2020.05.14

離職率の計算方法を解説!高くなる原因や下げる方法も

離職率の計算方法を解説!高くなる原因や下げる方法も

皆さんは離職率の計算方法をご存知でしょうか。離職率は、労働環境や事業継続性を評価するための1つの基準として挙げられます。しかし、離職率を求めるための計算方法がわからない人もいるでしょう。この記事では、離職率の計算方法から、離職率が高くなる原因などを紹介します。離職率以外に、注目したい指標についても説明します。

離職率とは?

離職率とは、企業の働きやすさを測るための指標の一つとして、用いられることが多いです。離職率とは、ある時点で働いていた人のうち、一定期間後に退職した人の割合はどれほどかを示す指標ということができます。計算式としては、一定期間中に離職した人数を、元々の従業員数で割ったものに、100をかけて求めます。

離職率の計算方法

一定期間中に離職した人数 / 元々の従業員数 × 100

たとえば、2019年の4月の時点で、100人の従業員がいる会社を例に挙げて説明しましょう。2020年の4月に従業員が90人に減っていたとすると、1年間の離職率は、10÷100×100で、10%と求められます。なお、離職率を算出しているのは一般企業だけではありません。厚生労働省が統計的なデータをもとに算出する場合もあります。厚生労働省のデータは、多くの労働者を対象としており、国内の企業の活動状況や労働環境を考える際に役立つでしょう。

労働者の多くは、離職率を気にしています。就職・転職活動中の人のなかには、離職率を参考に就職先を検討する人も多いでしょう。離職率が低ければ、それだけ辞めていく人数が少ないということを意味します。つまり、長く同じ企業で働きたいと希望する人ほど、離職率を重視する傾向にあるのです。なかには、妊娠・出産を理由として退職を選んだ人の離職率など、詳細な離職率を気にする人も少なくありません。また、雇用側の企業も離職率を気にかけており、特に、「3年後離職率」を重視する企業が多くなっています。厚生労働省によると、2016年に入社した大卒者の3年後の離職率の平均は、約3割(32.0%)というデータが公表されています。したがって、企業における3年後離職率が3割以下であり低ければ低いほど、新入社員が定着しやすく、働きやすい企業であるといえるでしょう。このように、離職率は、働き方を考えるために、労働者と企業の両方にとって重視したい指標といえます。

離職率の計算方法

離職率の計算方法は、法律で定められているわけではありません。離職率を算出する目的に応じて、退職した人の条件や期間を決めましょう。たとえば、厚生労働省の離職率のデータは、1月1日から1年間の離職者の割合を表しています。ここでの離職者とは、調査対象期間中に解雇された、または転職した「常用労働者」のことを指します。また常用労働者とは、期間を定めずに雇われている人、一カ月以上就労する契約のもと働く人のことを指し、パート・アルバイト・正社員など雇用条件を問いません。厚生労働省は、年齢別、性別、退職理由別のように、さまざまな観点から見た離職率を公開しています。

なお、厚生労働省では1月1日を起算日としているのに対し、企業が離職率を算出する際は、起算日を4月1日とする場合が多いです。たとえば、2017年4月1日に入社した新入社員100名が、2020年4月1日の時点で90名になっていたとすると、3年間での離職率は、10÷100×100で10%と算出されます。企業は、部署別、役職別、性別、年齢別などさまざまな離職率を算出し、労働環境や労働条件の検討に役立てています。

自社の離職率を活用するための基準設定

離職率は、働きやすさを示すための指標であるばかりでなく、人材育成の指標としても使えます。一般的に、人材育成の投資対効果を数値で判断するのは難しいとされています。部下の育成具合を判定するのは上司ですが、悪い評価を下すと、上司自らのマネジメント能力が追及される場合もあるでしょう。したがって、つい部下の評価をひいき目につけてしまう上司もいるのです。こういった場合、評価として人材育成はうまくいっているのに、部署の成績が振るわないなどといった、ミスマッチが起こります。一方、離職率をみれば人材育成状況に問題があるか否かが、定量的にわかるでしょう。なお、離職率を使って働きやすさ・人材育成状況を評価するには、どういった人材が離職しているのかを、チェックしなければなりません。

まず、分析のために、従業員を手放したくない従業員とできれば辞めてほしい従業員などに分類します。手放したくない従業員としては、真面目に仕事をする人、すぐれた業績を上げる人、協調性が高い人などが挙げられるでしょう。一方、辞めてほしい従業員としては、仕事はできても性格や行動に問題がある人、業績が振るわない人などが挙げられます。もし、辞めてほしい従業員の離職率が高い場合は、必ずしも問題があるとはいえません。しかし、手放したくない従業員の離職率が年々高まっていれば、労働環境や人材育成状況を見直す必要があると判断できます。このように、離職率を、労働環境や人材育成状況の判断基準として使うには、人材を属性別に細分化してそれぞれで計算することが重要といえるでしょう。

