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2019.5.30

即戦力を生み出す能力開発!効果的なOJTを行う方法とは?

新入社員の育成に多大な効果を発揮する手法「OJT」。企業にとって、採用した人材をいかに早く戦力として育て上げるかは重要な課題です。OJTについて深く学び、正しい運用方法や失敗を避ける方法などを知りたいと思っている人事担当者も多いのではないでしょうか。そんな人々のために、この記事ではOJTを導入するメリットやデメリット、指導する側が心がけるポイントをはじめ、OJTに役立つITツールなどを紹介していきます。

「OJT」とは?

そもそも「OJT」とは、正式名称を「On-The-Job Training」といい、社員を育成するための教育訓練のことを指しています。実際の現場で業務をこなしながら行われるのが一般的で、先輩社員や上司などが指導者となり、新入社員が業務を遂行するために必要な知識やスキルを教えていきます。教育訓練というスタイルをとる以上、何か問題が起きたときに単発的なアドバイスをするのではなく、事前に一定の指導マニュアルや評価方法などを設定して計画的に進められることが一般的です。
企業における新入社員の教育方法として非常に優れており、実際に導入している企業は規模の大小を問わず数多くあります。そんなOJTをより詳しく知るために、起源や導入後の基本的なステップなどを見ていきましょう。

OJTの起源について

OJTが最初に構築されたのは、第一次世界大戦下のアメリカでした。当時は戦争で使用する船を急ピッチで造る必要があったため、数多くの造船所において人員の拡充が急務となったのです。ただ、採用した新人の数があまりに多かったため、指導する側の数が不足してなかなか戦力として育てることができません。そこで考え出された革新的な訓練プログラムが、OJTだったのです。現場で直接実地訓練を行うことは、より素早い人員補充や業務経験を積むうえで欠かせません。より短期間で新人を戦力へと成長させるためにも、OJTは非常に有効な手法として採用されるようになったのです。

OJTの基本ステップと現在の形

実地訓練のための手法として構築されたOJTには、「4段階職業指導法」という基本ステップがあります。これは、大量採用した新人のスムーズな教育に欠かせない革新的なプログラムで、「やってみせる(Show)」「説明する(Tell)」「やらせてみる(Do)」「確認、追加指導(Check)」の4点から成り立っています。これらのポイントを段階的に行うことで、新人に効率よく業務経験やスキルを積ませることができるのです。
高度成長期になると、OJTは企業内研修として日本の企業にも取り入れられるようになりました。その後、時代や日本の環境に応じて内容を変え、現代では「コミュニケーション重視」「育成計画やマニュアルの設定」などのスタイルで活用され続けています。

OJTを取り入れるメリット

OJTの基本的な内容がわかったところで、次に気になるのは「わが社がOJTを取り入れるメリットはあるのか?」という点でしょう。企業がOJTを導入することでどんなメリットがあるのか、必要性とあわせて具体的に紹介していきます。

戦力となる人材を増やすことができる

企業にとって、業務経験も知識もない新人の教育は頭の痛い問題です。素早く戦力として育て上げないと、指導者の業務効率が下がったり、新人の費用対効果が悪くなったりしてしまうでしょう。この点、OJTなら指導者の元で実務を通して業務を覚えられるため、新人でも即戦力として早く成長することができます。また、正しく指導するためには指導者自身も業務フローを再確認したり、理解度を高めたりしなければなりません。このため、指導を通して指導者の成長にもつながります。OJTを受ける新人と指導者、双方の能力が上がる結果、企業全体の戦力が向上する可能性が高いのです。

個人の能力を引き出せる

年功序列の色合いが濃かったひと昔前の日本とは異なり、現代の人事評価では個人のスキルや才能を重視する傾向が強くなっています。戦略人事において、各社員ごとの評価に基づいた全社的な人材ポートフォリオの形成が必要不可欠となりつつあります。現場の指導者が直接指導するOJTであれば個人の能力に応じた柔軟な対応が可能であり、才能の開発や適正な人事評価にも非常に適している手法となっています。

低コストで実用的な研修ができる

経営戦略において、人材育成にかかるコストは決して軽くありません。いかにコストを節約し、効率よく優秀な人材を育成していくかが重要になります。この点、OJTは指導者も新人も特別な研修などを実施する必要がなく、通常業務の中で実戦的な指導が行えるため、生産性が下がりにくいというメリットがあります。研修専任の講師を外部から呼ぶこともないため、外注コストもかかりません。低コストでありながら効果的な指導が行える、優れた手法だといえるでしょう。

OJTのデメリット・落とし穴って?

