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2020.1.27

「勤怠管理」とは?手法や入力する項目・注意点など徹底解説

従業員の勤怠管理は、企業が日ごろ当たり前におこなっていることです。しかし、そもそも勤怠管理とは何を目的におこなっているものなのか、じっくりと考えたことはあるでしょうか。勤怠管理について知ることは企業にとってもメリットがあるので、しっかりと理解しておくことが大切です。そこで、この記事では、勤怠管理の概要や目的、入力する項目、様々な手法や注意点などを解説します。

勤怠管理は法律で定められた使用者の義務

勤怠管理とは、企業や事業所などの使用者と呼ばれる側が、自社で働く従業員の就業状況を適正に把握することを指します。具体的には、従業員の労働日、休日、労働時間はもちろんのこと、休憩時間や欠勤・遅刻の状況、有給休暇取得状況など幅広い項目があります。これらをきちんと記録して把握するのが勤怠管理です。基本的には、使用者がその事実を現認して確認することと、客観的な記録が求められるようになっています。客観的な記録とは、パソコンを使用した時間の記録やタイムカードなどです。

勤怠管理は、労働基準法第108条において使用者の義務と定められています。労働基準法第109条では、勤怠管理に関する書類の3年保管義務がしっかりと明記されているのです。そのため、事業所は「退職日が属する月の締め日から向こう3年間」の勤怠データを保管しなければなりません。また、厚生労働省が平成29年1月20日に策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」というものがあります。こちらにも「使用者には労働時間を適切に把握する責務がある」との記述があるため、いかに勤怠管理をしっかりとおこなうべきかが分かります。

勤怠管理はどんな事業所で必要?

厚生労働省のガイドラインには、しっかりと勤怠管理の対象となる事業場が明記されています。これによると、「労働基準法のうち労働時間に係る規定(労働基準法第4章)が適用されるすべての事業場」は、従業員の勤怠管理をしなければなりません。つまり、従業員を雇用する企業や事業所であれば、必ず使用者が勤怠管理に取り組む必要があるのです。このとき、会社の規模や業種などは問われません。また、テレワーク制度を導入している企業であっても、従業員の労働時間をきちんと把握する必要があります。自宅やサテライトオフィスなどで就業する従業員についても、使用者は従業員の健康管理の一環として、勤怠管理をおこなわなければなりません。

勤怠管理は誰を対象に行う?

勤怠管理の対象となる労働者は、厚労省のガイドラインに記されています。「労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者を除くすべての労働者」は、勤怠管理がおこなわれる必要があります。ただし、みなし労働時間制が適用される労働者において「事業場外労働を行う者」については、みなし労働時間制が適用される時間に限るのがポイントです。

ここでいう「労働基準法第41条に定める者」とは、たとえば管理監督者などのことを指します。ただし、管理監督者であるかどうかの判断は役職名によってなされるわけではないので注意が必要です。管理監督者は、職務の内容などから実態に即して判断されるようになっています。たとえば、労働条件の決定や従業員の労務管理について一定の責任を負う立場の人物は管理監督者と考えられるでしょう。また、経営者と一体である従業員は、管理監督者と捉えられます。

それから、みなし労働時間制とは、次の3つのいずれかに当てはまるケースのことをいいます。1つ目は、事業場外で労働する者であって、労働時間の算定が困難なものです。これは、労働基準法第38条の2によって定められています。2つ目は、労働基準法第38条の3で定められている、専門業務型裁量労働制が適用される者です。専門性の高い業務によっては、業務を完了するための方法や時間配分などを従業員の判断にゆだねる必要があります。こうした場合にも勤怠管理は必要となるのです。3つ目は、企画業務型裁量労働制が適用される者です。裁量労働制において一定の範囲内の労働者を対象とした制度で、従業員が働きかたを決定できることをいいます。労働基準法第38条の4で定められている、この制度に該当する者も勤怠管理の対象です。

また、たとえ労働基準法では対象外となる労働者であっても、厚生労働省は適正な労働時間の管理をする責務を使用者に求めています。これは、どのような労働者であっても健康保護を図る必要があると考えられているためです。

勤怠管理にはどんな目的があるの?

