2019.12.04

メリットいっぱいの健康経営とは?取り組み事例や導入ステップを紹介!

メリットいっぱいの健康経営とは?取り組み事例や導入ステップを紹介!

健康経営という言葉を耳にしたことはあっても、実際にその意味について正しく理解できている人はどれくらいいるでしょうか。実践したいと考えていても、本来の意味とは違う解釈をしていては逆効果になってしまうかもしれません。健康経営を実現させるためには、まず意味を正しく理解することが大切です。この記事では、健康経営の正しい意味と実践方法について解説していきます。

健康経営とは?

健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で実践していく経営手法のことです。健康管理をするといっても、ただ病気やケガをしないように予防するということではありません。ここでいう健康とは、質のよい睡眠をとって食事をおいしく食べることができ、明るくイキイキと活動できるということです。従業員が健康な体で働くことができれば、それだけ企業の生産性を高めることにつながります。現代人は人間関係や将来への不安などさまざまな心の悩みを抱えることも多いものです。従業員が抱えるストレスを軽減し、ひとりひとりが心身ともに健康であれば、社内のコミュニケーションも良好となることが期待できます。

従業員の健康は企業を成長させることにもつながり、企業にとって大切な財産といえます。つまり、経営者にとって従業員の健康管理に力を入れるということは、企業への投資の一環であると考えればいいでしょう。従業員が健康であれば医療機関を利用する機会も減りますし、医療費の節約にも役立てることができます。さらに、国民の健康寿命を延ばすという政府の取り組みにも協力することができるのです。

なぜ注目されている?健康経営が推進される背景

健康経営が注目され、推進されるようになった背景としてはいくつかの理由があげられます。まず一つは、従業員の高齢化です。少子高齢化が深刻な社会問題となっている日本では、労働者の高齢化も進みつつあります。年金の繰り下げ受給を政府が推進していることで、少しでも長く働きたいという人が増えたのも理由の一つですが、労働人口の減少によって高齢者が大切な労働力になっているのも要因となっています。特に技術職のような重要な資産ともいえる人材が補充できないまま従業員が定年を迎えてしまうと、企業にとって大きな損失になるでしょう。

その一方で、加齢による体力の低下や健康不良などを理由に退職せざるを得ない人も少なくはありません。企業が健康経営に力を入れて従業員の健康に配慮ができれば、離職率を下げて労働力の確保につなげることも可能です。そしてもう一つは、健康保険料の企業負担を抑えられるという理由もあります。ケガや病気の従業員が増えれば、それだけ国民医療費は増加します。医療費が増えれば、企業が負担する健康保険料も増大するのは当然のことです。赤字経営の企業の中には、健康保険料の圧迫が原因になっているケースも珍しいことではないのです。健康経営を実践することでケガや病気による労働力の減少を防ぎ、さらに企業の健康保険料の負担を抑えることも可能になります。

日本の労働者が抱えがちなストレスも課題の一つです。日本は労働時間が諸外国と比較すると長時間に及ぶことが多く、労働者の負担になりやすいという問題を抱えています。労働時間が長くなればその分睡眠時間やリフレッシュにあてる時間が削られることになり、強いストレスをため込んだ状態で働かなければなりません。十分な睡眠が得られなければ体調を崩す要因にもなり、ストレスとあわせて生産性を下げることにつながります。こうしたストレスの問題も、健康経営が推進されるようになった背景となっているのです。

健康経営に取り組むべき企業の特徴

従業員の健康は大切な資産であり、向上させなければならないということはすべての企業に該当します。しかし、その中でも特に健康経営に取り組むべき企業にはいくつかの特徴があります。一つは、慢性的な人手不足に陥っていることで従業員ひとりひとりの労働時間が長時間になっている企業です。このような企業は従業員が強いストレスを感じたまま労働に従事している可能性が高いといえます。この場合は従業員の健康面だけでなく、企業イメージまで下げてしまうかもしれません。

高齢の従業員の割合が多い企業も、健康経営を推進した方がいいでしょう。見た目にはわかりにくくても、ガンや心疾患、または脳血管疾患といった死亡リスクの高い疾患を抱えている可能性が高まるからです。特に労働時間が長い場合には、ある日突然体調を崩すという心配も出てきます。役職者など重要な任務を担っている従業員が疾患を抱えていて長期療養などを余儀なくされれば、企業にとっても大きな損失になります。
ストレスチェックを定期的に実施している企業であれば、結果について注意してみましょう。悪い結果が散見されるなら健康経営を検討すべきです。

