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2020.6.15

仕事における目標達成シートとは?その作り方と活用メリット

目標達成シートとは、実現したい目標とそのために必要な要素を「9マス」の表に書き出すだけで、目標達成へと導くことができる有用なツールです。メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手が高校時代に作成していたことでも知られています。このツールの応用範囲は広く、仕事やプライベートでも活用することができます。この記事では、目標達成シートを作るメリットや、実際の作成手順について解説していきましょう。

目標達成シートとは何か?

夢や目標を持っていても、なかなか達成できずにあきらめてしまっている人が多いのではないでしょうか。漠然と「○○したい」「○○になりたい」と思っているだけでは目標達成は難しいものです。

目標を達成するためには、まず、目標を実現するために必要な要素やステップを洗い出すことが大切になります。そして、その要素を一つずつクリアしていくことで、一歩ずつ目標に近づくことができるのです。目標達成シートは、このような漠然とした目標と必要な要素を明確に洗い出し、視覚化することによって目標達成に導くツールです。

目標達成シートの構成は、縦3マス×横3マスの合計「9マス」の表が基本になります。「9マス」の中心に実現したい「目標」を記入し、その周囲の8つのマスに目標を実現するために必要な「8つの要素」を書き出します。さらに「8つの要素」を細分化した、縦9マスx横9マスの合計「81マス」の表に展開すると、より効果的な目標達成シートの完成です。

この表を見れば、目標達成のために必要な行動が明確になり、目標に到達するまでのステップがイメージしやすくなるため、行動意欲も湧いてくるのです。

なお、この目標達成シートは「マンダラチャート」または「マンダラート」とも呼ばれています。マンダラ(曼荼羅)とは、仏教のなかでも秘密の教えとされる密教の世界観や、悟りの境地を表した絵図のことです。目標達成シートの構成が曼荼羅に似ていることから名付けられました。また、曼荼羅の構成を利用することで、不思議な知恵をもたらすとも言われています。

マンダラチャートについては、下記の記事で詳しく解説しています。

目標達成シートはあの大谷翔平も作った

目標達成シートは、アメリカのプロ野球メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手が高校時代に活用していたことでも知られています。大谷選手は高校1年生のときに野球部の監督からのすすめで目標達成シートを作成したそうです。

彼が作成した目標達成シートは興味深い点が多いので、ここでその一部を紹介しておきましょう。
大谷選手の高校時代の目標は「プロ野球のドラフト会議で8球団から1位指名を受けること」でした。

したがって、目標達成シートの中心の目標には「ドラ18球団」と記入し、その目標を達成するための要素として、「体づくり」「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160Km/h」「人間性」「運」「変化球」という8つの要素をあげています。

ドラフト1位指名の要素として「人間性」や「運」をあげていることが普通の高校1年生とは違うところでしょう。夢をかなえるためには、野球の技術や身体能力だけではなく「人間性」や「運」も必要だと考えていたわけです。さらに「運」を細分化した要素には、「あいさつ」「ゴミ拾い」「部屋そうじ」「道具を大切に使う」「審判さんへの態度」「プラス思考」「応援される人間になる」「本を読む」という8つの要素があげられています。

「運」というのは、単純に「運気を上げる」ことではなく、「運を引き寄せる」ために努力が必要であると考え、そのための行動まで明確に記入していたのです。高校1年生のときに既にこのような発想をしていたことには驚かされます。

また、高校1年生のときに「スピード160Km/h」を掲げていた点も注目すべきところです。当時、プロ野球の選手でも160Km/hを出すのは難しいとされていました。しかし、大谷選手は2年後の高校3年生の夏の大会で160Km/hを実現させてしまったのです。

