2020.03.09

従業員の定着化を図ろう!離職率の計算・低減方法をわかりやすく解説

従業員の定着化を図ろう!離職率の計算・低減方法をわかりやすく解説

採用市場の激化や労働人口の減少により、人材を確保することが難しくなっています。そのため、できるだけ離職率を低減させ従業員の定着化を図らなければなりません。厳しい採用現場を乗り切るためにはどのような行動をとればいいのでしょうか。この記事では、離職率が高くなる原因や離職率を下げるための施策について紹介していきます。

離職率とは

離職率とは、企業においてある期間でどのくらい従業員が辞めたかを示す割合のことです。離職率は、求職者が企業を選ぶときの1つの重要な基準にもなるため、いい人材を採用するためにもなるべく低く保っておかなければなりません。また、離職率を算出する際は、新入社員と他の従業員で分けられることが多いのが実状です。ベテランの従業員の離職は、ある程度働いたうえで円満退社するケースも多いですが、新入社員の離職となると、イメージと違ったり、楽しく働けなかったりしたのが原因となっている可能性が高いといえるでしょう。同じ離職率でも事情が大きく変わってくるので、新入社員の離職はできるだけ防がなければなりません。

また、離職率の対象期間においては、入社1年後や入社3年後などさまざまなシチュエーションで算出されることもありますが、離職率を算出する目的によって細かな違いがあるため、数値だけを見ただけで決めつけられるような理由が導き出せるわけではありません。

離職率の算出方法

離職率の算出方法は、「一定期間内の離職者数÷期間の初め(※1月1日など)の在籍従業員数)×100」で求められます。たとえば、100名の企業で、年間8名が退職して在籍が92人になった場合は、「8名÷100名×100」という計算式になり、8%の離職率という結果が導き出せます。

そのほかにも、数字を入れ替えれば新入社員に限定した離職率も算出することができます。新入社員10名のうち3年以内に3名が退職した場合は、「3名÷10名×100」で、新入社員の離職率は30%ということになります。

日本企業の離職率の平均データ

全国にはさまざまな企業があり、どこの企業でも同じように従業員の入れ替わりが起こっていますが、平成30年に行われた調査によると日本企業の年間離職率の平均は14.6%となっていることがわかりました。また、この1年間の離職者数のほうに目を向けると、その数およそ7242.8千人となっていますが、入職者数のほうは約7667.2人となっており、離職者よりも入職者のほうが多いということがわかっています。

ちなみに、平成28年の離職者は15.0%、さらに平成29年は14.9%という結果が出ていました。この3年間を見比べてみると僅かながらに減少傾向にあることがうかがえます。
※データ参考元.平成30年雇用動向調査・入職と離職の推移

離職率の高い業種・低い業種

ひと口に離職率といっても、業種によってその数値は大きく異なります。離職率が高い傾向にある業種はさまざまありますが、中でも際立っているのは「宿泊業・飲食サービス業」です。平成30年に行った調査では、宿泊業・飲食サービス業の離職率は26.9%となっており、全ての業種の中で最も高い数値が算出されました。そのほか、「生活関連サービス業・娯楽業の離職率」も23.9%と高い数値が出ています。

一方で、建設業が9.2%、製造業は9.4%と、上で述べた例に比べてかなり離職率が低い業種もあり、採用現場でも人気の業種となっています。
※データ参考元.平成30年雇用動向調査・産業別の入職と離職

離職率が高くなることのデメリット

離職率が高くなることのデメリットとして一番に挙げられるのは、「企業のイメージダウンにつながる」ということでしょう。企業のイメージが悪ければ、当然そこで働きたいと考える人も少なくなるので、採用活動が困難になります。イメージの悪化が及ぼす影響は採用活動に止まりません。外での悪い噂は社内にも悪影響をもたらし、従業員のモチベーションの低下にもつながってしまいます。また、離職者が多くなってしまえば、それを補う人材を新たに確保しなければなりません。しかし、採用活動するためには費用がかかってしまいます。経費を削減するという意味でも、離職率はおろそかにできない重要な要素であるといえるでしょう。

離職率が高くなる原因

離職率が高くなってしまう原因はいろいろありますが、一番の原因として挙げられるのは「職場の人間関係が悪く、悪質ないじめやハラスメントが発生している」ことでしょう。どれだけ好きな仕事に就くことができても、人間関係に悩まされれば楽しく働くこともできません。

「労働時間が長かったり、休暇が少なかったりするなど労働基準法に違反している」ことも大きな原因として挙げられます。ブラック企業という言葉が世の中にすっかり浸透してきていることもあり、従業員は会社の体質に敏感になっています。無理に残業を押し付けたり、休日出勤を強制したりしていると当然離職率も上がってしまうでしょう。

