2024.9.30
ISO30414とは?人的資本の開示項目やメリット、注目されている理由をわかりやすく解説
こんにちは!働きがいを応援するメディア「ピポラボ」を運営するサイダス編集部です。今回は、近年、企業の持続的な成長に欠かせない要素として注目を集めている「人的資本」に着目し、その中でも特に重要な国際規格である「ISO30414」について解説します。
本記事では、ISO30414の概要から、導入のメリット、具体的な開示項目まで、わかりやすく解説します。「ISO30414って何かよくわからない…」という方も、この記事を読めば、ISO30414の全体像を理解し、自社への導入を検討するきっかけになるはずです。
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目次
ISO30414とは?
ISO30414とは、2018年12月に国際標準化機構(ISO)によって制定された、組織における「人的資本」に関する情報開示の国際規格です。企業が人的資本をどのように捉え、どのように管理・投資しているかを明らかにすることで、投資家をはじめとするステークホルダーに対して、企業価値を適切に評価するための情報を提供することを目的としています。
従来の財務情報中心の企業評価では、従業員の能力やエンゲージメントといった「目に見えない資産(=無形資産)」とも表現される人的資本を十分に評価することができませんでした。しかし、グローバル化や技術革新が加速する現代において、企業の競争優位性を築き、持続的な成長を実現する上で、この人的資本が重要な要素であるという認識が世界的に高まっています。ISO30414は、こうした流れの中で生まれた、企業の持続的な成長と投資家を含むステークホルダーとの良好な関係構築のための重要な枠組みと言えるでしょう。
ISOとは
ISOとは、スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」の略称であり、国際的に通用する標準規格の策定を行う国際機関です。ISOへの参加は、1つの国につき1つの標準化機関と制限されており、2024年7月現在は171ヶ国から171機関が加盟しています。日本からは、1952年からJISC(日本産業標準調査会)が加盟しています。
ISO規格を活用する最大のメリットは、世界中で同じ品質レベルの製品やサービスを提供でき、国際的な取引がスムーズに行えるようになることです。ISOの標準規格には、大きく分けて製品そのものを対象とする「モノ規格」と組織の活動を管理するための仕組みを対象とする「マネジメントシステム規格」の2種類の規格があります。
モノ規格 | マネジメント規格 | |
対象 | 製品やモノ | 組織を管理するための仕組み |
具体的な対象物の例 | ・時間の単位 ・質量 ・長さ ・部品のサイズ など | ・ルール ・規定 ・作業手順 など |
ISOの規格は、現在5万種類以上あると言われており、ISO30414も、世界共通のガイドラインの一つ(マネジメントシステム規格)として、人的資本に関する情報開示の促進を目指しています。
本記事では、日本で特によく活用されているマネジメントシステム規格をご紹介します。
・ISO 9001(品質マネジメントシステム): 製品・サービスの品質保証のための規格。顧客満足度の向上や組織の信頼性向上に役立ちます。
・ISO 14001(環境マネジメントシステム): 環境負荷の低減や環境パフォーマンスの向上のための規格。環境問題への意識向上や企業イメージの向上に貢献します。
・ISO 45001(労働安全衛生マネジメントシステム): 職場におけるリスクを低減し、安全で健康な労働環境を実現するための規格。労働災害の防止や従業員の健康増進に寄与します。
・ISO 27001(情報セキュリティマネジメントシステム): 情報の機密性・完全性・可用性という3つの項目をマネジメントするための規格。情報漏えい事故の防止や企業の信頼性維持に役立ちます。
・ISO 26000(社会的責任): 組織が社会に及ぼす責任を果たすためのガイドライン。企業の持続可能性を向上させ、ステークホルダーからの信頼獲得に繋がります。
・ISO 31000(リスクマネジメント): 組織が直面する様々なリスクを体系的に管理するためのガイドライン。リスクの特定・評価・対応を通じて、損失の発生を抑制し、組織の目標達成を支援します。
