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2020.7.31

「信頼関係は情報の透明性から生まれる」Slack社から学ぶコミュニケーションのヒント

全世界の同時接続ユーザー数は1250万人を超え、次世代のコミュニケーションツールとして確固たる地位にあるSlack。中でも日本のビジネスシーンにおける台頭は目覚ましく、国内の日間アクティブユーザーは100万人以上、現在では米国に次ぐ世界第2位の市場規模となっています。特に、2020年2月以降は新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークの広がりから、オンラインでの業務進行に欠かせないツールとして導入する企業も増え、その勢いはますます加速しています。
実は、Slack社は全ての従業員に一つずつデスクを割り当てるなど、オンラインでのコミュニケーションを活用しつつ、リアルのコミュニケーションに対しても重きを置く企業姿勢を貫いてきました。2020年7月現在、いまだ新型コロナウイルスの感染症収束の見通しは立たない中、Slack社はどのように自社のカルチャーやコミュニケーションを考えていくのでしょうか。Slack Japan 日本法人代表の佐々木聖治さんにお話を伺いました。

佐々木聖治ささき せいじ

Slack Japan株式会社日本法人代表。2018 年 2 月より Slack Japan 株式会社のカントリーマネジャーに就任し、日本の事業責任者および代表として Slack Technologies Inc.の地域事業統括及び日本での拡大展開を指揮する。Slack 入社以前は、米 SuccessFactors Inc.の日本法人社長を経て、約5年間にわたり SAP Japan 株式会社にて、人事人財ソリューション事業統括本部長として SAP SuccessFactors ビジネスの日本 市場における急成長を牽引した。また、米セールスフォース・ドット・コムの日本法人にて、エンタープライズビジネス部門の戦略アカウントマネジャーとして営業の経験も有する。ワシントン大学にて国際経営学の学士号を取得。

Slackのミッション「皆さんのビジネスライフをよりシンプルに より快適に より有意義に」

佐々木:ビジネスシーンでのコミュニケーションは様々な変遷を辿ってきていますよね。
元々は会議室での会話、それがファックスに変わり、電話になり、メールが登場して今に至るわけですが、我々は、その根本的なコミュニケーションのあり方をSlackに置き換えることで、みなさんの「よりシンプルで より快適で より有意義な」ビジネスライフを実現できると考えています。

佐々木:Slackでは、各チャンネルにビジネス上のあらゆるテーマやカテゴリー、プロジェクト、セグメントが割り当てられ、集約されています。チャンネルベースでのコミュニケーションが様々なアプリケーションと繋がることで、ただのチャットツールではなくコミュニケーションのプラットフォームとして機能するところが、Slackとメールの全く異なる点でしょうか。
企業様のニーズに合わせて柔軟なカスタマイズができること、国際規格に則ったセキュリティレベルの準拠など、あらゆる企業規模に対応できる点もSlackが選ばれている理由だと思います。

2200以上の商用アプリと連携可能

佐々木:日本にもSlackのデータセンターがありますので、日本で安全にお客様のデータをお預かりすることができます。
これは金融業界や政府・官公庁といった高いセキュリティレベルを求めるお客様のニーズにも十分対応しています。

チャンネルベースで繋がる共創・協働のプラットフォーム

佐々木:社内での部署を超えたやりとりはもちろん、取引先企業のゲストユーザーさんや業務委託のパートナーさんも含めた横断的なコミュニケーションがSlack上で完結します。その柔軟なスケーラビリティーは、Slackの大きな特徴ですね。全社で利活用できる資産データが生み出され集約されていくメッセージプラットフォームとして、Slack以上のサービスは他にないんじゃないかなと思っています。

日本は世界第二位の市場

-日本の市場が広がったのはなぜでしょうか?

