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2020.10.20

近年話題のVUCAとは?その意味から求められるものまで徹底解説!

ビジネスの現場でVUCAという言葉を耳にしたことはありませんか。VUCAはビジネスパーソンにとって知っておくべき言葉の1つであり、知らない場合には時代の流れに対応できない可能性が高くなります。そのため、VUCAそのものだけでなく、VUCAへの対応方法も知る必要があるのです。この記事では、VUCAの意味から求められるものまでを徹底的に解説します。

VUCAとは

VUCA(ブーカ)は、

  • Volatility(変動性)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性)

という4つの単語の頭文字で作られた言葉です。VUCAを構成する4つの単語は、世界中のビジネスや市場などでみられる不安要素を意味しています。カオス化した経済環境を指すだけでなく「予測不能な状態」をも示す言葉です。元来、VUCAは1990年代のアメリカの軍事領域で用いられてきました。その後、ビジネスを取り巻く環境が複雑化し、経済や企業組織だけでなく個人のキャリアにおいても、将来的な予測が困難な状態となり、こうした状況に対して用いられるようになったのです。
そんな2010年代から世界の経済各所でいわれ出したのが「VUCAの時代」の到来です。それにより、VUCAはビジネスのシーンで使われる言葉へと変化を遂げます。2000年代以降は世界経済が急速にグローバル化し、IT技術の進歩によってイノベーションの加速も進んだといえるでしょう。ビジネスモデル1つを取ってみても、2010年までの10年間と2010年からの10年間は大きく変化しています。さらに、今後は、これまででは予想すらできなかったスピードで変化していくと考えられるのです。このような目まぐるしい変化を続け、未来が予測できないビジネス環境というものを的確に示しているのがVUCAという言葉だといえます。

Volatility(変動性)について

VUCAの初めの文字であるVはVolatilityで、変動制を意味する言葉です。IT技術が進歩した現代社会では、テクノロジーの側面はもちろんのこと、価値観や社会の仕組みといったさまざまな面での変化が見られます。その変化のスピードは目を見張るものであり、予想もできない速度でたくさんのことが変わっていくのです。先の見通しを立てることが難しく、変動性はビジネスにおける不安要素として考えられています。
また、現代ではイノベーションが次々と生まれています。そのため、古いビジネスをそのまま続けてしまうと、衰退していく可能性も高いでしょう。どれだけ有望だと考えられているビジネスでも、それを凌駕するするビジネスが現れてしまうと、陳腐化してしまいます。世界共通の変動性として知られているひとつがSNSです。20年に満たない間に巨大なプラットフォーマ―となったSNSは、広告業だけでなく金融業まで幅広く展開し、消費者の購買意欲も刺激しています。しかし、次々と新しいSNSが誕生しているため、SNSそれぞれの人気にも変動が見られているのが現状でしょう。

Uncertainty(不確実性)について

VUCAのUはUncertaintyで、不確実性を意味する言葉です。予測不能なVUCAの時代には、これまでまったく予測できなかったことが当然のように起こります。政治的な出来事や突然の災害などは世界各地でみられています。その影響がビジネスの障害となることはめずらしくありません。イギリスのEU離脱やトランプ大統領の当選、東日本大震災など「想定外」の出来事にさまざまなビジネスが翻弄されてきたのです。想定外の出来事は、常に起こり得る可能性があります。突然のドラスティックな変化によって、自己を取り巻く環状も大きく変わるでしょう。これまでうまくいってきたことも、明日にはどうなっているのか分からず、不安が常に存在しているのが現状です。予測不可能な政変や災害などの出来事によって未来がどうなるかの予想が困難な状態を不確実性といいます。

Complexity(複雑性)について

VUCAの3文字目のCはComplexityです。複雑性を意味する言葉であり、地球規模の複雑性が不安要素を構成していると考えられています。経済は一層のグローバル化をみせ、1つの企業や1つの国で解決できる問題が少なくなりました。さらに、それらは地球規模で複雑に絡み合っていることから、単純に解決できる問題自体も減少しているでしょう。その結果、1つの問題がより一層困難なものになりつつあります。
例を挙げると、2007年のアメリカのサブプライムローン問題があります。このとき、世界規模での金融危機が起こり、世界の経済が大きな打撃を受けました。国内の中小企業の倒産が相次ぎ、深刻な事態となったことはいうまでもありません。1つの国で起こった出来事であっても、自分の国や会社に大きな影響を与えます。また、グローバルなビジネス環境であるがゆえに、各国の法律や文化・習慣などのさまざまな要因が絡み合うことがあるでしょう。その結果、ビジネスが複雑化するのです。