勤怠管理は、集めたデータをただ保存しておくだけでは、本来の目的を完全に果たしているとはいえません。勤怠管理によって集めたデータは、従業員の就労実態を分析し、問題点や課題を浮き彫りにするために活用します。そして、より良い職場にするための解決策を見出すことに利用するのが理想的です。ここでは、勤怠管理の具体的な目的を5つ挙げます。

勤怠管理の目的

1.働き方の把握と数値化

勤怠管理の目的として、第一に挙げられるのが「働き方の把握と数値化」です。勤怠管理をすることによって、従業員それぞれの働きかたが数値化されるというメリットがあります。感覚的なものは人によって感じかたの違いがあるため、基本的に活用することは難しいでしょう。しかし、従業員それぞれの働き方が数値化されることで、職場全体の問題がはっきりと見えやすくなるのです。勤怠管理によって得たデータを比較することで、部署や従業員による働きかたの偏りが見えるようになります。そうすることで、職場の課題をより具体的に分析できるようになり、職場環境の改善につながるのです。

2.賃金の正確な支払い

勤怠管理によって従業員それぞれの労働時間などを正確に把握できることは、正しい給与計算がなされることに直結します。一般的に、賃金支払いに関するミスは労使間のトラブルに発展しやすいとされています。しかし、それぞれの従業員について労働時間などの客観的なデータがあることで、トラブルを未然に防ぐことができるのです。特に、残業代未払いのトラブルを防ぐためには、時間外労働や休日労働について正確な把握をするように心がけるといいでしょう。勤怠管理をしっかりとおこなうことは、トラブルを回避することにもつながります。

3.従業員の健康管理

勤怠管理をおこなうことで、従業員の働きすぎを防止することができます。長時間労働をさせないようにすることで、従業員の健康管理に努めることが可能となるのです。そもそも、従業員の健康は企業にとっての資本ともいえる大切なものです。メンタルヘルスの不調や過労死に

つながりかねない過重労働を防ぎ、従業員の健康を守ることは企業の責務であるといえるでしょう。勤怠管理は、企業だけでなく従業員にとっても非常に大切なものとなります。

4.コンプライアンス(法令)の遵守

勤怠管理をきちんとおこなうことは、労務コンプライアンスの遵守につながります。厚生労働省では、平成29年5月から、労働基準法関連法令違反の事例を企業名と併せて公表する取り組みを開始しました。直接的な罰則が科せられることに比べると穏やかな対応のように思われるかもしれませんが、この措置は、社会的な制裁の意味が込められています。企業名が公表されることで、企業が受けるイメージ低下などの影響はとても大きくなるでしょう。ここで名前が公表された企業は、一般的にいわれる「ブラック企業」であると判断されてしまう恐れがあります。そうなると、消費者離れや就職希望者が激減してしまう可能性も考えられます。

このように、労務コンプライアンスの遵守を怠ると、企業イメージが損なわれるだけではありません。労使トラブルをきっかけとした訴訟や、企業経営の存続の危機にもつながりかねないのです。こうした事態を防ぐためにも、コンプライアンスの遵守はとても大切なことであり、そのためにも勤怠管理は非常に重要であるといえます。たとえその後に改善を図ったとしても、一度インターネット上に公開されてしまった情報は、半永久的に残ってしまう可能性が高いです。インターネットでは転載によってどんどん情報が拡散されていくため、いつまでも「ブラック企業である」とレッテルを貼られてしまう恐れもあります。法律違反を犯した企業として名前を公表されないためにも、しっかりと勤怠管理をしてコンプライアンスを遵守しましょう。

5.働き方改革のためのデータ蓄積

適切な勤怠管理は、「働き方改革」の実行のためにも有効です。それぞれの従業員が個々の事情に応じて柔軟な働きかたを選択できるようになるためには、職場全体の業務効率化を推し進める必要があります。そのためには、現状について把握することがとても大切です。そこで、勤怠管理で得たデータを活用すれば、業務効率化のために必要な問題点を分析し、課題を洗い出しやすくなります。改善するべきポイントが分かるので、よりよい働き方を考えるうえで非常に参考になるでしょう。また、テレワークやフレックス制度などを導入するにあたっては、勤怠管理方法を見直すことがポイントになります。テレワークやフレックス制度は自由である分、これまでと同様の方法では勤怠管理が難しくなります。そのため、多様な勤務形態に対応できるようにする必要があるでしょう。

勤怠管理における注意点は?

