2020.04.22

自己評価は何のため?うまく書くポイントと書かせ方

自己評価は何のため?うまく書くポイントと書かせ方

適正な人事考課を進めるために重要な役割を果たすのが自己評価シートです。しかし、自己評価を書くためには自分を客観的に見つめる必要があり、人によっては困難な場合も。また、部下の仕事ぶりを上手く表現できていない上司もいます。ここでは、人事考課や自己評価の目的を踏まえ、自己評価の書き方のコツなどを紹介します。

そもそも人事評価とは

人事評価は、企業活動にとって欠かせないシステムです。人事評価の役割として、まず挙げられるのは、社員の成果を適正に評価することでしょう。評価は、評価する側・される側がそれぞれ納得できないといけません。そのため、会社の業績と照らし合わせて社員の評価をする方法が取られます。たとえば、半期・あるいは四半期ごとに部門の売上や営業利益などを算出し、社員の仕事能力と紐づけて評価するなどの方法があります。データや数値を用いることで、客観的な評価がしやすくなるでしょう。

人事評価には、評価方法を明確にし、社員としてあるべき姿を示すという目的もあります。どのような行動を取れば評価されるかわかっていれば、業務への取り組み方が変わるでしょう。さらに、適材適所に人材を配置するためにも人事評価は役立ちます。企業活動のためには企画・営業・経理・製造などさまざまな部門がありますが、それぞれの部門に人を配置するためには社員のスキルや性格などを、しっかり把握しておかねばなりません。また、異動を命じられた社員としても、客観的な人事評価を見れば、納得しやすいでしょう。

人事評価には、社員のモチベーションをアップさせるという役割もあります。評価の結果が給与や賞与、昇進昇格に反映されるとなると、励みになることでしょう。なお、人事評価には相対評価と絶対評価があります。相対評価では、あらかじめ評価ランクとそれぞれのランクに評価される社員の割合が、部門ごとに決められています。たとえば、S・A・B・C・D・Eの五段階で評価を決めるときに、すぐれた成果をあげた人すべてが、Sランクを獲得できるわけではありません。あらかじめSランクを獲得できる人数が決まっているため、よい成果をあげた人の何人かは、Aランクに落とさざるを得ない場合があります。一方、絶対評価では、周囲と比べることなく、1人の社員を評価します。あらかじめ決められた目標をクリアすれば評価される仕組みなので、モチベーションアップのためには相対評価と絶対評価を使い分けるとよいでしょう。

自己評価の目的と必要な理由

人事評価には自己評価が用いられます。自己評価を行うのは、社員本人だけではありません。直属の上司も評価を行い、双方が評価結果をもちより面談を行います。もし、社員の仕事に対する考え方で気になる部分があれば、上司から指摘をするのがよいでしょう。面談が効果的に行われれば、社員の成長が期待できます。社員の方も、上司が見ていない部分があれば遠慮なくアピールしましょう。意見を言い合うことで、社員と上司の関係性が構築され、双方が納得いく自己評価が完成します。

自己評価が適性に行われることで、社員側としては次回の課題が見つけられるというメリットもあります。自己評価は定期的に行われるので、次の機会には、課題をどのようにクリアしたか、またはクリアに至らなかったかということを振り返ることができるでしょう。自己評価が苦手な人もいます。客観的に自分を評価する方法がわからないという人もいれば、自分をアピールするのが恥ずかしいという人もいるでしょう。なかには、面倒なので上司から見た評価だけで十分、と考えている人もいるかもしれません。しかし、自己評価は社員本人が成長していくために重要なものです。業務で忙しい時期であったとしても、しっかりと自己評価に取り組むことが必要です。

自己評価を書く上で大切なポイント

自己評価をスムーズに行うために、意識したいポイントを確認しましょう。まず、評価の仕組みを知ることです。評価は、「成果」、「能力」、「情意」の3つの要素で成り立っています。「成果」は業務での実績のことを指します。営業ならば受注件数、研究職ならば商品開発の進捗率など、数値やデータで示せるものをイメージするとよいでしょう。なお、ルーティーンワークが多い事務職などの仕事は、成果を数値やデータで表現しにくいかもしれません。そういった場合は、仕事の早さや、できるようになった業務を挙げてアピールするのはいかがでしょうか。具体的に表現することで、客観的な評価を行いやすくなります。

