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2021.2.18

内定承諾書とは?様々な書類との違いや作成するポイントまで紹介

就職活動で内定を得た求職者に対し、「内定承諾書」の提出を求める企業は珍しくありません。ただ、慣例的に行われているケースも多く、その正確な意味や役割などについては知らない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、内定承諾書とほかの書類との違いや、内定承諾書を発行する目的、期待される役割などについて解説していきます。

内定とは

就職活動において、企業が採用を決めた求職者に伝える「内定」。内定とは、まだ公式に発表はされていないものの、採用することがほぼ決定したことを示します。具体的には、求職者が企業から採用が決まった旨を記載した「内定通知書」を受け取ったり、求職者が企業へ「内定承諾書」を提出したりして、お互いの意思を確認するケースが多いです。このように意思を明確に示すものがあれば、正式な雇用契約書などを交わしていなくても労働契約が成立したと見なされます。
なお、内定とよく似た言葉に「内々定」があります。内々定は、内定通知書などの書面を交わさず、口約束で企業から採用を伝えることです。早めに内定の予定を伝え、人材が他社へ流れるのを防いだり、入社準備を進めてもらったりするなどの目的があります。つまり、採用の前段階が内定、内定の前段階が内々定だと言えるでしょう。ただし、内々定は内定のように労働契約が成立した状態とは認められません。過去の判例で、採用の内定を伝えた時点で労働契約は成立しており、企業側からの一方的な内定取り消しは無効だという判決が出ているのです。これを根拠として、「内定は労働契約が成立」「内々定は労働契約が不成立」という認識が一般的になりました。

内定承諾書とは

内定承諾書は、内定が決まった際に求職者が企業へ提出する書類の中のひとつです。求職者が企業に対して「内定を承諾して入社することを誓約」した書類であり、入社承諾書と呼ばれるケースもあります。企業から求職者へ送られてくる内定通知書などに同封されていることが多く、求職者は署名・捺印したうえで企業へ返送しなければなりません。内定承諾書の返送により、求職者がその企業に就職することや就職活動を終了すること、他社からも内定が出た場合にそれを断ることなどの意思表示にもなります。
なお、内定通知書など複数の書類と一緒に送る場合、求職者が内定承諾書そのものや返送が必要なことに気付かない場合もあります。内定承諾書の督促に人手と時間を割くのも非効率的なので、わかりやすい送付状を添付したり、返送期限を明記したりするなど配慮しておくと良いでしょう。

内定承諾書が持つ役割

企業がわざわざ内定承諾書の提出を求めるのには、主に2つの理由があります。1つ目は、企業が間違いなく内定を出したことを証明するためです。求職者にとって、就職はまさに人生を左右するといっても過言ではない重要な問題。内定を確かにもらえたのかどうか、書類という明確な形で証明することは大きな意義を持つのです。企業によっては内定通知書を兼ねて発行するところもあり、求職者の不安を払拭するという役割も担っています。
2つ目の理由は、人材が他社に流れてしまうのを防ぐためです。内定は労働契約が成立したと認められますが、実際に求職者がそこで働くかどうかはまた別の話。同時進行で複数の企業の採用試験を受けている求職者も多く、より希望に合う企業から内定をもらえると、そちらを選んでしまうケースも少なくありません。内定には法的な拘束力がないため、求職者が申し出れば辞退することも可能です。ただ、企業が1人の人材に内定を出すまでには、求人情報の掲載や説明会の開催、複数回の試験・面接の実施など、莫大なコストと時間をかけています。内定者に辞退されるとそれらがすべて無駄になり、またコストと時間をかけて採用活動を行わなければならないのです。
このような事態を考えると、内定者に簡単に辞退されるわけにはいきません。そこで、内定承諾書という書類を用い、就職の意思をきちんと確認するとともに、簡単に辞退できないように予防線を張っているのです。

内定に関する書類

求職者と企業が内定という形で入社に合意した場合、内定承諾書以外にもさまざまな書類が発行されます。名称がよく似た書類もあり、それぞれの役割や内定承諾書との違いなどを正しく理解できていない人も多いでしょう。次は、内定に関連して発行されることが多い代表的な3つの書類、「内定通知書」「採用通知書」「雇用契約書」について詳しく紹介していきます。

内定通知書

内定通知書は、企業が求職者に内定が決まったことを知らせるために発行する書類のことです。企業と求職者それぞれが労働契約の成立を受け入れたという意思表示にもなる書類であり、近年ではオファーレターと呼ばれる場合もあります。内定は、労働契約成立の根拠にもなる重要なもの。口約束だけでは後々トラブルになるリスクもあるため、「企業が労働契約の申込を行った」「求職者が労働契約を承諾した」ことを客観的に証明する書類の作成は、内定という行為において大きな役割を果たします。
ただし、重要な書類ではあるものの、法律などで発行が義務付けられているわけではありません。あくまでも、内定が決まったことを証として残すためのものであり、企業によって呼び名もさまざまです。また、内定通知書には労働契約成立の時点で法的な効力が発生するものの、内定者の入社を強制する拘束力はありません。

