2019.11.29

休日出勤はする日によって割増率が変わる!代休・振替休日の扱いにも要注意

休日出勤はする日によって割増率が変わる!代休・振替休日の扱いにも要注意

企業の休日には「法定休日」と「所定休日」の2種類があることを知っていますか。これらの他にも休日出勤したときの「代休」や「振替休日」というのもあり、区別がつきにくいですが、人事にとってはこれらの違いへの理解がとても重要となります。この記事では、法定休日と所定休日の違い及び、休日出勤をするときの割増賃金、代休・振替休日の扱い方などについて紹介します。

労働基準法における休日の定義とは?

一般的に休日というと、業務や授業などが休みになる日のことをいいます。しかし、労働基準法で定義されている休日はこうした一般的に認識されている休日とは異なり、労働者が労働の義務を課せられていない日のことをいうのです。ですから、仮に国民の祝日や年末年始など、一般的には休日だと思われている日に労働者を働かせても何の問題もありません。

休日とよく間違えられる言葉に、「休暇」があります。実際には意味が異なり、こちらは労働の義務が免除になっている日のことをいい、労働者からの申請等で労働日の仕事がなくなった日のことをいうのです。法令で定められている休暇としては、年次有給休暇や産前産後休暇、育児時間、育児・介護休業などが挙げられます。他にも義務ではありませんが、慶弔休暇、傷病休暇などもあり、こちらは会社側が休暇を出すかどうかを決めることができます。同時に、これらの慶弔休暇、傷病休暇の間に給料が発生するかどうかについても会社側が決められるのです。

また、「休業」という言葉も混同されやすいですが、こちらは休暇よりもさらに長い期間の休みの場合に使われます。休業はさらに、「会社都合」のものと「労働者都合」のものに分けられ、会社都合の場合はあくまでも会社側の問題で労働者がやむなく働けなくなってしまうので、会社は休業手当を与えなければなりません。一方で、労働者都合の場合は、育児休業や産前産後休業などがあてはまり、会社側に手当を与える義務は発生しません。ただし、労働者は申請をすれば給付金などを受け取ることが可能です。

さらに、「公休」という言葉もあります。これは会社で決められた休日のことで、後述する「所定休日」とほぼ同じような意味ととらえていいでしょう。公休は一般的に土曜日と日曜日だというイメージがありますが、会社によっても異なるため一概には言えません。特に年中無休の会社では休日を固定していないところが多いです。公休の定め方としては、社員に合わせた固定の休日にするか、毎月そのときに応じて休日を臨機応変に変えていくかというどちらかの方法で定めることが多いといえます。これらの言葉は休日と混同してしまいがちなので気をつけましょう。

「法定休日」とはどんな休日?

「法定休日」というのは、労働基準法35条によって定められている、雇用者が労働者に必ず与えなければならない最低基準の休日のことをいいます。1週間に1回以上は休日を与えることが原則となっており、1年間でいえば、52日は労働者に休みを与える必要があるということです。一方で、「変形休日制」の場合も、4週間に4日以上の休日を与える必要がありますが、法定休日とは異なり休みを与えるタイミングは週に1回以上でなくても良いとされています。

中には、法定休日の曜日までも就業規則によって定められている会社もあり、例えば、週休2日制で土日が休日で日曜日が法定休日になっているようなケースです。しかし、このように曜日まで決めずとも、法定休日の場合は、1週間に1日休日が設けられていれば法律的にも何の問題もありません。このような勘違いは、主に法定休日と所定休日の明確な区別について就業規則に記載されていないことが原因となって起こります。行政の局は、法定休日の特定がなければ、暦週の次の休日が法定休日になるとしています。ここでいう暦週というのは、1週間の内の日曜日から土曜日までのことです。

「所定休日」とはいったい何?

「所定休日」というのは、法定休日の他に企業が定めた休日のことをいい、「法定外休日」とも呼ばれます。例えば、週休2日制の企業の場合でいうと、就業規則で法定休日と定められている休み以外の休日は所定休日ということになります。また、4週8休制の企業の場合でいうと、8日ある休みの中の4回が法定休日にあたり、残りは所定休日となるのです。一方で、企業が既に定めてある法定休日の回数を超えると、その分の休日が「法定外休日」となります。1年間は52週間分あるので、法定休日は最低でも52日以上与える必要がありますが、労働基準法によって定められている週の労働時間は40時間までです。ですから、1年間の労働時間は合計で2080時間という計算になります。さらに、この時間を1日の労働時間にあたる8時間で割ると出勤日は260日となり、1年間で必要となる休日の最低日数は105日であるということが導き出せるのです。

