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2020.12.18

無断欠勤とは?解雇の手順や無断欠勤してしまった時の対応方法

社会人として働いていると、注意していてもやむを得ず欠勤してしまう場合があるかもしれません。さまざまなシチュエーションが考えられますが、中でも無断で欠勤した場合はどのような処分が下されるのか気になる人は多いでしょう。この記事では、会社を無断欠勤した場合の処分や、雇用や給料にどのような影響があるかといった点を解説していきます。

目次

無断欠勤の定義とは

無断欠勤とは、従業員が事前の連絡をせずに会社を休むことをいいます。事前に連絡を入れたうえで所定の手続きに従って取る欠勤や休暇とは異なり、会社側としては無断欠勤をされてしまうと、予定していた人員が急に不足してしまいます。したがって業務に支障が出て、上司や同僚、取引先などに多大な迷惑をかけてしまう場合があるでしょう。
また、無断欠勤をすると、まずは会社の人が身の安全を心配して連絡してくるかもしれません。会社からのメールや電話にも応答せず全く連絡がつかなくなってしまうような無断欠勤は、社会人として避けるべき行為です。職場の人に迷惑をかけるだけでなく、多くの関係者を心配させてしまいます。会社側から安否確認をしても連絡が付かない場合は、やむを得ず緊急連絡先である家族や身元保証人に問い合わせが入ることもあります。
無断欠勤をしてしまう理由や心理には、さまざまなものがあります。普段は問題がないように見えても、いつのまにか職場で抱えているストレスや悩みが溜まっていき、あるとき急にメンタルヘルスの不調で無断欠勤をしてしまうといった場合もあるのです。年齢や職歴を問わず、働いている社会人にとっては身近な問題といえます。

無断欠勤した社員を解雇することはできる?

無断欠勤を頻繁に繰り返し音信不通状態の場合は、解雇に至るケースもあります。社会人のマナーとして無断欠勤はあるまじき行為ですが、社員として雇用されている場合は即日解雇されることはありません。労働基準法によると、解雇する正当な理由があっても、事業主が労働者を解雇する場合は少なくとも30日以上前に解雇する旨を予告するか、解雇予告手当を払う必要があります。解雇予告手当は、30日分以上の平均賃金と定められています。 また、労働基準法の行政通達によると、原則として正当な理由のない無断欠勤が14日以上続き、出勤の督促にも応じない場合には、所轄労働基準監督署長の認定を受けたうえで即日解雇できるとされています。同様に、「社員が14日以上無断欠勤をしたときには解雇とする」と規定して、自然退職扱いにする会社は少なくありません。会社からの連絡に従わずに懲戒解雇となると、その後の転職でも不利になるでしょう。ただし、14日以上の無断欠勤があっても突然、解雇予告通知を送ると不当な手続きだと会社が訴えられる可能性があるため、人事部門などから事前に一定の期日までに連絡が取れないと解雇手続きを行うという旨の通知が入ることもあります。

派遣社員が無断欠勤した場合は解雇できる? 

正規社員と派遣社員の大きく異なる点は、派遣元があるということです。もし派遣社員が無断欠勤をした場合、派遣先の会社は派遣元へその報告をします。報告を受けた派遣元は、安否確認の電話やメールを送り、どうしても連絡が取れない場合は、緊急連絡先へ連絡をしたり、営業担当が派遣社員の自宅に訪問する可能性もあります。  たとえ一回の無断欠勤だったとしても、失う信用は大きいでしょう。契約が更新されない可能性は十分ありますし、場合によっては直ちに契約解除になることも考えられます。  もし、今の職場を退職して別の派遣先に登録しようとする場合、注意しなければならないのは雇用保険です。雇用保険は二重加入ができません。そのため、もし退職手続きが滞り、そのまま次の仕事に就いてしまったら、退職時にもらえる雇用保険被保険者証を、次の職場に提出できず、雇用保険に入れない可能性があるのです。

よくある無断欠勤の理由の例

①人間関係に悩んでいる

職場の人間関係は無断欠勤につながりやすい理由として挙げられます。やる気を持って入社しても、人間関係で思わぬストレスを抱えてしまい、仕事どころではなくなってしまうケースがあります。

