2021.7.6
目的と目標の違いは何?目的と目標を正しく立てるために意味を理解しよう!
「目的」と「目標」は、似ているようで実は全く異なる意味合いを持つ言葉ですが、正しく理解できているでしょうか。ビジネスシーンで目的や目標を立てるうえで、正しい意味を理解しておくことは重要です。そこで、この記事では、目的と目標の定義の違いをわかりやすく説明するとともに、それぞれ設定することのメリットや目標の設定方法まで詳しく解説します。
目的と目標の違い
目的とは、最終的に実現したいものを示す言葉です。企業にとっては、最終的に到達したいゴールであり存在意義そのものということもあります。例えば、企業が「お客様に最高の商品やサービスを提供して喜んでもらいたいと考えること」「社会貢献しようとすること」なども目的の具体例です。
一方、目標とは、目的を成し遂げるための具体的な手段で、最終的な到達点の目的を達成するための中間地点として掲げられます。企業活動で「どのくらい売上や利益をどのくらい出したいのか」など、具体的な金額を設定することがその一例です。目標として設定した数字は、あくまでも目的を達成するまでの道のりで指標となるものに過ぎません。一つ一つの目標を達成した先にある、最後に実現したい大きな目標が目的になるというイメージです。目標の数字を達成することが目的にならないように注意する必要があります。
目的を設定するメリット
最終的に実現したい目的を設定することで、何を得ることができるのでしょうか。ここでは、3つのポイントについて詳しく説明します。
ゴールへの道筋を立てられる
目的を設定することで、「最終的にどのようなことを実現したいのか」「何をしたいのか」などを明確にすることが可能です。最終的な目的があいまいなままでは、目指す姿をイメージすることもできません。どこに向かってがんばればいいかもわからないため、「具体的にどう行動すればいいのか」も決めかねます。その結果、施策が散発的になり無駄な業務に時間を費やすことになるケースもあるでしょう。
一方で、「何のために」という目的をはっきりさせることで、業務に従事する根本的な理由も明確になるはずです。目的を設定して最終的なゴール地点をしっかり見据えられることで、具体的な道筋も立てやすくなります。企業活動で使えるリソースは、無限ではありません。「何に力を入れればいいか」を把握できていれば、効率的にリソースを配分し限られたリソースでも最大限の成果を上げることが期待できます。
目標設定に役立つ
目標は、目的達成のための手段のため、最終的な目的が定まっていてこそ、それを達成するために必要な目標を立てることが可能になります。正確な目的がなければ、そもそも具体的で正しい目標の設定はできません。また、最終的な目的は基本的に一つですが、そこに到達するための手段は複数考えられます。
例えば、会社で売上アップのためにできる手段として、「営業を強化する」「商品を改良する」「価格を見直す」などが考えられるでしょう。ビジネスの現場では、目的達成のためにさまざまな視点から検討することが大切です。万一、一つの方向から検討した手段で結果を得られなかったとしても、ほかの視点から検討し直すことができます。このように、最終的な目的がはっきりしているからこそ、状況に応じた臨機応変な対応もできるのです。
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考えを共有できる
目指す目的がはっきりしていない場合、同じチームに所属していても、業務に対する考え方や向いている方向が異なることも起こり得ます。チームの人数が増えるほど、一致団結して業務にあたることが難しくなる可能性も増えるでしょう。目的を設定することの大きな意義の一つに、「チーム全体がどの方向を向けばいいのか」を明確にできることも挙げられます。
明確な目的を決めておくことで、チームのメンバー全員の意識を統一しやらなければならない業務に対する理由づけをすることが可能です。「なぜ自分がこの業務をやらなければならないのか」がわかっていなければ、モチベーションアップにつながらず、業務を進めるスピードにも影響を及ぼしかねません。しっかりとした目的をチームで共有できていれば、目的達成の手段として掲げられている目標が持つ意味を理解し、チーム全体で同じ方向に進んで仕事をすることが期待できるでしょう。
目標を設定するメリット
では、目的達成のための手段として必要な目標には、どのようなメリットがあるのでしょうか。日常の業務において目標を設定することで、どのようなメリットが得られるのか、3つのポイントを詳しく解説します。
PDCAサイクルを回すことができる
目標を設定することのメリットの一つは、PDCAサイクルを回しやすくなることです。ビジネスシーンで、継続的に業績を上げていくために必要とされる手法として「PDCAサイクル」を実践する企業も多いのではないでしょうか。PDCAサイクルのPDCAは「計画(plan)」「実行(do)」「反省(check)」「改善(action)」の頭文字で構成され、PDCAサイクルはこの4つの行動を繰り返すサイクルを表しています。
PDCAサイクルを回すことは、やりっぱなしにしないことにつながるのです。何かを計画し、実行したあとは、結果を分析してしっかりと見極めなければなりません。もし、想定通りにいかない部分がある場合は、原因を探る必要があります。改善すべき点を見つけて、次の行動に生かすことができれば、最初の行動時よりもいい結果を望めるはずです。PDCAサイクルを回すことで、ビジネス活動をより効率的にすることが期待できるでしょう。
やりっぱなしでは、計画を実行した成果がわからないため、なんとなく仕事をしただけで終わってしまう懸念もあります。しっかりとした目標を設定することで指標になるため、実際に行動した際に「どれだけ目標を達成できたのか」「目標に届かなかったのはなぜなのか」など、具体的に検討することが可能です。
