するには、建設費用はもちろんのこと製造に必要な設備も自社で用意しなければなりません。規模や業種にもよりますが、工場をゼロから用意するには莫大な資金が必要です。そして、それだけの工場建設に必要な土地も探す必要性が出てきます。資金調達に土地探し、さらに工場建設と時間も資金もかかります。ところがファブレスであれば工場を準備する工程が必要なくなり、初期投資を大幅に抑えることが可能です。
もちろん工場の従業員を確保する必要もありませんから、最低限の人員だけで始めることができます。企画や開発ができる人員がいれば、1〜2名というわずかな人数で起業することも可能でしょう。設備にかかる償却費だけでなく人件費も含めた資金を抑えられれば、新規参入のハードルも低くなります。そして費用が浮けば、経営資金として活用することも可能です。
そしてもう一つのメリットとしては、市場の変化に対応しやすいという点があげられます。業種によっては、いつまでも同じ設備をそのまま使い続けることに限界が出ることもあります。新しい商品を開発するにしても、設備が対応していないと製品として形にできないかもしれません。または、受注に追いつかないという問題も出てきます。設備を定期的に新しいものにしたり製品に合わせて整えたりするには資金が必要です。ファブレスなら、必要に応じて設備が整った工場に受注するという選択もできます。

デメリット

一方、デメリットとしてあげられるのは、外注する分コストがかかることです。実際には、製造を請け負ってくれる工場との交渉になりますが、製造量が増えればそれだけコストはふくらみます。国内工場か国外工場かでも対応は変わるものの、費用も含め発注の際に生じる法律も遵守しなければなりません。ただし、その分利益がしっかり維持できるようにすれば特に問題視することはないでしょう。
自社工場ではないため、品質管理が難しいという点もデメリットの一つです。また製造上で生じる完成度のズレが、生じることもあるかもしれません。そして、もう一つデメリットとしてあげられるのは機密情報の漏洩です。場合によっては、コピー製品が出る可能性もあります。製造を外部に委託するということは、製造に必要な情報や材料をすべて預けるということです。その分、知らないところで販売前の製品情報を流したりロゴを悪用したコピー製品を出されたりしないよう注意しましょう。ファブレスを導入する際は、品質や機密情報の管理について事前にしっかり契約書を作っておくことが重要です。

ファブレス経営をしている代表的な企業

ファブレスについて説明したところで、最後にファブレス経営をしている代表的な企業を紹介します。

アップル

アップルは、ファブレス経営の先駆けといっていいでしょう。iMacやMacBookに代表されるパソコンにiPhone、iPad、そしてiPodなど数多くの前衛的なデバイスを企画、開発、設計、さらに販売に特化したファブレス経営を行っています。アップルは、スティーブ・ジョブズが創業者として知られていますが、エンジニアのスティーブ・ウォズニアックをパートナーとして起業しました。そして製造については、外部の工場に委託することで成長を続けてきた経緯があります。
アップルの魅力は、ジョブズの優れたデザイン力にあるといっていいでしょう。製造を外部に委託することで製品の開発やデザイン、設計に集中できることが顧客の獲得と市場の開拓につながっています。そして外注先と良好な関係を築くことで、製品開発に十分時間をとっても迅速な量産を可能にしているのです。
現在のファンドリは台湾ですが、委託先の工場をアップルが所有することでデザインや機密情報の漏洩防止を図っています。

任天堂

日本を代表するゲーム・おもちゃメーカーの一つである任天堂も、ファブレス経営を導入している企業です。ゲームやおもちゃは人気が変動しやすく、短期でブームが過ぎてしまうこともあります。そのため、ブームのタイミングを見誤れば多くの在庫を抱えてしまうという問題にも対応しなければなりません。現在の委託先は中国を中心としており、ファブレスによって生産数の調整や人員調整を図っています。自社工場も持っていますが、修理や製品の検査などを行うだけにとどめています。ファブレスを導入することで、仮に製品開発に失敗が生じてもコストを最小限に抑えて撤退することも可能です。

キーエンス

キーエンスは日本の測定機器メーカーです。センサーなども取り扱うキーエンスは企画力の高い企業として知られており、世界初の製品が全体の7割にものぼります。ファブレス経営を行うことで、その分企画や開発に十分な時間をかけているといっていいでしょう。同時に、高い収益を上げている企業です。
キーエンスは、販売を直接行うという特徴を持っています。そのため、問題点を自社ですぐに把握することができ、さらにそれを商品の企画開発に反映することが可能です。その結果として、付加価値の高いニーズに合った製品作りを実現しています。

ファブレス経営を取り入れてみよう

ファブレスとは、製造を外部に委託することです。自社製造まで行う必要がない分、企画や開発に集中できるため、ブランド力や自社製品に強みがある企業はファブレス経営が合っています。自社の製品や資金力、業務形態などから総合的に判断し、そのうえで十分なメリットが得られるときにはファブレス経営を導入してみるといいでしょう。

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