②仕事や組織に不満がある

希望していた部門や適性のある職に就けず、仕事に対する不満や悩みが無断欠勤の引き金となってしまうこともあるでしょう。 過去の仕事で犯した大きなミスがトラウマとなり、自信をなくして会社に行けなくなってしまうこともあります。同じ過ちを繰り返してしまうかもしれないという恐怖心や周囲に取り返しのつかない迷惑をかけてしまったという気持ちから出社が難しくなるケースです。仕事に一生懸命で完全主義な人ほど、一度の失敗が引き金となってしまうことがあります。

③やむを得ない事情があり連絡できない

会社の連絡先がわからなかったり連絡手段がなかったりすることで、連絡の意図はあるのに無断欠勤となってしまうケースがあります。職場の電話番号を控えていない人が突発的な事故や病気などの緊急事態に見舞われ、連絡がしたいのにできないという状態になることがあるでしょう。

④寝坊

睡眠障害や不規則な生活習慣による寝坊も無断欠勤の要因の1つです。特に働き始めて間もなかったり、心理的ストレスが原因となって不眠症の問題を抱えていたりする場合は、寝坊したことを職場に言い出せず結果的に無断欠勤をしてしまうことがあるかもしれません。遅刻を繰り返す傾向にある社員がいたら、睡眠障害などを抱えていないか早めにフォローしましょう。

⑤退職する決意を固めている

会社にはまだ伝えていないものの、会社を辞める決意を固めて無断欠勤に陥る人もいます。無断欠勤期間に転職活動を実施するケースも少なくありません。また、「もう退職するので、何をしても良い」という心理状態に陥っている場合は、無断欠勤の末にフェードアウトすることもあるかもしれません。

⑥仕事に対する責任感がない

仕事に対する態度の甘さや責任感のなさが無断欠勤の要因となる場合もあるでしょう。職場にどれだけ迷惑をかけるか自覚していなかったり、基本的な仕事のマナーが備わっていなかったりするため、連絡をせずに欠勤してしまう人もいます。

無断欠勤するとどうなる?

①減給

無断欠勤の結果として、減給やボーナスカットなどの処分が下されることがあります。事前に有給休暇の手続きを取らずに無断で欠勤をした場合、その日の分の給料は支給されません。労働基準法によれば、1回につき平均賃金の1日分の半額を超えていて、その総額が1カ月の賃金の10分の1以内であれば減給の制裁が認められています。ただし、減給は懲戒処分の1つであるため、企業側は就労規則に明確に記載しておく必要があります。
ボーナスへの影響は企業によって方針や規定が異なります。無断欠勤は勤務態度の評価にマイナスとなり、結果的に人事考課に影響してボーナス減額となることが多いでしょう。

②解雇

1日無断欠勤をする程度では、解雇されることはありませんが、無断欠勤の日数が2週間以上続く場合や、会社からの出勤要請に応じない場合は、普通解雇または懲戒解雇を言い渡されることがあります。多くの場合は普通解雇ですが、厳重な罪として懲戒解雇が適用された場合、退職金が支払われないこともあり得るため注意しましょう。

③信用を失う

ビジネスは人間関係の上に成り立っているといっても過言ではありません。社内でも社外でも、信頼関係がないと業務がうまく進まないことがあるでしょう。しかし、無断欠勤をすると会社や上司、同僚からの信頼をなくす可能性があります。連絡をせずに欠勤すると、同僚や取引先に迷惑をかけてしまいます。仕事への責任感が疑われ、信頼関係を築くのが難しくなってしまうでしょう。
上司も無断欠勤を何度も繰り返すような社員には、大きな仕事を任せたり昇進の機会を与えたりすることができなくなります。不当な理由での無断欠勤は、業務の評価にも響きます。

④損害賠償の可能性

従業員の無断欠勤によって会社が多大な損害を被ることがあります。例えば、事前にセットアップしていた重要な商談のキャンセルや取引先の契約破棄、新規事業開発の遅れなどさまざまなケースがあるでしょう。人員に余裕のない会社では、無断欠勤が1件生じるだけで実務に大きな影響が出てきます。
無断欠勤によって業務に支障が出た際、会社側が被害を被ったとして損害賠償を請求される可能性もあるので注意が必要です。事実上は立証が難しいため会社側が勝訴する可能性は多いとはいえませんが、正当だと判断されてしまった場合は多額の賠償金を支払うことになってしまいます。連絡を入れずに欠勤すると、その後の人生に大きな影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。

許されるケースはある?

