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2019.12.10

管理職とは?管理職に求められる資質や能力を解説!

管理職には、一般の従業員とは異なる資質やスキルが求められます。この記事では、管理職に求められる能力や資質を紹介し、人事担当者が管理職を評価する際に注目したいポイントや、管理職として必要なスキルを身に付けるための研修について解説します。管理職への新たな登用や、すでに管理職の立場にある社員の評価に役立ててみてはいかがでしょうか。

管理職とは?言葉の定義

管理職の定義を一言でいえば「決裁権を持つ役職」です。管理職の従業員はそれぞれの職場で、独自の判断をして行動を決定する権利を持っています。

役職の名称に決まりはありませんが、日本の企業での一般的な役職でいうと、部長・次長・課長が管理職に当たります。企業によっては、マネージャーなどの役職名を使う場合もあります。

また、管理職(マネジメント)には大きく分けて3種類あります。

1. トップマネジメント

最上位の経営層のことで、組織の方針や目標の決定、総合判断を担うポジションです。役職名は会長、社長、取締役が該当します。

2.ミドルマネジメント

上司と部下の両方を持つ管理職で、中間管理職とも言います。管理職というと、このミドルマネジメントを指していることが一般的です。現場の管理者のため、経営に対しての責任は負いませんが、トップマネジメントが決断した方針や、目指す方向性を現場に伝達し、他部署との連携を図ったり、業務を円滑に進めるための管理を行います。役職名は部長、課長などが該当します。

3.ロワーマネジメント

ミドルマネジメントの指示を受け、業務を確実に遂行するための調整を図る役割を担います。役職名は係長や主任などが該当します。 

管理職の範囲も企業によって多少違い、係長クラスまで含めて管理職として扱うところもあります。役職に与えられた職務内容や権限の範囲は企業によって様々です。

管理職(ミドルマネジメント)は企業にとって必要不可欠な人材です。経営層にある人たちは、すべての業務を取り仕切って判断を下すわけにいかないため、管理職に権利を委譲しなければなりません。多くの企業では、管理職に現場での決裁権を与えることで、日常的な仕事をスムーズに進めています。

なお、この記事で扱う管理職は、組織の中で一部の決定権を持つ従業員のことを意味して使います。国家公務員の管理職は、国家公務員法という法律で厳密に定義されています。労働組合法における管理職は、労働者の雇用や解雇などについて権限を持ち、従業員の機密事項を知ることが許される役職という特別な意味で使われる言葉です。使われる場面により、「管理職」という言葉が持つ意味合いが変わるため、注意が必要です。 

管理職に必要な能力や資質とは?

管理職を登用する際には、その人材が本当に管理職に向いているのかをよく見極める必要があります。

非管理職で優秀だからといって、必ず優秀な管理職になるとは限りません。スポーツの世界に「名選手に名監督なし」といったフレーズがありますが、これは企業の人事にもあてはまります。

たとえば、自分のやり方で大きな成果を挙げてきた営業部員のノウハウが、そのまま、他人に適用できない場合は多いでしょう。こうした人が管理者となって、独自の方法や信念を部下に押し付けてしまえば、業務に悪影響を与えかねません。
要するに、管理職には適材適所が重要です。企業の人事担当者や経営者には、従業員の能力と個性をしっかり把握して、管理職を登用することが求められます。

強い意思と行動力

強い意思と行動力、つまりリーダーシップは管理職に必要な資質です。管理職には、自分のチーム全体を目標達成に導くリーダーの役割が求められるからです。

もし、業務が順風満帆なら何の問題もないかもしれませんが、ときには思いもよらない逆風に見舞われます。そのような際に求められるのが、必ず目標を達成するのだという強い意思と、それを部下に示せる資質です。

行動力も管理職に求められる能力の一つです。たとえば、実務を担当しつつ部下に指示を出すプレイングマネージャーなら、自ら先頭に立って行動を示すことが、部下のモチベーションを上げるために効果的な場合があるでしょう。上級管理職なら仕事の方向性を決断したり、部下のミスの責任を取ったりする、別の行動力が必要です。

また、日本の企業では、行動力を支えるためのバイタリティも重視されやすいといえます。管理職が最も働かなければいけないと考える社風も存在しますし、繁忙期やトラブル処理の場合には、最後まで職場に残るように求められることもよくあるからです。

