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2020.8.19

採用したときに必要な労働条件通知書とは?その記載項目や記入方法を紹介!

皆さんは、労働条件通知書という書類をご覧になったことがあるでしょうか。労働条件通知書とは、雇用形態に関係なく労働者を雇用する際には必要になる書類です。しかし、労働条件通知書に盛り込む内容や交付方法について知りたい採用担当者もいるかもしれません。この記事では、労働条件通知書とはそもそも何かを説明し、そのうえで必要な項目や交付方法などについて解説していきます。

労働条件通知書とは?

「労働条件通知書」とは、契約期間や業務内容、さらに賃金や休日、就業場所、就業時間など雇用に関する基本的な取り決めについて記載してある書類のことです。通常、労働に関する規定は「就業規則」が作成されますが、労働条件通知書は労働者個人に対する労働条件を記載した書類を指します。労働条件通知書は、労働契約を締結する際に企業側から労働者本人に対して交付しなければなりません。また、作成については労働条件を決定できる権限を持つ者とされています。

そのため、労働者を雇用する際は企業の経営者または人事担当者など権限を持つ者が、適切に労働条件通知書を作成する必要があります。しかし、労働条件は雇用形態や役職、部署などによって異なり、たとえ同じ正社員でもすべて同じとはいえません。労働条件通知書を作成するときは、労働者一人ひとりの労働条件についてきちんと確認し、不備がないように作成しましょう。

法律と罰則

労働基準法第15条に「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と明記されているように、労働条件通知書を労働者に交付することは法律で義務付けられています。労働条件通知書には、就業時間や賃金、業務内容などを含む「絶対的明示事項」と、臨時に支払われる賃金や災害補償などの定めがある場合に必要な「相対的明示事項」を記載しなければなりません。

労働条件通知書の交付を怠った企業は、30万円以下の罰金が科せられることになっています。また、労働条件通知書に記載されている内容と実際の労働条件に違いがあった場合には、労働者は労働契約を即時解除することが可能です。労働条件通知書は書面での交付が主ですが、書面以外にも労働条件通知書を電子化し、労働者本人に、より効率的に交付できる方法をとっている企業も増えています。

雇用契約書との違い

企業が労働者を雇用する際、作成される書類の一つに「雇用契約書」があります。通常、雇用契約書を取り交わしている企業であれば、労働条件通知書とどう違うのか疑問を持つかもしれません。雇用契約書と労働条件通知書は混同しやすいですが、明確な違いがあります。一つは、合意をともなうかどうかという点です。雇用契約書は企業と労働者がお互いに合意したうえで締結するものですが、労働条件通知書は同意をともないません。企業側が労働者に向けて一方的に提示する書類です。

そして、もう一つは、義務付けられているかどうかの違いがあります。雇用契約書は特に義務付けられていないのに対して、労働条件通知書は交付が義務付けられています。このことを知らずに雇用契約書の締結だけで済ませてしまうと、罰則を受けたり労働者とのトラブルに発展したりする可能性が高まるので注意しましょう。

正社員だけでなくパート・アルバイトも対象

労働条件通知書は、雇用形態や労働期間に関係なく雇用するすべての労働者に交付しなければなりません。ですから、交付の対象は正社員だけではなく、パートやアルバイト、短期の契約社員や派遣労働者なども含まれます。ただし、短時間労働者の場合、明示すべき項目の内容が正社員とは異なる部分があります。就業時間や賃金以外に、パートやアルバイトなど非正規雇用労働者の労働条件を別途定めている企業は、抜けがないよう注意が必要です。

厚生労働省が公開しているテンプレート

労働条件通知書をどのようにまとめたらいいかわからない事業者に向けて、厚生労働省では公式サイトで「モデル様式」としてテンプレートを公開しています。テンプレートには一般用と短時間労働者用があるので、雇用形態に合わせて活用してみましょう。テンプレートには契約期間や業務内容、就業場所、就業内容、休憩時間、休日、さらに賃金や退職に関する内容まで、労働者が就職してから退職するまでに規定する必要がある項目について、労働条件として網羅されています。

労働条件通知書を作成する際、厚生労働省で公開しているテンプレートをそのまま使うことが可能です。ただし、このテンプレートを使うことが義務付けられているわけではありません。企業や労働者によっては必ずしもすべての項目が該当しない場合もあるでしょう。または、このテンプレートでは項目が不足する場合もあります。厚生労働省ではテンプレートはあくまでモデルとして参考にするものであり、細かい部分については企業や労働者ごとで柔軟に変更を加えながら、個々の企業や労働者にとって適切な労働条件通知書を作成することを推奨しています。