ストレスチェックの結果ではわかりにくい場合でも、長期で休む従業員が多いかどうかで傾向をつかむこともできます。職場のストレスからくるうつ病は、長期休暇につながりやすいからです。自社の労働環境や従業員の平均年齢、従業員一人ひとりの勤怠状況などを総合的に判断し、ここで説明したことに何かしら該当している部分があるなら健康経営に取り組むことを考えた方がいいでしょう。

経済産業省の取り組み

1.健康経営銘柄

経済産業省では、健康経営を推進していくうえでの取り組みの一つとして「健康経営銘柄」を実践しています。健康経営銘柄とは、上場企業の中から優れた健康経営を実践している企業を選定するというものです。選定の対象になるのは東京証券取引所で公開している上場企業33業種で、各業種からそれぞれ1社ずつ選ばれます。健康銘柄として選ばれると、魅力的な企業として投資家に優先的に紹介されるという特典が用意されています。株価が上がることも期待でき、企業価値を高めていくことも見込めるでしょう。優良企業として社会に認識されれば、自社製品やサービスのアピールにもつながります。健康経営を実践すれば企業そのものの価値を上げる効果も期待できるということです。社会的な評価も高まれば、投資家や株主が投資先を決める際の判断材料にもなります。

2.健康経営優良法人

経済産業省が健康経営を推奨するに当たって取り組んでいることの一つに「健康経営優良法人認定制度」があります。この取り組みは株式上場をしているかどうかに関係なく、一般企業から医療法人まで多くの企業が認定の対象になるというのが特徴です。上場企業しか該当しない健康経営銘柄とは異なり、株式未上場の企業であっても自社の取り組みを評価してもらえるチャンスがあります。日本健康会議が認定を行うこの取り組みによって、2019年8月1日の時点で大規模法人部門の「ホワイト500」には818法人が、中小規模法人部門では2502法人が認定を受けています。

健康経営のメリット

1.生産性が向上する

健康経営を実践することでさまざまなメリットが期待できますが、その一つとして生産性の向上があげられます。何らかの体調不良やストレスを抱えた状態で作業を行うと、普段は考えられないようなミスにつながる人は多く、本来持っている能力を十分に発揮できないものです。場合によっては単純なミスを繰り返してしまったり、作業速度が低下したりすることもあるでしょう。そのような状態では決して生産性が上がる状況にはなりません。しかし、心身ともに健康であれば集中力を増すこともできますし、よいパフォーマンスを発揮しやすくなります。その分生産性を高めていくことも可能です。うつ病や人間関係の悩みといったメンタル面の不調や、病気など肉体の不調で休む人を減少させることができれば、さらに生産性アップにつなげていけるでしょう。

2.リスク管理ができる

リスク管理ができることも健康経営のメリットです。従業員が身体に不調を感じながら仕事を続けている状態は、本人はもちろん企業にとっても好ましいことではありません。従業員が自分の健康に向き合う余裕がないと、くも膜下出血や心筋梗塞など死に直結しやすい病気を起こすリスクが高まる可能性もあります。長時間労働による残業が原因で寝不足が続けば、従業員が通勤中や業務中に事故を起こすこともあるでしょう。業務中に起こる従業員の病気やケガは労災となる場合が多く、その費用は企業負担となります。業務内容によっては社外的にも損害が出るかもしれません。

従業員が働けない状況になった場合には新たな人材確保も必要です。求人募集から研修といったコストもかかります。しかし、企業にとって注意しておきたいのはコスト面よりも労働法に抵触してしまうことです。従業員がケガや病気に至る経緯や働く環境によっては、労働基準関係法令違反や安全配慮義務違反に問われることもあるでしょう。行政指導だけでも社会的なイメージダウンになりますが、企業が罰せられることになればさらにリスクは高まります。健康経営の実施によって、こうしたリスクも回避することは可能なのです。

