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2021.2.10

賞与がある会社とない会社があるのはなぜ?賞与の種類や控除も紹介

会社によって賞与があったり、なかったりするのはなぜでしょう。そして、賞与があっても会社によっては支給されたり、されなかったりする場合があります。実は、賞与の種類は1種類ではありません。ここでは、企業には賞与の支払い義務があるのか、また賞与の種類や控除の内容について、具体例を挙げながら詳しく紹介します。

賞与がある会社とない会社があるのはなぜ?ボーナスとは違うの?

賞与とは固定給のほかに支払われる給与で、ボーナスと同じと考えてよいでしょう。企業が賞与を支払わなければいけないかどうかは法律で定められていません。したがって、企業に支払い義務はないのです。つまり、賞与を払うかどうかは企業の判断次第です。企業側にとって、賞与を支給することはメリットにもデメリットにもなります。そのため、企業はそのメリットとデメリットを天秤にかけて支給の有無を決め、ルールとして労働条件に定めています。

賞与を支給する場合、一般的に夏と冬の年2回支給されることが多いでしょう。これがいわゆる、「夏のボーナス」と「冬のボーナス」などと呼ばれるボーナスの時期です。企業によっては、勤続年数を支給基準として定めているところがあります。その場合、勤続年数が基準に満たない場合には賞与が支給されないため、全社員が賞与の支給対象ではないということもあり得るでしょう。企業に賞与があるかどうかは、労働契約または就業規則に記載されています。労働組合がある企業では、労働協約に記載されていることもあるでしょう。

賞与の種類とそれぞれのメリット・デメリット

賞与には種類があり、支給を受ける側にはそれぞれにメリット・デメリットがあります。まず、日本で一般的なのが、毎年2回、夏と冬に支給される通常賞与です。基本給連動型賞与ともいわれます。賞与の額は基本給の数カ月分が支給されることが多いでしょう。通常賞与のメリットは安定して賞与が支払われることです。しかし、支給額が基本給の額に連動しているため年功序列を前提としており、努力をしても賞与の額に反映されないというデメリットもあります。

次に、海外でよく見られる成果報酬型の賞与が業績賞与です。個人の業績に連動して支給額が変動するため、社員のモチベーションにつながります。しかし、業績が悪かったときには賞与の支給額が低くなってしまうというデメリットがあります。また、決算月の前後に支払われるのが決算賞与です。企業の業績が好調なとき、従業員に利益配分として支払われます。これは、個人の努力や所属している部署の業績にかかわらず、企業全体の業績次第で支払われる賞与なので、あてにし過ぎない方が得策でしょう。支給されない可能性があることがデメリットですが、会社の業績に貢献したいというモチベーションにつながるメリットもあります。

賞与の額に影響する「査定」について

賞与の査定とは、賞与の支給額を決める評価のことです。査定がどの程度賞与の支給額に影響するかは会社によって異なりますが、大なり小なり影響すると考えた方がいいでしょう。査定期間や査定項目は会社によって異なります。賞与のある会社では、査定期間や査定項目といった賞与額を決定する基準を就業規則などに明記しているはずなので、確認してみるといいでしょう。査定期間は、たとえば年2回賞与がある会社では1年を2つの期間に分けてそれぞれの賞与の査定期間としています。

しかし、年に2回賞与が支給される会社で6月と12月に賞与が支給されるからといって、査定期間が賞与の支給時期の直前の1~6月、7~12月というわけではありません。一般的には、評価を踏まえた賞与の支給額の計算のため4~9月、10~3月などと、査定期間の終了時期と賞与の支給時期はずれていることが多いでしょう。そして、一般的な査定項目は、勤怠や勤務態度、成績などです。営業職など、数字として成果が表れる場合には実績が強く反映される傾向があります。このように、賞与は勤務評価と深くかかわっています。

従業員側がボーナスを請求できるケース

先述のように、企業にとって賞与の支給は義務ではありませんが、従業員が賞与の支給を請求できるケースがあるでしょう。たとえば、就業規則や労働契約に賞与の支払い額や支払日などが明示されていれば、会社には社員に賞与を支払う義務が生じます。ですから、記載があるにもかかわらず賞与が支払われなかった場合には、従業員は会社に賞与の支払いを請求することができます。ただし、中小企業などでは、業績が悪い時には賞与を支給しないと注意書きされていることがあるので要確認です。

また、就業規則や労働契約に賞与についての記載がない場合でも、長年賞与が支給されており、労使慣行と認識される場合には従業員が会社に支払いを請求できるケースもあります。例を挙げると、賞与について労働条件として記載が無いまま、これまで10年にわたって年2回の賞与が支給されていた場合などは労使慣行と認識される可能性も高いでしょう。ただし、就業規則などに明記されていない場合、数年にわたり賞与が支給されていても、それは会社側からの恩給ととらえられ、従業員が会社に賞与を請求できないこともあります。

