2020.02.25

生産性とはどのような指標なのか?測定方法と向上のための施策を紹介

生産性とはどのような指標なのか?測定方法と向上のための施策を紹介

働き方改革に対応しながら競争力を強化していかなければならない多くの企業にとって、生産性の向上が重要課題になっています。しかし、何を指標として取り組めばよいのかとなると、曖昧になってしまっている部分も多いのではないでしょうか。そこで、生産性を測定する際に必要になる指標と具体的な計算方法、生産性の向上に効果的な取り組みなどについて説明します。

なぜ生産性の向上が求められているのか

生産性向上への取り組みは、やみくもに行っても高い効果は期待できません。何のために生産性を向上させたいのか、その目的を明確に意識することが大切です。一般的には、生産性の向上には大きく分けて2つの目的が考えられます。

目的1.国際的な競争力を強化するため

経済協力開発機構(OECD)がまとめたデータによると、2017年における日本の生産性(時間あたりの労働生産性)は、OECDに加盟している36カ国で20位という水準にとどまっています。主要先進7カ国のなかでみれば、1970年から最下位が続いている状況です。グローバルなビジネスを展開する企業にとっては、より生産性の高い国々と競争していくために生産性を高める必要があると言えるでしょう。

目的2.国内の人手不足を補うため

日本の労働力人口(労働の意思と能力をもつ人の数)は、少子高齢化にともなって減少傾向にあります。国内における人手不足の状況は、今後ますます深刻化していく見込みです。企業にとっては、少ない労働力の中でもこれまで通り、あるいはこれまで以上の成果をあげていくことが課題となるでしょう。そのため、生産性を向上させる施策が求められているのです。

生産性を定量化する指標とは

生産性を向上させるためには、現状でどの程度の生産性があるのかを具体的に把握したうえで、改善のための施策を考えることになります。それには、「生産性」そのものの概念を曖昧なままにせず、定量化して表現するための指標が必要です。

生産性の指標

生産性とは、投入したリソース(労働者の人数や労働時間)に対してどの程度の生産量(企業が生み出したものの量や価値)があったのかを表したものです。値が大きくなるほど、効率よく生産できていると言えるでしょう。これを指標として用いれば、数値目標を定めて生産性を向上させていくことが可能です。例えば、一定の数の製品を生産するのに必要な作業時間を減らしたり、同じ人数で生み出せるものを増やしたりする施策を行えば、数値は大きくなっていくでしょう。生産性向上のための施策とは、生産性の指標を大きくしていく方法を計画し、実行していくということです。

生産性の計算方法

生産性を実際に計算する方法にはいくつかの種類がありますが、「時間当たりの労働生産性」がわかりやすいでしょう。具体的には、「企業が生み出した付加価値(金額)」を、「のべ労働時間(労働者数×労働時間)」で割って計算します。分母にあたる数値は、従業員の勤怠情報などを集計すれば割り出せます。分子にあたる付加価値は、経営状況の把握にも用いられる数値なので、すでに把握している企業も多いでしょう。そのため、生産性を測定することは、企業にとってそれほど難しいことではないと言えます。このように、生産性は数値として定量的に表現することが可能なのです。

業務効率化は生産性向上の手段の一つに過ぎない

「生産性を高くする」ことと「業務を効率化する」ことは、しばしば混同されることがあります。業務効率化とは、業務をこなすためにかかる時間を、能力向上や省力化などによって減らしていく企業努力のことです。例えば、社内教育を充実させて業務に必要なスキルを従業員に身につけさせたり、オートメーション化によって人力で行わなければならない作業を減らしたりといったことに取り組んでいる企業も多いでしょう。こうした努力を行うことは、生産性の指標の分母にあたる数値(のべ労働時間)を減らすことを意味しています。分母が小さくなれば、それに応じて生産性の数値が大きくなっていきます。

一方、生産性の向上は分子を大きくすることでも実現できるため、必ずしも業務効率化だけによって達成されるとは限りません。ほかにもさまざまな施策が考えられるため、業務効率ばかりに目を向けてしまうのはあまり得策とは言えないかもしれないのです。業務効率化は、あくまで生産性向上のための手段の一つと考えるのがよいでしょう。

モチベーションも生産性を左右する要因になりうる

業務内容が同じでも、能力が低い人が行う場合の生産性より、能力が高い人が行う場合の生産性のほうが高くなります。このことは、やるべきことが同じだからといって、その業務の生産性が常に同じになるとは限らないことを意味しています。さらに、同じ業務を同じ人が行う場合でさえも、その日によって生産性は変わるかもしれません。人の能力は、体調が悪かったり疲労が蓄積していたりといった要因によって変化するためです。

モチベーションも、生産性に影響を与える可能性の高い要因の一つであると考えられます。従業員のモチベーションは、企業ごとの組織的な取り組み方によっても大きく変わってくるものです。そのため、社内教育によって従業員のスキル向上をはかるのと同様に、企業が従業員に働きかけることでモチベーションの維持・向上に努めることは、生産性にもよい影響を与えます。ひとりひとりのモチベーションを高い状態で維持できれば、このあと説明するような施策についても積極的に取り組んでいくことができるでしょう。

