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2021.2.22

退職証明書とは?これを読めば退職証明書の意味や扱いの注意点がわかる

退職した際、勤務していた会社に依頼して発行してもらう「退職証明書」。転職の際に提出を求められることもある重要な書類のひとつですが、必ず交付される書類ではないため詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、退職証明書の基礎知識をはじめ、使い方や発行する際のポイント、書き方の注意点などを紹介します。

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退職証明書とは

退職証明書とは、その名の通り「勤務先を退職した事実を証明する書類」のことです。退職者全員に必ず発行されるものではなく、希望に応じて勤務先の会社が発行します。

なぜ退職証明書が必要になるのかというと、転職する際などに、複数の会社に在籍していないことを証明するためです。会社の中には、情報漏洩などを防ぐ目的で、複数の会社への勤務を認めていないところも珍しくありません。このため、転職時に新しい勤務先から退職証明書の提出を求められることがあるのです。

この場合、基本的には内定が出る前に退職証明書を提出しなければなりません。転職先の会社が、転職者の提出した履歴書や職務経歴書の内容が正しいかどうか、退職証明書と照らし合わせて確認するためです。履歴書や職務経歴書は転職者本人が記入するため、言ってしまえばいくらでも嘘が書けてしまいます。これでは本当に必要な人材を採用できなくなるため、転職先の会社はトラブルを避けようと事前に退職証明書を提出させ、正確な情報を得たうえで内定を出すかどうか決めるのです。

退職証明書と離職票・在職証明書の違い

退職時に発行される書類は複数あり、その中でも離職票と在職証明書は退職証明書と間違えられやすいので注意が必要です。次は、この3種類の退職関連書類について、どこが異なるのかを見ていきましょう。

離職票

離職票は、ハローワークで失業保険の受給手続きを行う際に必要となる書類です。退職者が希望した場合、または退職者が59歳以上の場合、会社は退職日から数えて10日以内に、ハローワークへ「離職証明書」などを提出しなければなりません。これらの書類をハローワークへ提出してから3営業日ほど経つと、交付書類の一部として離職票が発行され、郵送で会社に届きます。その後、会社は届いた離職票を退職者へ交付するというのが一連の流れです。

退職証明書と離職票の主な違いは、「発行元」です。退職者が申し出て会社が発行する退職証明書に対し、離職票は退職時に国が公的機関を通して発行することを義務付けられた公文書になります。ただし、退職者が退職後すぐに転職先で働き始める場合、失業保険は受給できないので離職票の発行は必要ありません。

関連記事:離職票とは?退職時に人事が抑えておきたい手続き

在職証明書

在職証明書とは、退職者がその会社に間違いなく在籍している、または在籍していたことを証明する書類です。退職したことを示す退職証明書とほぼ同じ内容を証明しているため、実際のところは名称が違うだけでほとんど同じように扱われています。違いを挙げるとすれば、法的に発行が義務付けられているかどうかという点になるでしょう。退職証明書は、退職者が希望したときに必ず発行しなければならないと労働基準法により定められているため、発行しなければ会社は法律に違反してしまいます。一方、在職証明書にはこのような法律がないため、会社が発行に応じなくても特に問題はありません。

退職証明書の記載事項は、勤務した期間や業務の内容、地位や賃金、退職理由などが一般的です。在職証明書にもこれとほぼ同じ内容が記載されるケースが多く、決まったフォーマットがあるわけではないので、退職証明書を在職証明書として利用することもできます。 

在籍証明書は主に海外での労働ビザ申請、保育園や保育所、児童クラブ入所の申し込み、転職や採用試験に応募する際に必要になる場合が多いです。基本的にインターネットに載っているテンプレートを使うことに問題はありませんが、提出先によって、必要な記載事項があったり、英文での提出が求められたりとさまざまなので、二度手間にならないよう書類作成を進める前に注意事項を確認することをお勧めします。 