Ambiguity(曖昧性)について

VUCAの最後のAはAmbiguityで、曖昧性を意味しています。ITの進化によって「業界の区分」は曖昧になっているといえるでしょう。これまでは1つの業界が手掛けていた分野にも、さまざまな業界の進出が目立つようになりました。分かりやすい例が自動車産業でしょう。かつて、車は自動車メーカーが作るものとして考えられてきました。しかし、自動運転化が進み、テクノロジー系の企業も進出を果たしているのです。過去の成功例が現在のビジネス課題に通用しなくなることも多く、長期的な予測は不可能といわれるなか、短期的な予測も難しくなりつつあります。5年や10年先といった近い未来を見通すことすら困難だといえるでしょう。
業界をこえた競争が激化し、さらに多くのイノベーションが生まれているのも事実です。しかし、この先どのようなイノベーションが生まれるのか、それが社会や経済にどのような影響をもたらすのかを予想することも難しいといえます。近年のビジネスにおいて、物事の因果関係は実に不明確です。したがって、業界の垣根を取っ払い、ルールに縛られることのない柔軟な発想を持ち、ビジネスを手探りで進めていかなければなりません。

VUCAの影響事例

VUCAワールドでは、これまで普遍的だと考えられていたものが、ある日突然大きく変化することが珍しくありません。そのため、大企業であっても時代が変化するスピードについていかないことには、競争から脱落してしまうでしょう。VUCAが大企業に大きな影響を与えた例として挙げられるのが、SHARPの買収です。100年以上の歴史を持つSHARPは、電卓の発明によってテクノロジーの世界に革命を起こしてきました。テレビや冷蔵庫といった家電の開発にも力を入れ、長きに渡って日本の生活を支えてきた企業です。そんなSHARPであっても、2011年ごろからは巨額の経営不振に見舞われ、2013年4月には台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されてしまいます。
また、石油関連企業もVUCAの影響を大きく受けたといえるでしょう。2014年7月にそれまで安定していた石油価格の急激な下落が始まり、石油メジャーの経営が悪化します。その影響は石油資源開発会社や石油小売り大手にまで及び、さまざまな石油関連企業にダメージをもたらせたのです。
2015年12月に野村総合研究所が「日本の労働人口の49%が人工知能やロボットで代替可能になる」との試算を発表したことも記憶に新しいでしょう。機械学習をはじめとした人工知能関連技術は飛躍的な発展をみせています。しかし、人工知能やロボットの開発が予測通りに進むと、多くの労働者の職が奪われてしまう結果となるでしょう。このように、今後の現代社会はより不確実な世界になると考えられています。

VUCA時代に必要な能力

VUCA時代に必要な能力① 情報収集力

VUCA時代に求められる能力の1つに情報収集力が挙げられます。世界のあらゆる場所でイノベーションが生まれているのがVUCA時代です。イノベーションの誕生により世界や経済、生活は変化し続けています。これらの変化に対して常にアンテナを張り、最新情報をキャッチアップできると、時代の変化が敏感に感じ取れるでしょう。また、自身の「引き出し」が多いと行動の選択肢も増え、予想もできなかった出来事や世の中の急な変化にも柔軟に対応できます。新しい情報をいち早く収集し、どのように行動すべきかが判断できると、新しいビジネスを自らの手で生み出せる可能性が高くなるのです。

VUCA時代に必要な能力② 明確なビジョンを持つ

明確なビジョンを持つこともVUCA時代に必要な能力です。VUCA時代は非常に曖昧で未来の予測が難しいといえるでしょう。しかし、不安要素が多い時代であっても、自分の立ち位置での成果や目標を明確にしておくことが重要です。自身が将来どうありたいかを明確にすると、状況の急な変化や、想定外の出来事に見舞われた場合でも、成果や目的の実現を基準とした行動が選び取れます。不確実性の高い未来だからこそ、優れた洞察力や行動力が必要です。さらに、自分たちにしかできない形での提供価値を作り出す力も求められています。

