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2020.10.14

【完全版】請負契約とは?委任契約との違いやメリット・デメリットを紹介!

働き方が多様化するなか、正社員やパート社員とは異なり、フリーランスのように企業に所属せず委託を受けて仕事をしている人も少なくありません。しかし、同じ委託で仕事をする場合でも、形態はさまざまでその違いを見分けるのは難しいものです。そこでこの記事では、請負契約をはじめとした契約形態の基礎知識をはじめとして、業務を依頼するときに必要な契約書作成に役立つポイントについても詳しく紹介します。

請負契約とは?

企業が外部に業務を依頼する方法のひとつに「請負契約」があり、民法の632条で「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生する」と規定されています。つまり、請負契約は企業がアウトソーシングなどで外部の人間に仕事を依頼し、請負人は仕事を完成させることを約束する形式の契約です。もちろん、企業は請負人が行った仕事の結果に満足できれば報酬を支払うことも約束します。

民法541条では、請負人は依頼された仕事を完成させる義務があることも定めています。そのため、仕事が未完成だったり、企業が要求するレベルを満たしていなかったりすれば、報酬を請求することができません。また、民法634条や635条では請負人に担保責任があることも定められています。納品したあとに瑕疵(ミス)が発見された場合、依頼した側は請負人に対して納品物が要求を満たすものになるよう修繕する要求をしたり、損害賠償を請求したりすることが可能です。

実際にこれまでよく請負契約が結ばれてきた業種としては、建設工事や運送業務などがあります。インターネットを利用することが当たり前になり、IT関連の業務が増加してからは、ITシステムの構築やソフトウェア開発、ホームページ制作などの分野のほか、デザイン制作などの分野にも請負契約を利用する企業が増えています。

他の契約形態との違い【委任契約】

請負契約と似た契約形態に「委任契約」があります。請負契約では仕事を完成させることを約束し、依頼人は完成品に対して対価を支払う契約です。一方で、委任契約は業務の完成を問うものではなく、一定の事務処理行為を行う業務を依頼します。訴訟の代理など法律行為を扱う業務を弁護士事務所に依頼する業務などがその一例です。

請負契約も委任契約も企業内で業務を完結するのではなく、第三者に仕事をしてもらうという点では共通しています。ただし、請負契約とは異なり、委任契約に関しては瑕疵担保責任がありません。たとえ事務処理などにミスがあったとしても、委任契約を結んで仕事をした者が責任を負わないという点が請負契約とは大きく異なります。もちろん、瑕疵担保責任がないとはいえ、通常期待されるような注意を払って業務にあたる善管注意義務は発生します。

請負契約の場合は民法641条で「損害を賠償した上でいつでも契約を解除することができる」と規定されている一方、委任契約の場合は民法651条によっていつでも契約の解除が可能だとされています。とはいえ、委任契約でも委任を受ける側に不利な時期に契約解除するときは損害の賠償が必要です。請負契約ではいわゆる下請けとして異なる業者に再委託することが認められていますが、委任契約では第三者への再委託が不可能という違いもあります。総じて委任契約よりも請負契約のほうが重い責任を負う契約だといえるでしょう。また、委任契約とほぼ性質としては同じ契約形態として「準委任契約」があり、次の段落で詳しく説明します。

他の契約形態との違い【準委任契約】

「準委任契約」は前段落で説明した委任契約と基本的には同様の性質を持つ契約形態です。異なるポイントは、委任契約が法律行為を扱う業務に関するものを対象とするところ、準委任契約は「法律行為以外」の事務を委託する契約だという点です。実際の契約では委任契約の規定を適用して契約を結ぶことが多く、あまり明確に区別する必要はないといえます。また、瑕疵担保責任がないところやいつでも契約の解除ができるところ、再委託ができないことなど、請負契約との相違点についても、委任契約と同様です。

委任契約は基本的に法律行為を扱う業務で結ばれる契約ですが、準委任契約が結ばれる業種としては実に幅広いものがあります。たとえば、一定数の営業電話をかける業務をはじめ、日常業務で事務処理が必要とされるさまざまな場面で準委任契約を結ぶことが可能です。ただ、準委任契約にはIT分野で開発や設計、テストを行う、医師が患者の診察を行うなど、一定の知識やスキルが求められるケースもあります。

