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2020.9.2

業務委託とは?派遣との違いやメリット・契約書の書き方やトラブル防止法を簡単に解説!

社内に十分な時間やノウハウがない場合、外部に業務委託をすることがあります。ただ、業務委託の依頼が初めてのケースでは、段取りが分からないかもしれません。業務委託では契約書を交わしたうえで、トラブルが起こらないよう予防線を張っていきます。この記事では、業務委託を安全かつ適切に依頼するための流れを解説していきます。

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目次

業務委託とは?

まずは業務委託について知っておきましょう。本章では、業務委託の意味と法律との関係性について解説します。

業務委託の意味

業務委託とは、自社で行っている業務の一部を外部の企業または個人事業主に任せることです。業務を発注する「委託者」と、業務を受注する「受託者」は主従関係がなく、会社員や派遣社員とは異なり、それぞれが対等な立場であるところが特徴です。そのため、受託者は会社側から出勤日や労働時間、業務の進め方などの指揮命令を受けることはありません。

また受託者は、業務に対する成果物の提供、もしくは委託された業務を遂行することで報酬を受け取ります。逆に、会社が成果物に満足できなかったり、業務が遂行されなかったりしたときは、何らかのペナルティが科せられる可能性があります。

業務委託と法律

業務委託によって委託者と受注者が契約を結ぶと、業務委託契約が発生したことになります。「もし契約違反をすれば法律で罰せられるのでは?」と思うかもしれませんが、実は、業務委託契約という契約自体は法律上存在しないのです。

とはいえ、民法における契約には「委任契約」「請負契約」があります。業務委託契約はこれらを総称した呼び名であるため、法律上は存在しなくても法的根拠を持つとされています。

業務委託が注目されている背景

ここ近年、業務委託を依頼する会社は増加傾向にあります。主に次のような理由があるからです。

  • フリーランスとして働く人が増えた
  • 副業・兼業をする人が増えた

どのような背景があるのか、それぞれ詳しく見てみましょう。

フリーランスとして働く人が増えた

業務委託が注目されるようになった背景に、フリーランスの増加が挙げられます。フリーランスとは会社や団体に所属せず、独立して業務を行う働き方です。ICT(情報通信技術)の発展や、クラウドソーシングの普及などにより働き方が多様化したことで、自由度の高いフリーランスはここ数年で増加しました。

多くのフリーランスは業務委託契約を交わし、業務を遂行することで報酬を得ています。またフリーランスとして働く人は、1つの会社だけでなく、複数の会社と業務委託契約を交わしていることがほとんどです。

副業・兼業をする人が増えた

働き方の推進やコロナ禍によるリモートワークの普及をきっかけに、副業や兼業を認める会社が増えました。これにより、多くの人が本業をもちながら、もう1つの働き方を見出しやすくなったのです。

そこで、副業・兼業を希望する人たちが注目した働き方こそ業務委託です。業務委託は時間や場所に決まった規則がないため、本業がある人にとって掛け持ちしやすいといったメリットがあります。仕事を自分で選べ、スケジュールや業務量を調整できるため、本業に支障を出すことなく並行して行えます。たとえ本業で急な残業や出張になったとしても、業務委託であれば副業先に断りの連絡を入れる必要なく、副業のスケジュールを調整できるでしょう。

業務委託のメリット・デメリットと似た言葉との違い

メリットとデメリット

そもそも業務委託とは、自社の業務を外部に委ねることを意味します。法律上は業務委託という表現がなく「請負契約」「委任/準委任契約」と呼ばれています。業務委託は相手を従業員として迎えるわけではないので雇用契約を結びません。そのため、指揮命令権が発生しないというデメリットが出てきます。委託する相手によっては、望んだ通りの仕事をしてくれないこともありえます。ただし、新しく従業員を雇ってスキルを教育する必要がないのは大きなメリットです。

