2020.8.3
Saas(サース)って何のこと?Saasのサービスや似た用語との違いは
ITツールやWebサービスの用語として「SaaS(サース)」という言葉を聞いたことがありませんか。業務効率化を目指すうえでSaaSは非常に重要な役割を果たします。すでにさまざまな種類のSaaSがリリースされているので、自社に合ったものを導入していきましょう。この記事では、SaaSの定義や具体的なサービス、似たIT用語との違いを解説します。
SaaSの一種であるタレントマネジメントシステム「CYDAS」では、人材情報の一元化が可能です。
目次
- 1 SaaS(サース)とは何か?
- 2 「クラウド」や「ASP」とは違うの?
- 3 SaaSで生まれたメリット:マルチデバイスでアクセスが自由に
- 4 SaaSで生まれたメリット:複数人での管理・編集が可能
- 5 SaaSで生まれたメリット:導入・運用が低コスト
- 6 SaaSのデメリット
- 7 PaaS(パース)とは?SaaSとの違いは?
- 8 IaaS(イァース/アイアース)とは?SaaSとの違いは?
- 9 SaaSのサービス:G Suite
- 10 SaaSのサービス:Dropbox
- 11 SaaSのサービス:Evernote
- 12 SaaSの種類:Horizontal SaaS
- 13 SaaSの種類:Vertical SaaS
- 14 SaaSのサービスを手軽に導入しよう
SaaS(サース)とは何か?
クラウドで提供されるソフトウェア
SaaSとは「Software as a Service」の略称です。クラウドで提供されるソフトウェアであり、ユーザーはインターネットを介してSaaSを利用します。クラウドサービスが浸透する以前、ソフトウェアはパッケージ販売されている状態が一般的でした。そして、ユーザーはCD-ROMなどのソフトウェアを購入し、端末にインストールしてサービスを利用していました。しかし、SaaSではソフトウェアを稼働させるのはベンダー側です。ユーザーはインストールをしなくても手軽にソフトウェアの機能を享受できるようになりました。
広まった理由
SaaSがネットユーザーの間で広がったのは、ネット環境さえ整っていればいつでもどこでもすぐにサービスを利用できるからです。また、端末にソフトウェアを入れなくてもよいので、端末の容量も節約できます。従来のパッケージにはなかったメリットの数々は、ビジネスシーンから注目されています。実際、業務効率化を目的としてSaaSを導入した企業は少なくありません。残業や休日出勤を抑えたり、チーム内でスムーズに情報共有をしたりするとき、SaaSは非常に役立ちます。
SaaSについては、こちらの記事でも解説しています。
「クラウド」や「ASP」とは違うの?
ほぼ同じ意味の「クラウド」
SaaSと似た概念としてクラウドが挙げられます。両者に大きな違いはなく、同じ意味で使われていることも珍しくありません。あえて両者の関係性を定義するなら、SaaSはクラウドの一種だと言えます。クラウドはパブリッククラウド、プライベートクラウドの2種類に分かれます。クローズドな組織内で使うプライベートクラウドに対し、パブリッククラウドはインターネットを通じて企業や個人にサービスを提供する仕組みです。そして、SaaSはパブリッククラウドに該当するサービスです。
ASPとの違い
SaaSと間違われることの多いIT用語に「ASP(Application Service Provider)」があります。ただ、SaaSはサービス提供の形態を指す言葉です。それに対し、ASPとはサービスを提供している業者を表すことが大半です。まれにサービスの仕組み、提供している個人を意味することもあるものの、ほとんどの場合においてSaaSとは異なる文脈で使われます。
SaaSで生まれたメリット:マルチデバイスでアクセスが自由に
外出先からも利用できる
これまで、ソフトウェアを使おうと思えば端末にインストールする必要がありました。しかも、ソフトウェアにはライセンスが定められているケースもあり、限られた端末にしかインストールができない可能性が高かったのです。その結果、自宅やオフィスを離れてしまうと仕事ができなくなり、わざわざ端末のある場所まで引き返さなくてはならないデメリットが生まれていました。しかし、SaaSであればマルチデバイスでアクセスができるため、外出先からノートパソコンやスマホによって利用ができます。
リモートワークにぴったり
自由度の高いSaaSはリモートワークをはじめとする新しいワークスタイルにも対応可能です。在宅やコワーキングスペースでの利用に向いているので、オフィス以外の業務を希望する人から重宝されています。
SaaSで生まれたメリット:複数人での管理・編集が可能
SaaSにはドキュメント編集機能とストレージ機能が備わっています。SaaS内に置かれたドキュメントは保存するだけでなく、修正を加えることも可能です。さらに、大量のデータを管理する場所としても活用できます。これらの機能により、複数ユーザー間での情報共有が容易となりました。同時にデータを編集したり、リアルタイムで作業内容を反映させたりできるのがメリットです。つまり、同じ空間にいないユーザー間でも共通のデータを編集できます。遠く離れた場所にいる人とのグループワークを同時に進めたいときにぴったりです。
