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2021.7.8

レイオフとリストラの違いとは?レイオフを行う目的やメリットって何?

企業が従業員を解雇することを示す言葉には、リストラのほかに「レイオフ」もあります。レイオフとは、アメリカなど海外で行われている一時的な整理解雇のことです。名称は知っていても、レイオフの正確な内容やリストラとの違いなどについて、詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。今回は、そんなレイオフの基本的な内容を踏まえ、レイオフの目的やメリット、実施時の注意点などを紹介します。

解雇の種類

一口に従業員の解雇といっても、解雇の理由によって大きく以下の3種類に分けられます。

#普通解雇
1つ目は「普通解雇」で、就業規則における労働契約を終わらせるために行うものです。主に、従業員の能力が不足していたり、業務とは関係ないケガや病気で働けなくなったりした場合に用いられます。

#懲戒解雇
2つ目は「懲戒解雇」で、悪質な違反行為などを行った従業員に制裁罰として行われるものです。ただし、就業規則や雇用契約などに懲戒解雇となる事由が明確に記載されていない場合や、従業員に弁明のチャンスを与えない場合などは基本的に懲戒解雇が認められません。

#整理解雇
3つ目は、企業の経営不振などやむを得ぬ理由で人員削減が必要になった場合に行う「整理解雇」です。レイオフやリストラと呼ばれるもので、実施するには「人員削減を行う客観的な理由がある」「解雇対象の選出が合理的に行われた」など、いくつかの条件を満たさなければなりません。

レイオフとリストラとの違い

レイオフとリストラは、どちらも同じ「整理解雇」の一種ですが、この2つには微妙な違いがあります。

#リストラ
リストラは、組織の再構築を目的として、人員を削減するために行われるものです。解雇された従業員は、基本的に企業に再雇用されることはありません。

#レイオフ
一方、レイオフは再雇用を前提として、一時的に行われる人員削減を指します。企業経営において最もコストがかかるのは人件費のため、経営がうまくいかなくなったときに従業員を一時解雇し、一定期間だけコストカットを行うのです。経営が安定してきたら、レイオフした従業員は再雇用されます。これにより、人件費の削減だけでなくスキルやノウハウを持った従業員が他社へ流出するのを防ぐ効果があります。

レイオフと一時帰休との違い

日本の場合、アメリカのようなレイオフではなく、「一時帰休」という手法が取られることが多い傾向です。一時帰休とは、経営不振や操業時間短縮などを理由として、従業員を企業に在籍させたまま休業させることを指します。一時的に休業させる点では、レイオフと似たようなものですが、日本では労働組合や労働者保護の問題がありレイオフを行うのは難しいため、一時帰休が用いられているのです。一時帰休は、解雇ではなくあくまでも休業のため、平均賃金の60%以上の手当てが支給されます。一時的とはいえ、「企業との関係が断ち切られるかどうか」という点で、レイオフと一時帰休には違いがあるのです。

レイオフの目的

経営不振は、いつ回復するか分からないため、「レイオフではなく完全に解雇するリストラを行ったほうが良い」と感じる人もいるのではないでしょうか。しかし、わざわざ再雇用を前提として解雇するのには、それなりの理由があります。まずは、レイオフが行われる主な3つの目的について確認してみましょう。

人件費の削減

レイオフを行う最大の目的は、やはり人件費の削減です。企業にとってコストに占める人件費の割合はかなり大きく、経営不振の状態で人件費を負担し続けるのは簡単ではありません。人件費を削減できれば、大幅なコストカットが期待でき、その余剰分を業績回復に直結する業務や費用に充てることができます。しかし、企業にとって人材もまた宝ともいえる存在です。業績が回復した後に従業員を増やしたとしても、新人が戦力になるまでには時間と労力、そして育成コストもかかります。

そこで、役に立つのが業績回復した際に再雇用を約束するレイオフです。すでに、業務を経験した従業員を再雇用できれば、新たな従業員を採用するさまざまなコストも必要ありません。業績が回復するまで人件費をカットしたいものの、戦力となる従業員を完全に解雇するのは避けたい思惑もあり、従業員の調整に最適なレイオフを行うことが多いのです。

優秀な人材の流出を防ぐ

企業がリストラではなく、レイオフを選ぶのには「優秀な人材の流出を防ぐ」という目的もあります。リストラしてしまえば、その従業員が持っていた経験やスキルは失われてしまいかねません。人材の育成には、膨大な時間とコストがかかっているため、リストラですべてを無駄にしてしまうのは企業にとってはマイナスです。しかも、リストラされた従業員は新たな仕事を求めて転職活動を始めるでしょう。このとき、まったく未経験の仕事よりは、同じ業種や業界の仕事のほうが働きやすいと考える人も多い傾向です。そうなると、人材を競合他社に取られてしまう可能性も高まります。