・ISO 10002(顧客満足): 顧客からの苦情を効果的に処理するためのガイドライン。顧客満足度の向上や顧客ロイヤリティの向上に貢献します。
上記以外にも、食品安全、自動車、医療機器、エネルギーなど、様々な分野においてISO規格が制定されています。これらの規格は、企業がより効率的かつ効果的に事業を運営し、顧客や社会の期待に応えるための指針となります。
ISO30414が誕生した背景
21世紀に入り、企業を取り巻く環境は大きく変化しました。 グローバル化やIT化の進展により、企業間の競争は激化し、企業は従来のビジネスモデルにとらわれない、柔軟な対応が求められています。このような中、企業の競争力を左右するのは、もはや資本や設備といった有形資産ではなく、従業員の持つ知識、スキル、経験、創造性といった無形資産、すなわち「人的資本」であるという認識が広まりました。
しかし、従来の財務諸表を中心とした情報開示では、この「人的資本」を適切に評価することができませんでした。そこで、投資家やステークホルダーの間で、企業に対して人的資本に関する情報開示を求める声が高まり、2018年にISO30414が誕生しました。
人的資本とは
人的資本と人的資本経営の定義
「人的資本(Human Capital)」とは、従業員が持つ知識、スキル、経験、能力、技術といった無形資産を、金銭と同様に資本(企業の競争力を高める源泉)とみなす考え方のことです。人的資本の考え方に基づいた経営手法のことを「人的資本経営」と言います。
経済産業省における人的資本経営の定義は以下の通りです。
人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。
参考:経済産業省「人的資本経営〜人材の価値を最大限に引き出す」
従業員への投資を「コスト」と捉える従来の考え方とは異なり、従業員の成長が企業の成長に直結するという考え方に基づいています。具体的には、従業員の能力開発や働きがい向上への投資を通じて、従業員のエンゲージメントや生産性を向上させ、企業の業績向上につなげることを目指します。
人的資本経営について詳しく知りたい方は、「人的資本経営とは?注目されている理由や背景・企業に求められる内容を詳しく解説」も参考にしてください。
人的資本の重要性
現代社会において、人的資本は企業の競争優位性を築く上で、ますます重要な要素となっています。グローバル化や技術革新が加速する中、企業は変化に柔軟に対応し、新たな価値を創造していくことが求められています。そのためには、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体の能力を高める「人的資本経営」が不可欠です。
人的資本経営は、単に従業員を「コスト」ではなく「資本」と捉えるだけでなく、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、成長できる環境を提供することで、企業全体の価値向上を目指します。
ISO30414が注目される背景
ISO30414が注目されるようになった背景としては、「ESG投資やSDGsの広がり」「コーポレートガバナンス・コードの改訂」「人的資本開示の動向」といった理由が挙げられます。それぞれ詳しく解説します。
ESG投資やSDGsの広まり
近年、環境問題、社会問題、企業統治を重視したESG投資が世界的に拡大しています。ESG投資家は、企業の財務情報だけでなく、ESGに関する取り組みも投資判断の重要な要素としています。
特に人的資本に関する情報開示は、「S(Social:社会)」の観点において重要な要素とされており、企業は、従業員の労働環境、人権、ダイバーシティ、人材育成など、幅広い観点から情報開示を求められています。ISO30414は、企業の社会的責任を果たすための取り組みとして、ESG投資家からの評価を高める効果も期待されています。
ESGやSDGs、サステナビリティなど混合しやすい用語の違いについては、「CSRとは?意味や企業の取り組み事例を紹介」の記事内で詳しく解説しています。
コーポレートガバナンス・コードの改訂
コーポレートガバナンス・コードとは、上場企業の企業統治(コーポレートガバナンス)におけるガイドラインのことです。法的拘束力はないため、違反しても罰せられることはありませんが、違反の事実が公表されると企業の信頼に関わるため、基本的に対象となる企業は対応を求められることになります。