3.企業負担の医療費を軽減できる

健康経営を行うことで企業が負担する医療費を軽減できるのも、メリットとしてあげられます。従業員がケガをしたり体調を崩したりすることがあれば、通常は病院で治療することになります。自費負担の特別な治療でもなければ、勤務先で加入している健康保険を利用するのが一般的です。医療費の一部は企業の負担になるため、従業員が病院を利用すればするほど企業の負担は増していくでしょう。しかし、従業員が健康な状態を維持できていれば、それだけ病院を利用する機会は少なくなります。そうなれば企業が負担する医療費も抑えることができます。

4.企業イメージが向上する

長時間労働による従業員の過労死や自殺が社会問題として取り上げられることが多くなり、企業がどれだけ従業員の健康に配慮しているかという点に注意をはらう休職者は増えています。休職者の家族にとっても、危険な企業で働かせたくないと考えるのは自然な流れでしょう。そんな中、健康経営を実施することで企業イメージを向上させてくれるのもメリットです。健康経営を実施しているかどうかは、求職者にとって判断材料の一つになるといっても過言ではありません。従業員の健康に配慮している企業はブランドイメージもアップしますし、優秀な人材が集まりやすいのもメリットといえます。

さらに健康経営優良法人認定制度の認定を受けることができれば、融資の金利を抑えられるというメリットも期待できます。金融機関の多くが健康経営優良法人認定制度を対象にした低金利融資を行っているのが理由です。必要なタイミングで低金利の融資を受けることができれば、返済の負担も軽いうえに次のチャンスにつなげていけます。融資だけでなく、関連企業からの協力も得やすくなるかもしれません。例えば、他社から技術を提供してもらうことで、新しい製品の共同開発が実現できる場合もあります。金融機関や関連企業から高い評価を得られれば、事業活動を優位に進めやすくなるでしょう。

健康経営にはデメリットもある?

健康経営はメリットばかりではありません。実施するに当たってはデメリットについても考えておくといいでしょう。まずあげられるのはコストの問題です。これはすべての企業に当てはまるわけではなく、これまで従業員の健康管理にあまり配慮してこなかった企業が該当します。定期健康診断以外に従業員の健康管理にコストをかけていない場合には健康経営に向けて準備することが多くなり、その分予算が必要です。また、それまでのデータがない分、健康経営を始めたばかりのうちは具体的な成果についてわかりにくいかもしれません。

また、生産性が上がった場合でも、健康経営との直接的な因果関係がどれくらいのものか判断できるまでに時間がかかるでしょう。ただし、因果関係に関しては、データが蓄積されていけば解決される問題でもあります。健康管理を実施するうえで必要になってくるのは、従業員一人ひとりの健康状況に関するデータの提供です。個人情報に関することで中には抵抗を感じる人もいますし、従業員のすべてがすぐに理解を示してくれるとは限りません。

喫煙成功者や減量成功者といった何らかの成果を果たした従業員に対して、表彰制度を設ける企業もあります。従業員のモチベーションにもつながり、健康経営への理解が深まることも期待できる取り組みです。しかし、表彰の対象にならない従業員の中には不公平感を持つ人が出てくるかもしれません。社内で表彰制度などを設ける場合には、できるだけ多くの従業員が該当するようなものを考えて工夫することが大切です。

健康経営の取り組み事例

1.社内における健康管理

健康経営の取り組み事例として、社内で実施できる健康管理には次のようなものがあげられます。まず、従業員の健康について専門的に実践できる部署を設けましょう。ただなんとなく社内全体に健康を呼びかけるといった方法では持続することは難しいものがあります。従業員の健康管理に関する部署を設置することは健康経営の成功につながります。担当部署が用意できたら、アンケートなどを実施して従業員の健康状態を把握しておきましょう。従業員の食生活から運動、睡眠やメンタルに至るまでを管理するだけでなく、必要に応じてフィードバックすることも大切です。

社員食堂がある企業であれば、健康に配慮したメニューの見直しもいいでしょう。ひとり暮らしの従業員の中には、食生活が乱れやすい人もいるかもしれません。社員食堂で健康をバックアップするという取り組みも可能です。メンタル面が気になる従業員に向けて、プライバシーに配慮しながら相談できる専門家を用意したり外部機関と提携したりという方法もあります。2015年12月からはストレスチェックが義務化されています。ストレスチェックを実施するだけでなく、必要があれば迅速で適切な対応をとることも重要な健康管理です。他にも、特定健診や特定保健指導を定期的に実施し、検診受診率のアップを目指しましょう。