目標達成シートの「スピード160Km/h」を実現するための要素としては、「軸でまわる」「下肢の強化」「体重増加」「体幹強化」「肩回りの強化」「可動域」「ライナーキャッチボール」「ピッチングを増やす」の8つの要素があげられています。これらのことから、160Km/hのスピードを出すためには何をしたらいいのかを分析して、効果的なトレーニングを行っていたことがうかがえます。大谷選手が高校3年生のときにスピード160Km/hを実現できたのは、目標達成シートを活用していた影響が大きかったのではないでしょうか。

大谷選手はその後、高校3年生の秋に運命のドラフト会議を迎えます。その年の最高選手とされていましたが、ドラフト会議の直前にメジャーリーグ行きを表明したため、実際に1位指名した球団は北海道日本ハムファイターズの1球団だけでした。しかし、メジャーリーグ行きを表明していなかったら、日本プロ野球の全12球団が1位指名していた可能性もあったでしょう。つまり、高校1年生のときに作成した目標達成シート以上の成果を達成できていたのです。

目標達成シートを作るメリット

目標達成シートを作成するには、ある程度の労力と時間が必要になりますが、一度作成してしまえば、以下のような4つのメリットがあります。

【目標達成シートを作成する4つのメリット】

  1. 目標を達成するためにやるべきことが明確になる
  2. 余計な思考時間を排除することで効率よく目標に近づける
  3. 目標への達成度が視覚的に把握できるようになる
  4. 意外なアイデアや新しい発見がある

目標を達成するためにやるべきことが明確になる

第1に「目標を達成するためにやるべきことが明確になる」ことです。頭の中で考えているだけでは、やるべきことが決まっていない状態に等しく、目標に向かって行動を起こすことも難しいでしょう。目標達成シートを作成しておけば、必要な行動が明確になるのでアクションが起こしやすくなります

余計な思考時間を排除することで効率よく目標に近づける

第2に「余計な思考時間を排除することで効率よく目標に近づける」ことです。目標達成シートを作成していない場合「目標達成のために何をすべきか」という思考がしばしば頭に浮かび、その都度、必要なことがらを思い返す作業が必要になります。

目標達成シートを作成していれば何をすべきか一目瞭然です。やるべきことに集中できるので、無駄なく行動に移すことができるでしょう。

目標への達成度が視覚的に把握できるようになる

第3に「目標への到達度が視覚的に把握できるようになる」ことです。目標達成シートは中心のマスに「目標」を記入し、その周囲のマスに目標達成のために必要な要素を配置する構成になっています。

必要な要素をクリアするごとに目標に近づくわけですから、クリアできた要素に「✕印」をつけていくことで、目標への到達度が視覚的に把握できるようになり、目標達成へのモチベーションの維持にもつながります。

意外なアイデアや新しい発見がある

第4に「意外なアイデアや新しい発見がある」ことです。

目標達成シートの基本は「9マス」で、目標達成のために必要な要素を記入するマスが8つあります。必ずしも8つのマスをすべて埋める必要はありませんが、空いているマスがあるとついつい埋めたくなるものです。

すると、意外なアイデアが浮かんだり、新しい発見ができたりすることがあります。これが目標達成シートの不思議な効果です。

仕事に使える目標達成シートの作り方

目標達成シートの応用範囲は広く、仕事やアイデアの発想ツールとして、どのようなシチュエーションでも活用することが可能です。

たとえば、仕事上で発生した問題を解決するための「問題解決シート」や、新しい商品を開発する際のアイデアを創出する「新商品開発シート」として利用できます。

「問題解決シート」として利用する場合は、「9マス」の中心に「解決したい問題」を記入します。周囲の8つのマスに課題を解決するために必要な要素(人、物、お金、時間、知識など)を書き出していくと、解決の方法や手順を整理することができます。また、8つのマスを埋めていくことで、意外な方法や効果的な方法を思いつく可能性があるのです。

「新商品開発シート」として利用する場合は、「9マス」の中心に「新商品のコンセプト」を記入し、周囲の8つのマスに必要な要素(現行商品の不満点、新商品への要求、原料、原価、費用、技術など)を書き出していきます。すると、新しいアイデアや、作るべき新商品の姿が浮かび上がってくるのです。

