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2020.9.8

【事例あり】生産性って具体的に何のこと?計算方法や上げ方について解説

ビジネスシーンでは「生産性が高い・低い」という言い回しをします。ただ、なんとなく使っているだけで具体的な意味を理解していない人も多いでしょう。実際のところ、企業の生産性は継続的な成長を続けるうえで非常に大切な指標です。この記事では、生産性の計算方法や向上の事例、伸ばしたいときに注意するべきポイントを解説します。

そもそも生産性とは?業務効率化と同じ意味?

生産性の計算式

資源の投入量に対し、どれだけの生産物が新たに作り出されたかを比率で示したのが「生産性」です。計算式は「生産物の量(アウトプット)÷投入物の量(インプット)」です。仮に生産性が100%に満たない場合、投入物に見合った生産物が作られていないので「生産性が低い」と評価されやすくなります。生産性はプロジェクトが生み出した効率性を知るために重要な数値だと言えるでしょう。

業務効率化との違い

また、企業活動、個人の仕事について生産性という言葉を使うときは「労働時間に対する成果」を指す場合が大半です。そして、労働者1人あたりの1時間の生産性を「労働者生産性」と呼びます。労働者生産性は、その業務が本当に必然性を伴っているのかを確かめる際に大切な役割を果たします。なお、生産性向上と混同されがちな概念が「業務効率化」です。業務効率化は、あくまで生産性向上のためにできる手段のひとつです。フローや個々人のスキルを見直して、業務効率化が実現した先に生産性向上が見えてくるのです。

労働生産性をアップするメリット

人の確保と採用

まずは「定着率の向上や優秀な人材の採用」につながる点です。労働生産性を高めるには、従業員の置かれている環境を見直さなくてはなりません。長時間労働の原因を排除し、従業員がストレスなく働ける条件を整えていきます。その結果、残業代などのコストが減り、従業員の心身の健康も守られやすくなります。そうなれば、労働環境を理由にして離職する従業員が少なくなるでしょう。そのうえ、企業の社会的評価も高まるので、優秀な人材からの応募が増えます。

人手不足への対策

将来的に訪れる「人手不足への対策」としても、労働生産性の改善は欠かせません。高齢化社会では、新たな働き手となる若者層が減っていく傾向にあります。さらに、上の世代が次々に定年を迎えてしまうと、企業は深刻な人手不足に陥りかねません。前もって、少人数でも大きな成果を出せるような仕組みを作っておく必要があります。生産性が上がれば、従業員の数が減ってもこれまでと同等以上の利益を維持できます。

物的生産性と付加価値生産性の違いとそれぞれの計算方法

#生産物を示す物的生産性

労働生産性は大きく「物的生産性」と「付加価値生産性」の2つに分けられます。まず、物的生産性は生産物を量や販売金額で表す方式です。計算式は「労働者1人の物的生産性÷生産量÷労働者の数」です。そして、1時間あたりの物的生産性は「生産量÷(労働者の数×労働時間)」で求められます。

金額を示す付加価値生産性

一方、粗利益が出た際、金額ベースの付加価値を単位とするのが「付加価値生産性」です。労働者1人あたりの付加価値額は「付加価値÷労働者の数」によって求められます。物的生産性は作り出したモノにまつわる生産性で、付加価値額は生み出された金額にまつわる生産性だと言えます。

意識すべき「成果を増やす」か「コストを下げる」か

2種類の方向性のどちらにするか

生産性を向上させるためには「成果」と「コスト」、2つのアプローチがあります。コストが同じでも成果が上がれば生産性は高まります。一方、成果が同じままコストを下げるのも効果的です。施策を考える際には、自社に適しているのがどちらのアプローチなのかを見極めてからアイデアを出しましょう。

