2019.09.24

育児休業給付金とは?支給額の計算方法や申請手続きの流れを徹底解説

育児休業給付金とは?支給額の計算方法や申請手続きの流れを徹底解説

育児休業に入る社員にとって、貴重な収入源となるのが育児休業給付金です。申請には会社のサポートが不可欠であるため、人事担当者は育児休業給付金についてしっかりと理解しておくことが大切です。この記事を読めば、育児休業給付金の支給条件から申請方法、支給額まで網羅的に理解することができます。育児休業に入る社員のために、育児休業給付金についての正しい知識を身につけておきましょう。

育児休業給付金とは?

育児休業給付金は、厚生労働省が推進している国からの支援金です。育児休業中は従業員は働くことができず、かといって会社が給料を払い続けることも難しいため、国がお金を給付する仕組みになっているのです。この制度により、従業員は収入面への不安が払拭され、育児に集中できたり、保護者のうちいずれかが育児と仕事を両立しやすくなったりといったメリットを得ることができます。さらに、非課税であり、受給中は被保険者(事業主も同様)にかかる社会保険料も免除されます。

育児休業給付金は、従業員が育児休業中に申請することで受給可能です。ただし、受給のための条件が設定されているため、誰でも受給できるわけではありません。スムーズに従業員が支援金を受け取れるように、事業主は条件や期間を理解しておく必要があります。

支給期間

育児休業給付金の支給期間は、産後休業期間(出産日の翌日から8週間)が終了した次の日から子どもが1歳に達する前日までですが、「パパママ育休プラス制度」を利用した際は、育児休業取得可能期間の延長が可能です。「パパママ育休プラス制度」とは、父母ともに育児休業を取得する場合などに利用できる制度のことです。この制度を利用すれば、1歳2カ月まで支給対象となり、通常よりも支給期間を2カ月延長することができます。ただし、育児休業を取得できる期間は1年間であることに注意しなければなりません。

子どもを保育所に預けられないなどのやむを得ない理由に該当する場合には、子どもが2歳に達する前日まで支給期間を延長可能です。なお、育児休業給付金は、2人目以降も条件を満たしていれば支給されます。1人目の育児休業中に2人目を妊娠した場合は、2人目の産休開始の前日までが、1人目の育児休業給付金の対象となります。そのため、対象期間が残っていたとしても2人同時に支援金を受け取ることはできません。

支給を受ける際の注意点

育児休業給付金はその期間にのみ支払われる支援金なので、産後休業期間には支給されないことに注意しなければなりません。産後休業期間は、出産日の翌日から8週間です。それを過ぎると育児休業期間に入り、支援金を受け取ることができます。期間中問題なく従業員が給付金を受け取るためには、従業員が事業主を通じて2カ月に1回、支給申請をする必要があります。

また、初回の支給申請までに、従業員が事業主を通じて必要書類を提出しておくことも忘れてはいけません。必要書類を提出しなければ支給申請ができないため、当然支援金も受け取ることができなくなります。従業員から育児休業給付金を希望する旨があった際は、スムーズな手続きができるように、必要書類をあらかじめ準備してもらうようにしましょう。

育児休業給付金の支給条件

育児休業給付金の支給は、まず1歳未満の子どもがいること、育児休業給付金を希望する従業員が雇用保険に加入していることが条件になります。次に、育児休業開始前の2年間に、11日以上就業している月が12カ月以上あることも条件です。この条件は正社員の従業員であれば、満たしている可能性が高いです。しかし、パートなど契約社員で働いている従業員の場合は条件を満たせていないことも考えられるので、申請前にしっかりとチェックしておく必要があるでしょう。

このほか、育児休業期間中の各1カ月ごとに、休業開始前の1カ月あたりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないことも支給条件です。また、育児休業期間中の各1カ月ごとに、就業している日数が10日以下であることも定められています。万が一、1カ月の就業日数が10日以上となり支給条件から外れた場合、それにあたる賃金を次に育児休業給付金を取得した際の支給額に算定する場合があります。これにより、次の子どもに係る育児休業給付金の額が少なくなることが考えられます。従業員から育児休業給付金の希望があった際は、人事担当者は希望者の契約内容にしっかりと目を通して、支給条件を満たしているか確認しておく必要があるでしょう。