2015年に金融庁と東京証券取引所からコーポレートガバナンス・コードの原案が公表されたのち、2018年により実用的な内容へ改訂されました。その後、コロナ禍やDXの普及により、2021年に再度改訂が行われた際、人的資本に関する記述が追加されたことにより、日本国内でISO30414が注目されることとなりました。
日本では、2023年3月期決算から、上場企業に対する人的資本の情報開示が義務化されており、有価証券報告書に人的資本に関する情報を記載することが求められています。また、2024年9月現在、ISO30414に準拠した開示は日本では義務化されていませんが、ステークホルダーからの注目度が上がっているため、ISO30414の認証取得を行う日本企業も増えています。詳細の開示項目については、「ISO30414の主な開示項目:11領域57項目とは」でご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
【上場企業に対する人的資本の情報開示義務項目(2024年9月現在)】
①サステナビリティ(持続可能性)に関する記載
・人材育成方針(=研修の時間や費用、参加率など)
・働きやすい職場環境づくりの方(=社内設備の整備の方針や数)
・人的資本や多様性の測定可能な指標と目標
②人材の多様性に関する指標の記載
・女性管理職比率(開示義務対象:301名以上の企業)
・男性育児休業取得率(開示義務対象:1,001名以上の企業)
・男女間賃金格差(開示義務対象:301名以上の企業)
人的資本開示の国際的動向
欧米諸国を中心に、人的資本開示の動きが加速しています。企業は、国際的な投資家からの要請に応えるため、ISO30414を参考に、人的資本に関する情報開示を進めています。
例えば、米国では、証券取引委員会(SEC)が、企業に対し、人的資本に関する情報開示を義務付ける動きを見せています。具体的には、従業員の教育水準やスキル、離職率、従業員エンゲージメント、ダイバーシティなど、企業の人的資本に関する幅広い情報の開示が求められています。
ISO30414の目的とメリット
ISO30414を導入することで、期待される効果は主に4つあります。
ステークホルダーへ透明性の高い情報提供
ISO30414は、企業が人的資本に関する情報を体系的に開示することで、投資家をはじめとするステークホルダーに対して、企業価値を適切に評価するための情報を提供することを目的としています。
従来の財務情報中心の情報開示では、企業の将来価値を評価する上で重要な要素となる人的資本に関する情報が不足していました。ISO30414に基づいて、「定性」「定量」の両面から情報開示を行うことで、企業は、ステークホルダーに対して、より透明性の高い情報を提供し、企業価値を適切に評価してもらうことができます。
HRテクノロジーの推進
ISO30414では、人事に関する様々なデータの収集・分析・開示が求められることから、企業は、人事データの管理体制を強化し、より高度な分析を行うためのシステム導入を検討する必要が出てきます。そのため、ISO30414の導入を通じて、タレントマネジメントシステムや人材管理システムなどのHRテクノロジーの導入を加速させる効果も期待されています。また、個人情報を正しく管理する体制やリテラシーの強化にもつながると期待されています。
HRテクノロジーやタレントマネジメントシステムについて詳しく知りたい方は以下の記事もおすすめです。
「HRテックとは?HRテックの様々な領域や導入効果について紹介!」
「タレントマネジメントシステムとは|機能・メリット・導入事例を紹介」
社会的信頼の獲得
従業員を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すための取り組みを開示することで、企業は、従業員、顧客、地域社会など、様々なステークホルダーからの信頼を獲得することができます。
従業員に対しては、自社の人的資本に関する取り組みを積極的に開示することで、企業としての透明性を高め、従業員のエンゲージメントやロイヤリティ向上につなげることが期待できます。また、顧客に対しても、企業の社会的責任を果たしているという姿勢を示すことで、ブランドイメージ向上や顧客ロイヤルティ向上につなげることが期待できます。