論理的な思考力

「論理的な思考力」も管理職に必要な資質のひとつです。リーダーである管理職は、率先して現状を分析する必要があります。ここで重要になるのが、論理的な思考力を使って目の前の状況を分析し、自分たちのやるべきことを考えられるスキルです。

もし、感情的な判断をしてしまえば筋が通らなくなり、顧客やパートナー企業、ほかの部署などと信頼関係が築けなくなってしまいます。リーダーシップを発揮するには一貫性が必要ですが、その基礎となるのも論理的な思考力です。
管理職には客観的に判断するだけでなく、目標達成を阻害する原因を究明したり、新たな課題を見つけ出したりする資質も求められます。

たとえば、販売店で顧客からクレームが発生したとします。こうした場合に管理職は、それが売り場の従業員の対応ミスだったのか、それとも顧客管理システムの情報が不足していたのかなど、真の原因を論理的な思考力によって追究することが重要です。

コミュニケーション能力

管理職になると、さまざまな立場の人とコミュニケーションが必要です。部下・上司・他部署・取引先など、どんな立場の人に対してでも相手を尊重して適切なコミュニケーションができる人材は、管理職向きといえます。管理職のコミュニケーション能力が高ければ、チーム内のコミュニケーションも円滑になり、部署全体の業績が大幅に上がることも、珍しくありません。
組織内のコミュニケーションに問題意識を抱える企業は多く、8割以上ともいわれています。そして、コミュニケーション能力の低下が最も指摘されているのが管理職です。管理者は人と人との橋渡しの役割を担うことも多いため、コミュニケーション能力はとても重要といえます。

現在では、メールやメッセンジャー、チャットといったコミュニケーションツールを使いこなす能力も必要です。特に多様な働き方を推進したい企業では、今後重要なスキルになってくるでしょう。

中間管理職に求められる能力や資質については下記記事もチェックしてみてください。

管理職に求められる3つのマネジメントスキル(段階別)

管理職にはもともとの資質がある程度必要ですが、管理職に登用されてからスキルを高めることも必要です。

管理職の能力の把握や育成に役立つのが、1955年にハーバード大学のロバート・カッツ教授が発表した「カッツ理論」です。カッツ理論では管理職に求められるスキルを「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」に分類します。日本語にすると、テクニカルスキルは「業務に必要な知識と技術に関する能力」、ヒューマンスキルは「仕事における人間関係を構築する対人関係能力」、コンセプチュアルスキルは「目標を達成するための手順と方法を概念化する能力」です。
この3つのスキルが必要とされる度合いとバランスが、管理職の階層によって変化すると提唱しているのも、カッツ理論の特徴です。

発表からすでに半世紀以上が経過していますが、現在の企業の管理職にも適用できるといわれています。次の段落以降、3つのスキルについて詳しく解説します。

管理職に求められるスキル1:テクニカルスキル

業務遂行に不可欠な知識や技術、またはそれに関連する能力が「テクニカルスキル」です。

通常、このスキルはかなり具体的になるため、業種や職種によって求められるテクニカルスキルはまったく違います。テクニカルスキルが重視されるのは、下級管理職です。特に、下級管理職を主任や班長クラスにまで広げて捉えている企業においては、さらに専門的なテクニカルスキルが要求される傾向があります。
逆に、下級管理職から、課長・部長など上級の管理職になるにつれ、テクニカルスキルが必要とされる度合いが下がってきます。個々の案件や細かい技術的な部分は部下に任せ、業務全体を統括するようになってくるからです。

管理職に求められるスキル2:ヒューマンスキル

仕事上の人間関係を構築するための対人関係能力がヒューマンスキルです。

すでに解説したコミュニケーション能力は、このヒューマンスキルに含まれます。ヒューマンスキルは、同じ企業内やパートナー企業内の人など、仕事上でかかわる人をしっかりと観察・分析し、適切な働きかけをする技術として、より広範囲に捉えられています。そのため、ヒューマンスキルは新任管理職から上級管理職まで、すべての階層で必要です。

管理職に求められるスキル3:コンセプチュアルスキル

目標を達成するための手順と方法を概念化する能力が、コンセプチュアルスキルです。

目の前のタスクを表面的に捉えるのではなく、概念として抽出し、課題の本質を捉える能力です。より高度なコンセプチュアルスキルがあれば、企業理念や企業の将来のビジョンを念頭において、組織全体のシステムなどについて考えられるようになります。
カッツ理論ではヒューマンスキルをさらに細分化しているのが特徴です。管理職に必要な技術として紹介した「論理的な思考力」はカッツ理論では3つに分かれています。物事を論理的に整理・説明するロジカルシンキングの能力、既成概念にとらわれない自由な発想に必要なラテラルシンキングの能力、物事を分析的に考えるクリティカルシンキングがそれです。