在籍証明書作成時の注意事項やテンプレートが気になる方はこちら 

退職証明書の使い方

退職証明書は退職したことを示す書類であり、法律で発行が義務付けられているものだとわかりました。では、実際にはどのようなシーンで利用されているのでしょうか。次は、退職証明書が必要になる状況や具体的な使い方について、代表的な例を3つ紹介します。

国民健康保険・国民年金に加入するとき

退職証明書が必要になる状況の1つ目は、退職者が「国民健康保険・国民年金に加入するとき」です。通常、これらの保険・年金に新たに加入するときは離職票を提出しますが、離職票は退職してから手元に届くまで時間がかかります。会社がハローワークに申請した後、発行された離職票が会社宛てに郵送され、そこからやっと退職者に交付されるため、退職日から1~2週間ほどかかることが多いのです。この間、国民健康保険や国民年金に加入したくても、離職票がないと手続きができません。それでは退職者が困るので、元の勤務先からすぐに発行してもらえる退職証明書を離職票の代わりとして、加入手続きに用いることが認められているのです。

退職証明書は、退職者が希望したとき遅滞なく発行しなければならないと労働基準法で定められています。離職票とは違い、発行に数週間もかかることはまずありません。いざというときは元の勤務先に問い合わせ、すぐに発行してもらい、希望してから何週間ももらえない、なんていうことがないようにしましょう。 

失業保険の手続きをするとき

退職証明書は、「失業保険の手続きをするとき」にも必要になります。失業保険は、退職した場合に次の就職先が決まるまで、国から一定の給付金を受け取れる制度です。各地域のハローワークが実務を担当しており、退職後すぐに転職しない人はハローワークへ行って失業保険の受給手続きを行います。このとき、必ず必要になる書類のひとつが離職票です。ただ、離職票は退職者の手元に届くまでに時間がかかるため、手続きまでに準備できないことも珍しくありません。この場合も、国民健康保険・国民年金のケースと同様に、離職票の代わりに退職証明書を利用できることになっています。 

失業保険は、手続きが済み次第給付へのプロセスがスタートするため、1日でも早く行動したいところです。このため、希望すればすぐに発行してもらえる退職証明書は大いに役立ちます。離職票がなかなか届かない場合や急ぎで失業保険を受給することが必要な場合は、元の勤務先に退職証明書を発行してもらい、手続きを先に進めましょう。 

関連記事:失業保険のメリットとデメリットを徹底解説!

転職先の会社に提出を求められたとき

退職証明書が必要になる3つ目の状況は、「転職先から提出を求められたとき」です。転職先の会社は、転職者が提出した履歴書や職務経歴書などの内容を参考に、自社が求めるスキルを持つ人材かどうか判断して内定を出します。しかし、肝心の履歴書などに虚偽の記載があるとどうなるでしょうか。経験したことのない業務や地位、実際とは異なる退職理由などが記載されていても、転職先の会社には見抜くことができません。虚偽の記載を信じて内定を出すと、いざ働き始めてから「話が違う」と大きなトラブルになるだけでなく、採用にかけた時間やコストまで無駄になってしまいます。

このような事態を避けるために、転職先の会社が転職者に退職証明書の提出を求めるケースが多いのです。退職証明書は転職者ではなく元の勤務先が発行するため、業務や職位、退職理由など記載される内容への信頼度は十分にあります。転職先の会社は、それをチェックして転職者の正確な情報を把握し、内定の判断に役立てるのです。なお、退職証明書の発行には期限があり、退職してから2年以内に申請しなければなりません。それ以上経つと基本的に申請しても受け付けてもらえないため、退職後2年以上経ってから転職活動を行う場合は要注意です。転職先の会社から退職証明書を求められたら、「2年経過しているため発行が難しい」と説明しましょう。

退職証明書発行の際のポイント

退職証明書を発行する際は、以下の3つのポイントに注意が必要です。 

1.申請期間

1つ目は「申請期間」で、退職者が退職証明書の発行を依頼できるのは、元の勤務先を退職してから2年以内となっています。これは労働基準法に定められた内容であり、2年以上経つと元の勤務先に退職証明書を発行する義務はありません。退職証明書を発行できない場合、転職先の会社と話し合って提出を免除してもらったり、代わりに離職票を提出したりすることも多いです。 