採用通知書

採用通知書は、ほとんど内定通知書と同じ目的・役割で発行される書類です。特に法的な定義などはなく、内定通知書を採用通知書と呼んでいたり、内定が決まった後に内定通知書ではなく採用通知書を発行したりすることもあり、企業ごとにその意味や扱いなどは異なります。このため、企業が採用通知書を用いている場合は、求職者は企業に対し、採用通知書が持つ意味合いなどを確認しておいたほうが良いでしょう。

雇用契約書

雇用契約書は、企業が求職者と労働契約を結ぶ際、契約内容についてお互いに合意したことを証明する書類です。契約書という名前を聞くと作成が必須のように思えますが、実際は法律で義務化されているものではありません。法律で交付が義務付けられているのは、「労働条件通知書」と呼ばれる書類です。雇用契約書とよく似た書類ではありますが、義務かどうかという点で違いがあるため注意しましょう。労働条件通知書は、契約期間や業務内容、就業場所などさまざまな労働条件を明記したもので、労働基準法により交付が義務付けられています。企業は、求職者が入社して勤務を開始するまでに、労働条件通知書で労働条件をはっきりと知らせなければなりません。
ただ、労働条件通知書は企業から労働者へ一方的に通知するものであり、合意がなくても問題ない書類です。労働条件は労使間でトラブルになりやすいポイントであるため、労働契約法では署名・捺印によって労働者の合意を確認できる雇用契約書の作成が望ましいとしています。なお、雇用契約書に記載する内容について、特別な定めはありません。何を記載するかは企業の自由ですが、労働基準法第15条の「絶対的明示事項」の内容を満たしていれば、労働条件通知書で通知するべき内容までカバーできます。
この場合、雇用契約書を作成すれば、別途労働条件通知書を交付する必要はありません。交付義務を果たしていることを示すためにも、雇用契約書を「労働条件通知書兼雇用契約書」などひと目でわかるようにしておくのがおすすめです。

内定承諾書の作成方法

採用選考がすべて終了して内定者が決まったら、内定通知書と内定承諾書、労働条件通知書を作成しましょう。これらは労働契約の成立に法的効力を持たせたり、労働契約を結ぶ際に交付が義務付けられたりしている重要な書類であり、できるだけ早く内定者に送付したいところです。人事担当者や内定者の作業を増やさないためにも、3種類の書類だけでなく、入社スケジュールや入社式の詳細、入社にあたって注意する点や連絡事項など関連書類をすべて一緒に送付しましょう。
内定承諾書に記載する内容は自由ですが、入社の意思に間違いがないこと、勝手に入社を断らないこと、個人情報などに変更があればすぐに連絡することなどが多いです。内定者に署名・捺印のうえ返送してもらう必要があるので、返信用封筒を同封しておくと良いでしょう。新卒採用など定期的に採用活動を行う場合は、内定承諾書のひな型を作成しておくと効率的です。日付欄や入社を承諾する文言、内定者の署名・捺印欄などをあらかじめ印字しておき、内定者が記入する箇所を減らしておくと不備を予防できます。

内定取り消し事由の記載方法

内定承諾書にはさまざまな項目が記載されますが、中でも特に重要になるのが「内定取り消し」に関する部分です。企業と内定者の間には、内定通知書を発行した時点で労働契約が成立しているため、企業は一方的に内定を取り消すことはできません。しかし、内定承諾書に内定取り消しに該当する条件を明記し、内定者が合意して署名・捺印した場合は、内定を取り消せる場合があります。内定取り消しの条件としては、新卒採用の内定者が単位不足などで卒業できなくなった場合や、深刻な病気やケガなどで働けない状態になった場合、犯罪行為に加担した場合などが一般的です。
このほか、急激な市場の変化による業績悪化など、経営上やむを得ない理由があった場合も内定取り消しになることがあります。ただし、企業が定めた条件に該当したからといって、内定取り消しが必ず認められるとは限りません。過去にはこの点について裁判が行われ、内定取り消しが無効とされた判例もあるので慎重に対応しましょう。

内定承諾書の意義について企業と学生双方が理解すべき

採用活動の流れにおいて、内定承諾書は慣例的に発行されることも多いです。しかし、実は労働契約成立に関係したり、内定者が他社へ流れる抑止力になったり、内定取り消しについて明記したりするなど、重要な役割を持つ書類でもあります。企業も求職者も、内定や内定承諾書を提出する意味を十分に理解して双方の認識の相違を防ぎ、スムーズな入社を目指しましょう。

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