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2020.5.14

離職率とは|計算方法、高くなる原因、下げる方法を紹介

「離職率」が高いことは、人材の流動性が高まるなどのメリットがあるため必ずしも悪いことではありません。ただし、採用コストがかさんだり人材育成が進まないなどのデメリットがあります。重要なのことは、離職率が高くなっている原因を知ることと対策です。本記事では、離職率の計算方法や高い職場の特徴、下げる方法をご紹介します。

離職率とは?

離職率とは、企業の働きやすさを測るための指標の一つとして、用いられることが多いです。離職率とは、ある時点で働いていた人のうち、一定期間後に退職した人の割合はどれほどかを示す指標ということができます。計算式としては、一定期間中に離職した人数を、元々の従業員数で割ったものに、100をかけて求めます。

離職率の計算方法

一定期間中に離職した人数 / 元々の従業員数 × 100

日本の離職率の平均

厚生労働省の調査(参照:2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概要)によると、令和元年の日本の離職率は15.6%です。性別にみると、男性の離職率が 13.4%、女性の離職率が 18.2%となっており、男性と比べて女性の方が離職率が高い傾向であることが分かります。また、前年度と比べると男女ともに離職率は増加傾向にあり、一般労働者とパートタイム労働者別にみても前年と比べて離職率が増加しています。

離職率の推移

過去5年間の日本の離職率の推移は以下のようになっています。

平成27年:15.0%

平成28年:15.0%

平成29年:14.9%

平成30年:14.6%

令和元年:15.6%

平成27年から平成30年にかけて離職率は減少傾向にありましたが、令和元年になり増加していることが分かります。

新卒は3年以内の離職率が高い

厚生労働省の調査(参照:新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況)によると、平成28年3月卒における新卒3年以内の離職率は62.4%です。また、平成30年卒では、1年目の離職率が「34.9%」となっており、1年目で3割以上の新卒が離職していることが分かります。新卒3年以内の離職率が高い背景には、第2新卒としてキャリアの見直しをしやすくなっていることもあるでしょう。

定着率と入職率

離職率だけではなく、定着率や入職率も合わせて確認することで、より、企業の働きやすさを知ることができます。まず、定着率とは100%から離職率を引いた数字を指します。離職率とは対照的な指標である定着率は、離職率同様、明確な定義はありません。調査したい内容によって、定着率の求め方は異なります。また、定着率が高いほど、長く働いている人が多い企業ということになります。入職率とは、一定の期間に、新規で雇用した労働者の割合を示す数字です。この数字が大きいと、それだけ多くの人間を採用しているといえます。また、入職率も離職率のように、一定の期間に明確な定義はありません。たとえば、500人が在籍している企業に、1年間で100人が入社した場合は、入職率は、100÷500×100で20%と算出されます。

入職率を見るときは、その期間に注意しましょう。入職率の期間には決まりがないので、算出方法によっては、都合がいいように値をコントロールできるためです。たとえば、4月は多くの新入社員が入社してきます。他の期間と比べて、入職率は各段に上がるでしょう。一カ月単位のような短い期間の入職率よりも、半年・1年のように長いスパンで比較したほうが、入職率の高い企業を見つけることができます。なお、入職率が高い業界は、離職率も高い傾向にあります。厚生労働省の「平成30年雇用動向調査結果」によると、入職率が最も高い宿泊業・飲食サービス業は、「入職率29.3%」・「離職率26.7%」でした。一方、入職率が最も低い製造業は「入職率9.3%」・「離職率9.4%」でした。入職率、離職率ともに、人材の入れ替わりの激しさを示す指標ともいえるでしょう。

離職率の753(シチゴサン)現象

離職率の753(シチゴサン)現象とは、学歴別に離職率の高い期間を表す言葉です。中学卒業者は7年以内、高校卒業者は5年以内、大学卒業者は3年以内の離職率が高いことを意味しています。一方、年齢別に離職率を見てみましょう。平成28年度卒業者を対象とした厚生労働省の「新規学卒者の3年以内の離職状況」によると、卒業後3年の離職率は、「大学卒32.0%」・「高校卒39.2%」・「中学卒62.4%」となっており、年齢が若い人ほど、離職率が高いことがわかります。