生産性向上の施策

1.無駄を省く

企業の生産性は、生み出すことができる付加価値が大きいほど高いと言えます。付加価値を大きくすることは、生産性の指標を計算する際の分子にあたる数値を大きくすることを意味します。そのためのカギとなるのは、無駄を省くことです。無駄とは、何らかの作業が発生するものの、実際には何も生み出さない業務のことです。このような業務は生産性の分母のみを増やす要素であり、その結果生産性を下げる要因になるでしょう。

生産性を向上させるために、すべての業務について効率化を行うことは有効な手段です。しかし、無駄に対しても業務の効率化が可能であるという点には注意が必要でしょう。本来であれば無駄な業務に対していくら効率化を行ったところで、生産性の向上に高い効果は期待できません。効率化するより前に、まずは「その仕事は無駄ではないか」と確認することが必要でしょう。無駄だとわかった業務があれば、廃止してしまったほうが効果的です。廃止した分だけ余力が生まれるので、本当に価値のある生産的な業務にリソースを振り分けることも可能になります。

また、何も生産していないように見えても、廃止してはいけない業務もあります。例えば、人事や経理などの間接部門や、マネジメントに関する業務です。最終的な付加価値に直接寄与していなくても、省くことができない中間的な成果物を作成する業務もあるでしょう。何が無駄で、何が必要なのかは、個別によく検討したうえで判断する必要があります。

2.自動化・省力化する

業務の無駄を省くことができたら、残っているのは本当に必要な業務のみということになります。これらは、効率化すれば生産性を向上させられる業務です。業務効率は従業員ごとの能力によって大きく変わるため、個人のスキルアップをはかることはもちろんのこと、人材を適材適所に配置することも有効な施策となるでしょう。このとき、本当に人の手で行う必要のある本質的な仕事に人的リソースを集約させることを考えるのがポイントです。

例えば、誰でも行えるような単純作業や手順が固定されたルーティンワークなどは、デジタルツールなどを活用しながら自動化や省力化を行えないか検討してみるとよいでしょう。自動化や省力化を行えれば、生み出される付加価値の大きさを維持したままで、余力を別の業務に振り分けることが可能になります。

一方、必ず人が行わなければ意味がない仕事の一つに、業務上のコミュニケーションがあります。もし、これまで電話連絡や電子メールのような手段を多用していた場合は、チャットツールや社内ソーシャルツールなどのような意思伝達スピードを速める仕組みを導入することによって、本質的なコミュニケーションそのものに注力できるようになるかもしれません。

3.手戻りを減らす

生産性を向上させるためには、生産性を下げてしまっている部分に注目し、問題を取り除くことも必要です。なかでも、仕事上のミスなどによって起こる手戻り(仕事のやり直し)は、生産性を大幅に下げる要因となります。手戻りを減らすためには、ミスそのものの発生を減らす工夫も大切ですが、たとえミスがあっても早期に検出できる方法を考えるのが効果的です。そのためには、現在の業務プロセスを見直して、どの業務で発生したミスがどのようなタイミングで顕在化しているのかを見極めなければなりません。

このような業務プロセスの見直しは、継続的に行うのが効果的です。手戻りの原因を調べて今後の対策を考えましょう。そのうえで、業務プロセスそのものを改良していくサイクル(PDCAサイクル)を継続させられれば、生産性向上によって生じた余力をより生産的な業務にあてられるという好循環が生まれます。このとき、改善の成果を数値でも確認できるようにするためには、生産性を定期的に測定することがポイントです。また、実際に手戻りが発生してしまったときには原因となったミスを咎めるよりも、組織的な学習の機会ととらえられるような企業文化を育成していくとよいでしょう。

生産性向上は働き方改革の必須条件

働き方改革関連法に対応するために、企業ごとにさまざまな取り組みが行われています。なかでも長時間労働の是正は、多くの企業で重要課題と位置付けられています。単純に労働時間を短縮するだけでは生み出される付加価値がこれまでよりも小さくなってしまい、場合によっては企業としての活動が成り立たなくなる恐れもあるからです。生み出す付加価値を維持したままで長時間労働を是正するという課題は、まさに生産性の向上そのものです。厚生労働省も「生産性向上事例集」を公開するなど、その必要性を訴えています。企業にとって、生産性の向上は働き方改革に対応するための必須条件と言えるでしょう。

生産性を向上させて競争力のある企業へ

少子高齢化が進むなか、日本企業が国際的な競争力を高めていくためには生産性の向上が重要になっています。生産性は決して曖昧な概念ではなく、どの企業でも測定可能な指標です。無駄を省き、自動化や省力化によって業務効率を高めていけば、生産性はおのずと向上していくでしょう。また、業務プロセスの継続的な改善も効果的です。生産性向上への取り組みを積極的に行い、企業としての競争力を高めていきましょう。

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