法定休日の出勤を可能にする36協定

「36協定」というのは、労働基準法36条に基づいた労使協定のことを指し、正式名を「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。この協定は労使間で結ばれる必要があるのですが、これは、休日出勤のみならず、1日で8時間、週でいうと40時間以上の労働である「時間外労働」をさせるためです。36協定を結ぶ必要があるのは、法定労働時間を上回った労働をさせる場合か法定の休日に労働をさせる場合になります。これらの条件に当てはまる場合は、労使の間で「時間外労働・休日労働に関する協定書」を結び、「36協定届」という書類を労働基準監督署に提出する必要があります。もし、労働者が1人しかいない場合でも、提出は必要です。

36協定を結ぶには、時間外労働の業務種類と、1日・1カ月・1年の間に行われる時間外労働の上限を決めなくてはいけません。ただし、2018年6月からは労働基準法が改正され、罰則がある上限の時間が定められています。また、基本的には特殊な事例を除いて、月に45時間、年に360時間という上限を上回ってはいけません。仮に、特殊な事情があり労使間で合意が行われていたとしても、年に720時間、複数月の平均が80時間以内、月に100時間未満、そして、月に45時間を超える時間外労働は1年間に6カ月までとなっています。

ただ、2019年4月から働き方改革の一環として、36協定が新しくなりました。何が変更になったかというとまず1つ目は、「書式」です。書式の欄に新しく「労働保険番号」と「法人番号」の項目が追加されています。これは、データベースの管理を充実させるためです。
2つ目は、「延長時間」で、今までは延長可能な上限規制は、「告示」という扱いにとどまっていました。しかし、新しい36協定は、延長可能な時間数の上限がそのまま正式な法定における上限になったのです。これによって、上限を違反した者に対して、刑事罰などの法的責任を問えるようになりました。また、特別条項がある場合も延長可能な時間数の上限が定められたことで、法律的な根拠を持つようになりました。
3つ目は、「罰則」です。今までは、36協定あるいは特別条項の上限に法的な根拠が乏しく、36協定を締結した後、罰則に引っかからないように脱法することが可能でした。ところが、新しい36協定では、法的根拠に基づいた時間外労働の上限が定められたので、この上限を上回った者はきちんと罰則を受けるようになったのです。

こうした36協定に対する知識をしっかり持っていないと、労働者は会社側から安い給与で好きなように働かされることになってしまいます。特に、時間外労働が当たり前になってきている日本においては、どこからどこまでが合法で、どこからどこまでが違法にあたるのかを理解しておくことは非常に重要になってくるでしょう。憲法が改正された際も、その改正内容をチェックしておく必要があります。

時間外労働に対する割増賃金とは?

「割増賃金」というのは、残業及び休日出勤など、時間外労働をした場合に、通常労働1時間分の賃金に割増率をかけて計算された賃金のことをいいます。もし、36協定で法定休日に出勤したときは、通常の1.35倍の割増賃金が発生し、支払われなければ違法という扱いになるのです。ちなみに、所定休日の出勤に関しては1.35倍の割増賃金は適用されず、36協定が結ばれていなくても問題ありません。ただし、1日なら8時間、週なら40時間の法定労働時間を上回ったときは、1.25倍の割増賃金が発生します。

日本は労働者の残業時間が長い割には、割増賃金が低めで、他の外国と比べても明らかです。日本の残業時間が長くなってしまう原因としては、労働者の時間外労働や割増賃金の値段が低く、会社側が労働者に残業をさせやすくなってしまっていることが挙げられます。残業を2010年4月に一度労働基準法の改正によって、残業が1カ月間で60時間を上回れば、割増賃金率が従来の25%から、50%に上がるというものに変わりました。今後も働き方改革によって、割増賃金率が改定され、施行されることが予想されます。

「振替休日」と「代休」は何が違う?

「振替休日」というのは、休日出勤をする前にあらかじめ振替によって休む日を指定することができる制度で、通常の休日と労働日が逆転することになります。この場合、仮に法定休日に出勤しても、振替休日が同じ週のときは割増料金は発生しません。一方で、「代休」というのは、休日出勤を行った社員が後日になってから、代わりに休む日を指定して休む制度で、休日出勤したということに変わりはありません。この場合は、法定休日に出勤すると、1.35倍の割増賃金が発生します。
だだし、これらの制度には注意点があり、まず1つ目は、「振替休日は週をまたぐと割増賃金が発生する」ことです。週をまたいで休日などの振替を行った場合も時間外手当として割増賃金を支払わなければならず、労働基準法から外されるわけではありません。