せっかく入社した企業をすぐに辞める理由はなんでしょう。一つは、若い人ほど社会経験がないことが挙げられます。働いた経験があったとしても、アルバイトやインターンシップ程度でしょう。他の企業で働いた経験がないので、理想の仕事とのギャップや労働条件への不満を感じやすく、すぐに転職に踏み切る人もいます。また、就職活動がうまくいかなかったことを理由に、転職を検討する人もいます。ひとまず内定をもらった企業に入社したものの、やはり、仕事内容や環境に馴染めなかったという人も少なくありません。また、業界や職種の研究をせずに就職活動した結果、ミスマッチに苦しみ転職を選ぶ人もいます。

離職率が高い業界

厚生労働省による平成30年雇用動向調査結果をもとに、離職率が高い業界を確認してみましょう。離職率は、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、サービス業の順に高い傾向にあります。なぜ、このようなサービス業は、離職率が高いのでしょうか。転職理由に多く見られる、給料など収入の少なさ・労働条件・人間関係などに注目して考えてみましょう。まず、サービス業は、給料が低くなりがちです。厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」を見ると、宿泊業・飲食サービス業の平均賃金は、「男性約27万円」・「女性約20万円」となっています。一方、他業種では、製造業では「男性約32万円」・「女性約21万円」、金融業・保険業では「男性約47万円」・「女性約28万円」となっており、サービス業の給料の低さがわかるでしょう。

労働条件にも、サービス業ならではの課題があります。サービス業は、土日祝日に営業している場合が多いので、サラリーマンなど平日出勤の人と休みを合わせることが難しくなっています。また、シフト制を採用している職場が多いので、予定を立てにくいのも問題です。さらに、他の人が欠勤すれば、穴埋めで働かなければならない場合もあるでしょう。サービス業は比較的、労働条件が厳しい業界といえます。加えて、サービス業は職場の人間関係も良くないケースが多くなっています。サービス業は人と接する職業です。上司や同僚以外に、顧客にも対応するので、他の業界よりも人間関係に起因するストレスが溜まりやすいことも要因の一つになっています。このように、給料など収入の少なさ・労働条件・人間関係などの理由により、サービス業の離職率は高い傾向にあります。

離職率の計算方法

一定期間中に離職した人数 / 元々の従業員数 × 100

たとえば、2019年の4月の時点で、100人の従業員がいる会社を例に挙げて説明しましょう。2020年の4月に従業員が90人に減っていたとすると、1年間の離職率は、10÷100×100で、10%と求められます。なお、離職率を算出しているのは一般企業だけではありません。厚生労働省が統計的なデータをもとに算出する場合もあります。厚生労働省のデータは、多くの労働者を対象としており、国内の企業の活動状況や労働環境を考える際に役立つでしょう。

労働者の多くは、離職率を気にしています。就職・転職活動中の人のなかには、離職率を参考に就職先を検討する人も多いでしょう。離職率が低ければ、それだけ辞めていく人数が少ないということを意味します。つまり、長く同じ企業で働きたいと希望する人ほど、離職率を重視する傾向にあるのです。なかには、妊娠・出産を理由として退職を選んだ人の離職率など、詳細な離職率を気にする人も少なくありません。また、雇用側の企業も離職率を気にかけており、特に、「3年後離職率」を重視する企業が多くなっています。厚生労働省によると、2016年に入社した大卒者の3年後の離職率の平均は、約3割(32.0%)というデータが公表されています。したがって、企業における3年後離職率が3割以下であり低ければ低いほど、新入社員が定着しやすく、働きやすい企業であるといえるでしょう。このように、離職率は、働き方を考えるために、労働者と企業の両方にとって重視したい指標といえます。

離職率が高い職場の特徴

離職率が高い職場には共通する特徴があります。たとえば、長時間労働が当たり前になっていたり、評価が正当とはいえなかったりといったことが挙げられます。離職率が高い職場の特徴を厚生労働省の調査(参照:2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概要)を元にまとめました。

長時間労働が当たり前

定年や契約期間の満了を除いた離職の理由として最も多いのは、「労働時間や休暇」など、労働条件の悪さについてです。「労働条件が悪かった」という理由による離職を性別でみると、男性が10.0%、女性が13.4%と離職理由の中でも多くの割合を占めています。長時間労働により体を壊すことはもちろん、特に女性は結婚や出産などによるライフステージの変化によって、家事や育児などと仕事を両立することが難しくなり、離職するケースが多いことが想定されます。

評価が正当ではない

労働時間や休日など労働条件の次に多い離職理由は、「給与など、収入が少ない」といった評価の不平等に関するものです。給与や収入を離職理由としているのは、特に若い男性に多く見られ、25歳~29歳では16.9%、30歳~34歳では17.1%の割合を占めています。