離職率が高くなる原因とは

離職率が高い理由はさまざまです。人材を属性別に細分化したうえで、優秀な人材の離職率が高ければ対策を講じる必要があります。特に、新入社員の離職率が高い場合は、早急な対処が求められるでしょう。新入社員が辞めやすい状態に陥ってしまえば、採用活動や人材育成に費やした費用と労力が無駄になってしまうためです。また、入ったばかりの従業員に辞められたことが世間に広まれば、企業のイメージも損なわれてしまいます。厚生労働省の「平成30年雇用動向調査結果」によると、男性に前職を転職した理由を聞いたところ、「給料等収入が少い」「労働時間や休日などの労働条件が悪かった」という理由を上げた人が、それぞれ全体の10%を越えていました。また、女性に聞いたところ、「給料等収入が少い」「職場の人間関係が好ましくなかった」といった理由が、それぞれ全体の10%を越えていました。これらの結果から、収入・労働条件・職場の人間関係が主な離職理由となっている状況が伺えます。

同業種の企業と比べ、年代別や役職別に見たときの収入、休みの取りやすさ・残業の多さといった労働条件などはどうでしょうか。待遇面を見直すことで、優秀な人材の離職を抑えられるでしょう。また、現場環境の良し悪しもチェックしましょう。人間関係が問題で離職する人も多くなっています。離職率を下げるには、上司と部下、あるいは同僚同士が信頼し合える、風通しがよい職場を目指す必要があります。

業界ごとの離職率の違いは?

厚生労働省による平成30年雇用動向調査結果をもとに、離職率が高い業界を確認してみましょう。離職率は、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、サービス業の順に高い傾向にあります。なぜ、このようなサービス業は、離職率が高いのでしょうか。転職理由に多く見られる、給料など収入の少なさ・労働条件・人間関係などに注目して考えてみましょう。まず、サービス業は、給料が低くなりがちです。厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」を見ると、宿泊業・飲食サービス業の平均賃金は、「男性約27万円」・「女性約20万円」となっています。一方、他業種では、製造業では「男性約32万円」・「女性約21万円」、金融業・保険業では「男性約47万円」・「女性約28万円」となっており、サービス業の給料の低さがわかるでしょう。

労働条件にも、サービス業ならではの課題があります。サービス業は、土日祝日に営業している場合が多いので、サラリーマンなど平日出勤の人と休みを合わせることが難しくなっています。また、シフト制を採用している職場が多いので、予定を立てにくいのも問題です。さらに、他の人が欠勤すれば、穴埋めで働かなければならない場合もあるでしょう。サービス業は比較的、労働条件が厳しい業界といえます。加えて、サービス業は職場の人間関係も良くないケースが多くなっています。サービス業は人と接する職業です。上司や同僚以外に、顧客にも対応するので、他の業界よりも人間関係に起因するストレスが溜まりやすいことも要因の一つになっています。このように、給料など収入の少なさ・労働条件・人間関係などの理由により、サービス業の離職率は高い傾向にあります。

定着率と入職率も併せて確認しよう

離職率だけではなく、定着率や入職率も合わせて確認することで、より、企業の働きやすさを知ることができます。まず、定着率とは100%から離職率を引いた数字を指します。離職率とは対照的な指標である定着率は、離職率同様、明確な定義はありません。調査したい内容によって、定着率の求め方は異なります。また、定着率が高いほど、長く働いている人が多い企業ということになります。入職率とは、一定の期間に、新規で雇用した労働者の割合を示す数字です。この数字が大きいと、それだけ多くの人間を採用しているといえます。また、入職率も離職率のように、一定の期間に明確な定義はありません。たとえば、500人が在籍している企業に、1年間で100人が入社した場合は、入職率は、100÷500×100で20%と算出されます。

入職率を見るときは、その期間に注意しましょう。入職率の期間には決まりがないので、算出方法によっては、都合がいいように値をコントロールできるためです。たとえば、4月は多くの新入社員が入社してきます。他の期間と比べて、入職率は各段に上がるでしょう。一カ月単位のような短い期間の入職率よりも、半年・1年のように長いスパンで比較したほうが、入職率の高い企業を見つけることができます。なお、入職率が高い業界は、離職率も高い傾向にあります。厚生労働省の「平成30年雇用動向調査結果」によると、入職率が最も高い宿泊業・飲食サービス業は、「入職率29.3%」・「離職率26.7%」でした。一方、入職率が最も低い製造業は「入職率9.3%」・「離職率9.4%」でした。入職率、離職率ともに、人材の入れ替わりの激しさを示す指標ともいえるでしょう。

離職率の753(シチゴサン)現象

離職率の753(シチゴサン)現象とは、学歴別に離職率の高い期間を表す言葉です。中学卒業者は7年以内、高校卒業者は5年以内、大学卒業者は3年以内の離職率が高いことを意味しています。一方、年齢別に離職率を見てみましょう。平成28年度卒業者を対象とした厚生労働省の「新規学卒者の3年以内の離職状況」によると、卒業後3年の離職率は、「大学卒32.0%」・「高校卒39.2%」・「中学卒62.4%」となっており、年齢が若い人ほど、離職率が高いことがわかります。