事故や自然災害による無断欠勤

解雇処分を受けない事例として、事故や自然災害などによるやむを得ない無断欠勤があります。予期しなかった出来事のせいで、出勤も連絡もできないという状況があるでしょう。例えば、大規模の地震で身動きが取れず通信手段がない場合は無断欠勤以外の方法がありません。ただし、事故や天災の場合でも、連絡が取れる場合はできるだけ早く会社に一報を入れるようにしましょう。

うつなどメンタルの不調による無断欠勤

うつ病や適応障害などメンタルの不調が原因で無断欠勤に至った社員の場合は、解雇するのは困難です。職場での仕事が原因で精神的な病気を抱える人は少なくありません。メンタルの病気と闘っており通勤困難な社員の場合、会社が出勤を無理に命じることはできないでしょう。結果的に職場の実務には影響が出てしまいますが、こうした状況で無断欠勤する社員の解雇は難しく、職場環境の改善や人員補充など、会社は他の解決策を探す必要があります。

セクハラ・パワハラなどのハラスメントによる無断欠勤

セクハラやパワハラなどのハラスメント問題によって無断欠勤が起こっているケースでは、多くの場合、会社がその被害者を解雇することはできないでしょう。ハラスメント問題では事実の立証が難しい件も多く存在します。しかし、無断欠勤の理由がハラスメントだといわれた場合、出勤が難しい理由として認めざるを得ないケースが多いでしょう。

無断欠勤を続ける社員への対応方法

無断欠勤をする人が現れた場合、どのような対応を取るのが良いかを解説していきます。

1.社員へ会社から連絡を入れる

無断欠勤は良くないことですが、体調不良や事故、事件に巻き込まれて止むを得ず連絡ができない場合もあります。まずは、会社から無断欠勤をした人に連絡をとり、安否を確認しましょう。
電話番号がわかれば、電話で連絡を取る方がスムーズですが、応答がない場合はメールやショートメッセージ、LINE、SNSなども利用して、安否や状況を共有してもらえるよう依頼しましょう。

2.出勤するよう伝える

体調不良ややむを得ない事情がある場合を除き、安否に問題がない場合は無断欠勤は禁物です。会社は、従業員に対して出勤を促す権限を持っているため、該当社員に出勤を促しましょう。

3.それでも改善しない場合は、退職勧奨を出す

出勤を促しても無断欠勤が続く場合、業務が回らなくなり他の従業員への影響が出たり、場合によっては組織を編成し直す必要が出てくるなど、会社全体への影響が出ることもあります。このような状態になった場合は、無断欠勤を続ける社員を解雇することを考えることもあるでしょう。
しかしながら、無断欠勤を理由に解雇を命じる場合、「不当解雇である」と反発されるケースもあり得ます。そのため、まずは退職推奨を行うことで自発的な退職を促しましょう。自発的な退職を促すには、近しい人物による面談、退職届の郵送などを行うことも効果的でしょう。

4. 普通解雇もしくは懲戒解雇を行う

退職勧奨にも応じない場合は、解雇を検討しましょう。解雇には「普通解雇」と「懲戒解雇」の2種類があります。普通解雇は、能力不足や就業規則違反、リストラなどによる解雇を意味し、一般的な解雇がこちらに当たります。一方で、懲戒解雇は、会社の労働契約や就業規則において重大な違反があった際に適用されることが多いです。普通解雇の方が比較的軽い解雇と言えるでしょう。
解雇を行うには、対象の従業員に解雇通知書を内容証明郵便で送りましょう。

無断欠勤社員の有給消化について

普段の勤務態度には問題がないのに、突発的な理由でやむを得ず無断欠勤となってしまった場合などに、会社側が従業員を守るために配慮できることはないか検討することもあるでしょう。会社側から従業員に有給休暇を割り当てることはできないかといった話し合いがされることがあるかもしれません。しかし、原則として有給休暇をどのように取得するかを決める権利は労働者にあり、会社がコントロールできる範囲ではありません。
無断欠勤者が後から欠勤した日を有給休暇に充てたいと申し出てきた場合も、有給休暇は成立しません。有給休暇は原則として自分で選んだ日に取得できますが、手続きは例外なく本人による申請が必要で、有給休暇取得日の前日までに会社に届け出る必要があるのです。このため、音信不通となっている無断欠勤者の有給休暇を、会社側の判断で消費させたり本人が後日申請したりすることもできません。

