2019.07.26

ストレスチェック義務化にあたり実施方法が知りたい!

ストレスチェック義務化にあたり実施方法が知りたい!

ストレスチェックは法改正により、2015年12月から対象の企業での実施が義務付けられています。しかし、実際のストレスチェックの準備や実施方法が良く分からないという企業担当者もいるでしょう。今回の記事では実施後の対応まで含めて、ストレスチェック全体の流れを解説します。記事を参考にして、正しいストレスチェックシステムを導入しましょう。

そもそもストレスチェックとは?

ストレスチェックは労働安全衛生法の改正に伴い、2015年12月から施行された制度です。その目的としては、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるということがあります。また、会社などで行われた検査結果を集団的に分析して、職場環境の改善につなげる目的もあります。このようなことを事前に行うことで、最終的には労働者がうつ病などの不調になることを未然に防止することを目指しているのです。この制度は、厚生労働省が主体となってつくられたものです。

実際のストレスチェックの方法としては、シートへの記入式で行われます。仕事に関することなどの質問に答えていく方式で、その質問に対して自分がどの程度当てはまるのかを選択していくのです。こうした質問が複数並び、すべてを記入し終わると、その人のストレス度合いが分かるシステムです。なお、一定以上の従業員数がいるなどの条件を満たす企業では、ストレスチェック義務化の決まりがあります。そのため、条件を満たしている企業は必ず実施することが求められます。

ストレスチェックを義務化されている企業と対象が知りたい!

ストレスチェックは一定以上の規模の企業では義務化されています。具体的にストレスチェックを導入しなければいけない条件としては、労働者が常時50人以上いる事業所となっています。このような条件を満たしている事業所は、毎年1回のストレスチェックをすべての労働者に対して実施しなければいけないのです。ただし、例外もあります。それは契約期間が1年未満の労働者は、対象外になるということです。また、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の、4分の3未満の短時間労働者も対象外です。

各企業によって労働者の雇用形態や働き方はさまざまでしょう。しかし、一般的なパターンでいえば、例えば短時間の学生アルバイトなどは上記のストレスチェック対象外となることがあります。逆に正規雇用はもちろん、アルバイトや派遣社員でも正規雇用と労働時間に差異がなければ、ストレスチェックの対象となる点は注意が必要です。また、労働者が常時50人以上の事業所というのは大企業だけではなく、中小企業でも当てはまる可能性があります。そのため、中小企業の経営者や担当者でも関係のないものと考えてはいけません。もしストレスチェック義務化の条件に当てはまりそうなら、しっかりと確認しておきましょう。

ストレスチェック実施のための準備

1.実施方法の決定

ストレスチェックを実施することが決まったら、事前に決めておかなければいけない項目が複数あります。具体的に最初に決めることは、ストレスチェックの対象者です。基本的に労働時間などの条件を満たす労働者はすべて対象者となるので、その人数を把握しておきましょう。次に、日にちや時間などの実践時期も決めなければいけません。ここまで決まったら、どんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのか、また、どんな方法でストレスの高い人を選ぶのかまで考えておく必要があります。この部分は特に大切なので、事前にしっかりと決めておきましょう。

さらに、面接指導の申出は誰にすればよいのか、面接指導そのものはどの医師に依頼して実践するのかもポイントになります。最後に集団分析をどんな方法で行うかも決めなければいけません。このように実施するための準備として、事前に決めることは多くあります。また、実施内容については明文化して、ストレスチェックを行う前に会社内で周知徹底しておく必要があります。どの項目も実践前の準備として重要なので、漏れなく行うようにしてください。これはすべてストレスチェック制度の導入マニュアルとして、厚生労働省でルール化されていることです。

2.担当者の選定

担当者の選定も、ストレスチェックを行う事前準備として必要なことです。具体的には実践者と実施事務従事者と呼ばれる各担当者が必要になります。実践者は法令で定められた産業医を含む医師、保健師、精神保健福祉等の資格者に限定されます。分かりやすくいうなら、医療関係者しか実践者になれないということです。そのため、人事担当者は実践者に選定することはできません。また、社内に産業医がいない場合は、外部に委託することが可能となっています。

次の実施事務従事者というのは、産業医などの実施者の補助を行うことができる人間を指します。この実施事務従事者を企業は指名することが可能です。実施事務事業者の具体的な業務というのは、調査票の回収や実施者との連携などの事務作業が中心です。ストレスチェックの結果は重要な個人情報ともなるため、人選は慎重に行う必要があります。一般的には、会社内の衛生管理者やメンタルヘルス担当者、産業保健スタッフ、人事担当などが指名されることが多くなっています。また社内に適任者がいない場合には、実践者と同じように、外部に実施事務従事者を委任しても良いでしょう。

最後に全体を通しての注意点もあります。それは社員の解雇、昇進、異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある人は、実施者と実施事務従事者のいずれにもなることができないということです。ストレスチェックの各担当者選定には、これらの条件を満たす人を選ぶようにしましょう。

ストレスチェックの実施方法

ストレスチェックがどのような方法で行われるのかを見ていきましょう。ストレスチェックを行うときはまず、質問票を対象者に配布します。これは紙でも良いですし、ウェブなどのデジタルなものでも大丈夫です。質問票に必要な項目は複数あります。一つ目は「ストレス原因に関する質問項目」です。次に「ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目」も必要です。最後に「労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目」も入れておきましょう。もし質問票に入れる項目が分からないなら、厚生労働省がサンプルとして提示している「国が推奨する57項目の質問票」を参考につくることもできます。