さらに4種類のパターンで生産性向上を

アプローチはさらに細かく4種類に分けられます。1つ目は「投入資源減」で、生産にかかっているコストを減らす方法です。具体例として、資材を安くしたり、人件費を削減したりすることが挙げられます。2つ目は「成果増」です。成果物を増やすことに重点を置いており、コストは変えないまま売上や生産量を伸ばしていきます。3つ目は「規模縮小」です。このパターンでは、成果物の減少もいといません。そのかわり、コストを徹底的に下げるので生産性自体は上がっていきます。そして、4つ目は「規模拡大」です。プロジェクトにかけるコストを増やしながら成果物も増やしていく方式です。

生産性を「見える化」するには?業務の定量化について

計算式によって生産性を「見える化」するには、インプットやアウトプットを定量化しなければなりません。生産量や労働者数が把握しきれていないと、正しい生産性が求められなくなってしまいます。そこで、1つのプロジェクトを進めていくにあたり、かかった時間やコスト、人数などはしっかり記録に残していきましょう。常に可視化できる状態のデータとして残しておけば、生産性を計算する作業がスムーズになります。

生産性が落ちる原因

長時間労働

努力をしているにもかかわらず生産性が低かったり、落ちてしまったりするときには必ず原因があります。「長時間労働」「マルチタスク」「モチベーション」などは代表例だと言えるでしょう。まず、従業員に長時間労働を強いれば一時的に成果が増えることもあります。しかし、長期的に見ると従業員の心身を圧迫し、現場の活気を低下させてしまいます。また、残業代や光熱費などのコストもふくらむので、結局はマイナスに働くのです。

マルチタスク

次に、従業員のマルチタスクは業務効率を下げる要因になりえます。複数の業務でいずれも質が落ちてしまいがちで、従業員の成長にもなかなかつながりません。マルチタスクが前提の業務分担は避けるほうが得策です。

モチベーション低下

そして、従業員のモチベーションが保てないと生産性も落ち込んでいきます。仕事が早いからといって特定の人物に作業を集中させ、何の報いも用意しないとなると、やる気は維持できません。しかも、モチベーションのない人間は周囲に悪影響を及ぼします。生産性向上には従業員のメンタルケアも不可欠なのです。

生産性アップのためにすべきこと

モチベーションアップ

まずは従業員のモチベーションアップに尽力しましょう。当然ながら、業務を実際に行うのは人間です。機械とは違い、精神面のコンディションによって業務効率は左右されます。自身の仕事に対し、正当な評価がなされていないと思えば、モチベーションは大きく下がっていきます。また、成果に見合った報酬も従業員のやる気を引き出す要因です。

業務分担

一部の従業員にだけに作業が集中していると、その人が休んだり転職したりした時点で生産性は大きく下がってしまいます。一方で、公平性だけに気をとられていても「自分の得意分野を割り振ってもらえない」と考える従業員が出てくるでしょう。業務分担を最適化するには従業員の資質、得意分野などを考慮することも大事です。

スキル教育とツール活用

企業によっては、従業員に十分なスキルが伴っていないから生産性が低下していると考えられます。その場合、研修期間や勉強会を設けるなどして従業員のスキルを伸ばさなくてはなりません。また、営業支援や顧客管理といった専用ツールを導入するのも、生産性向上には役立ちます。

生産性アップの事例

コンサルタントの導入

厚生労働省の「生産性向上の事例集」には、企業が生産性を向上させた成功例が載っています。たとえば、飲食の某企業はコンサルタントに依頼して社内の体系を大きく変革していきました。まず、職務評価制度を明確化し、従業員のモチベーションを向上させています。さらに、能力開発の流れや業務マニュアル類を整え、従業員のスキルの底上げを行いました。その結果、作業時間が20%以上も削減され、残業などのコストが低下しています。マニュアルに沿った対応によってクレームが減ったのも成果のひとつです。そのほか、優秀な人材の定着にもつながっています。

勤怠管理システム

某情報サービス業者では、日報作成と出退勤管理が重複して報告業務に支障をきたしていました。無駄な作業によって時間外労働も増えており、現状を打開するべく勤怠管理システムの導入へと踏み切ったのでした。その結果、日報と出退勤を個別に管理しやすい環境が整います。報告作業に要していた時間が月平均6時間削減されたのでした。さらに、リーダーが部下の残業状況を把握しやすくなったのも大きな成果です。