他の契約形態との違い【派遣契約】

企業外部に業務を依頼する契約形態としては、もうひとつ「派遣契約」があります。請負契約と派遣契約で大きく異なるところは、仕事を発注する企業側と受注する側の間に上下関係があるかどうかです。業務内容などによっては、どちらも担当者が発注元の企業に常駐して業務を行うことがあります。ただ、請負契約はあくまで依頼を受けた仕事を遂行するのみであり、企業側の指揮・命令を受けることがありません。それだけ仕事に対して自由度が高く、裁量も多く与えられています。その分、責任も重いといえるでしょう。

一方で、派遣契約の場合、派遣社員の所属は派遣会社にあるものの、業務を行うにあたっては派遣先企業に指揮命令権があります。つまり、派遣では仕事に対しての裁量権があまりなく、正社員と同じように、派遣された先の上司などの指示下にあるという位置づけです。

また、派遣契約で働くときは、所属する派遣会社や派遣先企業などに一部労働基準法が適用されます。しかし、請負契約の場合、発注した企業側とは労働契約を結んでいるわけではありません。そのため、請負契約では実質的に発注した企業の施設で業務を行っていたとしても労働基準法の適用を受けるわけではなく、企業も労務管理を必要としないのです。ただし、請負会社に所属している場合、請負会社との間では労働契約を結び、労働基準法が適用されることもあります。

請負契約と委任契約それぞれのメリット

請負契約と委任契約には、どちらもそれぞれメリットがあります。たとえば、企業目線でみた場合、労働契約を結ばない請負契約ならば管理業務から解放されるところがメリットです。労働者目線で考えると、仕事を完成させることを求められる請負契約は、企業の指揮・命令を受けないため完成までを一任されます。その分、業務に集中できるのはもちろん、勤務時間に縛られることがないのもメリットのひとつです。また、成果を上げればそれだけ報酬も上がります。

委任契約は請負契約とは違い、労働者は依頼された仕事の完成を担う責任はありません。最終的な仕事の完成というよりは、一定の事務処理を行うことそのものが依頼の内容です。報酬も完成品に対しての対価として支払われるのではなく、仕事を行った時間や工数に応じて報酬が支払われます。最終的に完成品を仕上げることを考えずに済み、専門分野に特化した業務に専念することが可能です。また、委任契約では契約内容に含まれないと判断する業務の場合は依頼を断ることもできます。

請負契約と委任契約それぞれのデメリット

請負契約でも委任契約でも、メリットばかりではなくデメリットとなる点もあります。請負契約を結んで仕事を依頼する場合、仕事がどのような質に仕上がるかは請負先や請負会社次第です。そのため、企業側にとって、請負会社選びは大事なポイントになります。選んだ請負会社によっては、希望した仕上がりが得られないかもしれないというのがデメリットです。

仕事を請け負う会社や労働者にとっては、請負契約が成果主義だという点がデメリットになることもあります。たとえば、依頼内容に不備がみられる際は大きな問題やトラブルが発生することも多いのです。そのようなケースでは、納期までに間に合うよう業務を完成させるのが難しくなる可能性があるなど、スケジュール調整も慎重に進める必要があります。

委任契約にもデメリットはあります。委任契約を結んで働く労働者にとって、業務そのものは発注者である企業側の指示のもと、企業の正社員や派遣社員などと同じように仕事をすることもあります。しかし、委任契約を結んで仕事をする場合は、労働基準法が適用されるわけではありません。実際に取り組む仕事は正社員などと同様であっても、労働基準法によって守られるわけではないため、自分の身は自分で守る必要があります。

請負契約書とは?