2.勤務時間や休暇制度の見直し

従業員の勤務時間や休暇制度の見直しも、健康経営の取り組みとしてあげることができます。企業で定めている就業時間が、必ずしもすべての従業員にとって働きやすいものであるとは限りません。例えば、小さな子どもを抱えている世帯であれば、出勤前に託児所などに子どもを預けることは多いものです。出勤時間を30分遅らせるだけでも、朝の慌ただしい時間帯に余裕を持たせることができます。残業が深夜に及びやすい部署があれば、早朝勤務を可能にするなどの工夫をしてみましょう。時間帯をずらすことで集中力が増し、生産性が上がることも期待できます。

従業員のライフスタイルに合わせ、短時間勤務やフレックス制度の導入を考えてみることも必要な取り組みといえます。また、業務内容によってはリモートワークの導入も可能です。リモートワークは勤怠管理が課題になりがちですが、あらかじめ利用条件をきちんと整備しておけば導入する価値はあります。従業員が心身ともにリフレッシュするためには、休暇制度を充実させるのも重要なことです。勤務日数に対して十分な休暇が取れているかどうかの見直しもしてみましょう。

3.社員の教育

健康経営は従業員の理解を得ることも大切です。健康管理の重要性やその意義について学んでもらうための社員教育を実施しましょう。健康を維持するうえで基本となるのは健康的な食生活と適度な運動、そして睡眠です。どのような食生活が理想的なのか、運動不足や睡眠不足がもたらす健康への影響について学ぶ機会を作ることも健康経営の取り組みといえます。専門家を招いてのセミナーを実施するのもいいかもしれません。定期的に行うことができれば、従業員の意識を高めることもできるでしょう。健康は従業員が自分で意識して管理する部分もたくさんあります。例えばインフルエンザのような感染しやすいものは、社内での感染を防ぐためにも予防接種を呼びかけることが重要です。予防接種以外にも人混みでのマスクの着用を奨励するなど、個人ができる予防にはさまざまなものがあります。

どうやって導入する?健康経営を実践する3つのステップ

健康経営に興味を持っていても、実際にはどのように導入したらいいか迷ってしまうかもしれません。そこで、実践するための3つのステップについて説明していきます。

まず1つ目のステップは、経営層が健康経営について理解を深めることです。どのような目的で取り組むのかを考え、必要性について認識できたら社員に向けて発信していきましょう。
2つ目のステップで、組織体制を整備していきます。具体的な方法としてあげられるのは、方針に基づいて健康経営を管理する新しい部署を設けることです。社内から人員を選んでもいいですし、専門的な知識が必要だと判断されれば、外部のアドバイザーに依頼するのもいいでしょう。自社に合った方法として何を導入すべきかもその部署で検討します。
そして3つ目のステップで、いよいよ取り組みを実施します。効果を測定したり従業員へのフィードバックを行ったりしながら、その中で浮かび上がった課題や改善できそうな点について話し合う機会も設けましょう。

健康経営の現状と今後の課題

健康経営については多くの企業が関心を寄せており、認識が深まっている状況にあります。2018年に報告された経済産業省の調査によれば、経営者自身が最高責任者という形をとって健康経営に取り組んでいる企業の数は46.5%です。3年前の結果と比較してみると、実に8.8倍にも増加していることがわかります。それだけ、従業員の健康に資産価値を見出している経営者が増えていることがうかがえます。

健康経営の今後の課題としてあげられるのは、労働時間の適正化です。労働時間の見直しを行いオーバーワークを抑えて、ワークライフバランスを整えることが重要といえるでしょう。食生活の乱れなどから起こりやすい生活習慣病の予防も大切です。すでに生活習慣病を抱えているリスクの高い従業員の管理についても、今後の課題として取り組んでいくことも重要といえます。

メリットや重要性に関する情報を共有しながら導入を進めよう!

健康経営を実施することは、企業の生産性向上や企業のイメージアップといったさまざまなメリットを得ることが可能です。従業員が心身ともに健康であれば病院の利用頻度も低くなり、その分医療費を抑えることにも役立てることができます。健康経営の重要性や意義についてはまず経営層が認識し、次に社内での理解を深めるという流れでスムーズに導入させていきましょう。

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