さまざまなメリットがあるOJTですが、デメリットもあるため注意が必要です。まず、新人を一箇所に集めて人事担当者が画一的な教育を行うわけではないため、現場の指導者によって育成内容や進度に偏りが生じることがあります。同時期に採用した新人であっても、一方はすでに戦力になっているのに、他方はいまだに指導中というケースもあり、人事戦略が崩れてしまう可能性もあるでしょう。また、常に同じ指導者が指導することにより、人事部など第三者の目が届きにくくパワハラにつながったり、指導者の負担が大きくなったりするおそれもあります。指導者、新人の双方が順調にOJTを行うためにも、本部の人事担当者による定期的な面談などが欠かせません。

OJTの正しい運用方法について解説!

OJTを導入するなら、メリットだけでなくデメリットまで把握したうえで正しく運用することが望ましいでしょう。指導をすべて現場任せにするのではなく、企業全体でルールや目的を共有化させることから始めましょう。指導にあたっては、研修スケジュールや教育体系などのシステムを明確化し、一定の指導マニュアルを作成すると効果的です。人事担当者は、こまめに研修結果の報告を受けたり指導者や新人のヒアリングを行ったりして学習内容を把握し、それぞれの様子に気を配っておきましょう。また、指導者は相手が新人であることを忘れず、必要以上の叱責や感情的な指導を行わないよう配慮することも必要です。これらに注意して運用すれば、OJTは企業にとって大きなプラス効果をもたらすでしょう。

「OJT」と「OFF JT」はどう違うの?

OJTとよく似た言葉に、「OFF JT」というものもあります。一体何が違うのか、疑問に思っている人も多いでしょう。実は、OJTとOFF JTを併用すると相乗効果が生まれることがわかり、OFF JTにも注目が集まりつつあるのです。どんな相乗効果が得られるのか知るためにも、まずはOFF JTの概要やOJTとの違いを見ていきましょう。

「OFF JT」とは?

OFF JTとは、正式名称を「Off The Job Training」といい、業務の現場から離れて研修やセミナーなどを行う教育手法のことを指します。日本では広く普及している手法で、厚生労働省が行った「平成29年能力開発基本調査」によると、正社員に対してOFF JTを実施した事業所は75.4%にも上りました。正社員以外にも実施した事業所は38.6%あり、どちらも前回調査より割合がアップしています。また、人材育成に関して「何らかの問題がある」と回答した事業所は75.4%に上り、その問題として「指導する人材が不足している」「人材育成を行う時間がない」「人材を育成しても辞めてしまう」といった回答が多く寄せられました。つまり、多くの企業がこのような問題を解決するためにOFF JTを実施しているということです。OFF JTがいかに重要な教育手法であるか、よくわかるでしょう。

Off JTで学べること

OFF JTで学ぶ内容は、主にビジネスマナーや業務に必要な基礎といった「知識」であり、実務にすぐ反映されるわけではありません。このため、実施したからといって即戦力として期待するのは難しいでしょう。しかし、企業で働く人材としては将来的に必ず役立つものです。あくまでも「知識の土台を作る」ことが目的だと理解し、実務的な意味合いが強いOJTとは大きく異なると覚えておきましょう。

OJTとOff JTの相乗効果とは?

厚生労働省が行った能力開発基本調査によれば、正社員に対してOJTもしくはOFF JTを実施した企業は全体の約7割に上ります。さらに、教育訓練として企業が重視する傾向が強いのは、OFF JTよりもOJTであることがわかっています。OJTのほうがより実務的な教育であり、即戦力として期待できるため、企業が重視するのも納得でしょう。しかし、座学がメインであるOFF JTにはOFF JTならではの魅力もあります。実務で学んだことを座学でより深く学んだり、座学で得た知識を実務に応用したりすることも可能です。それぞれの良さを活かして効果的に教育するためにも、特徴を理解してメリットをうまく組み合わせることが大切です。

OJTにおける指導者側の動き方

OJTの重要性を理解している企業は多いものの、実際にうまく機能している企業は少なくなっています。その原因として、指導者にかかるプレッシャーや負担が大きいことが挙げられます。その問題を避けるためにも、指導者に対するケアのポイントや効果的なOJTの進め方などを把握し、OJT担当者としてどのように動けばよいかを把握しておきましょう。