「給与が低い、キャリアアップが見込めない」という理由で退職する従業員も多いです。仕事に熱心に取り組むためにはその分モチベーションを高く持っておかなければなりません。仕事で結果を出した従業員は昇給を認めるなど、きちんとした評価制度をとっておくようにしなければ従業員もやる気を見出すことはできないでしょう。離職率の上昇を防ぐためには、社員のモチベーション維持に努める必要があります。

他にも、さまざまな理由で仕事にやりがいを持てずに転職してしまう従業員がいます。従業員のケアを怠らない企業は離職率も低い傾向にあるので、日頃から従業員の声に耳を傾ける姿勢をとることが大切になってきます。

離職率を下げるための施策

1.コミュニケーションの活発化を図る

社内でコミュニケーションがとれていない企業は離職者を出しやすくなってしまいます。また、同年代の従業員たちがいくら仲良くても、社内全体の雰囲気が良くなければ一体感も生まれません。上司と部下のコミュニケーションを活発化させるためには、上司から積極的に部下に対して話しかける意識を持つことが大切です。業務中の会話が難しいのであれば、フリーアドレスやリフレッシュスペースを導入してみるのもいいかもしれません。コミュニケーションの機会が増えれば、自然と良好な関係を築くことができるでしょう。

従業員同士のコミュニケーションが活発化することで期待できる効果は離職率の低減だけではありません。従業員たち同士で会話を重ねれば、新しいアイディアが生まれる可能性もあります。会社の利益に直結するような画期的なアイディアが思いつけば、組織としてもあらゆる面において成長することができるでしょう。

部署間でコミュニケーションがとりづらい場合は、社内イベントなどを開催するのが効果的です。仲を深めようとしても交流する機会がなければなかなか良好な関係を築くこともできませんが、社内イベントを開くことで普段交流する機会のない従業員同士でも自然とコミュニケーションをとることができます。

2.労働環境の見直しをする

労働環境は離職率にダイレクトに影響を及ぼします。従業員に気持ちよく働いてもらうためには、一度労働環境の見直しをしておいたほうがいいかもしれません。たとえば、フレックスタイム制や在宅勤務、テレワークなどを導入して従業員に新しい働き方を提示すれば、ストレスを軽減することができます。また、企業で女性従業員が多い場合は、企業内に保育所を設立したり、育児休暇制度を充実させたりしてサポートしてあげるのも効果的でしょう。長時間労働が課題である場合は、従業員ひとりひとりの勤務時間を把握したり業務の効率化を図ったりなどして、長時間労働の是正を行うことが大切です。

3.福利厚生を充実させる

福利厚生が充実している企業は離職率も低い傾向にあります。社員食堂や保養所を設置したり、スポーツジムや映画館など提携施設で割引利用ができる仕組みを構築したりしながら、従業員に手厚いサポートを施してあげましょう。福利厚生を充実させることで、従業員の会社に対する満足度を高めることができます。

また、従業員にとって満足のいく福利厚生を整えるためには、積極的に従業員の意見を取り入れることも大切です。どれだけ魅力的なサービスを取り入れても、従業員が利用できなければ意味がありません。福利厚生の充実は従業員が活用することでようやく成立するため、サービスを積極的に社員が活用できる仕組み作りにも尽力しましょう。

4.採用活動のミスマッチの回避

従業員が入社前と入社後において企業に対してギャップを感じてしまうと、退職してしまう可能性が高くなります。ミスマッチを防ぐためにも、採用活動時にしっかりと求職者に業務内容などを伝えておかなければなりません。面接するときは、求職者がどういうキャリアビジョンを思い描いているか、企業の方向性がマッチしているかなど、しっかり確認しておくようにしましょう。また、入社後のフォローも徹底することが大切です。職場環境に慣れるまでは、定期的に面談を行うなど、従業員に対するケアを忘れないようにしましょう。従業員が気軽に悩みを相談できるようなメンター制度などを取り入れるのも一つの手です。

5.教育体制の見直しをする

従業員は、給与以外にも、仕事へのやりがいや自己の成長も常に求めていることが多いです。中には、モチベーション維持のためにとにかく収入面を充実させる経営者もいますが、給与をしっかり支払っているからといって必ずしもモチベーションが低下しないとは限らないので気をつけましょう。従業員にやりがいを持って働いてもらうためには、従業員が成長できる環境を積極的に構築しなければなりません。定期的にスキルアップ研修を開催したりすれば、従業員は明確な目標設定ができるので、日々やりがいを感じながら仕事に取り組むことができるでしょう。また、部下を指導する上司のスキルアップも必要になります。管理職研修などを積極的に行えば、社内全体のモチベーションを上げることができるでしょう。

6.適切な人員配置を行う

人員配置は従業員のモチベーションに大きな影響を及ぼします。ひとりひとりの能力に応じて適切な配置を行わないと、従業員が力を発揮できずにフラストレーションを溜めてしまうかもしれません。また、正しい評価を下さずにいい加減な配置をしていると、不満を感じる従業員が出てきて社内の雰囲気が悪くなってしまう可能性があります。そうなれば当然離職率も高くなってしまうので気をつけましょう。日頃から従業員に目を向け、ひとりひとりの能力を把握しておくことが適切な人員配置を行ううえで大切になってきます。従業員の能力を的確に把握するためには、実績のある人事システムを導入するのもおすすめです。効率よく従業員のデータを確認できるので、能力を見誤ることもありません。