「評価が正当ではない」と感じるのは、基本給や賞与の支給額のせいだけではありません。役職や任される仕事によっても不当に扱われていると感じさせてしまいます。業務内での責任も増え、重要な役割を担う世代が不満を感じれば、より正当な評価を求めて今よりも条件の良い企業に転職してしまうことも少なくありません。

休みが取りにくい

離職の理由として、「休みが取りにくい」という不満を挙げる人も多くいます。厚生労働省の調査(参照:Ⅰ.長時間労働の抑制と年次有給休暇取得の必要性)では、年次有給休暇取得率が高い職場ほど、社員の休暇に対する満足度が比例して高くなる傾向になることが分かっています。つまり、休みが取りにくい職場であるほど、社員の休暇に対する満足度が下がり、結果的に心身の健康リスクが上昇するなど、離職に繋がってしまうことが想定されます。

具体的には、有給が好きな時に使えない職場や、積極的に有給の取得を促す雰囲気がない職場は、社員の満足度が低い傾向にあり、離職率が高くなります。

キャリア形成が不透明

「キャリア形成が不透明」であることを理由に退職する人もいます。具体的には、「この職場での将来像が描けない」「個人のキャリアを支援してくれない」「そもそものやりがいが感じられない」などといった理由です。

厚生労働省の調査によると、「能力・個性・資格を生かせなかった」という理由での離職が男性で4.8%、女性で4.3%を占めており、「会社の将来が不安だった」という理由での離職は、男性で7.6%、女性で4.0%となっています。人材育成の体制が整っていない職場では、十分な研修や教育をされないまま実務に就くケースも少なくありません。その結果、顧客からクレームを受けたり、上司から叱責を受けたりすることにより、「この仕事に向いていない」と感じてしまい、離職に繋がることも想定されます。

多様性のある働き方が認められていない

子育てや介護に関する理由など、「多様性のある働き方が認められていない」ことを理由に離職する人も一定数います。例えば、女性では「出産・育児」を理由とする退職が1.3%、「介護・看護」を理由にした退職が1.2%となっており、その他にもハラスメント行為に不対応であるなど、女性が働きにくい職場環境であることが挙げられています。

職場に育児や介護を支援するような制度があっても、実際に利用することが業務上難しいケースや、利用できる雰囲気がないケースもよく見られます。また、制度を利用したことによって極端に待遇が下がってしまうなど、多様性のある働き方を支援する制度がある場合でも、実際に「利用しづらい」「利用するメリットが感じられない」ようであれば、離職率は高くなってしまいます。

離職率を下げる方法 

離職率を下げるには、労働環境や評価制度のみなおし、育成・キャリア支援制度の導入、1on1など、さまざまな方法があります。

労働環境の改善

離職理由の中でも多くの割合を占める「労働環境」を改善することは、離職率を下げるうえでとても重要です。具体的には、リモートワークの導入による働く場所の改善、フレックス制度の導入や時短勤務など、勤務時間の改善を行うことによる働き方の多様化、年次有給休暇取得率を上げるための環境作りなどが挙げられます。

長時間労働に関して、個人のスキルや適正などに左右される場合もありますが、業務量が適切でないケースも想定されます。スキルが高い社員に仕事が集中してしまい属人的になってしまうと、特定の社員の離職が大きなリスクとなります。そのため、属人的なスキルに依存するのではなく、適切な業務量を見極めながら割り振りをするなどの改善が必要でしょう。

評価制度の整理 

優秀な社員の離職を防ぐためにも、「評価制度の整理」を行うことはとても大切です。社員ごとの実績やスキルなどに対して「なぜこの給与額であるのか」という評価基準を明確化する必要があります。

評価基準が明確化されていない場合、社員が給与額に対する納得感を得づらく、必要以上に給与額が低く感じてしまうなどのリスクが想定されます。例えば、評価基準が経営者層や上司の裁量によって決まっているなど、曖昧になっている場合は、改めて評価制度の整理を行うことで、社員の納得感を得られるよう評価基準を明確化することが望ましいでしょう。

育成・キャリア支援制度の導入 

社員が成長を実感し、キャリア形成をイメージできるよう「育成・キャリア支援制度の導入」などの改善を行うことも、離職率の低下につながります。

例えば、新入社員に対して、十分な研修や教育を実施するための制度を導入することによって、心身の健康リスクが上昇することを防ぐこともできるでしょう。また、社員一人ひとりの課題や目標を明確化し、将来像を描けるようにするなど、キャリア支援制度を導入することも有効です。

定期的な面談や1on1 

人事や上司との定期的な面談や1on1を実施するなど、不満や悩みを相談することができる環境を整備することも、離職率の改善に効果的です。

社内の人間関係やハラスメント行為、自身への待遇など、会社に関してさまざまな不満や悩みを抱えている社員も少なくありません。不満や悩みを言い出せる環境が整備されていない場合、一人で悩んだ結果、突然退職を申し出るケースなどが想定されます。このようなケースにおいて、退職を申し出た社員を引き止めようとしても、意思決定が固く覆すことは極めて難しいでしょう。人事や上司などが、不満や悩みについて社員にヒアリングする機会を定期的に設けることで、このような事態を未然に防ぐことができます。

業界ごとの離職率の違いは?

