2019.07.25

ビジョナリーカンパニーに学ぶ成功のための6つの秘訣

ビジョナリーカンパニーに学ぶ成功のための6つの秘訣

一般的に「ビジョナリーカンパニー」とは、明確な経営理念を持っていて柔軟に変化をし続けている企業を指します。そして、ビジョナリーカンパニーは目先の利益を追求するのではなく、長期的な成功を目標に掲げる傾向が顕著です。そのため、「優良企業」と称される組織の多くがビジョナリーカンパニーであるといえます。あるいは、ビジョナリーの語源である「visionary(先見的)」という言葉を大切にしている企業を意味します。

ただし、ビジョナリーカンパニーという言葉が浸透するにつれて、定義はだんだん曖昧になってきています。実際のところ、業界内でずば抜けた結果を残している企業を指すケースも少なくありません。また、景気に左右されず安定して業績を伸ばしている企業をビジョナリーカンパニーと称することも定着してきました。共通しているのは、ビジョナリーカンパニーとは社員が安心して働けるうえ、世間からの信用も高い企業であるという点です。現代の企業にとって、ビジョナリーカンパニーとなることは大きな目標のひとつです。

経営コンサルタントが執筆した本にも注目!

1994年に刊行された「ビジョナリーカンパニー」によって、タイトルの言葉として世界中に浸透していきました。同書はベストセラーになってシリーズ化され、4冊目まで発表されています。著者の経営コンサルタント、ジェームズ・C・コリンズは大企業で働いていた経験を元にして、成功している企業に共通している条件をわかりやすく文章にまとめました。本シリーズが一貫して訴えているのは、時代の波にもまれながら発展していく企業には明確なビジョンやシステムが確立されているという点です。

「ビジョナリーカンパニー」が多くの読者の共感を呼んだのは、実在の有名企業を例に挙げて具体的に成功のポイントを解説していたからです。たとえば、同書ではIBMやマイクロソフトといったIT企業がビジョナリーカンパニーの理想形として取り上げられています。もちろん、初版から時代が経っているので、今読み返すといくつかの矛盾点や予測の過ちも見受けられます。それでも、ビジョナリーカンパニーという概念を世間に広め、経営者に新しい指針を与えたコリンズの功績は小さくないでしょう。

ビジョナリーカンパニーのポイント

1.ビジョンの共有

現実にビジョナリーカンパニーを目指すには、「時刻を告げる経営者であってはいけない」といわれます。そのかわり、「時計を作る経営者」が望ましいとされています。つまり、経営者が部下に一方的な指令を下し、操っているだけでは企業力が高まりません。そうなると、部下は経営者の言われたままに動く歯車にすぎず、時代を変えるような発想が生まれにくい環境が固定化されていくからです。

こうした状況に陥らないための「時計を作る経営者」とは、ビジョンを部下と共有できるリーダー像を指します。ミッションを与えるのではなくビジョンを示せば、部下は「ビジョン実現のためにできること」を自主的に考え始めます。仕事への責任感が生まれ、より良い結果を残すための努力を惜しまないでしょう。ビジョナリーカンパニーでは上下関係が大して重要ではありません。それよりも、全社員が一体感を持つことのほうが大事です。社員が同じ方向を目指している会社では生産性が高まり、社会を驚かせるような発明が生まれやすくなるでしょう。

2.基本理念の浸透

すべての会社には「基本理念」が設定されているはずです。会社が誰のために何をして、どこを目指すかを示した言葉が基本理念です。そして、ビジョナリーカンパニーでは基本理念が全社員に浸透しています。しかも、単に「知っている」「聞いたことがある」という程度ではなく、熱狂的に理念が支持されているのがビジョナリーカンパニーの特徴だといえるでしょう。そのため、ビジョナリーカンパニーの社員たちは会社の方向性に疑いがなく、信じた道を突き進める強さを持っています。

ただし、こうした会社のあり方は、すべての人にとって理想とは断定できません。熱狂的に基本理念を支持することは、ほかの価値観を否定することにつながるからです。そのため、ビジョナリーカンパニーに入社した後で、違和感を覚える人がいて当然です。むしろ、「働きにくい」という感想を抱く場合も出てくるでしょう。一方で、理念に共感できる社員にとってはビジョナリーカンパニーで幸せに働けます。仕事にやりがいを感じながら、能動的に日々の業務をこなせます。

3.生え抜き経営者の育成

経営者の手腕は企業の発展に不可欠です。そのため、「プロ経営者」と呼ばれる実績のある人物を招聘し、企業の方向性を定めてもらうパターンも増えてきました。しかし、ビジョナリーカンパニーにおいては、外部から経営者を招くのは必ずしも得策とされません。むしろ、企業の内部事情や雰囲気を知り尽くしている人物が舵を取ることを推奨しています。確かに、プロ経営者によって一時的に企業の業績が上がる可能性は高いでしょう。しかし、後任に経営を引き継ぐと企業力が低下するケースは多く、長期的視野で成長を目指すビジョナリーカンパニーの考え方には合いません。

