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2020.11.20

ホラクラシー組織とは?これを読めばホラクラシー組織を完全理解

組織形態の一つとして、高い注目を集めているのが「ホラクラシー組織」です。ホラクラシー組織とは、簡単にいうと組織における構成員の立場に上下関係がなくフラットで、個人の主体性が重要視される組織形態をいいます。この組織形態の概要について耳にしたことがなく、きちんと理解できていない人も多いのではないでしょうか。この記事では、ホラクラシー組織に興味がある人に向けて、概要やメリットについて詳しく紹介します。

ホラクラシーとは

ホラクラシーとは、自律的なグループに決定権を分散させて、そのグループごとが「自発的に活動を行えるようになる組織管理システム」のことです。通常の企業の場合、最終的な決定権を握っているのは、組織を束ねる役職者であることが一般的です。しかし、ホラクラシーの考え方は、社員一人ひとりが所属しているグループに決定権が与えられます。

代表的な例として、靴をメインに取り扱いECサイトを運営している「ザッポス」は、ホラクラシーを導入している企業として有名です。同社の斬新な取り組みは世界中の経営者から注目されています。

ホラクラシー組織が注目された背景

ビジネスシーンなどで耳にする機会も増えてきたホラクラシー。一体、どのような理由で注目されるようになったのでしょうか。ホラクラシーという組織形態はもともと、アメリカで最初に考えられたものです。従来の組織管理システムでは、情報化が進む社会についていけないという課題がありました。また、自分の意見は通らないと考える社員も多く、「ヒエラルキー型組織」はやる気を失ってしまうことが問題視されていたのです。こうした問題を解決するために、考え出されたのがホラクラシー組織です。従来のヒエラルキー型組織では、社員ごとの意見を聞いているとその数が膨大になってしまい、結果的に組織改善に反映されたのは「上司の意見だった」というケースも多くありました。

これは一見、大きなデメリットのように感じられるかもしれません。しかし、社会の変化のスピードがゆるやかな工業化時代においては、ヒエラルキー型組織のほうが、メリットが多かったのです。一極集中型の管理システムの場合、安定した成長を見込めるというメリットがあったのです。ただ、情報の移り変わりが激しい現代では新たな技術が続々と誕生するものです。それにともない、人々の考えも多様化して、従来の組織構造ではうまく組織が機能しなくなったのです。ホラクラシーはこのような組織の「ひずみ」を解決しつつ、社員の意見も取り入れられる、画期的な管理方法として注目されるようになってきました。

ヒエラルキー型組織との違い

ホラクラシー組織について学ぶうえで、知っておきたいのが「ヒエラルキー型組織との違い」です。ヒエラルキー組織は、ホラクラシー組織と真逆の性質を有する組織形態です。ヒエラルキーは中央集権型・階層型の組織であるのに対し、ホラクラシーは分散型・非階層型の組織という違いがあります。また、意思決定にも大きな違いがみられます。ヒエラルキーでは階級や役職が決まっており、管理職やリーダーが意思決定を行うことが基本です。

一方、ホラクラシーは組織内で共通したルールにのっとり、メンバー内の個人やチームが自ら意思決定を行います。ヒエラルキーは権限を持つ人のもとに情報が集まりやすい仕組みになっており、情報の非対称性がみられます。その点、ホラクラシーは基本的にすべての情報がメンバーに共有され、隅々まで行き届くことが目指されるのです。

ホラクラシー組織とティール組織

ホラクラシー組織と混同されがちなのが、「ティール組織」です。ティール組織とは、組織というものは、その組織に関わるすべての人のためのものとしてえ、メンバーの個々が組織の目的に共鳴した行動をとることを指します。ティール組織はホラクラシー組織と同様、管理職やリーダーが存在しません。階層構造およびマネジメントの仕組みがない代わりに、各メンバーが裁量権を持ってアクションを起こすことがホラクラシー組織との共通点です。

似た組織として知られる両者ですが、異なる点があります。それは、ティール組織という言葉はホラクラシー組織に比べて「抽象度が高い概念」ということです。ティール組織には確固たるビジネスモデルがなく、そのぶん導入や運用における自由度が高くなっています。ホラクラシー組織はティール組織の一形態であるという考え方が一般的なのです。