佐々木:英語版しかなかったころから使い始めていただいた日本企業の方も実は多く、2017年11月の日本語版ローンチから徐々に広まっていきました。
使ってみると分かる直感的なUIやかゆいところに手が届くカスタマイズ性、絵文字にも表されるちょっとした遊び心等が、細かいところまで気を配る日本のお客様の嗜好にマッチしていたのかなと思います。

佐々木:こちらが、導入いただいている日本企業様の一部です。
IT企業だけでなく、出版業や製造業、大学等の教育機関に至るまで、様々な業種の方にSlackが使われています。
大学のように、将来のビジネスを支えるタレントさんに使っていただけているのは心強いですね。企業さんがSlackを導入されるときに「元々大学でSlackを使っていた新卒の方が積極的に使いこなしてくれた」なんていう声を聞くこともあります。

僕自身Slack社に入る前は、メールが毎日300通来るような会社にいたんです。Slack社に入社した当初は各チャンネルのコミュニケーションに全て追いついていかなきゃという感覚がありましたが、情報にプライオリティをつけて取捨選択できるようになってからは、スピーディーに全ての情報が共有されていく今の環境から離れられないなと感じています。

オンラインならではのスピード感

-新型コロナウイルス感染症によって、大きく変化したことはありますか?

佐々木:Slack社では、年に1回、大規模なキックオフイベントがアメリカで開催され、世界中から人が集まるんですが、今年は新型コロナウイルスの影響で中止になってしまいました。しかし、その翌週には代替イベントとして、オンラインでのセミナー・セッションを開催することができ、どんな状況下でも工夫次第でやれることはあることを実感しましたね。

Slack Japanとしても、特に2020年の3月以降はオンラインでのイベントに力を入れています。先日は、ご登録が3000人、実際に視聴していただいたのが2000人を超える大規模なオンラインカンファレンス『Slack Workstyle Innovation Day Online』を開催しました。この規模のイベントをリアルでやるとなると、会場を手配する段階でつまづいてしまうでしょうし、今の環境を最大限に乗りこなした結果かなと思います。

Slack Workstyle Innovation Day Onlineの様子

佐々木:問い合わせも増えているので、ウェビナー形式で導入企業の事例紹介をする『Why Slack?』というイベントや使い方のオンラインセミナーを開催しつつ、Slackのワークスペースにお客様を招待してリードジェネレーションから商談に繋げていく流れも、オンラインならではのスピード感で実施できています。
実際、オンラインではありますが、営業メンバーがお客様にお会いする数は、コロナ前よりも圧倒的に増えたのではないでしょうか。

新しいオフィスのあり方を考えるフェーズへ

-Slack社では、以前からオフィスにそれぞれの固定席を設けるなど、リアルのコミュニケーションを重視していると伺いました。

佐々木:Slack社には、プライベートの時間を大事にするために、オフィスに来てきっちり仕事をしたら早めに家に帰る「Work Hard and Go Home」のモットーがあります。ですから、全世界のSlackオフィスは、従業員に対して同じ広さのスペースを確保したりお互いの顔が見えるように席の配置が工夫されていたりと、顔を突き合わせた濃密なコミュニケーションに最適化された設計になっているんです。

コラボレーションが生まれるハブとしての東京オフィス

佐々木:とはいえ、今はそうも言ってられないですよね。
Slack社では、アメリカでの感染拡大が始まった3月頭から全オフィスを封鎖し、現在もグローバルの全社員2000人以上がリモートワークを実施している状況です。
リモートワーク移行後もSlack上で問題なくコミュニケーションが取れてビジネスが進み、お客様対応のスピードが上がっていることもあって、この数ヶ月でSlackというツール自体がまさにSlack本社であるという感覚が浸透しつつあります。

そうした中で、今後のオフィスのあり方についてはまさに検討しているところで。
元々は、8月末までリモートワークを継続して9月からは原則出社を考えていたんですが、9月以降も従業員の意思に基づいてリモートワークを継続することもできるし、オフィスでの勤務を希望すればそれも可能という柔軟な体勢を考えています。

そうなった時、オフィスの役割はどこにあると考えますか?