請負契約を結んで業務を委託する際は、契約書を取り交わすことが必要であり、それが「請負契約書」です。そもそも、契約とは一方が申し込んだことに対して相手方が承諾の意志表示をすれば成り立つものであり、民法上では必ずしも書面の契約書は必要としません。しかし、契約内容をはっきりさせておかない場合、なにか行き違いや思い違いが発生した際、「言った」「言わない」のトラブルが起きることが珍しくありません。

トラブルを避けるためにも、請負契約を結ぶときは請負契約書を取り交わすことが一般的です。契約を締結する前に完成物に関する内容や請負人が負う責任の範囲、納品方法、制限事項などの要件をお互いに確認しておきましょう。そのうえで契約書に明確な記載をしておけば、トラブルを防ぐことができます。

請負契約書は第2号文書、いわゆる「請負に関する契約書」に該当し、業務の結果は有形・無形を問いません。工事や家の建築のように請け負う業務の成果物が形のあるものだけではなく、機械やシステムのメンテナンス、会計監査などように形のないものも含まれます。第2号文書は課税文書であるため、一定の契約金額を超えると金額に応じて印紙税を支払わなければなりません。たとえば、1万円未満は非課税ですが、契約金額の記載のないものや1~100万円までは200円、100~200万円までは400円など、契約金額によって印紙税の金額も決まっています。

請負契約書の作成方法

請負契約書を作成するとき、おさえておくポイントとして、業務内容や納入方法、検収基準などのほか、費用負担や報酬の支払い方法とタイミングなどがあります。また、瑕疵担保責任や知的財産に関する内容、契約解除に関する内容についても記載しておくことが必要です。

業務内容に関しては、後々起こり得るトラブルや発生しうる責任問題を避けるためにも業務の範囲や詳細を明確にしておくことがポイントです。また、完成物が発注側の要望に沿っているかどうかを判断する検収基準を定めておくことも、仕事を行う上で完成物として認められるかどうかの基準となるため、必要なポイントだといえるでしょう。業務が完成した際の納入方法についても、郵送やデータをインターネット上でアップロードするなどさまざまな方法があり、業務内容や発注側・受注側の事情に応じて適した納入方法を定めておくことが必要です。

請負代金がどのようにして支払われるかも請負契約書に記載が必要な内容です。報酬の支払いは全額一括なのか、分割で支払われるのか、前払いされる分があるのか、全額業務の完成後なのかなど、支払われるタイミングも定めておく必要があります。長期間に及ぶようなプロジェクトの場合は、段階を分けてその都度支払われるケースもあります。

デザインやシステムの開発など、知的財産が絡んでくる業務の場合、納品後、発注側と受注側のどちらに知的財産権が帰属するのかというように、知的財産に関する項目も契約書に盛り込んで明確にしておかなければなりません。ほかにも請負契約では瑕疵担保責任があるため、万一納品後に瑕疵が見つかった場合の責任も決めておく必要があるでしょう。さらに、途中で請負契約を解除する場合に関する記載も必要になりますが、契約解除についての説明は次の段落で詳しく取り上げます。

請負契約の解除について

一旦交わした請負契約については、基本的に発注者側も受注者側も解除権利を持っています。ただし、法の定めでは発注者側の権利のほうが強くなっているのが現実です。発注者側の法的解除権としては、発注者側が求める成果を受注者が納められなかった場合や、成果物に瑕疵が見つかって目的を達することができない場合などが認められています。受注側が業務を完成するまでの間でも発注側から契約を解除することは可能ですが、その場合は受注者が業務を行うにあたってそこまでにかかった費用や本来得られたはずの報酬などの損害賠償を負担しなければなりません。

一方で、受注者側の法的解除権については、発注者側が破産手続き開始の決定を受けた場合のみ認められています。ただ、法的解除権としてはこのひとつですが、当事者間で約定解除権を確保しておけば、受注者側も法定解除権以外のケースで契約解除が可能です。約定解除権は発注側と受注側の双方で同意した内容を規定しておくことができます。

契約について正しく理解して日々の業務に活かそう!

この記事では、業務を外部に依頼する際の方法として請負契約をはじめとした各種契約の特徴とともに、メリットやデメリットも説明しました。また、契約書作成に際して必要なポイントについても紹介しましたが、複雑な部分もあります。それぞれの契約形態をきちんと理解しておけば自分や会社を守ることにつながるでしょう。この記事を参考にしながら、この機会に契約について正しい知識を身につけてください。

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