厚生労働省による平成30年雇用動向調査結果をもとに、離職率が高い業界を確認してみましょう。離職率は、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、サービス業の順に高い傾向にあります。なぜ、このようなサービス業は、離職率が高いのでしょうか。転職理由に多く見られる、給料など収入の少なさ・労働条件・人間関係などに注目して考えてみましょう。まず、サービス業は、給料が低くなりがちです。厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」を見ると、宿泊業・飲食サービス業の平均賃金は、「男性約27万円」・「女性約20万円」となっています。一方、他業種では、製造業では「男性約32万円」・「女性約21万円」、金融業・保険業では「男性約47万円」・「女性約28万円」となっており、サービス業の給料の低さがわかるでしょう。
労働条件にも、サービス業ならではの課題があります。サービス業は、土日祝日に営業している場合が多いので、サラリーマンなど平日出勤の人と休みを合わせることが難しくなっています。また、シフト制を採用している職場が多いので、予定を立てにくいのも問題です。さらに、他の人が欠勤すれば、穴埋めで働かなければならない場合もあるでしょう。サービス業は比較的、労働条件が厳しい業界といえます。加えて、サービス業は職場の人間関係も良くないケースが多くなっています。サービス業は人と接する職業です。上司や同僚以外に、顧客にも対応するので、他の業界よりも人間関係に起因するストレスが溜まりやすいことも要因の一つになっています。このように、給料など収入の少なさ・労働条件・人間関係などの理由により、サービス業の離職率は高い傾向にあります。

定着率と入職率も併せて確認しよう

離職率だけではなく、定着率や入職率も合わせて確認することで、より、企業の働きやすさを知ることができます。まず、定着率とは100%から離職率を引いた数字を指します。離職率とは対照的な指標である定着率は、離職率同様、明確な定義はありません。調査したい内容によって、定着率の求め方は異なります。また、定着率が高いほど、長く働いている人が多い企業ということになります。入職率とは、一定の期間に、新規で雇用した労働者の割合を示す数字です。この数字が大きいと、それだけ多くの人間を採用しているといえます。また、入職率も離職率のように、一定の期間に明確な定義はありません。たとえば、500人が在籍している企業に、1年間で100人が入社した場合は、入職率は、100÷500×100で20%と算出されます。
入職率を見るときは、その期間に注意しましょう。入職率の期間には決まりがないので、算出方法によっては、都合がいいように値をコントロールできるためです。たとえば、4月は多くの新入社員が入社してきます。他の期間と比べて、入職率は各段に上がるでしょう。一カ月単位のような短い期間の入職率よりも、半年・1年のように長いスパンで比較したほうが、入職率の高い企業を見つけることができます。なお、入職率が高い業界は、離職率も高い傾向にあります。厚生労働省の「平成30年雇用動向調査結果」によると、入職率が最も高い宿泊業・飲食サービス業は、「入職率29.3%」・「離職率26.7%」でした。一方、入職率が最も低い製造業は「入職率9.3%」・「離職率9.4%」でした。入職率、離職率ともに、人材の入れ替わりの激しさを示す指標ともいえるでしょう。

離職率の753(シチゴサン)現象

離職率の753(シチゴサン)現象とは、学歴別に離職率の高い期間を表す言葉です。中学卒業者は7年以内、高校卒業者は5年以内、大学卒業者は3年以内の離職率が高いことを意味しています。一方、年齢別に離職率を見てみましょう。平成28年度卒業者を対象とした厚生労働省の「新規学卒者の3年以内の離職状況」によると、卒業後3年の離職率は、「大学卒32.0%」・「高校卒39.2%」・「中学卒62.4%」となっており、年齢が若い人ほど、離職率が高いことがわかります。
せっかく入社した企業をすぐに辞める理由はなんでしょう。一つは、若い人ほど社会経験がないことが挙げられます。働いた経験があったとしても、アルバイトやインターンシップ程度でしょう。他の企業で働いた経験がないので、理想の仕事とのギャップや労働条件への不満を感じやすく、すぐに転職に踏み切る人もいます。また、就職活動がうまくいかなかったことを理由に、転職を検討する人もいます。ひとまず内定をもらった企業に入社したものの、やはり、仕事内容や環境に馴染めなかったという人も少なくありません。また、業界や職種の研究をせずに就職活動した結果、ミスマッチに苦しみ転職を選ぶ人もいます。

離職率が高い職場はどんな特徴がある?