何をどれくらいやればいいかわかる
目標を設定すれば、「日常業務で最終的な目的の達成のためにどうすればいいのか」について、具体的な方針を立てやすくなります。目的は、企業にとって最終的に目指すものであり、必ずしも具体的な形で表されているとは限りません。時には、「お客様に喜んでもらう」「社会貢献」など、抽象的な概念が目的になっていることもあります。
目標の設定では、そのような不明確な部分も明確に設定することが可能です。目的が定まらずはっきりとしないうちから目標が設定されてしまったり、理念やビジョンがはっきりとしたかたちで提示されているが、目標が現実的ではない場合は、目的と目標が結び付かず、チームのメンバーたちもどのように業務を遂行していけばいいのか分かりません。はっきりとしたMVVを掲げ、その目的を達成するためには、具体的にどのような目標を設定すればいいのかをよく熟考して、具体的な指標を示すことができれば、行動を起こしやすくなります。目標が目的を達成するために必要な条件となることで、「どのくらい成果を残せばいいか」も把握しやすくなるでしょう。目標をはっきりさせることで、リソースの配分が見積もりやすくなることもメリットの一つです。目標の大きさによって必要なリソースも違ってくるため、業務にあたる際の無駄を省くことができます。
目的にどれくらい近づいているかわかる
具体的な目標が設定されていれば、最終的な目的を達成するまでの間で現状の段階を測ることも可能です。目的達成のための手段として、具体的に設定される目標の達成度合いや、達成のためのペース配分などを見積もることで、最終的な目的までの進捗状況も把握することができます。進捗状況をみれば、ビジネスの進み具合が早いか遅いかも一目瞭然です。もし、当初の目標よりもクリアするのが遅れている場合、ビジネスに影響を及ぼすことも考えられます。軌道修正すべきポイントを見つけ出し、遅れを取り戻すためにも、現状と照らし合わせて比較できる目標がしっかり設定されていることが重要です。
また、ビジネスシーンでは、同じ目標でもある程度長い期間を見据えたうえで設定する目標があれば、中期、短期で達成すべき目標を設定することも珍しくありません。大きな目的を達成するまでの道のりの中に、さらに細かく長期・中期・短期の目標を設定していれば、より詳細な進捗状況を確認しやすくなります。
目標の設定方法
目標を設定するための方法は、一つではありません。ビジネスシーンでよく実行されている目標設定の方法を3つ解説していきます。
ベンチマーチング
ベンチマーチングは、自社と競合している企業やライバル企業をベンチマークとして目標を設定する方法です。ベンチマークは、基準や水準点、指標などの意味を持つ言葉で、目標にできるような企業を最初にベンチマークとして決めます。その際、いくら理想として考えられる企業であっても、現状ではすぐに近づくことができないくらいレベルが違う企業をベンチマークにすることは適当ではありません。現実的に、そのレベルを目指せる範囲の中から選ぶことがポイントです。
ベンチマーチングを用いて目標を設定するステップとして、まずは情報を収集します。そのうえで自社との比較でどのくらい差があるのかを分析し、結果をもとにして自社が取り組むべき課題や目標を決めていきましょう。実際に、ビジネスを遂行して行く際はPDCAサイクルを回し、目標として設定したベンチマークとの差がどのように変化したかを定期的に検証することが目標をクリアすることにつながります。
SMART
SMARTは、目標を設定するために必要な以下の5つの頭文字を取って名づけられた方法です。
・Specific(具体的)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(到達可能)
・Result-based(成果に基づく)
・Time-line(期限がある)
目標を設定するのに大事なポイントとして、まずは具体的なこと(Specific)が挙げられます。また、測定できる(Measurable)、到達できる(Achievable)といったことも重要です。客観的に判断できなければ、目標を達成できたかどうかがあいまいになってしまいかねません。そのため、努力しても到達できないような目標を設定してしまうと、評価制度と結びついているため、モチベーションが下がってしまいます。
また、目標は成果に基づいている(Result-based)ものとすることも大切です。つまり、目標を達成後に自分が満足できるかどうかということ。容易な目標ばかりでなく達成すれば満足できるような目標を設定することで、業務に取り組むモチベーションを維持することもできます。残りの一つはベーシック法と同様に期限がある(Time-line)ことです。
SMARTで表される要素は、目標を設定するために重要なものとして、含めれば効果的に目標を設定することが可能です。SMARTは、ベンチマーチングやベーシック法など、ほかの手法で目標を設定した際などにも、適切な目標設定であるかどうかをチェックする方法としても活用されています。
SMARTの法則についてはこちらの記事で解説しています。
目的と目標を設定しよう
「目的」と「目標」は、一見、似たような意味のものだと捉えられがちです。しかし、実は大きな違いがあることが理解できたでしょうか。目的と目標のどちらも、明確にしておくことで得られるメリットがあります。目的と目標をどちらも、しっかりと立てることで経営においての方針を明確化することが可能です。社員の意識も同じ方向を向きやすくなるため、より一層効率的にゴールへ進むことが期待できるでしょう。
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