2つ目は、「振替休日や代休を溜めすぎると労働基準法違反になる」ことです。割増賃金は、振替休日や代休の場合、割増部分の賃金のみを支払うのが一般的になっています。ところが、まだ消化されていない休日の割増部分だけを支払うのは「全額払いの原則」に反してしまうので、労働基準法に違反したことになってしまうのです。既に、振替休日や代休が溜まってしまっているなら、迅速に休日を消化する、あるいは、賃金を払って清算するなどの処理をする必要があるでしょう。

代休取得で休日手当カットは違法

休日出勤をした社員が代休を申請したものの、給与が支払われるときにその分の休日手当がカットされてしまうというケースがありますが、これは違法になります。なぜなら、代休というのはあくまでも休日出勤した後に申請をして取得するものなので、休日出勤したという事実はなくならないからです。もし、どうしても休日手当を支払いたくない場合は、前もって振替休日を与えておかなければいけません。また、未払い賃金の支払いを社員から要求された場合、休日手当を支払う義務が発生します。

管理職は休日手当なしが当然?

労働基準法によると、「管理監督者」の役職にあたる人は上記の休日に関するルールは適用されません。ですから、管理監督者になると、残業時間が無制限となり、残業代も支払われないうえに、法定休日までも取得できなくなるということが起こります。ところが、労働基準法で定められている管理監督者の条件というのは厳しく、一般的に管理職だと認識されているほとんどの人は労働基準法での管理監督者には当てはまらないことが多いです。ちなみに、労働基準法による管理監督者というのは、経営者に匹敵するほどの責任と権限があり、自分のさじ加減で労働時間を定めることが可能で、残業代を受け取る必要がないほど好待遇で仕事ができている人のことをいいます。この基準でいうなら、経営の意思決定が許されていない部課長や、工場長及び店長などの管理職に就いている人たちは、残業代や休日手当といった支給を受けることができるのです。ですから、もし休日や時間外のルールが適用されるなら、最高で2年までさかのぼって、残業手当及び休日手当の支給が要求される可能性もあります。

ダブルワークは一方で割増賃金が発生

ダブルワークというのは、別々の2つの仕事を掛け持って働くことです。似たような言葉である「副業」や「兼業」とは異なり、どちらか一方の仕事が本業という明確な区別はなく、どちらにも同じくらいの時間を費やし、同じくらいの給料をもらっていることが多いでしょう。また、ダブルワークの場合は、雇用形態の関係からどちらも正社員の仕事ということはまずなく、正社員とアルバイトという組み合わせである場合が多いです。

もし社員が複数の企業で働いている場合、その労働時間は合算によって計算されます。また、社員が2つの企業で働いている場合は、どちらか一方の企業が割増賃金を負担することになるのです。例えば、もし平日に毎日8時間働いて、土日に関しては別の会社で働いている社員がいたとしましょう。その場合は、平日の仕事だけで法定労働時間にあたる1日に8時間、週に40時間の労働時間を満たしてしまっているので、土曜日に関しては時間外労働の1.25倍、日曜日に関しては法定休日出勤の1.35倍の割増賃金になります。ですから、社員が平日にフルタイムで働いていて、休日には副業をしていることを知りながら割増賃金を支払っていないのなら違法という扱いになってしまうのです。

労働基準法35条に違反した場合の罰則は?

労働基準法35条に規定があるのはあくまでも、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない」ということと、「四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない」ということだけです。法定休日に関する罰則については労働基準法119条1項に規定されており、適用されれば6カ月以下の懲役あるいは30万円以下の罰金が科せられます。ただし、36協定を結んである状態で法定休日に労働をさせているのなら違法にはなりません。しかし、もし36協定を結ばずに、法定休日に出勤や労働をさせた場合にも、法定休日を付与しなかった場合と同じで、6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられます。

休日労働の割増賃金不払いに対する罰則は?

仮に36協定を結んでいたとしても、休日出勤に対して割増賃金の支払いが行われていなければ違法となります。支払い金額の基準ですが、法定休日なら基礎賃金の1.35倍以上、所定休日で時間外労働に当てはまるなら1.25倍以上の割増賃金支払いが必要です。もしこれらの割増賃金が支払われていない場合は、6カ月以下の懲役あるいは30万円以下の罰金が科せられます。ちなみに、割増率というのは、法定休日か所定休日かによっても異なります。所定休日の場合、法定労働時間を上回った分だけが割増対象になるので、前もって労働契約などによって法定休日を明確にしておかなければなりません。

違法な賃金・手当カットがないか確認しよう

もし、法定休日が明らかでなかったり、管理職にきちんと休日出勤や時間外労働手当てを支払っていなかったりなどの違法行為に、社員が気づいた場合は、さかのぼって請求される可能性があります。社員に指摘されてからでは遅い場合もあるので、賃金や手当の未払いといった違法行為を無意識にしていないかを一度確認してみましょう。

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