ホラクラシー組織のメリット

ホラクラシー組織に興味がある人にとって、気になるのが「導入後どのようなメリットを得られるのか」という点でしょう。ホラクラシー組織を実際に導入した場合、どのような効果を得られるのでしょうか。主なメリットについて見ていきましょう。

ホラクラシー組織のメリット①スピード感のある意思決定

ホラクラシーはフラットな組織であることが最大の特徴です。そのため、上司や役員への確認および承認という段階を踏む必要がありません。チーム内で意思決定を行い、各自の役割を実行することになるため、速やかな意思決定・実行が可能です。上層部への確認作業の手間を短縮できることが、大きなメリットといえるでしょう。また、スピード感のある意思決定だけではなく、社員の見識を吸収するための土台づくりを行えます。こうしたことが、組織内の改善スピードの向上につながるのです。その結果として、事業をより円滑に回すことができ、成長スピードを上げることが期待できます。

ホラクラシー組織のメリット②社員の主体性の向上

ホラクラシー組織は、社員の成長にも一役買ってくれます。上からの指示を待つばかりでは、社員の成長は見込めません。ホラクラシー組織は上からの指示を待つのではなく、チーム内で意思決定を行い、自分の得意なことを生かしながら仕事を進められます。その結果、社員自身の「考える力」が養われていき、主体性が向上するのです。主体性の向上は、社員のモチベーションアップにもつながっていきます。

また、上層部の意思決定で仕事を進めるのではなく、チームや自身の意思で動けるようになり、上下関係のわずらわしさから解放されるというメリットもあります。上下関係によるストレスはモチベーションの低下を招くため、その原因を解消できることは非常に大きなメリットといえるでしょう。

メリット③柔軟な組織運営

部署ごとに管理職を中心に人員配置を行うヒエラルキー組織に対し、ホラクラシー組織はチーム体制を敷くものの、管理職は不在です。そのため、チームは流動的に活動を行います。業務は個々の役割ごとに切り分けることが基本であり、組織に依存せず、社員は「自分のやるべきこと」を明確に意識するようになります。その結果、柔軟な組織運営が可能になるのです。タスクやプロジェクトごとにチーム形成を行うということは、そのぶん人員転換もスムーズになるということです。人材のニーズの変化に対しても、現状に応じた対応を行いやすくなるでしょう。

ホラクラシー組織のメリット④業務効率化

ホラクラシー組織を導入することによって、「業務効率化」を見込めます。ヒエラルキー組織では構成上、組織を管理するための業務がどうしても発生します。その点、ホラクラシー組織はフラットな構成であるため、その業務が発生しません。日報業務や評価面談などを実施するには、そのぶん打ち合わせの手間と時間がかかります。しかし、ホラクラシーではこのような打ち合わせを行う必要性がなくなります。管理する側とされる側の両方の業務を削減でき、業務の効率化を目指せるのです。

日常的に行っていたこれらの手間をなくすことで、事業のために「本当に必要な業務」に集中する時間を最大限にすることができます。必要な作業を効率的に済ますことができ、業務効率も大幅に上がります。その結果、企業の成長にもつなげられることが大きなメリットです。

ホラクラシー組織のデメリット

ホラクラシー組織は企業と社員の双方にとって、数多くのメリットがあることがわかりました。しかし、物事には良い面もあれば、悪い面もあります。実際にホラクラシー組織を導入することによって、何か不都合なことはあるのでしょうか。デメリットまでしっかりと把握したうえで、導入を検討することが重要です。ホラクラシー組織を導入した場合のデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

ホラクラシー組織のデメリット①リスク管理

ホラクラシー組織を導入する場合に、注意したいのが「リスク管理」の問題です。現状の組織形態からホラクラシー組織にシフトする場合、企業のリスク管理について考え方を見直す必要が生じます。具体的には、ヒエラルキー組織の場合、上層部の何人もの承認を得たうえで、行動を起こすという流れがありました。この場合、コストの妥当性やリスクを回避できる可能性が高くなります。一方、ホラクラシー組織はフラットな組織構造であるため、誰かの承認を得る作業段階がありません。そのため、社員との信頼関係こそが、唯一の根拠となるのです。