「能力」は、業務において発揮される能力をどれほど有しているかを指します。能力でアピールできる内容としては、非常事態が発生した場合の対応力や、難易度が高い技術や資格の習得などが挙げられます。誰しもができることを普通に実行するだけでは、評価されにくいので注意しましょう。また、職種や勤務年数により、求められる能力のレベルは異なります。そのため、企業や上司はあらかじめどのような能力が求められるか、レベルも含め明確にしておかねばなりません。基準が明らかであれば、社員としても評価を上げるために努力しやすいでしょう。「情意」は、業務に取り組む姿勢を評価するものです。仕事に対する責任感や周囲との協調性など、3つの要素の中ではもっとも客観的に評価しにくいものといえるでしょう。適正な評価のためには、大勢の意見を参考にするなどの方法が挙げられます。

また、失敗や課題を挙げるところまでで、自己評価が終わってしまう人もいます。ぜひ、うまくいかなかった原因を自分なりに分析し、改善案を考えるようにしましょう。改善案を自ら提案することで、意気込みをアピールできる可能性が高いです。また、振るわない仕事ぶりを報告したくないという人もいますが、隠すのはやめたほうがよいでしょう。上司は社員の仕事ぶりを日々観察しているので、自分の評価だけ取り繕っても意味がありません。加えて、ありのままの自分を評価したほうが、客観的であると捉えられるでしょう。

自己評価は、少々高めにつけるというのもポイントです。自己評価は社員と上司の双方向から行われるので、自己認識より一段階高い評価をつけた方が、最終的な評価は高まると期待できます。上司は自分よりも仕事経験が豊富だからといって、控えめになる必要はありません。数値やデータ、具体的な表現方法を駆使して堂々と成果をアピールするとよいでしょう。なお、あまりにも自己評価が高すぎると、客観的な評価ができていないと見なされる場合もあります。あくまでも、少々高めに評価する程度を心がけてください。

自己評価が高い人の理由

自己評価が高い人はポジティブである反面、自分の至らない部分を見つけられていない場合があります。自己評価が高い人の特徴を確認し、自分を客観的に見ることができているかチェックしましょう。まず、「自分に自信があるタイプ」が挙げられます。自信があるのは素晴らしいことですが、根拠となる理由を考えてみてください。仕事ができると自分で感じていても、実際は、営業目標を達成できていなかったり、納期を守れていなかったりということはないでしょうか。もし、社員が自分に自信があるタイプの場合は、数値や具体的な例で判断するよう諭すとよいでしょう。自信がある人は仕事に対して前向きなことが多いです。うまく誘導することで、ぐんぐん成長していくかもしれません。

「内省しないタイプ」も、自己評価が高くなりがちです。チームで動いている人のなかには、周囲の人がフォローしてくれるおかげで自分の至らぬ点に気がついていないケースもあるでしょう。いまいちど、チームや部門の中で自分の果たすべき役割を確認してみることをおすすめします。また、社員が内省しないタイプの場合は、数値や具体例を挙げて指摘するのが効果的です。たとえば、本人の失敗をカバーするため、部門の残業時間がどのくらい増えたかというように、明確な伝え方を心がけるとよいでしょう。

「周りの人に厳しいタイプ」も、相対的に自己評価が高くなりがちです。なかには、周囲の至らない部分を自分がカバーしているのだと、独りよがりになっている人もいるでしょう。周りより仕事ができるからといって、努力を怠る人もいるかもしれません。企業活動は1人で行うわけではないので、お互いを尊重して協力し合うことが大切です。社員が周りの人に厳しいタイプの場合は、他の社員の優れている点を取り上げるとよいでしょう。自分1人では仕事を進められないと気がついてもらうことで、適正な自己評価ができる可能性があります。周りを尊重する気持ちが芽生えることで、社員同士の関係性もよくなるでしょう。

自己評価が低い人の理由

自己評価が高い社員がいる一方、自己評価が低い人もいます。必要以上に自己評価が低いと損をするばかりか、仕事へのモチベーションも低下するでしょう。自己評価が低い人の特徴として、「マイナス思考の癖があるタイプ」が挙げられます。努力しても報われることがないなどと、感じている人はいないでしょうか。また、失敗を恐れるあまり何かと行動を控える癖がある人も、マイナス思考の可能性があります。マイナス思考の人は、たとえ仕事がうまくいっていても、ささいな失敗を大きくとらえすぎる傾向が強いです。また、ネガティブな気持ちのため、パフォーマンスが悪くなることもあるでしょう。自己評価を高めるには、楽観的に物事をとらえることが大切です。なお、仕事に対する自己評価は、評価基準や達成すべき課題が具体的に決まっていることが多いです。自分の気持ちは切り離し、数値など事実をもとに、自己評価を行いましょう。

「褒められることになれていないタイプ」も、自己評価が低くなりがちです。褒められたとしても謙遜してしまったり、たまたま運が良かっただけだと考えたりする人は要注意です。自己評価を高めるためには、自分の努力を自覚するよう、成長記録や日記に記すとよいでしょう。記録を見返すことで、相応の努力や時間を費やし、仕事に取り組んできたと納得できるでしょう。また、社員が褒められることになれていないタイプの場合は、成果とともに日頃の仕事ぶりも褒めるようにすると良いでしょう。