業務委託と混同されやすい言葉

「派遣契約」は、派遣会社に依頼して人材を派遣してもらう方式です。自社の現場で、派遣社員の仕事を見守れるのは魅力と言えます。派遣社員に対して自社から指揮することもあり、業務委託とは違う形態です。次に「個人事業主」とはあくまで働き方の一種で、契約を意味する言葉ではありません。そして「出向」は、出向元と出向先の両方で雇用契約を結んでいる状態です。業務委託と似た部分もあるものの、雇用契約を交わしている時点で明確に異なる方式です。

業務委託の契約形態:委任/準委任契約

成果物に関係なく報酬を払う

「委任契約」とは、継続的に業務をこなしてもらうことを外部に委託する際の形式です。目的はあくまで業務の遂行なので、成果物の有無は関係ありません。成果がどれほど生まれたかにかかわらず、委託先には一定の報酬を支払わなければなりません。逆を言えば、成果がわかりづらい業務を委託するときに選ばれる契約でもあります。例えば、あるプロジェクトの事後処理などは委任契約によって委託される可能性が高いと言えます。また、社内研修、セミナーなどもすぐに成果が見えるタイプの仕事ではないので、委任契約が結ばれるのです。

委任契約と準委任契約の違い

民法656条によって、委任契約と準委任契約は定義がなされています。弁護士や行政書士といった士業が行う法律行為は委任契約によって委託されます。一方、それ以外で一定期間の業務に対価を支払うのが準委任契約です。コンサルタントなどは士業に該当しないため、準委任契約となります。

業務委託の契約形態:請負契約

納期通りに成果物を納品しなければならない

成果物を生み出すことに重きを置いている形態が「請負契約」です。請負契約の場合、最初に納期や成果物の数などが細かく話し合われます。そして、委託先が契約内容に基づいた成果物を納品してようやく報酬が発生する仕組みです。例えば、システムエンジニアやデザイナーなどに業務を委託する際は請負契約を結ぶことが大半です。これらの委託先は、契約を結んだ時点で納期通りに成果物を納める義務を背負います。そのほか、営業活動を請負契約で業務委託した場合なども、新規顧客の獲得数といった成果がない限り報酬は発生しません。

納得できなければ修正依頼

請負契約では、定められた納期までに成果物が完成していないときも報酬を委託先に支払いません。ここでいう完成とは「納品を行うこと」ではなく「委託元が望むレベルの成果物を生み出すこと」を指します。委託先が十分な出来だと思っている場合でも、委託元が納得しなければ完成と言えません。そして、委託元から修正依頼がなされ、委託先はその内容に従ってクオリティを高めていきます。請負契約では、こうした修正についても最初に決められているので、履行するのは委託先の義務となります。

自社社員との違いは指揮命令権の有無!「偽装請負」になるかも

委託元は委託先に命令できない

ここまで書いてきたように、業務委託では会社側に指揮命令権がありません。そのため、自社の従業員に業務を任せる場合とでは大きな違いがあると言えます。基本的に、委託先の仕事の進め方に口を出すことはできません。委託先の中でノウハウや指示系統が確立されているため、委託元といえどもそれを変える権限を持たないのです。もちろん、委託元からすれば委託先の仕事ぶりが気になるケースも出てくるでしょう。ただ、そのような場合でも「このように変えるべきだ」という命令はできません。気になる点を質問するといった程度に留めましょう。

偽装請負にならないよう注意

委託先の従業員が自社に常駐しているとき、思わず口を出したくなってしまうことがあります。相手の仕事が目に入ってしまうので「うちのやり方と違う」といった感想を抱いてしまいがちだからです。しかし、委託先はあくまで自分の所属している組織のやり方で仕事をしています。無理やり従わせると雇用関係が発生したとみなされ「偽装請負」に該当します。すなわち、実質的には雇用関係が結ばれているのに、業務委託を装っている状態です。偽装請負は法律違反としてペナルティを科せられるので、そうならないよう注意しましょう。