労働条件通知書に記載する主な項目

労働条件通知書に記載する主な項目 1.雇用契約の期間

前述したように、労働条件通知書に記載する項目には「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」があります。絶対的明示事項とは、必ず記載しなければならない項目のことです。これに対して相対的明示事項とは、就業規則で定められている場合に明示するというもので、必要がなければ記載しなくてもかまいません。絶対的明示事項として労働条件通知書に記載する主な項目の一つが、雇用契約期間です。雇用契約期間は、まず「期間の定めなし」または「期間の定めあり」のいずれかを選択します。正社員のように期間の定めがない労働者の場合は「期間の定めなし」となりますが、契約社員などの場合は「期間の定めあり」として、さらに契約期間を記載します。ただし、正社員であっても試用期間を設けている場合は、その期間について記載しなければなりません。

労働条件通知書に記載する項目 2.契約更新の有無・基準

契約期間がある労働者の場合、更新の有無や更新するかどうかを判断する条件についても記載しなければなりません。厚生労働省のテンプレートでは、更新の条件は「契約期間満了時の業務量」「勤務成績、態度」「能力」「会社の経営状況」「従事している業務の進捗状況」「その他」の6つの項目から選択できるようになっています。契約更新の条件にその他を選択した場合は、その内容を明記しておきましょう。

ただし、その他以外の項目でも、さらに具体的な基準をどこかに設けておく必要はあります。例えば、契約期間満了時の業務量の場合なら、業務内容や量によって判断は変わってきます。他の社員が引き継ぐことで処理できる内容であれば、業務が残っていても更新の必要はないと判断することも可能です。このような労働者と企業側で相違が出やすい項目については、就業規則などに別途記載しておいた方がいいでしょう。

労働条件通知書に記載する項目 3.就業の場所

労働条件通知書の就業場所には、支店名などではなく所在地を記載します。もしも複数の場所で業務を行ってもらう場合には、それぞれの所在地をすべて記載する必要があります。例えば、複数の支社や店舗で業務を遂行してもらう場合などがあげられます。厚生労働省のテンプレートは就業の場所がやや狭く作られているため、複数の場所を記載する必要があるときには記載欄を使いやすいように変えてもいいかもしれません。また、在宅勤務で雇用する労働者の場合は、労働者の自宅が就業の場所となります。

労働条件通知書に記載する項目 4.仕事内容

厚生労働省のテンプレートにある「従事すべき業務の内容」には、労働者に従事してもらう仕事内容を記載します。仕事内容については、雇用した時点で配属される部署や行ってもらう業務を記載するだけでもよいとされています。ただし、将来的に違う業務にも従事してもらう予定がある場合は、その旨も明確にしておいた方がいいでしょう。また、仕事内容についてはできる限り具体的に記載することが重要です。仕事内容は「営業」や「経理」などの記載でも十分とはいえますが、その中で対応してもらう可能性が考えられる業務は記載した方がトラブルを回避しやすくなります。また、有期雇用特別措置法による特例の対象者については、仕事内容以外に業務にあたってもらう開始日と完了日についても記載が必要です。

労働条件通知書に記載する項目 5.就業時間

就業時間は、雇用するうえで重要な項目の一つといえます。就業時間が毎日固定されている労働者の場合は始業時間と終業時間の2カ所だけを記載すれば問題はありません。例えば、就業時間が9時〜17時であれば、始業時間は9時00分、終業時間には17時00分のように記載します。ただし、就業時間が変形労働時間制をとる場合には、具体的な時間を記載しなければなりません。例えば、3交替制で勤務する仕事であれば、3パターンの就業時間をすべて記載します。

また、フレックスタイム制の場合、始業時間や終業時間の決定は基本的に労働者に委ねられますが、フレキシブルタイムやコアタイムの内容について記載することが求められます。他にも、休憩時間を明確にし、さらに所定時間外労働の有無についても記載が必要です。所定時間外労働は労働者と企業間でトラブルが起こりやすい部分になっているので、間違いのないよう記載しておきましょう。他にも、休日や有給休暇の条件、休日出勤をした際の代替休暇なども記載する必要があります。

労働条件通知書に記載する項目 6.賃金

賃金は、まず基本賃金について明確にします。厚生労働省のテンプレートでは「月給」「日給」「時間給」「出来高給」、さらに「その他」と「就業規則に規定されている賃金等級等」の7種類が設けられています。このいずれかを選択し、さらに金額を明確に記入しておきましょう。諸手当や時間外労働についても記載が必要です。手当てについては種類と金額、さらに計算方法や支払い方法についても明記します。例えば、「住宅手当1万円/月」といった具合です。

所定時間外労働や休日または深夜労働については、月60時間以内の場合と60時間を超える場合の計算方法を具体的に記載しておきましょう。賃金の支払いについても、詳細に明記することが義務付けられています。支払い方法については、例えば「銀行振り込み」などと記載し、賃金の締め切り日と賃金の支払日についてもそれぞれ記載しておきます。