このような点を踏まえると、ホラクラシー組織は会社と社員との距離が近い場合に導入しやすい傾向といえます。エンゲージメントが高い組織であれば、問題なくスムーズにシフトできる可能性が高いでしょう。反対に、ヒエラルキー組織が浸透している企業の場合は、導入が円滑に進まない可能性があります。企業内ですでに浸透しているものを一変させるということは、簡単なことではありません。そのことをしっかりと念頭に置いておきましょう。

ホラクラシー組織のデメリット②組織のコントロールの難しさ

ホラクラシー組織では、基本的に個々が主体となって動くため、メンバーの管理を行いません。メンバーを信頼し、業務を一任することになります。ただ、ホラクラシー組織はリーダーや管理職などの、組織全体を統括する人間がいません。組織を統括する人材がいないと、チームをまとめることが難しいという問題点があります。また、ホラクラシー組織はヒエラルキー組織と比べて、「自分の仕事が予定どおりに進捗しているかどうか」が可視化しにくい状況になります。そのため、こうした面でも会社と社員におけるエンゲージメントの高さが鍵を握ることになるでしょう。

ホラクラシー組織のデメリット③社員の自主性

ホラクラシー組織は社員の自主性を高められることがメリットです。ただ、その反面、社員のセルフマネジメント力が不可欠となります。なぜなら、社員が自ら「目標を達成するために動こう」という高い意識を持っていなければ、ホラクラシー組織は成立しないからです。社員すべてが前向きかつ能動的な意欲があるとは限りません。社員のモチベーションを正確に理解することが求められます。社員を能動的に動けるよう意識づけるにはどうすべきか、またどのように環境作りを行うべきか、企業がきちんと考えておく必要があります。さらに、採用の段階で社員の自主性を判断できるのかという点も、大きな課題となるでしょう。

ホラクラシー組織のデメリット④かかるコスト

新しいことをスタートさせるには、何かとお金がかかるものです。ホラクラシー組織の導入も例にもれず、導入に関してコストがかかります。コスト面の負担はホラクラシー組織の導入における、避けられないデメリットといえるでしょう。どのようなことにコストがかかるのかというと、具体的には「社員理解推進のための措置」が挙げられます。

ホラクラシー組織を導入するには、社員全体にその概念を理解してもらうことが不可欠です。今までの組織における行動とは大きく異なる行動をとってもらう必要があり、そのための「環境づくり」を行うコストがかかるのです。ホラクラシーが社内全体になじむまでには、ある程度の時間とコストが必要になることを念頭に置いておきましょう。

ホラクラシーをめぐる誤解

ホラクラシーは誤解されやすい概念ともいわれています。たとえば、ホラクラシー組織は「自由に何でもやっていい」「管理者がいない無秩序な組織」「階層がないため情報漏洩しやすい」などと誤解されるケースがあります。しかし、ホラクラシー組織は「ホラクラシー憲法」のルールにのっとって運営されており、従業員の行動について規制が存在します。自由度が高くても、行動は適切に規制されているはずです。また、グループ内には「ファシリテーター」という業務の進行を管理する役職があります。管理者がまったくいない組織というわけではありません。

さらに、誤解されやすいのが階層の問題です。1つのグループが大きなグループに属しているというスタイルであり、厳密には階層がないというわけではありません。また、情報がオープンになることを心がけた概念であるものの、個人情報および企業情報に関しては、今までどおり徹底した管理が求められます。したがって、一概に情報漏洩しやすい組織ではないのです。このような誤解がないよう、きちんと理解を深めておくようにしましょう。

社員と信頼関係を構築して新たな組織体制を作り上げよう

ホラクラシー組織は企業・社員の双方にメリットの多い組織形態といえます。ポイントを整理し、さまざまな角度から理解を深めることが大切です。また、導入には社員との信頼関係、つまりエンゲージメントが必要になります。導入後も、社員との信頼関係に委ねられる要素が多く存在します。導入に失敗しないためにも、まずは社員との信頼関係をしっかりと築いたうえで、ホラクラシー組織を取り入れることを検討しましょう。

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