トラブル対策:機密性の高いデータは渡さない

本当に渡すべきデータなのか検証

業務委託をしたことでトラブルを招いてしまった事例もあります。例えば、顧客情報などの貴重なデータが流出すると、企業の社会的信用は失墜します。しかし、外部の業者にデータを渡さないと仕事を任せられないケースもありえるでしょう。まずは、渡すデータの選別が重要です。気密性の高いデータを渡す必要性があるのか、よく考えなければなりません。顧客の個人情報やクライアントから預かったサンプルなどは、できる限り自社でのみ取り扱うのが安全です。

業務委託に向かない仕事もある

企業運営に関わる仕事は、そもそも業務委託に向いていません。経営方針の決定などは自社で行うからこそ意味があるからです。また、顧客やクライアントに迷惑がかかるおそれのあるデータを外部に渡すのも必然性が低い行為だと言えるでしょう。こうした業務は外部に委託したところで効率性が上がるとも限らず、危険だけが増します。業務委託をする際には、自社で継続する領域と外部に任せる仕事をしっかり見極めることが大事です。

トラブル対策:業務範囲や成果物の定義などをあらかじめ明確に

「物」は本当にモノなのか

請負契約の場合、委託元が納得できる成果物を納めてもらえるかが非常に重要なポイントです。あるいは、成果物が納品物と形容されている契約も珍しくありません。ただし、請負契約の委託先と委託元で言葉への認識がずれていると後々のトラブルにつながります。例えば、成果「物」と記している場合、一般的にはモノを指していると解釈できます。しかし、仕事の成果は必ずしもモノだとは限りません。斬新なアイデアや新規顧客の契約数なども業務にまつわる成果の形です。成果物が本当にモノなのか、それ以外も指すのかなど、定義が曖昧にならないよう明確にすり合わせておきましょう。

認識のズレは致命的

もしも委託元と委託先の間で認識がずれていると、報酬を支払う段階になってもめることがありえます。委託先からすれば依頼された仕事をこなしているので、正当な報酬をもらってしかるべきだと考えます。一方、委託元は期待していた成果物を納めてもらっていないため、さらなる修正指示を出してしまうのです。こうした不毛な争いによって納品がどんどん遅れてしまうと、双方に不利益しかもたらさないでしょう。

業務委託契約書には何を書くか

契約書によって業務をルール化

委託元と委託先のあいだでトラブルを起こさないために交わすのが業務委託契約書です。一般的な記載事項として「契約の目的」と「委託業務の内容」は必須です。これらが共有されていないと、委託元が納得できる成果物が完成しないこともありえます。次に「業務のルール」「厳守してほしいこと」があれば盛り込みましょう。原則として、委託元から委託先に業務の流れを指示できません。だからこそ、伝えたい点は契約という形で残し、双方合意のうえで仕事が行われるようにします。

報酬に関する取り決めは必須

「再委託」を認めるかどうかも記載したいところです。再委託とは、委託先が別の業者に業務を任せることです。再委託をすることで成果物のクオリティが下がる可能性も出てくるため、委託元が望まないのであれば明記しておきます。さらに「契約期間」「報酬額」「支払時期」なども外せない項目です。報酬の支払いに関するトラブルは少なくないため、契約書でルール化をしましょう。なお、委託期間中に商品アイデアなどの「知的財産」が生まれることもあります。その帰属先を決めておかないと、無断で委託先にアイデアを使い回されるといった問題が起こりえます。

トラブルにも備える

「秘密保持」「損害賠償」「契約を解除する条件」などもトラブル防止の効果がある項目です。委託先の不正行為を抑止し、健全に業務を遂行させられます。それらに加えて「反社会的勢力」の排除についても、合意を取り交わすことで双方の社会的評価も守られます。そして、「合意管轄」も念のために盛り込んでおくことが大事です。合意管轄とは、もめごとに発展してしまったときに、どこの裁判所で争うかの確認です。