戦略人事の実行
ISO30414では、自社の経営戦略に基づいて、必要な人的資本の明確化、現状分析、目標設定、施策の実施、効果検証といった一連のプロセスを構築する必要があるため、戦略人事の実行につながります。戦略人事とは、企業の経営戦略を実現するために、人材の側面から戦略立案と実行を担う人事戦略のことです。旧来の人事業務は、業務効率化や法令の遵守などのルーティンワークが中心でした。戦略人事では、経営戦略に基づいて、「どのような人材を、いつまでに、どのように確保・育成・活用すれば、事業目標の達成に貢献できるか」という視点で人事戦略を構築し、実行します。
ISO30414の主な開示項目:11領域57項目とは
ISO30414の認証取得にあたり、開示が望ましいとされている項目は、以下の11領域57項目です。これらの項目は、企業がステークホルダーに対して、人的資本に関する情報を包括的に開示するために、網羅的に定められています。ただ、先述のとおり、すべての項目に開示の義務があるわけではなく、現段階では、一部の項目のみ開示が義務付けられています。
「人的資本経営スタートガイド」では、開示が望ましいとされている項目の計算方法をまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
コンプライアンスと倫理(5項目)
コスト(7項目)
ダイバーシティ(5項目)
リーダーシップ(3項目)
組織文化(2項目)
健康・安全・幸福(4項目)
生産性(2項目)
採用・異動・離職(15項目)
スキルと能力(5項目)
後継者育成計画(3項目)
労働力の確保(6項目)
1.コンプライアンスと倫理(5項目)
この領域では、懲戒処分の種類や件数などを開示します。具体的な項目は以下の5つです。
【コンプライアンスと倫理:5項目】
- 提起された苦情の種類と件数
- 第三者に解決を委ねられた係争
- 懲戒処分の種類と件数
- 倫理・コンプライアンス研修受講者の割合
- 外部監査で指摘された事項の数や種類および発生源と対応
上記の項目を開示することで、組織・従業員の法令遵守の姿勢を示すことができます。
2.コスト(7項目)
この領域では、人事領域にまつわるコストに関する項目を開示します。具体的な項目は以下の7つです。
【コスト:7項目】
- 総人件費
- 外部人件費
- 平均給与と役員報酬の比率
- 雇用にかかるトータルの費用
- 1人あたりの採用にかかる費用
- 採用にかかるトータルの費用
- 離職にかかるトータルの費用
これらの指標を開示することで、人的資本に対してどの程度の投資を行っているのか示すことができます。なお、人材育成にかかるコストは別の領域(スキルと能力)で開示するため、ここでは含まれないことに注意しましょう。
3.ダイバーシティ(5項目)
この領域では、「どのような属性をもつ人がいるか」といった多様性に関する項目を開示します。具体的な項目は以下の2つです。
【ダイバーシティ:5項目】
- 労働力のダイバーシティ<年齢>
- 労働力のダイバーシティ<性別>
- 労働力のダイバーシティ<障がい者>
- 労働力のダイバーシティ<その他>
- 経営陣のダイバーシティ
4.リーダーシップ(3項目)
この領域は、社長や経営層などのリーダー層に関する項目を開示します。具体的な項目は以下の3つです。
【リーダーシップ:3項目】
- リーダーシップへの信用
- 管理する従業員数
- リーダーシップの開発
これらの項目を開示することで、企業を牽引するリーダーの信頼度を示すことができます。一方で、定量化が難しい項目でもあるため、アンケート機能などを用いて調査を行うことがおすすめです。
5.組織文化(2項目)
この領域では、企業に対する愛着や、従業員同士のつながりに関する項目を開示します。具体的な項目は次の2つです。
【組織文化:2項目】
- エンゲージメント、満足度、コミットメント
- 従業員定着率
これらの開示により、従業員の定着度合いや安定性を示すことができます。
6.健康・安全・幸福(4項目)
この領域では、従業員の安全や健康・福祉に関する項目を開示します。具体的な項目は以下の4つです。
【健康・安全・幸福:4項目】
- 業務上のアクシデントにより発生した損失時間
- 業務上のアクシデントの件数
- 業務上のアクシデントによる死亡者数