佐々木:リモートワークが始まった2月末から7月現在までの間に、20人以上がSlack Japanに新しくジョインしているんですが、Zoomで集まるだけだと会社の雰囲気を肌感覚として味わうことができなくて寂しいよね、という声は出てきていますね。
オフィスに出社できる状態になったら、ディスカッションやチームビルディング、その他クリエイティブな作業にオフィスを使えるよう、レイアウトに手を加えたりしつつ、有効な活用方法を考えていきたいですね。また、家では仕事がやりづらいというメンバーもいるので、そうした声に配慮した集中ルーム等も検討しています。

信頼関係は情報の透明性から生まれる

佐々木:リモートワークでは、それぞれ異なった環境下で仕事を行っているので、当然オフィスに集まって仕事をしていた時と同じように進めることは難しくなります。だからこそ、ルールで縛り付けるのではなく、お互いを信頼した上で、それぞれの時間やスペースの使い方を許容し合う姿勢が大事になってくるのではないでしょうか。そうすることで、より正しい発想やより効率の良い作業に繋がっていくと思います。
お互いの顔が見えてない中で仕事をしているときに頼りになるのは、リアルタイムで正しい情報が共有されていること、いわば情報の透明性です。そこはまさしくSlackが得意としているところですね。

2月以降に入社し即リモートワークを始めたメンバーとのコミュニケーションで、不自由を感じたことはなかったんでしょうか?

佐々木:ないと言ったら嘘になると思います。
信頼関係はお互いの理解の上にありますから、顔を合わせたこともない相手と最初から齟齬なくコミュニケーションすることはできません。信頼関係を築く近道はなく、日々ZoomやSlackで交わすコミュニケーションの質と量を高めていくしかないと思っています。

ただ、新しく入社するメンバーとのコミュニケーションに限っていうなら、一番大事なのはオンボーディングでしょうか。リモートであってもきちんとしたプログラムがあってe-Learningできること、メンターからのフォローや1on1の時間があることは、相互理解と心理的安全性に直接繋がってくると思います。

donutというSlackの連携アプリをご存知ですか?
社内の数人が部署を超えて自動でマッチングされ、30分くらいの雑談の場をセッティングしてくれるというアプリなんですが、中途で入社された方からは「donutを介してチームの人と早く打ち解けられた気がする」と好評です。他にも、新しい社員を紹介するためのチャンネルや雑談のためのチャンネルを作ったりと、Slack上でカジュアルなコミュニケーションを増やす工夫は意識的に行っていますね。

Slack社の文化をつくるSlackの使い方

-Slack社がどんな風にSlackを活用されているのかはみんな気になるところだと思います。

佐々木:Slack社では、Slackを通じてとにかく様々な情報をオープンにしています。
例えば、Ask me anything、通称AMAという、幹部に何でも質問できるオープンチャンネルがあるんですね。このチャンネルには、質問に対して48時間以内に担当の幹部が返信しなければならないというルールがあってなかなかハードなんですが、Slack社のオープンでフラットなカルチャーを象徴しているかなと思います。

それ以外にも、幹部から全社員に向けた思いやりのメッセージが発信されるチャンネルや、グローバルでどんな企業様との繋がりがあるかを一覧できるチャンネル、新機能のリリースが発表されるチャンネル等様々なオープンチャンネルがあって、普段顔を合わせない社員も絵文字でフィードバックを送り合ったりと、積極的な交流の場となっています。

佐々木:文化を作るという意味では、給与に反映される評価だけではなく、日々の感謝や気づきを社員間できちんとフィードバックすることが大切かと思います。Slack Japanには、チームフィードバックjpという「今日Aさんがこんなことしてくれたよ!」といった日々の感謝を、Slack上で報告し合うチャンネルがあります。直接顔を合わせていなくてもみんなの活動状況が透明になって、感謝の気持ちをシェアできることはとてもいいなと感じます。

企業と企業のコミュニケーションハブとしてビジネスを加速させる

佐々木:今私たちが進めていきたいと考えているのが、組織の内外を問わず一緒に仕事を進めるすべての人が Slack のメリットを活用するための方法、Slack コネクトです。
Slack コネクトによって、社外パートナー、顧客、ベンダーなどとのやりとりをSlack上で完結させることが可能になり、コラボレーションを加速させます。

例えば、組織をまたぐ会議の設定は、相手のスケジュールが見えないため、調整が面倒になりがちですが、Slack コネクトによって、各社がSlackに連携しているカレンダーアプリからメンバー全員の予定を参照し、最適な会議時間を導き出すなんてことも可能になります。

リアルで集まれない状況下でも、Slackがハブとなり様々な企業や人を繋げることで、世界に新しいビジネスやサービス、製品が作られていくと思っています。

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