契約書作成時のポイント・注意点

まず、業務内容や納品方法はできるだけ具体的に記します。これらは委託元と委託先で解釈のずれが起きやすい項目です。契約書に双方が納得できる方式を載せておけば、成果物の出来や納期で困るおそれが少なくなります。また、定期的なミーティング、報告会に関する項目も盛り込んでおきましょう。指揮命令権がないからといって、委託先の仕事ぶりをまったく確認できないのは不安です。命令にならない程度に、進捗を見守る機会を設けておきます。

成果報酬型の業務委託で起こりやすい問題として、委託先が不正な方法で結果を追求してしまうことが挙げられます。例えば、委託元が望んでいなかったにもかかわらず再委託をするなどのトラブルが起こりえるでしょう。こうした問題を避けるには、契約書に禁止事項を含めておくことが大事です。なお、初めて契約する業務委託者だと、仕事ぶりや人間性などの欠点に後から気づく可能性もあります。解約の条件を契約書に記しておけば、サービスの質の低下や不審な態度によって関係を切ることができます。

業務委託契約書に記載する具体的内容

業務委託契約書には、次のような内容を記載します。

  1. 委託する業務の具体的な内容
  2. 業務遂行の成果物に関する事項
  3. 報酬・手数料について
  4. 契約期間について
  5. 秘密保持について
  6. 知的財産権について
  7. 再委託について
  8. 損害賠償や契約解除について

それぞれの項目の意味や、書き方のポイントなどをさらに詳しく解説するので、ぜひチェックしてみてください。

1.委託する業務の具体的な内容

業務委託契約書には委託する業務内容をなるべく詳細かつ具体的に記載しましょう。具体的な記載がないと、委託者と受託者の間で思い違いが発生し、トラブルのもとになり兼ねません。トラブルを防ぐためにも、詳細に記載する必要があります。

また、業務が専門的で記載すべき内容が多かったり、特殊なケースが想定されていたりする場合、契約書内に業務内容を明記することが困難なケースがあります。その際は、覚書や添付資料などの追加資料を添付しましょう。

さらに、委託後は業務内容に変更が生じることもあります。受託者に対して、委託者の要請を取り込む仕組みが必要です。契約書には、委託者は委託後も業務に介入できる仕組みを設定しましょう。

2.業務遂行の成果物に関する事項

成果物に関する取り決めとして、完成した成果物がいつ、誰に帰属するのかを明記します。具体的な記載事項は下記のとおりです。

  • 形ある有体性のもの:委託者は成果物をいつ誰に渡すのか
  • 形のない無体性のもの:受託者が成果物において情報を公開したり利用したりできるのか

この部分があやふやになると、完成した成果物に対して所有権をめぐるトラブルが起こる可能性があります。業務委託契約という法律が存在しない以上、契約書にてしっかり取り決めておくことが大切です。

3.報酬・手数料について

業務委託契約書には、報酬・手数料に関する取り決めも必要です。複数の業務を委託する場合、成果物の報酬を一括して支払うことがあります。この場合、金額だけでなく報酬項目の内訳を追記し、どの成果物にいくらの報酬が支払われるのかまで詳しく明記します。例えば「1記事〇〇円」「1人あたり〇〇円/日給」と明記されていると、わかりやすいでしょう。

報酬額以外には、報酬が支払われるタイミングや方法(銀行振込・現金など)も明記します。また支払い方法が振込の場合は、振込手数料が自社負担なのか、受託者負担なのかも示しておくことで、トラブルの予防につながります。

4.契約期間について

業務委託契約には契約期間として、開始日と終了日を明記します。契約期間が記載されていないと、「いつからスタートするのか」「いつまで委託され続けるのか」、ここが不透明です。

業務内容や会社によって委託される期間は異なりやすいため、しっかり明記しておくことで、受託者のリソースを確保できます。また受託者にとっては、スケジュールを管理しやすくなるといったメリットがあります。

加えて、自動更新の有無や、その方法を明記しておくこともポイントです。

5.秘密保持について

秘密保持とは、業務上取得した情報を外部に漏らさないことを約束する取り決めのことです。情報の取り扱い方法や範囲など、具体的なところを明記する必要があります。

例えば、「業務以外の目的で使用してもよいのか」「どの情報を対象にするのか」、この2点はしっかり確認しておくべきポイントです。万が一示されていない場合、情報漏洩が起きたときに損害賠償請求ができなくなってしまいます。