SaaSで生まれたメリット:導入・運用が低コスト
初期投資を抑えられる
まず、SaaSではソフトウェアの開発コストがかかりません。すでにベンダーが開発したソフトウェアをWeb上で利用するだけだからです。当然、導入コストも発生しないので初期投資を安く抑えられます。さらに、インターネットにアクセスすればサービスを利用できるため、導入の準備期間もかなり短縮できます。スピーディーにソフトウェアを導入したい企業にとっては理想的な仕組みと言えるでしょう。
余計な業務や費用が発生しない
また、SaaSは運用にも労力や人件費を割かれることがありません。SaaSの運用はベンダーによって行われています。機能のアップデートをベンダーが行ってくれるため、ユーザー側で専門の管理者を雇わなくてよくなります。しかも、セキュリティ対策までベンダーが実施してくれる仕組みです。SaaSは保守やメンテナンスなどのランニングコストが安いうえ、気軽に使っていけるサービスです。
SaaSのデメリット
柔軟性の低さ
ソフトウェアを自社開発する場合と違い、SaaSはすでに提供されているサービスを使います。当然、カスタマイズできる領域が狭く、柔軟性は低くなってしまいます。自社の業務に合わないSaaSを選んでしまうと、かえって効率が悪くなってしまうリスクもゼロではありません。
リサーチがたいへん
SaaS導入にあたっては、数多くのサービスから相性のよいものをリサーチする必要があります。その手間が担当者の負担になってしまうこともありえます。また、たとえ不便な部分があったとしても、カスタマイズができない以上は我慢を強いられるのです。
不正アクセスの危険
セキュリティ対策をベンダーに任せるため、SaaSの安全性は可視化されていません。もしも不正アクセスがあったとしても、自社では把握しにくく対応が遅れてしまいます。
これらのデメリットに共通しているのは、ベンダー任せであるがゆえのアンコントローラブルな領域という点です。また、使用しながらリスクやストレスにさらされ続ける可能性があるのも問題です。
PaaS(パース)とは?SaaSとの違いは?
SaaSと同じく、インターネット経由で利用できるサービスにPaaS(Platform as a Service)があります。PaaSはアプリケーションの稼働に必要なプラットフォームをWeb上で提供してもらえます。ベンダーは言語や管理システム、OSなどを揃えてくれるので、自社ではプログラムを用意するだけでかまいません。プログラム実行環境を気にせず、開発作業に集中できるのがメリットです。そのかわり、実行勧業には制限がかかるため、カスタマイズできる領域が狭くなるのはデメリットです。
IaaS(イァース/アイアース)とは?SaaSとの違いは?
インフラ設備を整える手間を省くには「IaaS(Infrastructure as a Service)」が便利です。IaaSとは、インフラ運用を低価格でベンダーに委ねられるサービスです。ベンダーは仮想サーバやファイアウォールなどを用意してくれるので、自社では端末やOSの選定に集中できます。SaaSやIaaSよりも自由度が高く、業務内容に合ったハードを揃えやすいのがメリットです。また、運用しながら必要に応じてカスタマイズを加えていくことも可能です。ただし、OSやネットワークの知識、スキルがなければ長期運用が難しいと言えるでしょう。また、セキュリティ対策も自社の責任で実施する必要があります。
SaaSのサービス:G Suite
Google提供のサービス
代表的なSaaSのサービスが「G Suite」です。Google提供のグループウェアサービスとして知られており、GmailやGoogleカレンダーなどが有名です。また、チャットやビデオ会議ができる機能も備わっており、ビジネスシーンで幅広い利用ができます。支店との定例会議、リモートワーカーとの打ち合わせなどを柔軟にこなせるサービスだと言えるでしょう。さらに、G SuiteはGoogleの専門チームによって管理されています。SaaSでは不安要素のひとつだったセキュリティ対策もしっかりしており、安心して継続利用ができます。
全部で3種類のプランが用意されている
G Suiteは企業向けに「Basic」「Business」「Enterprise」といった3種類のプランが用意されているのが特徴です。最も月額料金が安いのはBasic、高いのはEnterpriseです。EnterpriseになるとGoogleドライブの容量が無制限になるなどのメリットを得られます。全種類とも無料版がリリースされているので、まずは試してから自社に合うプランを選ぶのもいいでしょう。
SaaSのサービス:Dropbox
操作性の高さが特徴