生産性アップを応援する助成金

IT導入補助金

企業が生産性アップを果たすため、国や地方公共団体が補助金・助成金を用意しています。条件が合う制度については積極的に申請してみましょう。まず、サービス等生産性向上IT導入支援事業の一環として「IT導入補助金」が設置されています。中小企業や小規模事業者を対象として、ITによる業務改善を応援するお金です。システムによって課題を解決したいにもかかわらず、十分な資金のない企業におすすめです。

業務改善助成金

次に、中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金の一種として「業務改善助成金」も設けられています。生産性を向上させるにはオフィスを改造するなど、大幅な設備投資が必要なときもあります。その結果として、事業場内の最低賃金を決められた額以上に引き上げたとき、コストの一部をまかなってくれる制度です。

人材開発支援助成金

そして「人材開発支援助成金」も申請を検討したいところです。生産性を高めることと社員教育には関係があり、時には研修やセミナー、職業訓練などに投資をしなくてはなりません。ただ、人材開発は短期間で成果を残せるプロジェクトではないので、一時的に企業の経営状況に打撃を与える場合がありえます。人材開発支援助成金は、企業の支出を補填し、大がかりな人材開発のハードルを下げてくれるシステムだと言えます。

GDP(国内総生産)と企業の生産性は違う?

国内で生み出された付加価値がGDP

生産性は「GDP(国内総生産)」という言葉に似ています。そのため、生産性とGDPを一緒の意味だと解釈している人もいるでしょう。たしかに、厳密に定義すればGDPも生産性の一種です。一定期間内に国内で生み出された付加価値を指数で表したものがGDPだからです。労働者1人あたりのGDPは「GDP÷国の人口」によって算出されます。GDPは国の景気を調査したり、他国と経済状況を比較したりするときに重要視されます。また、国が実施した経済政策の結果をたしかめる際にも用いられるデータです。

ビジネスシーンの生産性とは何を指す?

一方、ビジネスシーンでよく使われる「生産性」とは、労働生産性を指しているケースが大半です。「生産性が落ちている」などと表現するとき、その言葉が指しているのは企業の状態であってGDPではありません。すなわち、GDPが低下している時期でも企業の労働生産性が高くなることはありますし、その逆もまた然りです。もちろん、労働生産性の積み重ねがGDPに表れるので、両者に相関性がないわけではありません。ただ、企業が業務効率化やITツールを導入する際、意識するべきはあくまでも自社の労働生産性です。

日本の労働生産性

世界的に見て高くない日本のGDP

2018年における日本の労働生産性は主要7カ国で最下位でした。また、日本人1人あたりのGDPは世界26位と、先進国の中では決して上位と言えない結果でした。日本の労働生産性の低さは長年の課題です。しかも、将来的には労働人口が減って、ますます生産性が落ちていく可能性すらあります。このままGDPが低いと、日本は国際社会で競争力を保てません。「安価で質の高いサービス」を生み出しにくくなり、市場で劣勢にまわってしまうでしょう。

国際競争力を取り戻すために

日本の労働生産性が低い理由として「顧客満足度にこだわりすぎている」点が挙げられます。日本企業の多くは顧客視点に立ち、質の高いサービスを提供しようとしています。しかし、そのことで従業員の労働時間は増え、コストが高くなっているのです。また、従業員のモチベーション低下も無視できません。高齢化社会で労働人口が減ったとしても、日本企業が生き残っていくには少人数で利益を出していく仕組みが不可欠です。生産性に目を向け、少数精鋭の組織づくりを進めていくことが国際競争力を取り戻すことにもつながります。

生産性をアップしてこの先ずっと成長できる企業に

日本企業の労働生産性向上は国家の課題でもあります。そのため、企業の生産性に関する取り組みには助成金などのサポートが設けられてきました。人材開発やITツール導入の資金に悩んでいる企業は、賢く助成金を利用しましょう。そのうえで、高齢化社会による人手不足に備え、少人数でも企業が成長し続けられる仕組みを作ることが大事です。

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