無断欠勤社員の給料について

無断欠勤は会社のルールを無視した違反行為です。しかし、会社には労働分の給料や残業代を払う義務があり、無断欠勤したからといって金銭面で罰を与えることはできません。無断欠勤者にも、働いた分の賃金を請求する権利があります。
ただし、無断欠勤したことによって想定外の損害が発生したケースは例外です。定められた通りの賃金支払い義務が生じない場合もあります。

解雇されても失業保険は受けとれる?

無断欠勤が何日も続いてしまいそのことが原因で解雇された場合、退職後の失業保険が申請できるのか疑問に思っている人も多いでしょう。結論として、解雇の理由が無断欠勤であっても、失業保険の受給権利はあります。解雇される社員は、受給を申請するために離職票が必要となります。離職票とは失業給付を受給するときに求められる書類で、退職した会社から交付されるはずです。交付されていない場合は会社に確認する必要があります。 
ただし、失業保険は解雇された全員が例外なく受給できるものではなく、支給条件を満たしていなければ受給されません。項目は多岐にわたるため、あらかじめ支給可否を自分で確認しておくことが大切です。 
失業保険については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。さらに知りたい方は、参考にしてみてください。 

無断欠勤してしまった時の対応

無断欠勤の理由を正直に伝える

無断欠勤には減給や解雇などのリスクが伴う他、周囲の人に迷惑をかけるため社会人として絶対に避けたい行為です。やむを得ず無断欠勤してしまった場合には、少しでも早く会社に一報を入れる努力をしましょう。無断欠勤なので連絡を入れられない何らかの理由があるはずですが、できるだけ連絡手段を見つけて自分から連絡することが大切です。自分が思っているより、職場の人は心配しています。事故や事件に巻き込まれたのではないか、体調が悪く倒れてしまったのではないか、最悪の場合、死亡してしまっているのではないかなどと上司や同僚を不安な気持ちにさせてしまうのはよくありません。職場から実家や身元保証人に連絡が入ると、大騒ぎになってしまう可能性があります。
会社から連絡がない場合でも、連絡をせずに放置することだけは避けましょう。

連絡できる状態になったらできるだけ早く会社に連絡する

メンタルの不調や携帯電話の不具合などでどうしても電話ができない場合は、メールで謝罪を添えた一報を入れることが重要です。間を空ければ空けるほど、周囲の人に負担や心配をかけたり、余計な想像をさせてしまったりします。
上司には欠勤の理由を正直に伝えることが大切です。その場で嘘をついたり、関係のない言い訳をしたりすると、根本的な問題の解決にならない可能性があります。また、嘘がバレればさらに悪い印象を与えることがあるでしょう。寝坊をしてしまった場合でも、不眠症である事実や今後の解決策や通院などの事情を真摯に伝えると、事情をわかってもらえるかもしれません。仕事や人間関係の悩みがある場合も、なるべく正直に話すほうがよいでしょう。このコミュニケーションがきっかけで改善のヒントが得られるかもしれません。

上司やチームメンバーに謝罪する

気まずいとは思いますが、後日出社した際には無断欠勤で迷惑をかけてしまったことを心から謝罪するようにしましょう。
社会人として忙しい毎日を送っていると、誰でも急に体調を崩してしまったり避けられない理由で当日になって欠勤の判断をせざるを得ない場合があるでしょう。予期せぬ事態が起こってどうしても会社を休まなければならなくなった場合は、直属の上司に電話で連絡するのが基本的なマナーです。社内のルールとしてメールによる連絡が認められている場合はそれに従ってメールを利用しましょう。

休む時は正しい手順で!

会社を無断欠勤してしまった時のリスクを理解することができたでしょうか。注意していても、欠勤しなければならないシチュエーションに遭遇することがあるかもしれません。しかし、無断欠勤をすると最悪の場合は解雇に至ってしまうことがあります。解雇に至らない場合でも会社での信用を大きく失ってしまうため、無断欠勤は避ける必要があります。やむを得ず欠勤する場合は、連絡を入れて正しい手順を踏んで休むようにしましょう。

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