新人育成の目的とゴールを明確にする

指導者に教育を丸投げしていると、指導者はどのように教えればよいかわからず負担を感じがちになります。このため、まずは企業における新人育成の目的や目標を明確にし、全社員で共有することが大切です。目指す企業の理想形をイメージし、それに基づいて長期的なプログラムを作り、計画的かつ継続的に実行しなければなりません。また、計画的な育成目標が定まっていることで、教育を受ける新人にも自身の成長を実感できる指標が生まれ、実践的なスキルを持つ優秀な社員の増加につながるでしょう。

新人のスキルレベルを把握する

OJTを始める前に、まず新人のスキルレベルを正しく把握することも大切です。現状のスキルを確認し、企業が求める理想形と比較してみましょう。優れている部分や不足している部分を明確にすることで、それを活かしたり補ったりする最適な新人育成が可能となります。たとえば、大学や新人研修などですでに基本的なビジネスマナーを学んでいる新人に対しては、基礎教育をサッと済ませて業務に直結した教育を始めるのが最適です。各新人のスキルや性格も考慮してプログラムを決めることで、最大限の成果を得られるでしょう。

最適な研修・カリキュラムを用意する

企業の目標と新人のスキルを明確にしたら、それにふさわしい教育カリキュラムを作成しましょう。業務に必要な知識を一気に身につけられる新人はなかなかいないので、習得レベルごとに段階的に学ばせていったほうがスキルを覚えやすくなります。また、段階的に学習することで、企業が業務に求めている姿勢や、企業全体の経営理念などに対する理解も徐々に深まるでしょう。

フィードバック・フォローを徹底する

OJTでは、指導者に任せっきりにするのではなく、人事担当者も新人からの報告や定期面談、改善点などのフィードバックを徹底することが育成成功への大きなポイントです。ただし、フィードバックとはいっても新人にダメ出しばかりしているとモチベーションが下がりかねません。それを避けるためにも、改善点を教えるフィードバックをするときは、成果を評価するフィードバックも同時に行うことが大切です。これにより、新人のモチベーションを保ちやすくなります。コミュニケーションツールの導入など、フィードバックを効率的に行える手段も確保しておきましょう。

OJTに役立つおすすめITツール

OJTが効果的とはいっても、必要なシステムを一から構築するのはコストも手間もかかるので避けたいところでしょう。このような場合は、専用のITツールを活用しましょう。新人のスキル把握や目標の共有など、OJTに役立つITツールがあるので紹介していきます。

目標・評価管理ツール「banto」

OJTに役立つITツール1つ目は、目標・評価管理システム「banto」です。bantoの特徴は、AIが毎日決まった時間に自動で進捗確認を行える点です。指導者や人事担当者が多忙でも、確実に新人の学習内容をチェックできます。また、チャットで報告された内容は自動的に活動履歴として蓄積されたうえ、クラウド化によって上司や同僚などと共有することも可能です。目標や目標達成のための指標はグラフ化され、進捗をわかりやすく可視化できる点も魅力です。オープン化された空間で定期的なフィードバックやコミュニケーションを行うことで、私情に左右されない評価が可能となり、上司と部下の関係性も安定するでしょう。

スキルの視覚・共有化ツール「Logbook」

2つ目のお役立ちITツールは、目的ごとに用意されたさまざまなアプリケーションが魅力の「Logbook」です。スキルの習得状況を可視化したメータ機能や、リアルタイムでスキル管理が可能なチェック機能などがあり、個人のスキル状況をわかりやすく把握できます。さらに、常に変化する進捗状況を把握するのに役立つお気に入り登録機能もあります。お気に入り登録することで、複数の上司からチェックを受けたり、新人から関係者に向けたコメント発信をしたりと、さまざまな情報を全員で共有できるので非常に便利です。

OJTで新人を即戦力に!時代を先取ったITツールを導入しよう

新人を即戦力として企業に貢献できる人材に育成するには、効率的なOJT運用が必要となります。ただし、OJTをうまく機能させるためには、進捗管理やフィードバックなどの機能を備えたシステムが欠かせません。システムが整っていなければ、指導者の負担が大きくなったり新人のモチベーションを下げたりして、逆効果になってしまうおそれもあります。社内でシステムを構築するのが難しい場合は、「banto」や「Logbook」などのITツールを活用して情報の共有化を目指しましょう。
ほかにも、マニュアル作成ソフト「TEんDo」と連携できる「GAKTEん」など、特徴が異なるさまざまなITツールがあります。自社が求める機能を持っているか、コストはどれくらいかなどもチェックし、最適なITツールを選びましょう。

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