6.知的財産権について

知的財産権とは、成果物に対する著作権や特許権などのことです。業務委託契約書には、知的財産権が委託者と受託者のどちらに帰属されるのかを示す必要があります。また、知的財産権が委託者から受託者へと移る場合は、そのタイミングも記載しておきましょう。

一般的に著作権は、成果物を作成した時点では受託者にあります。しかし、納品して譲渡すると、発注者である委託者へと移るのです。例えば、イラストや写真、記事などの成果物であれば、編集や二次利用の可否まで詳しく取り決めておくことでトラブルの予防につながります。

7.再委託について

再委託とは、委託者から発注された仕事を最初に受注した受託者が、別の受託者に再委託することです。つまり、Aさんにお願いしたはずの仕事を、Aさんから依頼を受けたBさんが作業したことになります。発注者としては、思い描いていた成果物を得られない可能性があります。

無断で行う再委託はトラブルの原因になるため、再委託を許すかどうかは、しっかり記載しておくべき項目の一つです。また、再委託を許可する場合は、要件も示すようにしましょう。

8.損害賠償や契約解除について

損害賠償とは、委託者もしくは受託者による契約違反が発覚した際に問われる責任のことです。業務委託契約書には、損害賠償責任の範囲と上限額を示します。

損害賠償を請求されるケースとしてよくあるのは、情報漏洩や著作権侵害、納期遅延などです。例えば、依頼したイラストが、ほかの会社で使用しているイラストを真似たものだった場合、著作権侵害として訴えられるのは会社側です。このとき、損害賠償についてしっかり明記しておけば、制作した受託者に請求できることになります。

また契約解除とは、委託者または受託者の責任において契約を解除できることです。契約期間中も対象となるため、被害を受けた側が損をしないよう、契約解除の理由によっては損害賠償できる旨も記載しておくとよいでしょう。

業務委託契約書を変更したい場合の対処法

原契約である業務委託契約書の内容に変更が生じた場合、「変更契約書」もしくは「覚書」を作成し、契約し直さなければいけません。変更契約書や覚書は、契約書の一部に変更や追加があった場合、原契約に法的根拠をもたせるものです。つまり、変更契約書または覚書を作成すれば、業務委託契約書をわざわざ作成し直す必要がないのです。

変更契約書や覚書に記載する内容は、原契約からの変更点や追加点です。ほかにも、原契約を特定する項目や、変更内容以外は原契約が適用されていること、変更時期なども記載します。

業務委託契約書を変更する際は、次のような注意点があります。

  • 変更内容は委託者と受託者の間ですり合わせておく
  • 契約金額や契約期間など大きな変更がある場合は印紙が必要になる

とくに、変更内容のすり合わせはとても重要です。委託者と受託者の認識がズレていれば、後々トラブルにつながる可能性があります。変更契約書や覚書を作成する前に、確認しておくべきポイントです。

契約書に収入印紙は必要?

租税の支払いや行政に対する手数料の支払いをするときは「収入印紙」が必要となります。業務委託の契約書で収入印紙が必要なのは「請負に関する」場合です。請負契約を結ぶ際には収入印紙を用意しましょう。なお、契約金額が1万円未満であれば印紙は不要です。次に「継続的取引の基本となる」契約書でも印紙が要ります。この際の収入印紙は一律で4000円です。ただし、更新の予定がなかったり、契約期間が3カ月以内であったりすると印紙がなくても契約書を作成できます。請負でもなく、継続的取引の基本にもならない契約書については収入印紙が必要ない決まりです。

源泉徴収はするべき?