他にもプロジェクト管理、事業計画など、利用できるケースは多岐にわたります。視覚的に理解しやすい構成になっているため、プレゼンテーションの資料としても有効です。

「9マス」を利用した資料を作成すれば、説得力のある提案や発表を行うことができるでしょう。作り方はとても簡単で、紙と筆記用具があれば誰でも作成可能です。以下に、目標達成シートの具体的な作成方法を順番に説明していきます。

1. 3×3のマスを作る

目標達成シートを作るには、まず、縦3マスx横3マスの9つのマス目を書いて、基本の「9マス」を作成します。

これが目標達成シートの基盤となります。A4用紙またはB5用紙を横にして、用紙の9分の1ぐらいの大きさで「9マス」を書くのがベストです。それより小さいと書き込む範囲が狭くなって書きづらく、それより大きいと一目で全体を見渡すのが難しくなるからです。

マス目はフリーハンドで書いてもかまいませんが、最初のうちは定規などを使用して丁寧に書いたほうが良いでしょう。きれいな「9マス」のほうが記入しやすく、見た目も整然としているのでアイデアが浮かびやすくなります。

2.中心のマスの中に目標を書く

次に「9マス」の中心のマスの中に、自分が成し遂げたいと考えている「目標」を書いてみましょう。

問題解決に利用する場合は「解決したい問題」を記入します。なるべく具体的な内容のほうが効果的ですが、はじめは具体的でなくてもかまいません。漠然とした目標や問題でも良いので、とりあえず、書いてみることが大切です。後から具体的な内容を思いついたら修正すれば良いのです。

例として、問題解決シートとして利用する方法を説明します。10名程度のプロジェクトでシステム開発を行っていて、自分がプロジェクトのリーダーだった場合を考えてみましょう。

問題は「システム開発の進捗が遅れていること」と仮定すると、9マスの中心に記入する目標は「進捗の遅れを取り戻す」となります。

3.周りの8つのマスに達成するための要素を書く

そして、中心のマスに書いた「目標」の周りの8つのマスに、その目標を実現するために必要な「8つの要素」を書き出していきます。

8つのマスをすべて埋める必要はありませんが、目標達成のためにできる手段や方法を考えて、マスを埋めていくことが重要な作業です。なるべく具体的な内容のほうが望ましいのですが、慣れないうちは思いついたことをそのまま記入していきましょう。これで基本の「9マス」が完成します。

例としてあげた問題解決シートの場合は「進捗の遅れを取り戻す」ために必要な手段や方法(どうしたら遅れをとりもどせるのか)を考えて書き出していきます。

たとえば、「作業工程の見直し」「作業割り当ての変更」「メンバーの増員」「作業効率をアップ」などの要素があげられるでしょう。

4.それぞれ8つの要素を中心に3×3のマスを書く

基本の「9マス」が完成したら、さらに、目標達成効果が高い「81マス」を作成してみましょう。

これは「目標」を達成するために必要な「8つの要素」を細分化するためのマスです。作り方は「9マス」の周囲に、8つの「9マス」を追加するだけです。すると、縦9マスx横9マスの合計「81マス」の表になります。

そして、追加した8つの「9マス」の中心には、基本の「9マス」で書き出した「8つの要素」を記入します。これで「8つの要素」を実現するために必要な「64個の要素」を書き出すマスができました。

5.周りの64つのマスに達成するための要素を書く

最後に目標を達成するために必要な「8つの要素」を細分化した「64個の要素」を書き出します。

やり方は「8つの要素」を書き出したときと同じ手順になりますが、「8つの要素」それぞれに、思考を深めていくことが大切です。思い浮かんだことを64個のマスに記入していきましょう。その際、なるべく64個のマスをすべて埋めるようにしてください。そうすることによって、ひらめきや新しい発想が生まれてくるのです。そして「81マス」すべてが埋まれば目標達成シートの完成です。