労働条件通知書に記載する項目 7.退職について

退職については、まず定年制かどうかを記載しなければなりません。定年制の場合は何歳なのか、また、継続雇用制度を設けているなら何歳まで可能かも併せて明記します。退職については、定年だけでなく自己都合退職や解雇の場合もあり得ます。この2つのケースについても具体的な条件について盛り込んでおきましょう。自己都合退職の場合であれば、退職希望日の何日前に届け出が必要なのか、そして解雇の場合は理由はどのような条件が該当するのか、またその際の手続きについても明確にしなければなりません。

解雇の条件など詳細については、就業規則に盛り込まれているのが一般的です。労働条件通知書に詳細な記載をしない場合は、詳細が就業規則のどの部分に書かれているか添えておく必要があります。解雇の条件は、特に労働者とのトラブルに発展しやすい問題です。企業の特性や業務内容に合った適切な条件を漏れのないように記載しておきましょう。

アルバイトや派遣社員の場合

業種にもよりますが、アルバイトや派遣労働者のような短時間労働者の場合、労働時間はあらかじめ決まっていることが多くなっています。労働者の希望や事情などを聞きながら、事前にすり合わせを行ってから決めるといいでしょう。求人募集の段階で明確に時間を決めているなら問題はないかもしれませんが、選択肢がいくつかある場合には必ず希望を聞く必要があります。そのうえで記載することが重要です。賃金については、パートやアルバイトの場合は時給が多いため、「時給900円」など時給がいくらになるかを明記しておきます。また、業種によっては日中だけではなく、ときには夜間も交替で従事してもらう場合が出てくるかもしれません。短時間労働者の場合も、従事する可能性がある時間帯や時給について記載しておきましょう。

望ましい交付のタイミング

労働条件通知書は、労働契約を締結するタイミングで交付するのが一般的です。ただし、本来の流れとして考えるなら、労働条件通知書を交付し、それから企業側と労働者がお互い合意のもとで労働契約書を締結させるという形になります。そのため、採用内定が決まった時点でできるだけ早く労働条件通知書を交付するのが望ましいでしょう。労働者にとっても、時間に余裕をもって労働条件を確認することができます。そのため、入社の前に交付しておくのがポイントです。

しかし、実際には内定の段階ではなかなか詳細に至るまですり合わせができていないことが多く、間に合わせることは難しい場合も多いでしょう。そのような場合は、暫定的に条件をまとめておいた「仮の労働条件通知書」を交付しておくという方法もあります。もちろん、その際は「正式な労働条件通知書が用意できなかった理由」や「入社日までに用意すること」を労働者にしっかり説明しなければなりません。

電子交付の背景と方法

労働条件通知書は、すべての労働者に交付することが義務付けられています。ただ、発行さえすれば雇用側としての義務を果たせたとはいえません。確実に本人の手に届けることに意味があります。労働条件通知書は紙に印刷して交付してもかまいませんが、発送ミスや配達のトラブルなど本人の手になかなか届かないこともあるでしょう。そのようなトラブルを回避しやすいのが電子交付という方法です。

働き方改革が推進される中で、副業を持つ人も増えています。労働条件通知書は正社員だけに公布すればよいと考えていた企業もあるかもしれませんが、どのような雇用形態であってもすべての労働者に交付することが必要です。そのため、労働者本人に確実に交付できる手段として電子交付も可能としています。労働条件通知書を電子交付する方法としては、ファックスや電子メールの方法があります。

電子交付をする際の注意点

労働条件通知書の電子交付をする際には、労働者本人が希望する方法で交付しましょう。企業側が一方的に決めてしまわないよう、注意が必要です。例えば、ファックスを持たない人にファックス交付しか選択肢が用意されていなければ、確実に届けることができません。また、労働者本人以外は閲覧できないよう、受信が労働者本人に特定できる電気通信方法を選択することが必要です。その点で考えれば、労働者以外の者が共同で使う可能性が高い電気通信方法は避けるべきです。

また、労働条件通知書は、企業側も労働者もそれぞれ退職するまで保管する必要があります。そのため、電子メールで交付する場合でも、労働者が印刷して紙媒体で保管できる工夫がされていることも求められます。閲覧するだけであれば電子メールでも問題はありませんが、万が一データ削除や端末を紛失することも想定しておかなければなりません。労働条件通知書は、デジタルデータと紙媒体の両方で保管できるような交付方法を採用するようにしましょう。

労働条件通知書はトラブルを避けるために必要

労働通知書は、内容に漏れがないように注意し、具体的に記載しておくことがポイントです。しかし、労働者本人に確実に交付できなければ意味がありません。労働条件通知書は、交付方法を誤ると労働者に届けることができず、トラブルの原因になることもあるでしょう。労働条件通知書は内容をしっかりまとめることはもちろん、正しく適切な方法で交付することが重要です。

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