また、質問票を作成して参加者の記入が終わったら、実施者か実施事務従事者が回収する決まりになっています。実施時期そのものについては法律によって決まってはいませんが、毎年同じ時期が好ましいでしょう。毎年同じ時期にストレスチェックを行えば、経年変化が把握しやすいからです。さらに、決まった時期に行えば企業文化としても根付き、従業員にとっても分かりやすいという利点もあります。

実施後の対応

1.高ストレス者へのケア

実施後の次のステップとして、ストレスチェックを受けた従業員の中で高ストレスの人がいた場合にはケアを行います。このストレスチェックの結果というのは、実施者から直接本人へ通知されます。つまり、ストレスチェックの結果は企業には知らされません。どうしても企業側が結果を知りたい場合には、結果の通知後に本人の同意を得る必要があります。また、ストレスチェックの結果、あらかじめ設定した基準よりも高ストレスと判断できた従業員には、産業医との面談指導が推奨されています。

その結果、高ストレスと診断された本人から、面談希望の申し出があるかもしれません。このようなときは本人の希望を尊重する形となります。具体的には産業医と面談を行い、適切な指導を受けるのです。このようにして、ストレスチェックを実践しただけで安心するのではなく、その後のケアに力を入れることが重要です。

2.職場環境の改善

職場環境の改善も高ストレス従業員のケアと同じように、実施後のステップとして大事なものです。具体的に職場環境の改善を行う方法としては、集団分析を用いる必要があります。これは原則10人以上の集団を対象に行い、実施者が文字通り職場の集団のさまざまな分析を行います。経営者側ではなくストレスチェックを行った実施者が行うので、客観的な視点で改善点などを見つけやすいでしょう。

もちろん、集団分析が終われば結果は事業者に渡されるので、職場改善に役立てることができます。そのとき実施者は結果を渡すだけではなく、職場改善の具体的なアドバイスもします。もしかしたら経営者側には辛いアドバイスもあるかもしれませんが、職場改善に役立つものと認識し、しっかりとアドバイスに耳を傾けることが大切です。職場環境の改善はそこで働く従業員はもちろん、長期的には企業の利益にもつながるはずです。

3.労働基準監督署への報告と保管

ストレスチェックを行ったあとのフォローとしては、個人や職場環境の改善だけでは終わりません。ストレスチェック実施後は第三者機関に結果を報告し、結果そのものも慎重に保管しておかなければいけないのです。この第三者機関というのは労働基準監督署を指し、企業は実施結果を速やかに報告する義務があります。もしも報告義務を怠った場合には、労働安全衛生法100条の違反と判断され、50万円以下の罰金が科せられるので注意が必要です。

また、ストレスチェックのデータを労働基準監督署に報告するだけではなく、保存の義務もあります。具体的には、ストレスチェックのデータは5年間の保存が義務付けられています。また、保存方法にも注意が必要であり、実施者か実施事務従事者が責任をもって保存するルールになっているのです。さらに、保存中にも第三者に閲覧されないように、鍵やパスワードの管理も必要となってきます。特にデジタル媒体で保存しているときは、ハッキングなどの思わぬトラブルも考えられるために慎重に扱いましょう。最悪の場合は、会社内の不特定多数が結果を閲覧できるなどの問題が起きることも想定されます。そのため、保存方法には厳重な管理が必要です。

結果を解雇の理由にすることは禁止されている!

ストレスチェックを行ったあとに、経営者などの事業者側が気を付けないといけない禁止事項もあります。具体的な禁止事項の内容としては、ストレスチェックの面接指導の結果を理由として、解雇や雇い止めをしてはいけないということです。さらに退職勧奨や配置転換、職位の変更を行うことも禁止されています。企業側は結果を理由とした解雇という直接的な言動はもちろん、退職勧奨などの間接的な行動も禁止されていることになります。これは、従業員が安心してストレスチェックを受けるのに必要なこととして、厳しく取り決められているのです。

また、これだけではなく、他の言動でも従業員に不利益を与えてはいけないという決まりがあります。例えば、従業員が医師による面接指導を受けたいと希望したこと、ストレスチェックを何らかの理由で受けないことなどを理由に、企業側は不利益を与えてはいけないということです。同様に、ストレスチェックの結果を事業者へ提供することに同意しないこと、医師による面接指導の申出を行わないことに対しても、それを理由に不利益を与えることはできません。これらを理由に不利益を与えることを認めてしまうと、適正なストレスチェックは不可能となります。したがって、事業者側もこの規定の意味を良く理解し、しっかりとルールは守るようにしていきましょう。

ストレスチェック義務化を守って健全な働き方を実現!

常時50名以上の従業員がいる事業所は、ストレスチェックの実施が義務づけられています。そのため、条件に当てはまる企業は必ずストレスチェックを実施しなければいけません。従業員50名以上というのは大企業はもちろん、場合によっては中小企業にも当てはまる数字です。多くの企業が他人事ではなく、ストレスチェックを実施する必要があるといえます。また、一見するとストレスチェックは事業者側の負担が大きく、場合によっては躊躇する気持ちがあるかもしれません。しかし、労働者がうつ病などのメンタルヘルス不調にならないように気を付けるのは、雇用主としての義務ともいえます。

また、社会的な責任だけではなく経営的な視点で見ても、従業員の不調のサインを事前に発見し、予防していくことは意味のあることでしょう。うつ病になってしまってからでは従業員本人も会社側も大変かもしれませんが、事前に予防できれば双方にとってプラスになるからです。そして、数字上の利益だけではなく、社員の心身の健康まで守ることは現代の企業に強く求められていることです。ぜひ、ストレスチェックのルールや仕組みをしっかりと理解して、社員の心身の健康を守ることに活かしてみてください。ストレスチェックを有効活用することは、長期的に見れば、どの立場の人たちにも恩恵があるはずです。

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