オンラインストレージサービスとして多くのネットユーザーから利用されているのが「Dropbox」です。Dropboxは数多くのストレージサービスのなかでも、特に操作性が簡単です。ファイル形式やサイズに関係なくデータを保管できるので、ビジネスシーンに最適と言えます。また、スマホやタブレットからでも編集ができ、外出先や移動時間でも仕事をこなせます。
ビジネス版も検討しよう
Dropboxは無料でも使用可能のサービスです。一方で、有料のビジネス版もリリースされています。プランによって月額使用料は変わり、そのぶん利用ユーザーの数が増えるシステムです。個人用と複数人で使うビジネス版を切り替えられるようにしておくのもひとつの方法です。なお、ビジネス版にはボリュームディスカウントも設けられており、大きな組織での運用にも向いています。
そのほか、Dropboxはバックアップ機能も充実しています。サービス内に保存されたデータは自動的にクラウドでも残されるので、万が一の事態があっても消失しません。ビジネス版になると、削除したデータも120日以内なら復元可能です。端末が故障するなどのトラブルがあってもすぐに作業をやり直せます。バックアップの設備に大金を投じる必要もありません。こうした安全性の高さから、多くの企業がDropboxを導入しています。
SaaSのサービス:Evernote
ビジネスシーンでの用途がいろいろ
オンラインメモツールとして浸透しているSaaSが「Evernote」です。Evernoteが人気になったのは、デバイスに関係なくすぐにアイデアをメモしやすいサービスだったからです。そのため、メモとして用いるほか、空き時間を使って資料をチェックするなどの使い方が広まりました。また、タスク管理に使用している人も少なくありません。抱えているタスクをEvernoteに記しておき、片付いたらすぐに削除していく方式です。手軽に画面を開けるので、終わったタスクが放置されたままになるミスを防げます。
有料プランで使い方が広がる
Evernoteには有料プランも用意されています。そちらでは複数人で作業をシェアしたり、オフライン編集をしたりすることが可能です。場所を問わずにメモを管理できるため、作業効率は大幅に向上します。
SaaSの種類:Horizontal SaaS
マーケティングや人事の分野でもSaaSは役立ちます。「Horizontal SaaS」は、業界やジャンルに関係なく利用できるSaaSです。ある機能に特化しているのがポイントで、財務・会計や人事・給与に関するシステムを備えています。具体的には「Workday」「Github」などはHorizontal SaaSに該当します。Horizontal SaaSの種類は細分化しているものの、それぞれの領域でマーケティングの勝者というべき存在が際立っているのが特徴です。そのため、Horizontal SaaSを選ぶ際には、目的に合わせて十分な機能を備えた種類を絞り込みましょう。
SaaSの種類:Vertical SaaS
特定の業界を狙ったサービス
Horizon SaaSが業種を問わない機能を備えているのに対して「Vertical SaaS」は特定の業界を狙って開発されたサービスです。小売業から飲食、製造業までさまざまな分野のVertical SaaSが生み出されてきました。そのため「業界特化型SaaS」という別称でも呼ばれています。Vertical SaaSは機能が横断的で、1つの部門でしか使えないケースも珍しくありません。なお、日本国内ではHorizon SaaSが主流であり、Vertical SaaSはまだ少数派です。
Vertical SaaSの例
保育業界に特化した「コドモン」はVertical SaaSの一種です。登降園管理や日報作成のほか、保護者とのコミュニケーションツールとしても用いられています。コドモンは保護者向けのアプリも備えており、たとえば預けている子どもの状態をリアルタイムでチェックしたい場合に便利です。
また、食品製造業専用の「KAMINASHI」も高い評価を得てきました。これまで製造業ではノウハウを伝えるため、現場にマニュアルを置くことが一般的でした。しかし、それでは印刷コストもかかるうえに、設置するための時間もかかってしまいます。そこで、KAMINASHIはペーパーレス化を実現するサービスとして登場しました。簡単な操作性によって、ITの知識が少ない層や外国人でも楽に仕事を学べます。
SaaSのサービスを手軽に導入しよう
業務効率化を目指し、何らかの管理システム導入を検討しているのならSaaSについての知識は備えておきましょう。SaaSはコストパフォーマンスや操作性に優れ、いつでもどこでも気軽にタスク管理ができるサービスです。ほかのツールにカスタマイズ性こそ劣るものの、導入の手間がかからないのはメリットです。ITに詳しくない企業でも使いこなしやすいと言えます。
サイダス社が提供するタレントマネジメントシステム「CYDAS(サイダス)」は、「働きがい」を作ることを目的とした人材管理SaaSサービスです。万全なセキュリティ対策のもと、社員の属性だけでなく変動しやすい動的データも可視化、管理できます。タレントマネジメントや人材管理システムの導入でお悩みの際には、お気軽にご相談ください。