2. 発行回数

2つ目は、「発行回数」です。退職証明書の発行回数について、法律では特に定められていません。このため、紛失した場合は退職から2年以内であれば何度も発行を依頼することができます。勤務先の会社には退職証明書を依頼されたら応じる義務があり、発行を拒否することはできません。仮に拒否すれば、労働基準法違反に問われ30万円以下の罰金が科せられる恐れもあるため注意しましょう。 

3. 発行のタイミング  

3つ目は「発行のタイミング」です。退職証明書は、退職者の求めに応じて会社が発行するものです。発行を請求された場合、退職証明書を発行する義務がありますが、退職と同時に発行しなければならないわけではありません。しかし、労働基準法により、退職証明書の発行は「退職の場合において」と定められていることにより、退職する前にあらかじめ発行することはできません。退職予定者から請求されたとしても、実際に退職するまでは応じないようにしましょう。 

「退職証明書はいつもらえるか」など、問い合わせが来る可能性があるため、担当者は依頼に応じて発行する義務があることも覚えておきましょう。 

退職証明書の記入における注意点

退職証明書を作成する際、記載内容は基本的に退職者の希望に応じる必要があります。退職者が希望しない内容については、たとえ必須項目とされるものでも記載してはいけません。一般的な記載内容は、勤務した期間や業務の種類、会社での地位や賃金、退職理由などが挙げられます。作成するときはこれらの記載事項のうちどの項目をどのように記載するか、詳しく退職者に確認しましょう。

また、退職証明書の用途について、元の勤務先が口をはさむ権利もありません。用途はあくまでも退職者が決めるものであり、用途を尋ねたうえで発行を拒否することも認められないので注意しましょう。 

さらに、退職理由の記載については特に配慮が必要です。デリケートな部分であり、書き方によっては退職者が転職先でトラブルになる可能性もあります。退職者が退職理由の記載を望んでいなければ問題ありませんが、記載を希望する場合や転職先の会社が記載を望んでいる場合は、退職者と元の勤務先との間で事実確認などをしておいたほうが良いでしょう。 

退職証明書の重要性を理解して作成しよう

退職証明書は、離職票の代用として活用できたり、転職時に提出したりすることがある重要な書類です。退職者から発行を依頼された場合、退職後2年以内であれば企業は必ず応じる義務もあるので、迅速に対応しなければなりません。その際は、今回紹介した発行や記入時のポイントに注意し、スムーズでミスのない退職証明書の作成を目指しましょう。

証明書発行業務をサポートできる人事管理システム

人事管理システムは、社員の個人情報から、配属先や雇用形態、給料まで、様々な情報を集約・管理できるシステムです。マイナンバー制度が実施されて以降に需要が高まり、大企業だけでなく、中小企業でも導入するところは増えてきています。 

人事管理システムには、証明書発行など、人事への依頼を申請する「人事申請」の機能を有したシステムもあります。 申請フローを整備することで、証明書発行までにかかる時間を短縮することができます。 

また、他のシステムとの連携により、あらゆる情報を集約できるシステムを選ぶことで、効率的に、人材データの活用もできます。人事管理システムは、人事業務に便利なツールだと言えるでしょう。 

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履歴書などファイルとして保有しているデータを個人に紐づけてアップロードできたり、項目もカスタマイズして、あらゆる情報をワンプラットフォームで集約できます。 

また、紙やエクセルで運用している評価シートをテンプレートとしてシステムに登録し、承認フローに沿って入力を促す仕組みを整えることで業務効率化も図れます。 

更なるデータ活用の面では、勤怠や給与のシステムとデータ連携することで、組織の状態をダッシュボードとして俯瞰的に見ることができ、人事や経営の意思決定にも役立てられます。 

組織課題に合わせたご利用ができますので、まずはお気軽にご相談ください。 

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