ビジョナリーカンパニーでは、安定した企業経営の継続を目標に掲げています。そのため、生え抜き経営者の育成にも力を注いでいます。実際のところ、ビジョナリーカンパニーの代表格には、経営陣が生え抜きで構成されているところも少なくありません。たとえば、GEのジャック・ウェルチなどは生え抜きにして優秀な実力を持った経営者です。ビジョナリーカンパニーになるには、現在の経営者が実権を握っている間から事業承継を意識することが重要です。

4.大胆な目標

企業にとって、リスクを犯すことは重大な分岐点となります。中には、確実に存続していくためリスクを避け、従来通りの経営を続けようとする企業も少なくありません。しかし、ビジョナリーカンパニーではリスクも成長のきっかけとして認識されています。もちろん、無謀な挑戦を勝算もないまま行うのは厳禁です。しかし、達成が困難でも、企業が進歩するきっかけになるようなプロジェクトはむしろ推奨されています。大胆な目標設定で、企業力の底上げを狙うのはビジョナリーカンパニーの常套手段です。

ビジョナリーカンパニーでは社員が一致団結しているので、リスクに向かっていくときも決して不安はありません。それどころか、社員のモチベーションが上がって業績が上がる可能性すら秘めています。過去の成功にしがみつかず、社運を賭けた目標があることによって企業の潜在能力は開花するのです。どんなに大きな目標であってもはっきりとした達成の基準が見えているのであれば、無条件に恐れる必要はありません。試練を乗り越えることで、ますます社員から会社への信頼は強くなるでしょう。

5.試行錯誤

世の中のビジョナリーカンパニーは、成功ばかり繰り返してきたとも限りません。ときには、失敗を経験してきた企業もたくさんあります。しかし、挑戦的な目標を掲げたうえでの失敗なら大きな経験値が残されます。試行錯誤の中で上手くいった経験を残していき、次のプロジェクトに活かす仕組みがあるからこそビジョナリーカンパニーは成長を止めずに歩み続けられるのです。初めから上手くいきそうな仕事だけを選ぶのではなく、失敗の可能性もある仕事で試行錯誤することも大切です。

試行錯誤からヒット商品を作り上げた企業として、3Mが挙げられます。3Mは社員からのアイデアを奨励し、既存の商品をさらに改良することで売上を伸ばしていきました。そして、1990年には40以上の製品部門を抱える大企業の仲間入りを果たします。3Mの技術者は労働時間の15%を研究開発に費やしてきました。現状に満足せず革新を求める心があるから、3Mは多くの新商品を生み出してきたといえるでしょう。3Mはかつて触手を多方面に伸ばしすぎているとの批判も受けたものの、結果的にあくなき挑戦への意欲が企業力へとつながっています。

6.常に成長を意識

現状維持は、ビジョナリーカンパニーの理念と対局をなすものです。それは、現状に満足してしまった途端に企業は成長を止めてしまうからです。ビジョナリーカンパニーの多くは、「自己改善」に関する取り組みを絶えず行っています。常に自社の問題点を洗い出し、克服するための手段を考え続けています。こうした成長への意志は、時代の流れとともにますます重要になっているといえるでしょう。なぜなら、市場のニーズやトレンドの移り変わりはめまぐるしくなる一方だからです。一カ所に留まろうとする企業は、わずかな間でシェアを失いかねません。社会や消費者の動向から目を離さず、時代の先を目指す企業だけが生き残っていけるのです。

ビジョナリーカンパニーは現状の商品・サービスが将来的には需要を失ってしまうと理解しています。そのため、市場の期待を背負いながら、十二分に応えていくための努力を惜しみません。過去の実績を更新する勇気を持った会社でないと、ビジョナリーカンパニーを名乗れないのです。

ビジョナリーカンパニーの考え方を企業経営に生かそう!

従来のMBAのように、一般的な経営論ではバランスを重視しています。しかし、ビジョナリーカンパニーは大胆な目標設定や試行錯誤を奨励するなど、経営論の固定観念を覆しました。現状に踏み止まることをよしとしないビジョナリーカンパニーの考え方は、これからの時代ではより説得力を帯びていくでしょう。もしも企業力をさらに高め、長期的に発展していきたいと望んでいる経営者はビジョナリーカンパニーの姿勢を学んでみるのも選択肢のひとつです。既存の価値観にとらわれないユニークな戦略は、経営者の刺激となるでしょう。そして、柔軟な発想を生み出すための糧となるはずです。

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