勤怠管理をおこなううえで、いくつか注意点があります。たとえば、パートやアルバイトの従業員の中で「扶養控除内で勤務したい」と希望する人がいる場合は、気を付ける必要があります。年末が近づくにつれて、労働時間や給与金額の管理に気を配るようにしましょう。しっかりと管理していないと、場合によっては予想以上に働いてしまい、扶養控除から外れてしまう恐れがあります。また、フレックスタイムや在宅ワークといった新しい働きかたを導入するときにも注意しましょう。これまでとは違う、どのような働きかたをしたとしても、正確に労働時間を把握できる仕組みをつくる必要があります。それから、勤怠管理をするときは、勤務データと勤務実態を合致させるように留意してください。整合性が取れないとトラブルにつながったり、罰則を受けたりする可能性があります。

勤怠管理で入力する項目

労働基準法では勤怠管理の項目に必須の規定はありません。しかし、労働時間を適切に把握するためには、以下の項目を管理する必要があります。勤怠管理で入力する項目についてそれぞれ解説します。

  • 始業時間と終業時間

従業員が出社後、実際に業務を開始してから終了までの時間を記録します。出社時間と退社時間ではないため、着替えなどの時間は含みません。

  • 休憩時間

業務時間内の休憩時間を記録します。休憩時間は業務時間に算入しないため、労働時間に含まれません。労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間の休憩時間を取るよう労働基準法によって定められています。

  • 残業時間

時間外労働のことであり、法定労働時間(1日8時間・週40時間まで)を超えた分の時間を記録します。残業で発生する賃金は基礎賃金の25%割増(1ヶ月の時間外労働が60時間を超える場合は50%以上の率で計算)します。

  • 労働時間

基礎賃金の支払いが発生する時間(実労働時間)を記録します。例えば、9時から18時までの勤務で1時間の休憩がある従業員の場合、9時間勤務のうち休憩時間の1時間を差し引きます。労働時間には8時間と記録しましょう。

  • 深夜労働時間

22時から翌5時までに労働した時間を記録します。深夜労働時間においては、深夜手当として基礎賃金の25%割増した金額を支払います。法定労働時間を超える場合はさらに25%割増(50%)、労働時間が月60時間を超える場合はさらに25%割増(75%)した金額を支払うのがルールです。

  • 休日出勤日数

休日出勤日数は法定休日以外に就業した場合が該当します。法定休日とは労働基準法によって定められている、必ず設けなければならない休日のことです。従業員には週1日もしくは4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。例えば、4週間のうちに3回しか休みをとれなかった場合は、休日出勤日数には1日と記録します。休日出勤した場合、その日の対価は基礎賃金の35%割増した金額を支払います。

  • 勤務日数

従業員が就業するために出勤した日数を記録します。風邪や家庭の事情などで休みを取った日や有給休暇を取得した日は勤務日数に入れません。ただし、1時間でも出勤した場合は1日として記録します。

  • 有給休暇

有給休暇を取得した日数を記録します。雇用期間6ヶ月以上・全労働日数の8割以上出勤している従業員に対し、有給休暇を与える義務があります。取得できる有給休暇の日数は雇用形態や雇用期間によって異なるため、事前確認は必須です。なお、有給休暇は賃金の支給対象となります。

  • 欠勤日数

体調不良や家庭の事情などを理由に欠勤した日数を記録します。有給休暇が残っている場合は、欠勤から有給休暇に切り替えるケースもあります。なお、欠勤の場合は賃金の支払い対象外です。

  • 遅刻と早退の回数

従業員が遅刻・早退した回数を記録します。遅刻や早退の回数を管理することで適切な指導や配置換えを行うなどの対処方法につなげられます。

これらの項目は主に賃金を算定するときに用いられます。正しく算定するためにも時間は1分単位で管理することが重要です。また、「従業員が適切に休みを取れているか」「働き過ぎではないか」などを確認する目的もあります。勤怠管理を正しく入力することで従業員一人ひとりの働き方を視覚化できるため、働きやすい職場環境につなげられます。

勤怠管理には様々な手法がある

勤怠管理には、いくつかの手法があります。厚生労働省のガイドラインでは、2つの方法についての記載があります。それは、「使用者が自ら現認により確認をすること」もしくは「客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」です。この2つのうち、どちらかを採用するように明記されています。多くの従業員を管理するうえでは、後者の方法を取ることが多いです。ここでは、「客観的な記録」について4つの代表的な手法を紹介します。