賞与の平均支給額

厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査令和元年9月分結果速報等」および「毎月勤労統計調査平成30年2月分結果速報等」によると、賞与の平均支給額は2019年の夏季が38万1520円、2018年の冬季が38万654円でした。賞与の支給額は業種によって差があり、電気・ガス業および情報通信業の賞与は高い傾向があります。一方、飲食サービス業の賞与は低い傾向があります。そして、年齢別にみると、20~59歳までは年齢が上がるにつれ賞与の支給額は高くなり、60歳以上になると年齢が上がるにつれ支給額は低くなる傾向がみられました。

さらに、企業規模も賞与の支給額に影響しており、企業規模が大きくなるほど賞与の支給額が高くなっています。これら業種や年齢、企業規模による賞与の平均支給額の差は大きく、仕事を選ぶ際の大きなポイントなるでしょう。年齢に関しては、日本には年功序列の考え方が根強く残っていることがうかがえます。若くして才能がある人やモチベーションが高く人よりも多くの結果を残せる人にとっては会社への不満につながりかねません。そうした場合は、業績に連動した賞与を取り入れることで、双方の納得がいく給与体制へとつながるでしょう。

賞与から控除されるもの

賞与から控除されるのは、社会保険料と所得税です。社会保険料とは、健康保険料、厚生年金保険料、そして雇用保険料のことです。従業員の年齢が40歳以上65歳未満なら、さらに介護保険料が加わります。また、控除される所得税額は、賞与の金額から社会保険料の合計額を引いた金額に源泉徴収税率を掛けて算出されます。ですから、従業員の口座への振込額は賞与の金額からこれら社会保険料と所得税を引いた金額になるわけです。

ここで注意したいのが、賞与と固定給で健康保険料および厚生年金保険料の計算方法が違う点です。つまり、たとえ賞与が固定給の2倍と規定されていても控除される社会保険料の計算方法が違うため、従業員の口座に振り込まれる金額は、単純に固定給の手取り額を2倍にした額にはなりません。通常は、それよりも低い金額になるでしょう。そして、所得税については、源泉徴収税率は賞与の金額ではなく前月の給与の金額で決まるという点に気を付けて計算する必要があります。貯蓄やローンの返済など、賞与を見込んでの計画を立てる際にはこれらの違いも視野に入れておきましょう。

「賞与あり・なし」どっちの会社がいいの?

従業員としては、もちろん賞与があった方がうれしいでしょう。しかし、賞与を支給することを前提に、基本給を抑えている企業もあるため要注意です。こうした企業は賞与を基本給の何倍と規定していることが多いのですが、基本給が低ければ当然賞与の金額も低くなります。また、基本給をベースに賞与を支給する会社の特徴として、年功序列の考え方が強い傾向があります。人によっては合わないと感じてしまう恐れがあるでしょう。

さらに、先述のように賞与にはいろいろな種類があり、業績賞与や決算賞与など、必ずしも支給されるとは限らない賞与もあります。業種によっては業績に大きな波があり、賞与が支給された年と、されなかった年で、従業員の年収に大きな差が出てしまうことがあるでしょう。一方、賞与が支給されない会社であっても、個人の業績が給与に反映されやすい企業もあります。そうした企業では、従業員のモチベーションが上がりやすく、人によっては大きく稼ぐことができるかもしれません。賞与の種類の違いや、賞与のあり・なしなど、自分に合った企業を選ぶことが重要です。

企業からすると賞与は出した方がいいの?

反対に、企業側からすると、従業員に賞与を支給すべきかどうかは悩ましい問題です。企業にとって賞与を支給するメリットは、従業員のモチベーションアップを図れることでしょう。しかし、中小企業などは、従業員に支払う金額が増えるのではと不安に感じるかもしれません。そんなときは、業績に連動して支給するのもひとつの手段です。そうすれば、業績が悪化してしまった際には従業員に賞与を支払わなくてもいいので、急に財政が悪化するのを防ぐことができるかもしれません。

一方、賞与を支給するデメリットとしては、人件費がかさむ以外にも退職者が固まる危険性があるということです。従業員の立場になって考えれば、賞与がもらえるのにその前に辞める人は少ないでしょう。結果として、賞与を支給した後に退職者が固まることになります。さらに、業績悪化でやむを得ず賞与を支給しなかった場合、従業員のモチベーションを下げてしまうということも起こり得ます。企業はこれらのことを考慮して、賞与を支給するのかしないのかだけでなく、支給方法についても工夫する必要があるのかもしれません。

賞与はまとまった大きなお金!種類や計算方法を理解しよう

企業側の人事・経理担当者にとっても、従業員にとっても、賞与は大きなお金です。賞与にはいくつかの種類があり、計算方法は通常の給与とは異なります。ですから、双方にとって誤解が生じないように、しっかりと理解しておくことが大切です。また、これを機会に基本給や諸手当などの給与の構成と、社会保険や所得税などについて理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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