問題解決シートの例として「8つの要素」のうち「作業効率をアップ」する方法について考えてみましょう。

作業効率をアップするためには、無駄な作業をカットすることや、集中力を高めることが必要です。そのための方法としては「会議をなくす」「進捗報告をなくす」「残業を禁止する」などの解決案が考えられます。

会議をなくす

ここでいう無駄な作業とは、プロジェクトの進捗に直接関係しない作業のことです。プロジェクトを遂行する上で会議や進捗報告は必要ですが、だらだらとした会議は得るものが少なく、時間の無駄になることが多いでしょう。必要事項はメールやチャットでやり取りしたほうが効率的です。

進捗報告をなくす

各メンバーがそれぞれ進捗報告をするのも無駄な作業と言えるでしょう。作業の進捗はプロジェクトリーダーが各メンバーにヒアリングしてまとめれば済むことです。会議や進捗報告をなくせば、その分、各メンバーが作業に集中することができるのです。

残業を禁止する

また、残業は短期間であれば有効ですが、期間が長くなってくると逆効果となります。睡眠不足で集中力が低下して、作業効率が著しく悪くなってくるからです。そのようなときには思い切って残業を禁止するのも一つの解決策になります。

実際に実行するのは難しいかもしれませんが、残業禁止にすれば、睡眠不足が解消されるとともに、集中力が高まり作業効率のアップにつながるはずです。

目標達成シート作成のポイント

上記の手順で「81マス」の目標達成シートを作成できました。慣れないうちは、とにかく思いついた言葉を書き込んでいくだけで良いでしょう。ただし、目標達成シートを効果的に活用するためにはいくつかのポイントがあります。

ポイント1:一番中心の目標は具体的にする

第1のポイントは、「9マス」の中心には具体的な「目標」を記入することです。最初のうちは、まず目標を書いてみることが重要になりますが、目標があまりにも抽象的だと、目標を達成するための具体的な方法に結び付かない可能性があるからです。

具体的な方法が見えてこなければ、行動を起こしにくく、努力することへのモチベーションにもつながりません。そのため、目標はなるべく具体的に書くことが重要になります。

また、目標を達成する期限も決めておきましょう。期限があったほうが行動にも移しやすくなり、実現できる可能性が高くなります。

ポイント2:要素はすぐ行動できるように明確にする

目標達成シートを記入するときの第2のポイントは、目標を達成するために必要な「8つの要素」には、すぐに行動できるような明確で達成可能な内容を記入することです。

目標達成シートのメリットは、何をすべきかがひと目でわかることです。マス内に書いてあることを見て、何をすべきかを考えてしまうようであれば、「8つの要素」の分析や細分化が足りていない状態となり、目標達成シートの効果は期待できません。

また、クリアすることが困難な要素をあげても行動する意欲につながりません。目標を達成しやすくするためには、努力や行動を起こしやすい要素を書き出しておく必要があります。対策としては、目標達成のためには何が必要かという思考を深め、その事柄に対してさらに「8つの要素」を書き出してみると良いでしょう。

目標達成シートを活用し、日々努力を積み重ねよう

目標達成シートは、夢や目標を実現へと導いてくれるツールですが、作成しただけでは効果はあまり期待できません。活用しなければ意味がないのです。目標達成シートが完成したら目に付く場所に貼っておきましょう。

いつでも見られるように手帳に挟んで持ち歩くのも良い方法です。最近ではスマホで動くアプリもあるので利用してみるのも良いでしょう。目標達成シートを活用して、日々努力を積み重ねることが大切なのです。

目標達成シートは、夢や目標を実現へと導いてくれるツールですが、作成しただけでは効果はあまり期待できません。活用しなければ意味がないのです。目標達成シートが完成したら目に付く場所に貼っておきましょう。

また、目標管理シートは企業における社員の目標管理に活用するのもおすすめです。目標達成に向けた要素が明確化できるため、必要なアクションを取ることができます。

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