育児休業給付金の申請方法

育児休業給付金を申請するためには、いくつかの手続きと書類の提出を行わなければなりません。これらは、基本的には事業主が提出し手続きを進めるケースがほとんどですが、希望すれば受給者本人が提出することも可能です。ただし、必要書類などは事業主が準備するものが主なので、事業主が手続きを進めたほうがスムーズに申請できます。受給者本人がどうしても自分で申請したいと希望しない限りは、事業主が申請するのが無難です。

なお、申請方法は、電子申請による支給申請も認められています。電子申請を利用すれば、申請書の作成や必要書類の送付をインターネット上ですべて行えるため便利です。ここからは、申請に必要な書類や申請手順、申請する際の注意点について説明していきます。

必要書類

育児休業給付金の申請に必要な主な書類は「休業開始時賃金月額証明書」「育児休業給付受給資格確認票」「(初回)育児休業給付金支給申請書」の3つです。「育児休業給付受給資格確認票」と「(初回)育児休業給付金支給申請書」は、事業所の所在地を管轄しているハローワークから交付されます。

この3点は、事業主が用意しておかなくてはならない書類です。このほか、申請書の内容を証明するために「賃金台帳」または「出勤簿」も併せて用意しておく必要があります。従業員には、育児の証明のために「母子健康手帳」の写しと「(育児休業給付金を受け取るための)受取口座の通帳」の写しをあらかじめ用意してもらいましょう。

「パパママ育休プラス制度」を従業員が利用する場合は「住民票」など支給対象者の配偶者であることを確認できる書類の写しが必要です。配偶者が育児休業給付金を受給していない場合や、申請書に配偶者の雇用保険被保険者番号がない場合は、育児休業の取得を確認できる書類の提出が求められます。そのため、配偶者の「育児休業取扱通知書」といった書類を用意しておく必要があります。事前に確認して、必要であればこれらの書類も準備するよう伝えておきましょう。

申請手順

まず、育児休業給付金を希望する従業員が事業主に育児休業の申し出を行い、事業主が管轄のハローワークに書類申請をします。申請後、「育児休業給付受給資格確認票」と「(初回)育児休業給付金支給申請書」が送られてきたら、それぞれ従業員に記入してもらいます。従業員には、記入してもらった書類と「母子健康手帳」の写し、「受取口座の通帳」の写しを併せて提出してもらいましょう。

事業主は、それらの書類に「休業開始時賃金月額証明書」と「賃金台帳」もしくは「出勤簿」を添付し、管轄のハローワークに提出します。書類不備などで手続きが遅れないように、「母子健康手帳」「受取口座の通帳」の写しなどもすべて忘れずに提出しましょう。これ以降は、申請を行った従業員が、2カ月に1回事業主を経由して支給申請書を提出する流れです。受給者本人が申請書を提出する場合は、1カ月に1回支給申請を行う必要があります。

申請時の注意点

育児休業給付金の申請をする際は、マイナンバーが必須となります。申請時の記入内容として必ず必要になってくるものなので、あらかじめ「マイナンバーカード」もしくは「マイナンバーカード通知書」を従業員に準備してもらうようにしましょう。万が一、紛失等で手元にない場合は再発行手続きが必要になります。

なお、「休業開始時賃金月額証明書」と「育児休業給付受給資格確認票」の書類は、初回の支給申請を行う日までにハローワークに提出する必要があります。もし、これらの書類の提出を初回の支給申請と同時に行う場合は、申請期限に十分注意しましょう。受給資格確認手続きと初回の支給申請手続きを併せて行う場合、育児休業が始まって4カ月後の日が含まれる月の末日までが申請期限になります。

2回目以降の支給申請については、ハローワークが定めた期限までに申請します。ハローワークから交付される通知書に記載されているので、申請し忘れることのないようにきちんと確認しておくようにしましょう。