せっかく入社した企業をすぐに辞める理由はなんでしょう。一つは、若い人ほど社会経験がないことが挙げられます。働いた経験があったとしても、アルバイトやインターンシップ程度でしょう。他の企業で働いた経験がないので、理想の仕事とのギャップや労働条件への不満を感じやすく、すぐに転職に踏み切る人もいます。また、就職活動がうまくいかなかったことを理由に、転職を検討する人もいます。ひとまず内定をもらった企業に入社したものの、やはり、仕事内容や環境に馴染めなかったという人も少なくありません。また、業界や職種の研究をせずに就職活動した結果、ミスマッチに苦しみ転職を選ぶ人もいます。

離職率が高い職場はどんな特徴がある?

離職率が高い職場は働きにくかったり、労働者にとって魅力がない職場であったりする傾向が強いです。転職の理由として挙げられがちな、賃金面・休みの少なさ、職場の雰囲気などに問題がないか調査する必要があります。また、人事評価制度が適切ではないというのも離職の原因になるでしょう。人事評価制度を公正に行うのは難しく、正当な評価を受けていないという理由で、転職する人もいます。公正な評価を行うには、あらかじめ具体的な目標を設定し、どの程度目標が達成されたかをもとに評価をするとよいでしょう。評価基準が明確であれば頑張る意欲が増し、たとえ悪い評価が付けられたとしても納得しやすくなります。たとえば、前期よりも営業利益を5%アップさせる、現行の商品よりも製造コストを5%削減するなどといった、具体的な目標設定が望まれます。

また、部下の日頃の勤務状況をよく観察しましょう。営業利益、コストなどのように、成果が数値で見えるものばかりではありません。コミュニケーション能力に長けている、仕事の効率がよいなど、見えにくい部分も評価しましょう。加えて、評価のフィードバックもきちんと行いましょう。フィードバックがなければ、部下は評価理由がわかりません。人材育成のためにも、評価の理由を正確に伝えることが重要です。このように、待遇面や職場の雰囲気、人事評価制度などに注目してみると、自社の離職率が高い場合にその原因を突き止められるでしょう。

離職率が低い職場はどんな特徴がある?

離職率が高い職場がある一方、低い職場もあります。2019年に発行された会社四季報によると、2018年の時点で就職から3年以内での離職者が1人もいなかった日本企業は、「80社」存在することがわかっています。離職率が低い職場の共通点を確認すると、離職率を下げるヒントを得られるのではないでしょうか。業界別に見ると、電気やガスといったエネルギー・インフラ業界は、離職率が低い傾向にあります。これらの業界は日常生活に欠かせない存在です。仕事が安定しており賃金が高いといった面で、従業員の満足度が高い仕事といえるでしょう。また、顧客が企業である場合が多いという点も見逃せません。接客によるストレスが少ないことも、離職率が低い理由と考えられます。

エネルギー・インフラ業界には、大企業が多いことにも注目しましょう。創業から何十年もの歴史を持つ大企業では、人材育成に関するノウハウやシステムが充実している場合が多く、教育制度に満足している従業員が多いと推測されます。このように、離職率が低い職場では、賃金などの待遇面・人材育成面などに魅力がある場合が多いといえます。

離職率を下げる方法は?

離職率が高い場合にはその原因を調査し、下げるために行動することが重要です。従業員が安心して働ける環境を作ることが、離職率を下げるポイントです。たとえば、残業削減。残業が多いと疲労感から働く意欲が低下するとともに、メンタルヘルス的にも良くありません。ワークライフバランスを向上するために、転職しようと考える人が出るのも当然といえるでしょう。残業が多い理由には、仕事量が多すぎたり、効率が悪かったりといった理由が挙げられます。仕事量を見直し、効率が悪いシステムがあれば見直しましょう。

また、育児や介護休暇、リモートワークなど、働きやすい環境を整えるのも良いでしょう。個人のライフスタイルや家庭環境が変わると、これまでの勤務スタイルでは仕事を続けられなくなる人も出てきます。同じ場所に集合し決まった時間に働くのではなく、個人が働き方を選べると仕事を続けやすくなります。ほかにも、人事評価制度を公正でわかりやすいものにする、従業員同士でコミュニケーションを取りやすいように座席の固定化をやめるなどといったことも効果的と考えられます。従業員の満足度が高く、安心して働ける職場を作りましょう。

タレントマネジメントシステムの必要性

離職率は、社内における人材配置と深い関わりがあります。適切な人材配置を行うには、従業員のスキルや能力を把握するタレントマネジメントが役立ちます。また、すでに、タレントマネジメントシステムを導入している企業も少なくありません。複雑化する経営環境の中で成果を出すためにも、タレントマネジメントシステムの導入は重要といえるでしょう。

関連記事一覧

人気記事一覧

カテゴリー