VUCA時代に必要な能力③ 決断力

VUCA時代には、決断力も必要な能力とされています。予想もできないスピードで変化していくVUCA時代は、物事を慎重に検討している時間がありません。刻一刻と状況が変化していくことから、考えている間に新たな出来事が起こる可能性もあるのです。時代が目まぐるしく変化することから、思いついたことをすぐに実行できる決断力と行動力が重要だといえるでしょう。失敗を恐れずに行動できる人こそが重視される時代です。アイデアが浮かぶと失敗を恐れず、まずは行動をしてみます。動き出すことさえできれば、その後の状況に合わせて進むことが可能です。状況が変化した場合には、軌道修正や撤退など、次の行動を考えれば良いのです。成功は、行動した人だけに与えられる時代です。アイデアを頭の中で練り続けるのではなく、できるだけ早く実行に移すのがよいでしょう。

VUCA時代に必要な能力④ 多様な人材への適応力

VUCAの時代では、多様な人材への適応力も必要な能力です。ダイバーシティ&インクルージョンが推進され、ひとつの企業でも、さまざまなバックグラウンドや価値観を持った従業員が在籍しています。多様な価値観から新たなイノベーションが生み出されることが期待され、それぞれの人材の持つ長所をどう活かすかが重要とされるのです。部下やメンバーそれぞれの価値観や強み、能力、現在の状況を知り、適材適所で人材を文字どおり有効活用するのがいいでしょう。そのうえで、相手のモチベーションを向上させるコミュニケーションを取ることが大切です。従業員の力量を正しく評価すると、VUCAの時代においても最高のパフォーマンスが発揮できるでしょう。

企業に求められるもの

企業に求められるもの① 明確なビジョン

VUCA時代は企業も明確なビジョンを持たなければなりません。先の予測が困難なVUCA時代には、企業として将来どうありたいかをしっかりと考えておく必要があります。将来の展望が曖昧な企業は、急な変化にも対応できない可能性が高いでしょう。一方、ビジョンがしっかりしている企業は社会の状況が変化しても、事業の優先順位を正しくつけられます。また、経営方針の見直しなど、柔軟な対応もできるのです。いかなる状況であっても、経営陣がブレない企業であれば、従業員も安心して仕事ができます。その結果、業績の安定にもつなげられるのです。未来の予測が困難な時代だからこそ、明確なビジョンを持った経営を進めなければなりません。

企業に求められるもの② スピード経営

スピード経営もVUCA時代の企業に必要なものの1つです。目まぐるしく変化する社会において、いつ、どのような変動が起こるかは誰にも分かりません。時間をかけて慎重に検討した決定事項でも、想定外の出来事が起これば白紙に戻ってしまう可能性があるのです。意思決定にかける時間はできる限り短縮し、迅速に行動をスタートさせることが大切でしょう。失敗しても素早く軌道修正を図るなど、スピード感のある臨機応変な対応が求められます。驚くほどの速度で変化する時代だからこそ、スピード経営を目指す必要があるのです。

企業に求められるもの③ ダイバーシティ&インクルージョン

VUCA時代の企業にはダイバーシティ&インクルージョンも求められています。刻々と変わりゆく社会では、市場ニーズが変化する方向も分かりづらいといえるでしょう。将来の予測が難しい時代だからこそ、さまざまな立場や価値観を持った従業員から生み出される多様なアイデアは必要不可欠とされています。多様性を持った従業員と新たな価値を創造すると、企業の競争力が高まるのです。働き方改革によって女性や外国人が活躍できる環境は増えています。企業においても、従業員の多様性と強みを活かす環境作りをしなければなりません。VUCA時代に企業が生き残るには、多様性を持った従業員の経験や能力、考え方をうまく取り入れる必要があります。

企業に求められるもの④ 複数の事業をもつ

VUCA時代の企業は、複数の事業を持つことも大切です。瞬く間に変化し、先の予測が困難なVUCAの社会では、成功したビジネスモデルであっても、短期間で陳腐化してしまうケースが珍しくありません。1つの事業だけに依存すると、新しいサービスの登場によって衰退してしまう可能性もあるでしょう。複数の事業があればリスクヘッジとなり、状況が変化するごとに注力する事業を変えることが可能です。

VUCA時代を生き抜くために

これまでの説明でVUCAの意味が理解できたでしょうか。VUCAは、技術の発達やグローバル化が進む現代のビジネスパーソンにとって知っておくべき知識です。VUCAの時代に求められるものが理解できると、予測不能な未来にも不安を抱えることがありません。VUCAの時代に必要なものをしっかりと知り、先の見えない時代を生き抜きましょう。

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