- 研修に参加した従業員数
これらの項目を開示することで、企業の財産である「人」を大切にしているかどうかを示すことができます。
7.生産性(2項目)
この領域では、従業員の生産性に関わる項目を開示します。具体的な項目は以下の2つです。
【生産性:2項目】
- 従業員一人あたりのEBIT/利益/売上高
- 人的資本のROI(利益率)
これらの項目を開示することにより、コストに対してどれだけの利益を挙げられているかを示すことができます。
8.採用・異動・離職(15項目)
この領域では、採用・異動・離職に関する項目を開示します。具体的な項目は以下の通りです。
【採用・異動・離職:15項目】
- ポジションごとの候補者の数
- 雇用あたりの質
- ポジションを埋めるまでの期間
- 重要ポジションを埋めるまでの期間
- 将来に対しての現状の人材充足度
- 内部充足度
- 重要ポジションにおける内部充足度
- 重要ポジションの割合
- 重要ポジションの空き割合
- 内部異動率
- 従業員の層の厚さ
- 離職率
- 自発的離職率
- 痛手となる自発的離職率
- 離職の理由
11領域の中では、最も項目数が多い領域ですが、良い人材を確保し、いかに離職を防ぎ、人材が幅広く充足しているかを示すことができます。
9.スキルと能力(5項目)
この領域では、人材育成に関わる項目を開示します。具体的な項目は以下の3つです。
【スキルと能力:5項目】
- 人材開発・研修の総費用
- 研修への参加率
- 従業員当たりの研修受講時間
- カテゴリー別の研修受講率
- 従業員のコンピテンシーレート
これらの項目の開示により、人的資本に対して企業がどのくらい積極的に投資を行っているのかを示すことができます。「コスト」とは別の領域として管理されている点で、人材開発への重要性が感じられます。
10.後継者育成計画(3項目)
この領域では、企業の将来を担う後継者候補の育成に関する項目を開示します。具体的な項目は以下の3つです。
【後継者育成計画:3項目】
- 内部継承率
- 後継者候補準備率
- 後継者の継承準備率
企業の持続的な経営にとって、後継者の存在はとても重要です。これらの項目を開示することで、将来を見据えた人材育成が実施できているかを示すことができます。
11.労働力の確保(6項目)
この領域では、非正規雇用や外部委託など、正社員以外も含めた総労働力に関する項目を開示します。具体的な項目は以下の4つです。
【労働力の確保:6項目】
- 総従業員数
- 総従業員数(フル/パートタイム)
- フルタイム当量(FTE)
- 臨時の労働力(独立事業主)
- 臨時の労働力(派遣労働者)
- 欠勤
これらの項目を開示することで、企業全体の労働力を示すことができます。
ISO30414導入に向けてやるべきこと
ISO30414の導入に向けて、人事担当者や経営者が実施すべきことをご紹介します。
人的資本開示のダッシュボードシステムを導入する
ISO30414対応のダッシュボードシステムを導入することで、必要なデータを一元管理し、分析・可視化することができます。ダッシュボードシステムを活用することで、データの入力や集計の手間を省き、リアルタイムなデータ分析が可能になります。また、グラフやチャートを用いた視覚的なレポート作成機能も備えているため、経営層への報告や、ステークホルダーへの情報開示をスムーズに行うことができます。
サイダスが提供する人的資本経営プラットフォーム「CYDAS NUDGE」は、ISO30414の11領域に対応した人的資本データの一元化サービスです。無料で資料ダウンロード可能ですので、ダッシュボードシステムの導入を検討されている方はぜひご覧ください。また、サイダスには、ISO30414リードコンサルタント/アセッサー認証をもつ社員も在籍しておりますので、お悩みをお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
人的資本の開示項目に関する知見を深める
ISO30414の開示項目を理解し、自社に必要な情報を選定する必要があります。専門家の知見を活用するのも有効です。ISO30414は、11領域57項目という多岐にわたる開示項目が設定されています。そのため、自社の事業内容や規模、経営戦略などを踏まえ、どの項目をどの程度の詳細さで開示するのかを検討する必要があります。