「謝ることが恒常化しているタイプ」も、自己評価が低くなりがちです。何かしてもらったときに、つい「すみません」というセリフを口にしてはいないでしょうか。謝罪する言葉が身についてしまうと、自分は至らない人間だと思いこむこともあるでしょう。また、周囲としても、必要以上に謝られてもいい気持ちはしません。自己評価を高めるには、安易に謝らないよう心がけましょう。人間関係を見直すことも重要です。自分を認めてくれる人との付き合いを増やし、自己肯定感を高めましょう。

「反省ができていないタイプ」も評価が低くなりがちです。仕事上でミスを犯した場合、後悔はするもののミスの原因を考えたり、対策を練ったりしていない人もいるでしょう。こういった人は、何回も同じようなミスを繰り返し、スパイラル的に自己評価が低くなっていきます。社員が反省ができていないタイプの場合は、正しい反省の方法を指導しましょう。適正な自己評価ができるようになることに加え、仕事面にも良い影響があると期待できます。

自己評価がうまく書けない理由

自己評価がうまく書けない理由として、自分を客観的に見ていない可能性が挙げられます。性格的に自己評価が高くなりがちな人、評価が低くなりがちな人は、まず自分の認識がズレていることを理解することが必要です。間違った認識のままでは、いつまでたっても客観的な評価はできないでしょう。こういった人は、自己評価の面談の際に、上司から指摘を受ける可能性が高いです。しかし、他人の意見を聞き入れる気持ちがなければ、せっかくの指摘も無駄になる可能性が高いです。数値やデータを元に諭されても、聞き入れない人もいるでしょう。客観的な自己評価のために、アドバイスや忠告に素直になりましょう。

自己評価がうまく書けない理由として、自己評価の目的がはっきりしていないことも挙げられます。特に、初めて自己評価に望む新入社員などは、評価のポイントがよくわかっていないかもしれません。自己評価は、仕事の目標をどれだけ達成できたかを確認し、課題と改善案を見つけることが目的です。具体的な評価の方法がわからなければ、先輩のやり方を参考にしたり、日頃仕事で言われている内容を振り返ってみるとよいでしょう。

また、上司としては、社員が自己評価をするための目的を、的確に指導する必要があります。自己評価にはまとまった時間が必要になるので、業務が忙しい人のなかには、ただ面倒なものだと捉えてしまう人もいるでしょう。しかし、真剣に自己評価をしないと双方が納得する自己評価ができません。自己評価は、人事評価につながり査定にも影響すること、より良い仕事のためにも役立つことなどを踏まえ、評価の意義を説明してください。

被評価者の自己評価の書き方のポイント

被評価者(社員)が自己評価を書くには、客観的かつ正確に自分を評価することが重要です。あらかじめ定めていた目標値と実績を比較しましょう。目標を達成できなかった場合には、達成できなかった理由を自分なりに分析し、改善案を示します。加えて、主観を控え、定量的な評価となるよう意識することも重要です。自分なりに頑張って取り組んできたという気持ちはあったとしても、明確な数値をもとに評価しましょう。最後に、前回の自己評価で見つけた課題が改善されているかも、忘れずに振り返ってください。

被評価者の書き方例

具体的な被評価者の自己評価の書き方を紹介します。良い自己評価は、成功にいたった背景が明確なのに加え、達成具合が具体的な事例や数値によって表現されています。さらに、次回に向けての改善案も提示されています。一方、悪い例は定性的な表現になっており、目標と達成度が記載されていません。なお、次回に向けての改善案もありません。数値やデータ化が比較的簡単な職種として営業職を、難しい職種として事務職を例に挙げて説明します。

良い自己評価の例(営業職)

営業チーム一丸となって取り組んだ結果、受注件数が前回よりも7%アップし、目標の5%アップを上回る成果が得られました。成果が出た理由として、毎朝のミーティングにより、チーム内でクライアントの情報共有を徹底したことが大きいと考えています。また、チームメンバーのスケジュールを確認できるよう、ITツールを導入したことも、成果につながったと考えられます。なお、出張や研修と重なったメンバーとも情報が共有できるよう、データを共有フォルダにまとめる仕組みを立ち上げました。一方、品質クレームが3件発生しました。営業と製造間の連絡が十分ではなかったことが問題と考えられます。仕様の変更などの注意点は、明確に指示書で伝えるよう改善していく予定です。

悪い自己評価の例(営業職)