離職率が高い職場は働きにくかったり、労働者にとって魅力がない職場であったりする傾向が強いです。転職の理由として挙げられがちな、賃金面・休みの少なさ、職場の雰囲気などに問題がないか調査する必要があります。また、人事評価制度が適切ではないというのも離職の原因になるでしょう。人事評価制度を公正に行うのは難しく、正当な評価を受けていないという理由で、転職する人もいます。公正な評価を行うには、あらかじめ具体的な目標を設定し、どの程度目標が達成されたかをもとに評価をするとよいでしょう。評価基準が明確であれば頑張る意欲が増し、たとえ悪い評価が付けられたとしても納得しやすくなります。たとえば、前期よりも営業利益を5%アップさせる、現行の商品よりも製造コストを5%削減するなどといった、具体的な目標設定が望まれます。
また、部下の日頃の勤務状況をよく観察しましょう。営業利益、コストなどのように、成果が数値で見えるものばかりではありません。コミュニケーション能力に長けている、仕事の効率がよいなど、見えにくい部分も評価しましょう。加えて、評価のフィードバックもきちんと行いましょう。フィードバックがなければ、部下は評価理由がわかりません。人材育成のためにも、評価の理由を正確に伝えることが重要です。このように、待遇面や職場の雰囲気、人事評価制度などに注目してみると、自社の離職率が高い場合にその原因を突き止められるでしょう。

離職率が低い職場はどんな特徴がある?

離職率が高い職場がある一方、低い職場もあります。2019年に発行された会社四季報によると、2018年の時点で就職から3年以内での離職者が1人もいなかった日本企業は、「80社」存在することがわかっています。離職率が低い職場の共通点を確認すると、離職率を下げるヒントを得られるのではないでしょうか。業界別に見ると、電気やガスといったエネルギー・インフラ業界は、離職率が低い傾向にあります。これらの業界は日常生活に欠かせない存在です。仕事が安定しており賃金が高いといった面で、従業員の満足度が高い仕事といえるでしょう。また、顧客が企業である場合が多いという点も見逃せません。接客によるストレスが少ないことも、離職率が低い理由と考えられます。
エネルギー・インフラ業界には、大企業が多いことにも注目しましょう。創業から何十年もの歴史を持つ大企業では、人材育成に関するノウハウやシステムが充実している場合が多く、教育制度に満足している従業員が多いと推測されます。このように、離職率が低い職場では、賃金などの待遇面・人材育成面などに魅力がある場合が多いといえます。

離職率を下げる方法は?

離職率が高い場合にはその原因を調査し、下げるために行動することが重要です。従業員が安心して働ける環境を作ることが、離職率を下げるポイントです。たとえば、残業削減。残業が多いと疲労感から働く意欲が低下するとともに、メンタルヘルス的にも良くありません。ワークライフバランスを向上するために、転職しようと考える人が出るのも当然といえるでしょう。残業が多い理由には、仕事量が多すぎたり、効率が悪かったりといった理由が挙げられます。仕事量を見直し、効率が悪いシステムがあれば見直しましょう。
また、育児や介護休暇、リモートワークなど、働きやすい環境を整えるのも良いでしょう。個人のライフスタイルや家庭環境が変わると、これまでの勤務スタイルでは仕事を続けられなくなる人も出てきます。同じ場所に集合し決まった時間に働くのではなく、個人が働き方を選べると仕事を続けやすくなります。ほかにも、人事評価制度を公正でわかりやすいものにする、従業員同士でコミュニケーションを取りやすいように座席の固定化をやめるなどといったことも効果的と考えられます。従業員の満足度が高く、安心して働ける職場を作りましょう。

タレントマネジメントシステムの必要性

離職率は、社内における人材配置と深い関わりがあります。適切な人材配置を行うには、従業員のスキルや能力を把握するタレントマネジメントが役立ちます。また、すでに、タレントマネジメントシステムを導入している企業も少なくありません。複雑化する経営環境の中で成果を出すためにも、タレントマネジメントシステムの導入は重要といえるでしょう。

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