離職率を下げる際に意識したいポイント

2015年に卒業した新規大卒者の3年以内の離職率は31.8%となっており、3人に1人が離職していることがわかっています。新規大卒者は将来的なリーダーを担う貴重な人材であることはもちろんのこと、新たな人材獲得も難しくなってきているため、新卒者の離職率の低下には特に力を入れることを意識しておきましょう。新卒の離職率を下げるためには、入社後の何カ月間にどういう行動をとっておくかが重要なカギを握ります。入社後のフォローや教育体制をしっかりと構築して、少しでも離職のリスクを軽減できるようにしておくことが大切です。

そのほか、社員の教育訓練に対して、厚生労働省が支給する助成金を活用するなどして適切な施策を実行するのも1つの方法です。研修など行うにも費用がかかってしまうので、中小企業などは積極的に利用していくことをおすすめします。
※データ参考元.新規学卒就職者の離職状況・厚生労働省

離職率において把握しておきたい注意点

ここまで離職率を低減させるためのポイントについて解説してきましたが、離職率は低ければ良いというわけではありません。離職率が低い会社が求職者の間で人気なのは確かですが、優秀な人材が退職してしまえばその能力がライバル企業に流出することにもなるので、場合によっては大きなダメージを受けることもあります。あまり離職率に固執していると、従業員の思いや悩みといった一番重要な部分が見えなくなってしまうかもしれません。離職率を下げるためであるからこそ、離職率の数字ばかりを追わずに、「従業員が何を求めているか」を把握し、適切な施策を実行することが大切です。

離職率を下げるための施策事例

1.清水建設株式会社

どこの企業も離職率を下げるためにあらゆる努力をしていますが、その中でも特に際立った結果を残している企業があります。「清水建設株式会社」もそのうちの一つで、多くの求職者に人気のある企業です。「清水建設株式会社」の特徴として挙げられるのは、女性育児休暇取得率100%や介護休暇取得の実現に向けた取り組みを行なっている点でしょう。また、建設業は技能者の高齢化や大量離職による人手不足が叫ばれていますが、「清水建設株式会社」はそのような厳しい状況下でも、ワーク・ライフ・バランスに徹底的に配慮しています。忙しい現場作業においても週休2日を実施しているため、従業員もストレスを抱え込むことがありません。その結果、離職率は1.0%前後と非常に低い数値になっています。

2.ヤフー株式会社

「ヤフー株式会社」は、今や非常に多くの人が利用するポータルサイト「Yahoo! JAPAN」の運営元であり指折りの有名企業ですが、離職率を下げるための施策にもしっかりと力を注いでおり、多くの人が憧れる理想的な企業であることは間違いありません。「ヤフー株式会社」では、上司と部下のコミュニケーションを活発化させるために「1on1ミーティング」を行っています。「1on1ミーティング」とは、上司と部下が1対1で対話をするスタイルのコミュニケーションで、気持ちをダイレクトに伝え合うことで効率的に関係を深められるという大きなメリットがあります。

一般的に部下からの希望を上司に直接伝えるような機会はあまりなく、中には、自分の話を聞いてもらうことなど諦めてしまっているという部下もいるでしょう。その点、「Yahoo! JAPAN」は、1on1ミーティングを一度で終わらせず継続的に行うことで、信頼関係を築き、部下のモチベーションアップにつなげることができています。このような上司が部下の要望をしっかり聞き入れられる仕組みは、社内に一体感をもたらすことができるため、業務においても非常に大きな効果を与えてくれるでしょう。

3.株式会社サイバーエージェント

「アメーバブログ」や「Ameba TV」でおなじみの「株式会社サイバーエージェント」も、離職率を下げるために独自の施策に取り組んでいます。「株式会社サイバーエージェント」は、女性支援制度「macalon(マカロンパッケージ)」を導入しながら、女性が働きやすい環境を構築することに努めています。「macalon」は、女性が体調不良になった際に、特別に休暇を取得できたり、在宅勤務ができたりする制度で、柔軟な働き方ができる点が多くの女性従業員から支持を集めています。「株式会社サイバーエージェント」は、女性の社会進出が活発化している現代において、女性の求職者からも熱い視線を注がれている優良企業といえるでしょう。

適切な施策で離職率を下げよう!

離職率を下げるための施策にはいろいろなものがありますが、効果を出すには企業の課題を洗い出してそれぞれの目的に合った施策を実行しなければなりません。また、従業員が何を考えているのか常に把握しておくことも重要になってきます。適切なマネジメントを行うためにも、実績のある人事システムを活用してみてはいかがでしょうか。

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