前回よりも受注件数が多くなり、チームで頑張った成果が出たといえるでしょう。頻繁にミーティングをし、チームでクライアントの情報共有に努めた結果が反映されたと感じています。しかし、出張などでミーティングに参加できていないメンバーもいます。チームメンバーのスケジュールを合わせるのはむずかしいです。なお、クレームが数回発生しました。同じようなクレームが起きないように十分注意します。

良い自己評価の例(事務職)

前回の自己評価で、残業時間10%削減が課題として挙がっていました。課題改善のため事務処理のマニュアルを整理し、一部をクラウド上で全社員が見られるように整備しました。その成果があり、事務作業が効率化し、残業時間が減り、目標の10%削減を達成しました。なお、まだ整理できていない紙媒体のファイルも残っています。より業務を効率化すべく、マニュアルを電子化し、同じくクラウド上に格納する予定です。

悪い自己評価の例(事務職)

以前と同じように事務処理をしているのですが、だんだん仕事が速くなっているように感じています。仕事が速くなった分、早く帰宅できるようになってうれしいです。なお、マニュアルがあるにも関わらず、事務処理のやり方を理解していない人が多いように思います。きちんとマニュアルを読んで勉強し、できるかぎり自分で処理してほしいのですが、どうにかならないでしょうか。

評価者の自己評価の書き方のポイント

評価者(上司)の自己評価は、社員よりも高い客観性が求められます。社員と同様、定量的な評価を意識するだけでなく、社員自身が気がついていない部分も評価しましょう。長期にわたるプロジェクトの場合など、自己評価の時期には成果が得られていない場合もあります。また、仕事に取り組む態度なども、日頃から観察しておく必要があります。なお、自己評価は双方納得した上で、人事評価に反映される必要があります。自分と社員の評価内容に相違がある場合もあるので、余裕をもって面談を行いましょう。

評価者の書き方例

具体的な評価者の自己評価の書き方を紹介します。良い自己評価は、客観性にすぐれ、社員を平等に評価していることが伝わります。また、業務に対する姿勢についても言及しており、社員のことを日頃からよく観察していることがうかがえるでしょう。一方、悪い例は、社員の仕事ぶりがわかりにくいです。数値や具体例に乏しく、客観性についても十分ではありません。数値やデータ化が比較的簡単な職種として営業職を、難しい職種として事務職を例に挙げて説明します。

良い自己評価の例(営業職)

営業成績は、前回と比べて15%アップしています。さらに、大手顧客と契約できたことは、非常に評価できるでしょう。特に、プレゼンテーションでは、クライアントに伝わりやすい表現を選び、商品の魅力を丁寧に伝えられたと感じています。しかし、クレームが前回と比べて増加傾向にあることは見逃せません。前回と比較し10%も増えています。新規契約を獲得することに加え、契約後のフォローが課題であるといえるでしょう。商品の魅力を伝えるとともに、注意点も丁寧に説明することが大切だと考えます。先輩や動機と協力し合い、対策を考えましょう。

悪い自己評価の例(営業職)

営業成績が前回とくらべ大きく伸びました。特に、狙っていた顧客と契約できたことは非常に評価できるでしょう。勤務歴が長い社員もいるなかで、営業スキルは群を抜いていると感じています。今後も大いに頑張り、契約を獲得してほしいです。なお、ささいなことですが、クレームが寄せられるケースもありました。新規顧客を開拓するのと並行し、クレーム対応も頑張ってほしいです。

良い自己評価の例(事務職)

仕事のスピードが速まっています。たとえば議事録の作成です。以前は会議が行われた日から数日程度たってから議事録が配信されることもありました。最近では、会議当日、または翌日に議事録が配信されています。業務内容を理解し、要点をまとめる能力が身についてきたのではないでしょうか。さらに、新人教育に対しての積極性が増したとも感じています。業務を理解しやすいように手順書を作るなど、効率よく教育ができる仕組みを考えています。また、業務に関する話題以外にも自らコミュニケーションを取ろうとする様子が見られます。

悪い自己評価の例(事務職)

仕事のスピードが速まったように思います。効率よく作業が終わるよう、本人なりに頑張っているのでしょう。仕事に対する熱意が感じられ、喜ばしいです。また、新人とも仲良くしているようです。仕事も丁寧に教えているのだろうと思うので、期待しています。

自己評価を書くために日々意識すべきこと

自己評価は人事評価のために重要なものです。自己評価を正しく書くために、普段から自分を客観視するよう心がけましょう。また、業績・能力・情意の3つの要素にわけて現状や改善点を考えることも適正な自己評価につながります。なお、自己評価を行うには明確な目標設定が必要です。目標を意識しつつ業務を行うことで、パフォーマンスも向上するでしょう。

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