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2021.9.6

組織の人間関係の重要性!ホーソン実験とは?仕事場への生かし方も紹介

生産性の向上や人事の問題を解決に導くヒントになる、「ホーソン実験」をご存じでしょうか。ホーソン実験は、行われてからかなりの月日が経っているにもかかわらず、現代のビジネスでもその考え方が多く活用されています。そこで、この記事ではホーソン実験の概要を説明するとともに、ビジネスへの生かし方についても詳しく解説します。

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ホーソン実験とは?

ホーソン実験は、アメリカのシカゴにあったウエスタン・エレクトリック社のホーソン工場で実施された実験です。この実験が行われた1920~1930年代にかけては、第一次世界大戦後の好景気に沸いていた時代で、アメリカの主要産業「自動車」の生産をはじめ各種産業が飛躍的に拡大しました。ウエスタン・エレクトリック社は、電気機器の開発・製造を行っていた会社です。1927年から5年間にわたって生産性向上に関する実験を行っています。

この時代の生産現場では、作業量や作業手順をマニュアル化し「どのような人材でも一定の成果が出せる」という科学的管理法「テイラーシステム」が実施されていました。そのような環境下で科学的な側面から効率化を狙うだけではなく、人間的側面も含んだ労働者の生産性向上に関連する要素を導き出したのがホーソン実験です。この実験の結果は、100年近く経った今でも、ビジネスのマネジメントや人材育成に影響を与えるものとして重要だと考えられています。

ホーソン実験の具体的な内容

ホーソン実験では、具体的に4つの実験が実施されています。この段落では、それぞれの実験について詳しく紹介します。

照明実験

ホーソン実験のなかでも、作業場の明るさに注目したものが「照明実験」です。照明の明るさと作業効率に関連があると考え、「照明を下げた場合にどの程度作業効率に影響があるのか」を実験しています。具体的には、常に明るい照明のもとで作業するグループと100ワットから25ワットまで回数を追うごとに照明を暗くしていくグループに分けて、コイルを巻く作業の速度を計りました。その結果は、当初の予想とは異なり照明が暗くても生産速度が上がることがあったのです。逆に明るくても作業効率が下がるケースもあり、実際には作業環境と生産性に関連性が見出せませんでした。

組み立て実験

組み立て実験は、リレー組み立て実験や継電器組立作業実験とも呼ばれ、賃金や休憩時間、部屋の温度など条件をいろいろ変えて組立作業を行わせ、作業効率の変化を見ました。実験は、6名からなる一定の従業員が対象です。結果は、労働条件が改善された状況で作業効率が上がったうえ、元の条件に戻しても下がりませんでした。つまり、当初の予想とは異なり単純に条件の変化と作業効率が関係しているわけではないことがわかったのです。一方で、仲間意識が強いグループやグループに選ばれたことを誇りに思っているなど、心理的な影響が仕事へのモチベーションにつながり、生産性向上に影響を与えているのではないかという指摘がされています。

面談実験

ホーソン実験では、2万人以上の従業員を対象に現場の状況を理解するためのインタビューも実施しています。その結果、従業員の労働意欲や満足度に対して、必ずしも賃金制度や就業時間といった客観的な職場環境による影響が大きいとはいえませんでした。むしろ、職場の人間関係や個人的な経歴など、「主観的な感情に大きく影響を受ける」という結果が出ています。

バンク配線作業実験

ここまで見てきた3つの実験の結果から、「現場には小さなグループが存在し集団の作業に影響を及ぼす」という予測のもと「バンク配線作業実験」を実施。電話交換機製造工程の一つバンク配線作業を共同で作業させました。現場では、職務における担当や役職などの公的な関係にかかわりなく、インフォーマル・グループが形成されていることが明らかになっています。

この実験の結果、労働者はすべての力を出し切って作業するのではなく、インフォーマル・グループ内での状況に応じて自ら労働量を制限していることも見出されました。監督者との間では、防衛と共存の関係にあり、いい関係にあるほうがミスは少ないなど、「個人的な関係性が作業に影響している」という結果も出ています。

ホーソン実験を仕事場に生かす方法

ここまで見てきたホーソン実験の結果は、現代のビジネスにおいても生かすことができます。その具体的な内容について、3つのポイントを挙げて詳しく紹介します。

コミュニケーションの場を作る

ホーソン実験以前は、人間の感情にかかわる要因は生産性に直接関係しないと考えられてきました。しかし、実際にホーソン実験で導き出されたポイントは、「人間関係が生産性に影響を与える」ということです。ホーソン実験を現実のビジネスシーンに生かす方法の一つは、コミュニケーションを取れる場所を設けることが挙げられます。企業では、同期や同僚など横のコミュニケーションはそれなりにできていても、経営者と一般社員や上司と新入社員など、縦の関係のコミュニケーションは十分でないことが珍しくありません。

しかし、バンク配線作業実験により、インフォーマル・グループの存在が作業に影響していることが明らかになっています。立場にかかわらず、チーム内で活発にコミュニケーションが取れる環境を整えることがポイントです。自分の仕事だけに注意を向けるのではなく、ほかのメンバーの状況も把握しておくことで、業務の負担をサポートすることもできます。業務に役立つ知識や技術を教え合いながら、スキルを高めていくことも可能になるでしょう。

社外での親交の場を作る

社内にコミュニケーションの場を作ることに加え、社外でも親交を深められる場を作ることがポイントの2つ目です。単なる業務上のかかわりだけでは、なかなか豊かな人間関係を形成するのが難しいこともあります。仕事に関係ないような何気ないかかわりから、お互いの関係性が深められることも珍しくありません。肩肘張らずにかかわれる社外の場で一体感が生まれ、結果として仕事に対するモチベーションにつながることもあります。

所属部署を越えて知り合えたり、役職などの上下に関係なくかかわれたりする同好会やサークル活動などがおすすめです。おいしいものを食べる集まりやカラオケ、スポーツなど、娯楽性の高い活動でもかまいません。仕事の場とは違った同僚や上司の一面を目にして、関係性を深めるきっかけになることもあります。普段接点がない他部署の人とのつながりも生まれ、人脈作りにも役立つでしょう。通信技術の発達によって、オンラインツールを利用したコミュニケーションも盛んに行われるようになっています。

メンバーを繋ぐリーダーを配置する

同じチームに属している場合でも、そのままにしておいて自然にメンバーの仲がよくなるとは限りません。メンバーの上に立つリーダーがうまくスタッフ間を繋ぎ、コミュニケーションを促進する働きができればチーム内の人間関係もより一層改善することが期待できます。万一、メンバー間でコミュニケーションミスが発生したとしても、頼れるリーダーが相談役として存在すれば緩衝材になるでしょう。逆に、相談できるような存在が少ない場合は視野が狭くなりがちになり、人間関係も行き詰まってしまいかねません。いざというときに頼れる相手がいることで安心感が生まれ、円滑な人間関係を保ちつつ、働きやすい組織づくりが可能になります。

組織作りに生かしてみましょう

ホーソン実験について理解できたでしょうか。科学的な側面ではなく、人間的な側面が作業の効率に影響を与える結果を導き出したホーソン実験は、約100年前の実験でありながら現代ビジネスでも組織作りに大きく生かせるヒントがあります。良好な人間関係を築くためにも、人事の問題や組織作りで悩んでいるなら、ぜひホーソン実験で得られた結果を参考にしてみてください。

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