報酬を受け取る側が個人の場合、源泉徴収をしなくてはならないことがあります。源泉徴収の対象となるのは、所得税法に記載されている8つの項目のうちいずれかに該当するケースです。「原稿か講演の料金」「芸能人や芸能プロダクションへの報酬」などの項目に当てはまらなければ源泉徴収は不要です。源泉徴収を行った後は、報酬や料金を支払った翌月10日までに、管轄の税務署か金融機関にて納付を行います。ちなみに、税率をかけるときは消費税を含まない額で計算します。

源泉徴収の対象となる8項目には「コンパニオンやキャバレーなどに勤めるホステスに支払う報酬」など、定義が広いものもあるのが特徴です。「キャバレーなど」には、旅館やパーティーで行われた接待も含まれています。また、キャバレーではないバーなどの飲食店でも、従業員がお客の接待を行っているのであれば、給料は源泉徴収の対象です。そのほか「原稿料」という項目にせよ、その定義をどう捉えるかは人それぞれでしょう。仕事が多様化している現代において「この仕事は源泉徴収が必要なのか」と迷うことも少なくありません。源泉徴収についての問い合わせは国税庁の窓口で受け付けているので、疑問に感じた際は相談してみましょう。

雇用契約を結ばない業務委託以外の方法はある?

業務委託のほかに、雇用契約を結ばずに業務を委託する方法には、次のものがあります。

  • 代理店契約する
  • 派遣会社を利用する

それぞれの特徴を解説するので、委託先を探している方は参考にしてみてください。

代理店契約する

代理店とは、商品やサービスを取り扱う会社に代わり、販売や取引、仲介などを行う事業や店舗、個人のことです。会社などの代理として一部の業務を行うという点で、業務委託と似ているといわれます。

代理店では「代理店契約」に基づいて、会社などの発注者から委託された商品やサービスを顧客に販売して売上を上げます。報酬を得られるタイミングは、業務委託では成果物の納品後に対し、代理店は顧客との売買契約の成立後です。代理店は主に、販売業や営業など、商品やサービスを販売する業種で利用されています。

派遣会社を利用する

派遣会社とは、自社で雇用する社員を経験やスキルに合わせて、別の会社へと派遣する会社のことです。労働者を派遣するのには厚生労働省の許可が必要なため、依頼する会社にとっては安心して利用できるというメリットがあります。

派遣会社と派遣先となる会社は「派遣契約」を結んでおり、それに基づいて労働者の派遣が行われています。人手不足を補うために派遣会社を利用する会社は多く、自社に迎えて一般社員と同じように働いてもらうのが一般的なスタイルです。また、派遣先会社と労働者の間には指揮命令関係があるため、労働者は出勤日や労働時間、業務の進め方など指示に従うこととなります。

業務委託と業務提携の違いは?

業務委託とよく似た言葉に「業務提携」があります。英語では、「Business partnership」や「Business tie-up」と呼ばれています。業務委託は一部の業務を外部の会社またはフリーランスとして働く個人に委託することです。一方の業務提携は、外部の会社と協力関係を結び、利益を追求しながら業務を行うことです。つまり、業務提携は委託するのではなく、共に実施するため、2つはまったくの別物といえます。

業務提携する企業は近年増加傾向にあります。例えば、人気のアニメキャラクターと飲食店のコラボレーションも業務提携の1つです。コラボレーションは一定期間の業務提携であることが多く、気軽に行えるところが特徴です。もう少し本格的な業務提携になると「アライアンス」という言葉が使われます。

また業務提携は企業間で結ばれることが多く、双方の関係は常に対等であるところも特徴の1つです。業務委託と同じで、明確な法律の定義や位置づけなどがないため、ここでも契約書の存在が求められます。

一歩間違えるとトラブルに!しっかり理解して契約を結ぼう

業務委託は個人相手に行うことも多く、気軽に依頼してしまいがちです。しかし、委託先と仕事について共通の理解ができておらず、トラブルになるケースも少なくありません。契約書を作っていないと、さらにリスクは高まります。請負と委任の違いなどを学んだうえで、業務委託の範囲をしっかり定めてから契約しましょう。はっきりと契約書で業務委託の定義を行っていれば、双方納得のうえで仕事を進められます。

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