育児休業給付金の支給額

育児休業給付金は受け取る期間が2カ月ごとと定められており、もらえる金額もきっちり決められています。受け取るまでの期間については、申請してから最低でも3カ月はかかるとみておきましょう。育児休業期間は、子どもが生まれてから8週間は含まれません。その後に手続きをし、さらに2カ月ごとに給付金を受け取る流れだからです。支給額については、賃金日額の算出や上限や下限が設けられているなど複雑になっています。ここからは、育児休業給付金の支給額がどのように決定されるのか、計算方法と実際にもらえる額について詳しく説明していきます。

計算方法

育児休業給付金の1カ月の支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)の67%」で計算されます。育児休業の開始から6カ月経過した場合は「休業開始時賃金日額×支給日数の50%」です。計算式にある「賃金日額」とは、事業主の提出する「休業開始時賃金月額証明書(票)」によって、原則育児休業開始前の6カ月の賃金を180で割った額のことです。

これを休業開始時賃金日額として算出し、育児休業を取った日数をかけた数字を67%(育児休業開始から6カ月経過した場合は50%)にすれば、1カ月あたりの給付金を導き出すことができます。仮に、直近6カ月が月平均20万円だった場合の育児休業給付金の月額は「20万×0.67=13万4000円」となります。育児休業の開始から6カ月経過している場合は「20万×0.5=10万円」です。

支給額の上限と下限

まず、「賃金日額」に支給日数の30日を乗じることによって算定した「賃金月額」は、44万9700円を上限として定めています。そのため、支給額の上限は「44万9700円の67%(50%)の30万1299円(22万4850円)」です。一方、「賃金月額」の下限は7万4400円です。そのため、支給額の下限は「7万4400円の67%(50%)の4万9848円(3万7200円)」となります。この額は、毎年8月1日に変更されます。

なお、支給対象期間中の1カ月の賃金と「賃金日額×支給日数」の67%(育児休業開始から6カ月経過した場合は50%)の額の合計が「賃金日額×支給日数」の80%を超えた場合は、それに当たる額を減額支給となります。さらに、1カ月の賃金のみで「賃金日額×支給日数」の80%に相当する額以上の場合は、育児休業給付金は支給されません。

支給期間の延長

子どもを保育所に預けられないなどやむを得ない理由がある場合は、育児休業給付金の支給期間を延長することができます。延長期間は、元々は1歳6カ月まででしたが、平成29年10月の法改正により、最大で子供が2歳に達するまで支給を受けられるようになりました。ここからは、延長の条件や延長申請の手順について詳しく説明していきます。

延長の条件

支給期間の延長については、以下のような条件となっています。
1つ目は、保育所等に保育の実施を希望し申し込みを行っているが当面の間実施されない場合、2つ目は、配偶者がなんらかの理由で養育ができなくなった場合です。

1つ目の条件は、保育所に預けたくても預けられないなどやむを得ない理由があれば、支給期間延長の対象となります。ただし、条件を満たすためには保育所に申し込みを行っていることが重要になるので、1歳もしくは1歳6カ月に達する日の翌日について、保育が実施されるよう事前に保育所に申し込んでいないと対象にはなりません。

2つ目の条件は、配偶者が死亡したときや、負傷や疫病などで養育が困難になったときなどが対象です。このほか、婚姻の解消やそのほかの事情により子どもと同居できない場合も同様です。さらに、6週間以内(多胎妊娠は14週間)に出産する予定である、もしくは産後8週間を経過していない場合も該当します。

延長の申請

支給期間の延長を従業員が希望した際に、子どもが1歳に達した後と1歳6カ月に達した後にそれぞれ延長する場合は、その都度延長の申請を行います。延長の申請は、延長する理由ごとに、その理由を証明するための書類が必要になります。たとえば、保育所に入れない場合は、延長理由を確認できる「入所不承諾通知書」や「入所申出書」などが必要です。配偶者が死亡した場合や離婚等で子どもと別居した場合には、世帯全体がわかるよう記載された「住民票」や「母子健康手帳」を提出します。

負傷や病気、精神障害等の理由により養育が困難な場合には「病院の診断書」や「母子健康手帳」を準備し、6週間以内に出産予定があるもしくは産後8週間を経過していないときには「母子健康手帳」を用意しておく必要があります。これらの書類を、子どもが1歳もしくは1歳6カ月に達した後に「育児休業給付金申請書」に延長の旨を記載して提出しなければなりません。