企業にとって、あまり重要ではない人材であればリストラで整理解雇すれば良いですが、「どの従業員にどのようなスキルがあるか」について、完全に把握するのは簡単ではありません。「あまり重要ではない」と解雇した人材が、実は隠れた能力を持っている可能性もあります。リストラを行うと、たしかにコストは削減できますが、このように従業員の培ってきたスキルや優秀な人材が競合他社に取られる可能性があるのです。この点、レイオフの場合は業績次第で再雇用ができるため、優秀な人材が他社に流出するリスクを防げます。業績が回復した後に業務へ復帰してもらえば、スムーズに生産性を高めることができるでしょう。

ノウハウを流出させない

リストラによって人材が流出することは、人材が持つ企業のノウハウまで一緒に流出することを意味しています。独自の技術やノウハウを知る従業員は、競合他社にとって非常に魅力的な存在です。リストラを聞きつけ、これ幸いと積極的にスカウトに乗り出す可能性もあるでしょう。ノウハウは、企業ごとに大きく異なる場合もあり、仮に競合他社に渡れば成長をサポートすることにもなりかねません。これでは、企業の業績回復も難しくなる恐れがあります。

このように、育成した従業員の能力やスキルだけでなく、ノウハウまで流出することは企業にとって大きなデメリットです。最善なのは、一時的にコストカットしつつ、業績が回復するまで人材とともにノウハウの流出を防ぐことといえるでしょう。レイオフは、この目的に最適な人員削減の手法なのです。

レイオフのメリット

レイオフは、「解雇」というネガティブなイメージがありますが、悪いことばかりではありません。実は、企業側だけでなく従業員側にもメリットが期待できるのです。次は、レイオフの主なメリットを3つ紹介します。

優秀な人材を獲得できる

レイオフにより再雇用を約束することで、企業は優秀な人材の流出を防げると述べました。実は、レイオフには雇用主の企業だけでなく、ほかの企業にとってもメリットが期待できるのです。例えば、ある企業でレイオフが行われた場合、ほかの企業はレイオフされた従業員に好条件を提示し、自社へ入社するようアプローチできます。うまくいけば、経験やスキルだけでなく、従業員と一緒に独自のノウハウを手に入れることもできるでしょう。

企業とレイオフされた従業員双方がメリットを得られるよう、給与や福利厚生などの面でレイオフした企業より有利な条件を提示するケースもあります。そのため、レイオフした企業の再雇用を待たず、退職してほかの企業への就職を選ぶ人も少なくありません。

転職のきっかけになる

もともと企業に不満を感じながら働いていた従業員の場合、レイオフが転職の大きなきっかけになる点もメリットです。レイオフは、企業の業績が回復するまで一時的に解雇するだけのため、その間は自由な時間ができます。これまでは、忙しくて満足に転職活動ができなかった人も、空いた時間に求人情報を検索したり転職エージェントサービスを利用したりするなど、具体的な行動を起こせるようになるのです。集中して勉強し、資格取得など新たなスキルを身につければ、レイオフした企業ではなくさらに条件の良い企業への転職も夢ではありません。

特別退職金がもらえる

企業によっても異なりますが、従業員はレイオフ後に退職することで「特別退職金」を受け取れる場合もあります。レイオフは、企業が強制的に行うことであり、従業員の同意があるわけではありません。そのため、強制的な解雇に対するボーナスが支払われることがあるのです。金額も従業員ごとに異なるものの、長年その企業で働いた従業員であれば、年収と同じくらいの額をもらえる可能性もあります。特別退職金あれば、とりあえず当面の経済的な不安は小さくなるため、余裕を持った転職活動ができるでしょう。

レイオフは、「仕事ができなくなる」とネガティブにばかり捉えるのではなく、「成長する時間を与えられた」と考えて積極的に行動することが大切です。

日本における解雇規制

日本は、正規雇用労働者に対する解雇規制が厳しい国として知られています。一度正社員として採用すると、簡単には解雇できない仕組みになっているのです。そのため、解雇のしやすさを考えて非正規雇用労働者を採用する企業が多くありました。しかし、近年ではそれが正規雇用労働者の増加を招いているとして、OECDが正規雇用労働者への解雇規制の緩和を勧告しています。

厚生労働省も規制緩和を検討しており、将来的には日本でもレイオフが一般的になるかもしれません。解雇規制の緩和のほか、雇用の流動性を高めるための定年制の廃止や、雇用形態に関わらず加入できる勤労者皆社会保険制度の創設といった改革も検討されており、大きな変化を迎える可能性があります。

レイオフについて理解は深まりましたか?

レイオフは、完全に解雇するリストラとは違い、ノウハウや優秀な人材の流出を防ぐための一時的な人員整理を目的とした解雇です。現在の日本では、解雇規制の問題があるため実施するのは難しいですが、国として将来的な規制緩和も検討しており、将来的には実施される可能性もあります。いざというときに慌てないためにも、レイオフについて正しく理解しておきましょう。

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