ほかに多面的視野・柔軟性・知的好奇心・直感力・チャレンジ精神・先見性なども、コンセプチュアルスキルの要素とされています。カッツ理論によって、先述した管理者に必要なリーダーシップを捉え直すのもよいのではないでしょうか。

管理職の評価項目を考えよう

管理職には一般の従業員とは異なる資質やスキルが求められます。したがって、管理職に対する評価を行う際は、一般の従業員とは異なるポイントをチェックすることが必要です。ここでは、管理職の評価項目に取り入れておきたい「業務遂行に必要な知識・技能」「組織能力・部下育成能力」「俯瞰的・長期的な視点」の3項目を紹介します。

これらは、カッツ理論の「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」とも対応しています。

業務遂行に必要な知識・技能

「業務遂行に必要な知識・技能」は管理職の評価に欠かせません。この項目におけるチェックポイントを具体的に挙げると以下の4つです。

1. 担当業務に関する専門的な知識・技能を持っているか
2. 市場全体に関する知識や市場のニーズの動向に関する知識があるか
3. 情報機器など担当業務に不可欠な機器の操作能力があるか
4. ほかの業務に不可欠な知識や技術があるか

このうち、1・3・4のチェックポイントは、完全にテクニカルスキルといえます。したがって、特に新任管理職、下級管理職の評価をするうえで重要です。

2つ目のポイントはコンセプチュアルスキルとも捉えられます。しかし、ここでは業務遂行に必要な知識を中心に評価するため、テクニカルスキルに近いと考えておきましょう。

組織能力・部下育成能力

「組織能力・部下育成能力」も管理職の評価に必要です。この項目におけるチェックポイントとしては、以下の4つが挙げられます。

1. チームメンバーの能力や適性を把握し、適切な役割分担ができたか
2. チームメンバーの健康管理に留意したか
3. 部下に適切な指導や助言を行っているか
4. 部下のよい相談相手となっているか

この項目では、カッツ理論のヒューマンスキルが評価できます。したがって、下級から上級まですべての管理職の評価に重要です。

俯瞰的・長期的な視点

「俯瞰的・長期的な視点」の評価項目は、特に、上級管理職への評価に重要です。チェックポイントとして以下の4つが挙げられます。

1. 全体の中で自分たちが置かれた状況を把握・分析できる
2. 長期的な視点で方針や戦略を示すことができるか
3. 複数の情報を取りまとめたうえで、実現性の高い企画が打ち出せるか

これらはいずれも、カッツ理論のコンセプチュアルスキルに関する評価項目です。

管理職に必要な資質・スキルを学べる研修

企業において新人研修と同じかそれ以上に重要なのが、管理職の研修です。管理職に求められるスキルは、研修を通じて習得してもらうこともできます。適切な研修を実施することで、個人単位ではなく、部署・組織単位の成果に影響するのが、管理職の研修です。

研修の種類は多彩です。管理職の各段階に合わせて必要なスキルを網羅的に学べる研修や、1つのスキルを深く掘り下げて学べる研修などがあります。働き方改革やダイバーシティ推進などのテーマに沿った研修や、時代のニーズにあった知識やスキルをアップデートするための研修なども用意されています。

ただし、管理職の研修はそれなりに費用もかかるため、コストに見合う内容を実施することが重要です。すぐに役立つ実践的な研修を選ぶのか、将来性を考えてヒューマンスキルに関係した研修を受けさせるのか、目指す管理職像によっても選択が変わってくるでしょう。

いずれにしても、そのときに必要になるのが管理職の評価です。この記事で紹介したようなテクニカルスキル・ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルを軸とした評価方法は、管理者の教育計画にも役立ちます

管理職の資質・スキルを見極めて適切な評価をしよう!

管理職には一般の従業員と異なる資質やスキルが必要です。

管理職に求められる役割を見極めるために、管理職に特化した評価項目を設定してみましょう。テクニカルスキル・ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルを総合的に評価することで、適材適所が実現できます。もっと身に付けてほしいスキルがある場合は、適宜研修を取り入れていきましょう。もっと身に付けてほしいスキルがある場合は、適宜研修を取り入れていきましょう。 

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