その他の育児を支援する給付金

育児休業給付金以外にも、育児を支援するための給付金があります。ここからは、「児童手当」「出産手当金」「出産育児一時金」について紹介していきます。育児休業給付金以外にも国からの支援金を受け取れる制度はあります。従業員が育児休業給付金の支給条件を満たせなかった場合にも、いずれかの支援金を受け取れるように、諦めずに確認しておくと良いでしょう。これらの支援金は、各条件を満たせば育児休業給付金を受けていても受け取ることができます。

児童手当

児童手当は、0歳から中学校を卒業するまでの児童を養育している人に国から支払われる支援金になります。原則毎年6月、10月、2月にそれぞれの前月分までの手当てが支給されます。支給額は、毎月1~1万5千円です。3歳未満が一律1万5000円、3歳以上小学校終了前が1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は一律1万円です。

児童手当を受け取るためには、年に1度「現況届け」と呼ばれる書類を居住する市町村役所に提出しなければなりません。こちらの書類は市町村によって内容が異なる場合があります。事前に確認したうえで、専用の用紙にその年の6月1日時点の内容を書き、6月末までに提出することが大切です。万が一、その年に現況届けを6月末までに提出できなければ、要件を満たしているかの確認ができないため、6月分以降の手当てを受けられなくなります。

なお、児童手当とよく間違われやすい「児童扶養手当」というものもありますが、こちらは児童手当の受給条件とはまったく異なります。児童扶養手当は所得要件を満たした母子家庭もしくは父子家庭に支給されるものです。混同しないように注意しましょう。

出産手当金

出産手当金とは、会社で加入する健康保険から産休で収入を得られなくなった人に対して協会けんぽから支給されるものです。被保険者が産休中に給与の支払いを受けなかった場合に受け取ることができます。出産の日以前42日(多胎妊娠では98日)から出産の翌日以後56日目までのうち、会社を休んだ期間が対象です。出産の日は、実際の出産が予定日後の場合は出産予定日となります。

出産手当金は、在職時の給与を日額にした3分の2の金額が日数分支給され、出産が予定日より遅れた場合でも、遅れた期間についてきちんと出産手当金が支給されます。申請には「健康保険出産手当金支給申請書」が必要です。申請期限は産休に入った日から2年以内となっています。申請期限に余裕がありますが、うっかり忘れてしまわないように、早めに届け出をすることが大切です。

出産育児一時金

出産育児一時金は、出産手当金と間違えやすい制度ですが、目的も異なりますしもらえる金額も大きく異なります。出産手当金が産休にあたり支給されるものであるのに対し、出産育児一時金は基本的に出産自体に掛かる費用を助成するのが目的です。この制度は、出産後協会けんぽへ2年以内に届け出することで受給可能です。1児につき42万円が支給され、多胎出産の場合は、胎児の人数分一時金が支給されます。流産や死産であっても、妊娠4カ月以上を経過していればもらうことができます。

出産育児一時金の主な支給方法は、直接支払制度と受取代理制度の2つです。直接支払制度は、出産育児一時金を出産費用に充てられるように設けられた制度なので、まとまった出産費用を事前に準備しておく必要がありません。こちらを申請すれば、医療機関等へ協会けんぽから出産育児一時金が直接支払われる流れです。もし、出産費用が42万円以内だった場合は、差額分を後に請求する必要があります。

受取代理制度は、被保険者の出産後に協会けんぽへ申請し一時金を受給する方法です。医療機関等に出産育児一時金を支払われるのを希望しない場合は、受取代理制度の利用が適切です。申請には「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申込書」と「健康保険出産育児一時金支給申請書」を提出する必要があります。

育児休業給付金の制度を理解し社員の休業期間に役立てよう!

育児休業給付金は育児休業中の従業員にとって大切な収入源なので、受給条件を満たせず支援金を受給できないといった状況は避けたいものです。事業主が受給条件や申請期間などをしっかりと把握しておけば、従業員は安心して育児に専念することができるでしょう。事業主は、育児休業給付金はもちろんのこと、児童手当や出産手当金、出産育児一時金についても把握しておくことが大切です。それぞれの制度を正しく理解し、従業員の育児休業期間に役立てるようにしましょう。

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