勤怠管理手法

1.タイムカード

タイムカードによる勤怠管理は、タイムレコーダーに従業員それぞれがタイムカードを差し込み、打刻することで管理する方法です。タイムカードは誰でも簡単に扱えるので、これまでも多くの企業で用いられてきた勤怠管理手法であるといえます。ただし、タイムカードによる勤怠管理は、タイムレコーダーがある場所でしか打刻できません。そのため、テレワークなどの形態を取ってオフィス以外で働く従業員については、対応が難しいといわざるを得ません。また、タイムカード上には時刻しか記録されないのが特徴です。タイムカードを活用して詳細なデータを分析したいと考えている場合には向かないでしょう。

2.紙の出勤簿

紙の出勤簿を用いることで勤怠管理をおこなう方法があります。紙の出勤簿では、従業員が自己申告によって出勤簿に労働実態を記録し、上長に承認印をもらうケースが一般的です。アナログな方法ですが、紙の出勤簿を利用して勤怠管理をおこなっている企業もまだまだ存在しているのが実情です。ただし、厚生労働省のガイドラインによれば、自己申告による労働時間の把握では労働時間管理があいまいになりがちという弱点があります。そのため、この方法を採用する場合には、事前に従業員に十分な説明を行うなどの措置を取る必要性があるといえるでしょう。また、自己申告のあいまいさをなくすため、タイムカードと併用するケースもあります。そうすることで、企業にとっても従業員にとっても納得できる勤怠管理がおこなえます。

3.Excel表

勤怠管理には、Excelで作成した表を用いる方法もあります。Excelの基本操作が分かっていれば手軽に勤怠の入力や管理ができるので、非常に管理しやすくて便利な手法です。紙媒体に比べると、計算も容易であるためとても効率的だといえるでしょう。また、勤怠管理をするための専用ソフトを導入することに比べれば、元々パソコンに入っているExcelを利用するので特別なコストもかかりません。勤怠管理の手間とコストを抑えたい場合には、ぴったりな方法です。ただし、Excelを用いての勤怠管理は、計算エラーや手入力のミスも起こりやすくなります。そうした難点については、理解しておいたほうがいいでしょう。

4.勤怠管理システム

勤怠管理をおこなうために、専用のシステムを利用する方法があります。ここでいう勤怠管理システムとは、ITを活用した勤怠管理サービスのことです。勤怠管理システムにはクラウド型とソフト型があり、クラウド型は導入コストが比較的安価であることが多くなります。ただし、IDやパスワードの漏洩リスクがある点については理解しておきましょう。一方、ソフト型では、データをサーバー上にアップロードすることがないので情報漏洩のリスクは少なくなります。ただし、導入コストについては高くつくことが多いです。

勤怠管理システムを導入するメリットは?

勤怠管理システムを導入するメリットとして、まず、タイムカードの集計や入力の手間が省けるため、業務効率があがることが挙げられます。手間のかかる作業をしなくていいので、大幅な時間の節約になるでしょう。それから、タイムカードの不正打刻といった改ざんや、自己申告によるあいまいさを防ぐことができます。システムを利用することで、はっきりと正確な数値を得られるようになります。勤怠データは表やグラフなどのレポート形式でも出力できるので、データを容易に活用できるのもメリットです。

ほかにも、勤怠管理システムのクラウド型を導入すれば、テレワークにも対応できます。どのような働きかたにも対応できるのは、システムを利用するメリットといえるでしょう。さらに、勤怠管理システムは「働き方改革」の一環として助成金の対象になることがあります。

勤怠管理システムを導入するデメリットは?対処法はある?

勤怠管理システムを導入するデメリットとしては、経営層の理解を得るのが難しいことが挙げられます。これまでの方法がある場合、新しいやり方についてなかなか理解してもらえないことがあるかもしれません。そのようなときは、導入後の費用対効果をわかりやすく提示するようにしましょう。システム導入によって得られる効果を示すことで、理解してもらいやすくなります。また、自社のスタイルに適したサービスを選ばなければ、逆に負担が増えてしまうデメリットがあります。それを防ぐためには、自社での勤務形態や働きかた、給与計算システムなどの既存のシステムとの相性などを考えることが重要です。そのうえで、適したサービスを選ぶようにしましょう。

自社に合わせた手法で適切な勤怠管理を!

勤怠管理は、多くの目的を持つ非常に重要なものであるといえます。また、勤怠管理といっても、実際にはさまざまな手法があることが特徴です。一概に「これがいい」というわけではなく、企業のスタイルによって自社に適した手法を取っていくことが重要となります。自社にあった手法で適切な勤怠管理を行い、快適な職場環境を作っていきましょう。

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