人的資本の開示項目が詳しくわかる「人的資本経営スタートガイド」もご活用ください。
タレントマネジメントシステムを導入する
「CYDAS NUDGE」のようなISO30414対応のダッシュボードシステムのほかにも、従業員のスキルや評価データなど、さまざまな人材データを一元化するタレントマネジメントシステムを導入することもおすすめです。
タレントマネジメントシステムを活用することで、従業員一人ひとりのスキルや経験、キャリアプランなどをデータベース化し、一元管理することができ、人的資本の開示のために必要な情報に素早くアクセスすることできるようになります。また、人事評価や研修受講履歴などと連携させることで、従業員の能力開発やキャリア形成を効果的に支援することができ、持続的な企業価値の向上にもつながります。
サイダスが提供するタレントマネジメントシステム「CYDAS」は、人的資本経営の推進にも活用できます。「CYDAS」の特徴を詳しく知りたい方は⇒こちら
ISO30414導入の状況
世界におけるISO30414への対応状況
世界的にISO30414への関心が高まっており、欧米企業を中心に導入が進んでいます。特に、ESG投資が盛んな欧米では、企業の社会的責任やサステナビリティへの取り組みを重視する投資家が増加しており、人的資本に関する情報開示の重要性が高まっています。アメリカでは、2020年8月に、アメリカにおける証券取引を監督・監視する米国証券取引委員会(SEC)が、上場企業に対して人的資本の情報開示を義務化しました。
世界で初めてISO30414の認証を取得した企業は、ドイツ銀行グループのアセットマネジメント会社であるDWSという企業です。2021年1月のDWSの認証取得に続き、ドイツ銀行も2021年3月にISO30414の認証を取得しています。
日本におけるISO30414への対応状況
2022年3月、株式会社リンクアンドモチベーションが日本で初めてISO30414の認証を取得しました。同社は、2000年の創業以来、組織人事のコンサルティングのパイオニアとして、「モチベーション」や「従業員エンゲージメント」の向上に向けたサービスを提供しており、日本ないしは世界の従業員エンゲージメントの向上や、ステークホルダーに対する透明性の高い情報提供のためにISO30414の認証取得に至ったようです(プレスリリース)。
そのほかにも、豊田通商株式会社、アフラック生命保険株式会社、日清食品ホールディングス株式会社など、2024年9月現在、14の企業がISO30414の認証を取得しています。
参考:https://hcproduce.co.jp/certified-companies/
日本企業では、ISO30414の認知度はまだ低いものの、経済産業省が「人的資本経営」を推進しており、今後、導入企業が増加していくと予想されます。
ISO30414の今後の展望と課題
ISO30414の導入は、企業にとって、投資家からの信頼獲得、優秀な人材の確保、従業員のエンゲージメント向上など、多くのメリットをもたらすと期待されています。一方で、開示項目の解釈やデータ収集の負担、費用対効果の測定などが課題として挙げられています。
今後、ISO30414の導入が進むにつれて、開示項目の解釈やデータ収集の方法、費用対効果の測定方法など、様々な課題が明らかになってくるでしょう。これらの課題を解決するために、企業は、積極的に情報収集を行い、専門家の知見を活用するなど、戦略的な対応を進めていく必要があるでしょう。
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まとめ
ISO30414は、人的資本に関する情報開示の国際標準規格です。企業が人材を「資本」として捉え、その価値やリスク、人材戦略などへの影響をステークホルダー(投資家、従業員、顧客など)にわかりやすく開示することを目的として、2018年に制定されました。
ISO30414は、企業にとって、人的資本経営を推進し、持続的な成長を実現するための重要な枠組みです。開示すべき指標など、一見複雑に感じる内容もありますが、ステークホルダーとの信頼関係を構築し、持続的な成長を実現していくためにも、知見を深め、データの整理をしていきましょう。
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